2021/05/04
自律神経失調症・不定愁訴
※2021年5月改定
【一般的な説明】
不定愁訴症候群とは、特定の原因が無いのにも関わらず
「冷えのぼせ、イライラ、不眠、下痢、肩こり、腰痛、食欲不振、疲れ易い、めまい」
などの様々な症状が出るものです。
西洋医学的な検査を受けても、異常が見つからないのに、体に不具合が出ています。
また、このような不定愁訴には、自律神経が乱れている場合が多く、
この場合は、自律神経失調症と呼ばれます。
西洋薬は、不定愁訴症候群や自律神経失調症に良く効く薬があまりないです。
一方で、漢方はこの分野が得意で、様々な症状に合わせて、処方を選ぶことが出来ます。
◎体力がない、胃腸も弱い(虚証)
・加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯:不眠症が目立つ。動悸、微熱
・抑肝散、小建中湯、柴胡清肝湯:興奮し易い。ひきつけ、夜泣きの小児
・桂枝加竜骨牡蠣湯:よく汗をかく
・温経湯:腹痛、下腹部痛が目立つ
◎体力はふつう(中間証)
・加味逍遥散、四逆散:手足や腰が冷え、突然上半身がほてる
・女神散:生理、出産に関した神経症状
・桂枝茯苓丸:唇が暗紫色で、肌荒れ、むくみがある
・温清湯、半夏厚朴湯:動悸、のぼせ
◎体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)
・柴胡加竜骨牡蠣湯:みぞおち辺りの苦満感が強い
・大承気湯:便秘傾向が強い。のぼせ
・桃核承気湯、大黄牡丹皮湯:月経不順、下腹部痛が目立つ
【運龍堂の実際の運用例】
不定愁訴や自律神経失調症に対応できる漢方は沢山あります。
自律神経失調症に対しては、強力に自律神経を整える動物性の麝香(ジャコウ)製剤や
植物性の香附子(コウブシ)を汎用します。
特に、麝香(ジャコウ)製剤は強力で、パニック障害にも使える一方で、
「服用すると命を伸ばす」上薬に分類されるため、多くの場合で使われます。
ただし、集中力を上げ、呼吸を整えるため、ドーピングの対象となるので、スポーツ選手は使えません。
香附子については、有名処方である香蘇散(コウソサン)を使用するか、
他の煎じ薬に香附子を加えて、一緒に煎じる事が多いです。
香附子のような気の巡りを改善する生薬を加えることで、漢方薬の効き方が
良くなるので、一石二鳥となります。
例えば、血流を改善する漢方薬に香附子を加えると、血流を改善する効果が高まったり、
水分代謝を上げる漢方薬に香附子を加えると、水分代謝を上げる効果が高まるなどです。
また同時に、体力の低下が認められる時は、体力アップのための処方を使用することも重要です。
気を補う代表格である朝鮮人参と黄耆(オウギ)が含まれる処方が良いですが、
特に、補中益気湯を良く使用します。補中益気湯は胃腸も改善する働きがありますが、
日本人には胃腸が弱い人が多いので、適している場合が多いです。
他にも動物性生薬である鹿茸(ロクジョウ)製剤も多用します。
鹿茸には、成長ホルモン作用があるため、体の回復を促すのですが、
副腎にも良いため、ストレスにも強くなります。
(ストレスで副腎からのホルモンの分泌が乱れますが、
それを軽減します。詳しくは、こちら)
ただし、鹿茸も、麝香と同じくドーピングの対象となるため、注意は必要です。
なお、一般的に不定愁訴や自律神経失調症で多用される加味逍遙散については、
長期連用しません。
加味逍遙散には、薄荷が入っているため、長期連用すると皮膚の表面が冷やされて、
熱の循環が悪くなってしまいます。その結果、最初は調子が良くなっても、次第に
症状が悪化する場合があるので、注意が必要です。
【一般的な説明】
不定愁訴症候群とは、特定の原因が無いのにも関わらず
「冷えのぼせ、イライラ、不眠、下痢、肩こり、腰痛、食欲不振、疲れ易い、めまい」
などの様々な症状が出るものです。
西洋医学的な検査を受けても、異常が見つからないのに、体に不具合が出ています。
また、このような不定愁訴には、自律神経が乱れている場合が多く、
この場合は、自律神経失調症と呼ばれます。
西洋薬は、不定愁訴症候群や自律神経失調症に良く効く薬があまりないです。
一方で、漢方はこの分野が得意で、様々な症状に合わせて、処方を選ぶことが出来ます。
◎体力がない、胃腸も弱い(虚証)
・加味帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯:不眠症が目立つ。動悸、微熱
・抑肝散、小建中湯、柴胡清肝湯:興奮し易い。ひきつけ、夜泣きの小児
・桂枝加竜骨牡蠣湯:よく汗をかく
・温経湯:腹痛、下腹部痛が目立つ
◎体力はふつう(中間証)
・加味逍遥散、四逆散:手足や腰が冷え、突然上半身がほてる
・女神散:生理、出産に関した神経症状
・桂枝茯苓丸:唇が暗紫色で、肌荒れ、むくみがある
・温清湯、半夏厚朴湯:動悸、のぼせ
◎体力は比較的ある、胃腸も丈夫(実証)
・柴胡加竜骨牡蠣湯:みぞおち辺りの苦満感が強い
・大承気湯:便秘傾向が強い。のぼせ
・桃核承気湯、大黄牡丹皮湯:月経不順、下腹部痛が目立つ
【運龍堂の実際の運用例】
不定愁訴や自律神経失調症に対応できる漢方は沢山あります。
自律神経失調症に対しては、強力に自律神経を整える動物性の麝香(ジャコウ)製剤や
植物性の香附子(コウブシ)を汎用します。
特に、麝香(ジャコウ)製剤は強力で、パニック障害にも使える一方で、
「服用すると命を伸ばす」上薬に分類されるため、多くの場合で使われます。
ただし、集中力を上げ、呼吸を整えるため、ドーピングの対象となるので、スポーツ選手は使えません。
香附子については、有名処方である香蘇散(コウソサン)を使用するか、
他の煎じ薬に香附子を加えて、一緒に煎じる事が多いです。
香附子のような気の巡りを改善する生薬を加えることで、漢方薬の効き方が
良くなるので、一石二鳥となります。
例えば、血流を改善する漢方薬に香附子を加えると、血流を改善する効果が高まったり、
水分代謝を上げる漢方薬に香附子を加えると、水分代謝を上げる効果が高まるなどです。
また同時に、体力の低下が認められる時は、体力アップのための処方を使用することも重要です。
気を補う代表格である朝鮮人参と黄耆(オウギ)が含まれる処方が良いですが、
特に、補中益気湯を良く使用します。補中益気湯は胃腸も改善する働きがありますが、
日本人には胃腸が弱い人が多いので、適している場合が多いです。
他にも動物性生薬である鹿茸(ロクジョウ)製剤も多用します。
鹿茸には、成長ホルモン作用があるため、体の回復を促すのですが、
副腎にも良いため、ストレスにも強くなります。
(ストレスで副腎からのホルモンの分泌が乱れますが、
それを軽減します。詳しくは、こちら)
ただし、鹿茸も、麝香と同じくドーピングの対象となるため、注意は必要です。
なお、一般的に不定愁訴や自律神経失調症で多用される加味逍遙散については、
長期連用しません。
加味逍遙散には、薄荷が入っているため、長期連用すると皮膚の表面が冷やされて、
熱の循環が悪くなってしまいます。その結果、最初は調子が良くなっても、次第に
症状が悪化する場合があるので、注意が必要です。