


六君子湯は精神安定や自律神経に効果がある理由|合わない人は?

食欲不振や胃痛、腹痛などで胃腸の調子が悪いとき、六君子湯とよばれる漢方薬を服用することで改善効果が期待できます。
しかし、胃腸の改善に役立つ漢方薬は種類が豊富で、どのような違いがあるのか分からないという方も多いでしょう。
また、六君子湯は胃腸以外にも、精神安定や自律神経にも効果があるとされています。
本記事では、六君子湯の効果について詳しく解説するとともに、ほかの漢方薬と何が違うのかも含めて紹介します。
目次
六君子湯の効果
六君子湯(りっくんしとう)は、人参(にんじん)、白朮(はくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、半夏(はんげ)、陳皮(ちんぴ)、大棗(たいそう)などの生薬が配合された漢方薬です。
胃腸の働きを整えることを目的に処方されることが多く、主に以下のような症状の改善に効果が期待できます。
消化機能の低下
六君子湯は胃の動きを活発にし、中に溜まっている余分な水分を排出する効果があります。
胃腸の働きを改善する効果があり、特に消化機能の低下にともなう食欲不振や胃痛、腹痛などの症状を緩和できる可能性があります。
一時的な不調はもちろんのこと、六君子湯を継続的に服用することで慢性的な胃炎や胃腸虚弱といった体質も改善できる可能性があります。
疲労・貧血症
消化機能が低下することにより、体内に十分な栄養素が行き渡らず極度の疲労を感じたり、貧血症に陥るケースもあります。
六君子湯を服用することで、胃腸の働きを改善し効率的な栄養補給ができるようになります。その結果、疲労や貧血症が改善されるほか、慢性的な冷え性や便秘、下痢などにも効果が期待できるでしょう。
原因不明の体調不良
漢方薬の考え方では、「気血」とよばれる生命活動を支えるエネルギーのバランスが大切とされています。
たとえば、十分な食事や休息をとっているのに、なんとなく身体がだるい、明確な原因や理由は分からないものの、なんとなく体調が優れないという症状はないでしょうか。
六君子湯には気血を整える効果があり、これによって明確な原因が分からない場合でも、全身の調子を整えることができます。
六君子湯が精神安定や自律神経に効果がある理由
六君子湯に含まれている生薬の成分は、自律神経のバランスを整える働きや、ストレスによって生じるうつ症状を緩和する効果があるとされています。
そもそもうつ症状とは、気分が継続的に沈んでいる状態で、神経伝達物質であるセロトニンの不足や、自律神経の乱れによって生じることもあります。
本来、私たちの脳内では十分な量のセロトニンが分泌されており、睡眠の質や精神的な安定を保っています。しかし過度のストレスやその他さまざまな要因によってセロトニンの分泌量が減少することがあるのです。
また、自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって調節されていますが、このバランスが崩れたときに精神的な不調が起こりやすくなるのです。
六君子湯を服用することにより、セロトニンの分泌量を増やす効果が得られるほか、自律神経の乱れも改善してくれます。
ただし、六君子湯はうつ病をはじめとした精神疾患の特効薬ではなく、人によっても効果はさまざまです。自分自身の判断で薬を選ぶのではなく、専門医や薬剤師と相談しながら選ぶことが大切です。
六君子湯の効果が出るまでの時間
一般的に漢方薬は即効性のあるものと遅効性のものがあり、六君子湯は即効性が見込めるものではありません。
効果が現れるまでの期間は人によっても異なり、数週間程度で効果を実感できる人もいれば、1ヶ月以上が経過しても実感できない人もいます。
六君子湯を1ヶ月程度服用しても効果が実感できない場合には、医師や薬剤師へ相談してみましょう。
安中散や四君子湯、平胃散との違い
六君子湯と似た漢方薬として、安中散や四君子湯、平胃散などがあります。これらは六君子湯とどのような違いがあるのでしょうか。
期待される効果や成分の違いなどについて解説します。
安中散
安中散(あんちゅうさん)は桂皮(けいひ)や延胡索(えんごさく)、牡蛎(ぼれい)、茴香(ういきょう)、甘草(かんぞう)などの生薬が配合された漢方薬で、主に胃酸過多によって起こる胃痛緩和のために処方されます。
ほかにも、胸やけや吐き気、食欲不振などの緩和が期待でき、ストレスによって胃の調子が悪くなりがちな人におすすめです。
六君子湯は胃の動きを活発にすることで不調を改善しますが、安中散は胃酸過多によって起こる不調を改善するという特徴があり、原因に応じてどちらかを選択する必要があります。
四君子湯
四君子湯(しくんしとう)は胃腸虚弱に対して処方されるもっとも基本的な漢方薬です。
人参(にんじん)、白朮(はくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)の4つの生薬が配合されており、これに半夏(はんげ)と陳皮(ちんぴ)の2つを加えたものが六君子湯です。
四君子湯は主に吐き気を緩和する働きがあるのに対し、六君子湯は胃腸虚弱の症状に対応できるという違いがあります。
平胃散
平胃散(へいいさん)とは、蒼朮や大棗、陳皮、甘草などの生薬が配合された漢方薬です。
消化不良によって起こる胃もたれや食欲不振などに対して処方されることが多く、胃腸虚弱を原因とした症状に対して処方される六君子湯とは用途が異なります。
六君子湯に副作用はある?
体質的に胃腸が弱い人のなかには、六君子湯を継続的に服用し胃腸の調子を整えたいと考えることも多いでしょう。
漢方薬のなかには長期服用をしても健康上のリスクが少ないものもありますが、六君子湯の場合は偽アルドステロン症に注意が必要です。
偽アルドステロン症とは、低カリウム血症をともなう高血圧症のことです。六君子湯に含まれている甘草の大量摂取によって起こる症状で、全身のむくみや血圧の上昇が見られます。極度に血圧が上昇していくと、頭が重く感じるようになったり、筋力の低下によって歩行が困難になることもあります。
また、六君子湯の副作用には偽アルドステロン症以外にも、まれに発熱や倦怠感といった症状が現れるケースもあります。このような症状が現れた場合、肝障害の可能性も否定できないため、すみやかに服用を中止し医師の診察を受けましょう。
六君子湯が合わない人はいる?
六君子湯に限らず、漢方薬はすべての人にマッチしているとも限らず、体質によっては合わない人も存在します。
持病がある人
持病があり何らかの薬を服用している場合には、飲み合わせによって重篤な症状を引き起こすリスクも考えられます。
持病がある人は、担当の医師に六君子湯を飲んでも問題ないか必ず確認しておきましょう。
市販薬を服用している人
病院や薬局で処方された薬ではなく、市販薬を服用している場合でも飲み合わせによっては危険をともなうケースがあります。
そのため、持病がある人と同様に医師や薬剤師に飲み合わせについて必ず確認しておきましょう。
副作用が現れた人
六君子湯を服用することで、副作用が現れた場合は体質的に合わない可能性があります。
上記で紹介した重度の副作用以外にも、発疹やむくみ、吐き気など比較的軽度の副作用が現れるケースがあります。
このような症状がみられる場合、服用を中止し速やかに医師の診察を受けましょう。
妊娠中・または妊娠の可能性がある人
妊娠中または妊娠の可能性がある人は、胎児への影響を考え服用を避けたほうが良いでしょう。
また、万が一副作用が現れた場合、母体にも危険が及ぶ可能性も否定できないためです。
六君子湯の正しい飲み方
漢方薬の効能を高めるためには、用量やタイミングなどを含めた正しい飲み方を把握しておく必要があります。
六君子湯はどのように服用するのが正しいのか解説しましょう。
飲むタイミング
六君子湯は、成人の場合1日あたり7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。空腹時に飲むのが基本であり、水またはぬるま湯と一緒に服用してください。
7.5gを2〜3回に分けるため、1回あたりの量は3.5〜2.5g程度に相当します。六君子湯は多くの場合、顆粒状の薬として販売されています。お湯に溶けやすい性質をもっているため、ゆっくりと自分のペースで飲むことができますが、胃のむかつきがひどい場合には、顆粒のまま水と一緒に飲んでも問題ありません。
いずれにしても1回あたりの量は守り、一度に大量を摂取することは避けましょう。飲み忘れたからといって2回分、3回分を一気に服用するのではなく、次のタイミングまで服用を待つことが大切です。
なお、服用の間隔も重要で、3〜4時間程度のスパンを開けることも意識してください。次の服用まで間近に迫っている(2時間以内)場合においても、そのタイミングでの服用は避けましょう。
即効性
六君子湯は胃腸の働きを改善する効果があり、消化機能の回復においては即効性が期待できる漢方薬です。
ただし、精神安定や自律神経の改善を目的に服用する場合には、必ずしも即効性が感じられるとも限りません。
上記でも紹介した通り、1ヶ月程度を目安に服用を継続し、効果が現れなかった場合は医師や薬剤師へ相談しましょう。
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
六君子湯をはじめとした漢方薬を手に入れるためには、主に病院で処方してもらう方法と、漢方薬局で薬剤師に処方してもらう方法、ドラッグストアで購入する方法の3パターンがあります。
ドラッグストアで販売されている漢方薬は手軽に購入できるメリットがありますが、処方される漢方薬に比べると成分量が少ないものもあります。
病院で処方される漢方薬は健康保険が適用されるため、コスト面ではもっとも有利といえるでしょう。しかし、医師の診察を受けなければならないほか、処方する薬は医師の判断に委ねられるため、六君子湯以外の薬が出される可能性もあるのです。
このようなメリット・デメリットを比較したとき、漢方薬局は心強い味方になってくれます。
漢方薬局では薬剤師が常駐しており、その人の症状や体質などに応じて最適な漢方薬を処方します。病院のように医師の診察を受ける必要がなく、長時間待たされる心配もありません。
また、ドラッグストアで市販されている漢方薬とは異なり、成分量も充実していることから、効果を実感できる可能性も高いでしょう。
一方で、漢方薬局にもデメリットはあります。それは、自宅や職場の近くにお店があるとは限らず、購入できる場所が少ないということです。また、お店を見つけても本当に信頼できるのか判断が難しく、初めての方にとっては不安に感じることもあるでしょう。
そのような方には、宮城県仙台市にある漢方薬局「運龍堂」がおすすめです。
運龍堂では対面による問診はもちろん、オンラインによる漢方相談を行っており、地域を問わず誰でも利用できます。相談時間は初回60分、2回目以降は30分となっており、いずれも無料で相談を受けられます。
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まとめ
六君子湯は胃腸の働きを改善する効果が期待でき、特に消化機能の低下にともなう食欲不振や胃痛、腹痛などの症状に悩む人におすすめの漢方薬です。
しかし、このような胃腸虚弱や不調を改善する漢方薬は種類が多く、すべての人が六君子湯を服用することで改善が見込めるとは限りません。
漢方薬選びにおいて何よりも重要なのは、その人の体調や症状、体質に合わせて生薬の種類や配合量を変えることです。
そのため、効果があると聞いて市販の漢方薬を飲んでみたものの、あまり実感できずに服用をやめてしまう人も少なくありません。
このような不満や悩みを解消するためにも、病院で医師の診察を受けるか、専門の薬剤師が常駐している漢方薬局に相談することが大切です。


