人参養栄湯は更年期障害に効果はある?自律神経への作用や効くまでの期間を解説

「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」は、虚弱体質の改善や疲労回復を目的として処方されることが多い漢方薬です。
また、近年では更年期障害に悩む方からも注目されつつあります。
本記事では、人参養栄湯が更年期障害に対して具体的にどのような効果があるのか、作用や効き始めるまでの期間について詳しく解説します。
目次
人参養栄湯は更年期障害に効果ある?
更年期障害の主な原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が急激に減少してホルモンバランスが乱れることです。
このホルモンバランスの乱れは自律神経へも影響を与え、イライラや不眠、疲れやすいといった心と身体両方の不調が現れます。
人参養栄湯は更年期障害そのものが改善できる漢方薬ではありませんが、身体を内側から温めて気や血の巡りを整え、次のような更年期障害が原因による自律神経の乱れや不調を間接的に和らげる効果が期待できます。
- 疲労感、倦怠感が強い
 - 眠りが浅い、寝付けない
 - 不安感がある
 - いらいらしやすい
 - 気力が湧かない
 
人参養栄湯の効果が期待できる更年期障害の主な症状
人参養栄湯は、更年期障害でよくみられる次のような症状の改善効果が期待できます。
| 寝汗 | 貧血 | 気虚(気力の低下) | 体力虚弱な体質で疲労倦怠感 | 
| 手足の冷え | イライラ | 抑うつ | ホットフラッシュ | 
人参養栄湯の効果が出るまでの期間の目安と更年期の場合の注意点
人参養栄湯は、数週間から数ヶ月かけて体質を改善していくタイプの漢方薬です。
目安としては、早い方で服用開始から2週間~1ヶ月程度で「疲れにくくなった」「気分が落ち着いた」といった変化を感じはじめ、安定した効果を得るには3ヶ月以上継続して服用することが推奨されます。
更年期障害への効果が期待できる漢方薬一覧
更年期障害の症状に対しては、人参養栄湯以外にもさまざまな漢方薬が使われます。
代表的な漢方薬を、症状別にご紹介します。
更年期障害のさまざまな症状に効果が期待できる3大漢方薬
更年期の不調に幅広く対応できる「3大漢方薬」は次のものが挙げられます。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん): 自律神経の乱れによるイライラ、不安、不眠、のぼせ、めまい、肩こり、頭痛、発汗、冷え症、虚弱体質、疲労感、便秘傾向など
 - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):
冷え性、貧血、倦怠感、むくみ、めまい、頭重感、肩こり、生理不順、月経痛、産前産後の不調など - 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん): のぼせ、頭痛、肩こり、めまい、体力のある人で赤ら顔、のぼせやすいのに足が冷えるなど
 
ホットフラッシュ・発汗がある方向けの漢方薬
更年期障害によって自律神経が乱れ、ホットフラッシュや発汗が起こる方向けの漢方薬は次のようなものがあります。
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冷え・肩こり・むくみがある方向けの漢方薬
冷え、肩こり、むくみへの効果が期待できる漢方薬は以下のとおりです。
イライラが強い方向けの漢方薬
更年期障害によって自律神経が乱れ、イライラしやすいといった方向けの漢方薬として、次のようなものがあります。
不安・不眠がある方向けの漢方薬
不安や不眠の改善効果が期待できる漢方薬は以下のとおりです。
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疲労・倦怠感が強い方向けの漢方薬
疲労感や倦怠感が強い方の症状改善を目的とした漢方薬には次のようなものがあります。
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人参養栄湯の注意点
自然由来の生薬が原料となっている漢方薬ですが、思わぬ副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
人参養栄湯を服用していただく場合の注意点を解説します。
人参養栄湯を長期的に飲み続けた場合どうなる?
人参養栄湯は、長期的な服用を前提とした漢方薬です。
ただし、効果が感じられた後も自己判断で飲み続けると、次第に効果が薄れたり副作用が出たりすることがあります。
反対に、急に服用を中止することで、疲労感や不安などの症状が再発するリスクにも注意が必要です。
服用をする際は、医師や薬剤師の指示に従うようにしてください。
人参養栄湯の副作用
人参養栄湯の代表的な副作用として、次のような症状が挙げられます。
- 過敏症状:
発疹、発赤、かゆみ、蕁麻疹など - 消化器症状:
食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢 
また、人参養栄湯に含まれている甘草(かんぞう)という生薬によって、次のような重篤な副作用が現れることもあります。
- 偽アルドステロン症:
低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などが起こることがある - ミオパチー(筋障害):
低カリウム血症により、脱力感、四肢のけいれん・麻痺などが起こることがある - 肝機能障害・黄疸:
AST、ALT、Al-P、γ-GTPなどの肝機能値の上昇や、黄疸があらわれることがある 
服用中に体調の異変を感じた場合はすぐに使用を中止し、早急に医師や薬剤師へ相談するようにしてください。
まとめ
人参養栄湯は更年期障害が原因による疲労感や倦怠感、気力の低下などを和らげる効果が期待できますが、体質や症状によっては合わない場合もあるため、漢方薬の専門家へ相談することが大切です。
漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」では、更年期障害が原因による身体の不調を丁寧にヒアリングし、患者様一人ひとりに合わせた漢方薬をオーダーメイドで処方しております。
外出が辛い方や遠方の方でも気軽にご利用いただけるよう、オンラインでの無料相談も実施しています。
「更年期障害のせいで疲れが抜けない」
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このようなお悩みを抱えていらっしゃる方は、ぜひ漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」までご相談ください。
この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任
                                        
                                    
                            
                        
                    

                                        
                                        
                                        
                                        
                            
         
                
         
                
         
                
                        
                        
                        
                    
                    
    
    
    