


「やる気が出ない」「何もしたくない」は更年期が原因?効果が期待できる漢方薬を紹介


更年期障害が始まると、「やる気が出ない」「何もしたくない」といった精神的な症状が現れることがあります。
このような症状に対し、漢方では「気(き)・血(けつ)・水(すい)」を整えることで症状へアプローチします。
本記事では、更年期で精神的な症状が現れる原因とあわせて、更年期障害に効果が期待できる漢方薬を漢方専門の薬剤師が詳しく解説します。
「もしかして更年期障害が始まったのかも…」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
「やる気が出ない」「何もしたくない」は更年期のサイン?
はじめに、更年期にメンタルが不調になる理由、代表的な症状を解説します。
更年期にメンタルが不調になる理由
更年期になると、ホルモンバランスに変化が生じ、自律神経に乱れが生じることがあります。
卵巣機能の低下に伴いエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが急激に減少し、心と体に大きな影響を及ぼすことが主な原因です。
エストロゲンが減少することで「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンやオキシトシン、ドーパミンなどの分泌が少なくなり、自律神経が乱れて「やる気が出ない」「何もしたくない」といった気分の落ち込みが現れます。
更年期に現れるメンタル不調の主な症状
更年期に現れやすい代表的な症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 情緒不安定
- イライラ、怒りっぽくなる
- 抑うつ気分、不眠
- 意欲低下、不安感
「更年期」は閉経を境目に前後5年程度とされており、症状が本格的に現れるのは40代後半の方が多いです。
そのため、この時期に上記のような症状を感じた場合は、更年期の影響が関係している可能性があります。
漢方医学によるメンタル不調の捉え方
漢方医学では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスを整えることで健康維持ができるという考えがあります。

なかでも、メンタルの不調の場合は「気(き)」の不足や滞りが原因とされており、症状や体質に応じた生薬の組み合わせでメンタル不調へアプローチして症状の改善を目指します。
更年期のメンタル不調におすすめの漢方薬
数ある漢方薬のなかでも、特にメンタル不調への効果が期待できるものをご紹介します。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、体力が落ち、低下した内臓の働きを改善することで「気」を補う効果が期待できる漢方薬です。
10種類の生薬が使われており、消化吸収(脾(ひ))の働きを整えてくれます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
加味帰脾湯も、使われている字のとおり脾(ひ)を整える効果があり、幸せホルモンの一つであるオキシトシンの分泌を高める可能性があるという報告もある漢方薬です。
また、「気(き)」だけでなく「血(けつ)」を補い、憂鬱な気分や不眠の改善といった効果も期待できます。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
「気(き)」の巡りを良くする半夏厚朴湯は、イライラや気分の落ち込み、不眠、喉のつまり感といった症状に処方されることの多い漢方薬です。
更年期だけでなく、月経前や月経中の気分の落ち込みにも効果が期待できます。
関連記事:半夏厚朴湯の飲み合わせの禁忌や副作用について徹底解説
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神安定作用や不眠改善、動機を伴う症状改善といった効果が期待できる漢方薬です。
関連記事:柴胡加竜骨牡蛎湯がハイリスクと言われる理由とは?体験談や口コミも紹介
漢方薬を選ぶときの注意点
自然由来の生薬が使われている漢方薬ですが、生薬にはそれぞれ薬効成分があるため、選ぶ際には注意が必要です。
薬の飲み合わせに注意する
すでに服用されている薬があったり、漢方薬を服用している途中で新たな薬の服用が必要になったりした場合、飲み合わせには注意が必要です。
特に甘草や麻黄が含まれている漢方薬の場合、併用する薬との成分の重複があると重篤な副作用を引き起こす恐れがあります。
このような場合は独断で服用をせず、必ず医師や薬剤師へ相談をしてください。
自分の体質に合った処方をしてもらう
同じ症状であっても、患者様それぞれ体質は異なります。
症状だけで漢方薬を服用するのではなく、体質に合った漢方薬の処方をしてもらうようにしてください。
関連記事:注意が必要な飲み合わせを漢方専門薬剤師が詳しく解説
よくある質問
漢方薬専門の調剤薬局である運龍堂では、漢方薬に関する多くのご質問をいただいております。
なかでも多いものを、回答とともにご紹介します。
漢方薬はどれくらいで効果が出ますか?
個人差にもよりますが、数日〜数週間で効果が現れることが多いです。
しかし、、自然由来とはいえ薬効のある「薬」ですので、1ヶ月程度服用を続けても効果が現れない場合は、医師や薬剤師への相談をおすすめします。
正しい飲み方はありますか?
お薬によっても異なりますが、基本的には食前、または食間に服用するようにしてください。
空腹の状態で服用していただくことで、薬効成分が体内へ吸収されやすくなります。
また、常温の水、またはぬるま湯で服用されることをおすすめします。
まとめ
更年期障害は、体だけでなく心にも支障をきたす場合があります。
精神面に症状が出た場合、私生活にも影響を及ぼし、症状が悪化することも少なくありません。
このように、更年期による精神的な症状にお悩みの方は、漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」までご相談ください。
運龍堂では、患者様のお悩みを丁寧にお聞きし、一人ひとりに合ったオーダーメイドの処方箋をご提供しております。
また、「症状が辛く外出したくない」「自宅から遠くていくことができない」といった患者様に向けて、無料のオンライン相談にも対応しております。
症状を改善し、安定した生活を取り戻したいとお悩みの方は、ぜひお気軽に運龍堂までご相談ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任


