更年期障害とは?症状やなりやすい人の特徴を解説
更年期障害は、閉経を迎える前後の年齢の女性に多く見られ、誰でも発症するリスクがある疾患のひとつです。
しかし、一口に更年期障害といっても症状はさまざまで、症状の現れ方や程度にも個人差があります。
今回は、更年期障害で見られる主な症状や原因、どういった人が発症しやすいのか、有効な対処法などもあわせてご紹介します。
目次
更年期障害とは?
更年期障害とは、主に女性の更年期に現れる身体的不調や、精神的に不安定になる症状を指します。
更年期とは一般的に、閉経前の5年間と閉経後の5年間、計10年間を指します。
女性は年齢を重ねるにつれて、女性ホルモンの分泌量が急激に減少し、生殖機能も徐々に衰えていきます。
女性ホルモンは生殖機能を維持する働きだけでなく、心身の健康にも大きく影響することが多いです。
そのため、更年期になると身体的・精神的にさまざまな不調が現れやすくなるのです。
更年期障害で現れる主な症状
更年期障害で現れる症状は人によっても異なりますが、主にどういった症状が多く見られるのでしょうか。
精神・神経系の症状
「なんとなく気分が落ち込み、うつ状態になる」「明確な理由がないのにイライラする」
「ベッドに入っても寝付けない」「めまいや頭痛」など、精神・神経系の症状は更年期障害で特に多く見られます。
泌尿器・生殖器系の症状
精神・神経系の症状とあわせて多く見られるのが、月経異常や尿失禁、性交痛といった泌尿器・生殖器系の異常です。
循環器系の症状
更年期障害では、心臓や血管といった循環器系の症状も多く見られます。
たとえば「激しい運動をしていないのに動悸や息切れがしやすくなる」
「体の火照りや”のぼせ”といったホットフラッシュ」「手足のむくみや発汗量の増加」などが代表的です。
皮膚・分泌系の症状
皮膚・分泌系の症状としては、喉が乾きやすくなったり、ドライマウス、ドライアイなどが代表的です。
ただし、これらの症状は糖尿病など更年期障害以外でも見られることがあります。
消化器系の症状
更年期障害によって胃腸の機能が低下し、慢性的な下痢や便秘、吐き気、胃もたれなどの消化器系の症状として現れることもあります。
運動器官系の症状
循環器系の異常によって血液の流れが悪くなると、肩こりや手足のしびれ、関節痛など運動器官系の症状が現れるケースも珍しくありません。
更年期障害の原因
更年期障害によってさまざまな症状が現れるのは、どういった原因が考えられるのでしょうか。主な4つの要因に分けて解説します。
卵巣機能の衰え
冒頭でもご紹介した通り、女性は更年期を迎えると生殖機能が衰えていき、卵巣から分泌される女性ホルモンの量が減少していきます。
これによって自律神経のバランスが乱れ、精神・神経系の症状が起こりやすくなります。
心理的・環境的要因
更年期を迎える45歳から50歳頃といえば、子育てが終わり子供が独立していくライフステージでもあります。
また、同時に親の介護問題などもあり、生活環境が大きく変化する年齢ともいえるでしょう。
人生が大きく変わるタイミングでは大きなストレスや不安がのしかかり、更年期障害をさらに悪化させる要因にもなります。
遺伝的要因
更年期障害は、遺伝的要因によって発症することもあります。
特に、家族や親族の中に更年期障害を発症した経験のある人がいる場合には、注意が必要です。
更年期障害になりやすい人の特徴
更年期障害の症状や程度は個人差がありますが、どういった人が発症しやすいのでしょうか。主な3つの傾向をご紹介します。
まじめ・完璧主義な人
まじめで完璧主義な人は、仕事や子育て、親の介護などを完璧にこなそうとする傾向が見られます。
しかし、そのような性格の人ほど無意識のうちにストレスを抱え込んでいるケースも多いです。
ライフステージや生活環境が変わったタイミングで精神的負担が限界を迎え、更年期障害をさらに悪化させることもあります。
ストレス耐性が低い人
更年期を迎えると、女性の体にはさまざまな変化が見られるようになります。
ストレス耐性が低い人は、その変化を受け入れられず精神的な不安を感じやすくなります。
その結果、更年期障害としてさまざまな症状が現れるケースも少なくありません。
閉経が早かった人
女性が閉経を迎える年齢は、一般的に50歳前後といわれています。しかし、これには個人差があり、中には40歳未満で閉経を迎える人もいます。
閉経を迎えると女性ホルモンの分泌量が大幅に減少するので、これにより老化が早まり健康面でもさまざまなリスクが生じます。
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更年期障害の対処法
更年期障害の発症リスクを抑えるためには、どういった対策が有効なのでしょうか。
食生活の改善
偏った食生活は、更年期障害以外にもさまざまな健康リスクを引き起こすため、栄養バランスのとれた食事は基本といえるでしょう。
特に更年期障害を予防するためには、大豆を原料とした食品を意識的に取り入れることがおすすめです。
大豆にはイソフラボンとよばれる栄養素が豊富に含まれており、女性ホルモンの「エストロゲン」と同じような働きをする性質があります。
豆腐や納豆、プロテインなどを摂取することで、イソフラボンが女性ホルモンの代わりの役割を果たし、更年期障害の発症リスクを低下させる可能性があります。
適度な運動
食生活の改善とともに重要なのが、適度な運動を心がけることです。
特に有酸素運動は、更年期障害の発症リスクを低下させるといった研究もあります。
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの運動を、習慣的に行うことがおすすめです。
なお、ウォーキングやジョギングなどは膝への負担が大きいことから、足の痛みが気になるようであれば水泳やヨガなどが適しています。
医師・専門家への相談
40歳未満、または40歳前半など早いタイミングで閉経を迎えた場合には、医療機関を受診し、ホルモン補充療法を受けるのもひとつの手といえます。
体外から女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンを取り入れることにより、更年期障害や動脈硬化、心筋梗塞などの健康リスクを抑制できる可能性があります。
ホルモン補充療法にはさまざまな選択肢があり、閉経後の期間や子宮の摘出経験があるかによっても治療法は異なります。
そのため、ホルモン補充療法にあたっては医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。
サプリメント・市販薬・漢方薬
イソフラボン以外にも、更年期障害のリスクを抑える栄養成分はさまざまなものがあります。
しかし、日々の食事だけで十分な量の栄養を補給できないケースも少なくありません。
また、更年期障害の症状が重い場合には、症状を緩和するための薬も必要になるでしょう。
そのような場合におすすめなのが、サプリメントや市販の薬です。
ドラッグストアでも手軽に購入できる製品も多いため、症状が比較的軽い場合には、これらの製品を試してみるのもひとつの手といえるでしょう。
関連記事:六君子湯は合わない人がいる?精神安定や自律神経への効果とは
更年期障害におすすめの漢方薬
漢方薬は西洋薬に比べて副作用のリスクが低く、継続的に服用することで症状が緩和してくる場合があります。
ドラッグストアや薬局で手軽に購入できる漢方薬の中で、更年期障害におすすめの製品をいくつかご紹介しましょう。
ツムラ漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、柴胡や半夏、桂皮、牡蛎といった10種の生薬を配合しています。
ストレスや精神的不安、不眠や動悸といった症状が現れる場合におすすめの漢方薬です。
主に高血圧に伴う動悸や不安、不眠といった症状に有効とされていますが、更年期障害によって現れる神経症にも有効です。
【希望小売価格】
20包(10日分):2,400円(税抜)
48包(24日分):4,800円(税抜)
【内容量】
20包(1包あたり1.875g)
48包(1包あたり1.875g)
【用法・用量】
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
15歳以上 | 1包 | 2回 |
7歳以上15歳未満 | 2/3包 | 2回 |
4歳以上7歳未満 | 1/2包 | 2回 |
2歳以上4歳未満 | 1/3包 | 2回 |
2歳未満 | 1/4包 | 2回 |
ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒
更年期障害に伴う肩こりや足腰の冷え、むくみ、めまい、動悸、月経異常などが見られる場合には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)がおすすめです。
当帰、芍薬、蒼朮、茯苓といった生薬が配合されており、血の流れを改善することで上記のような症状を緩和する効果が期待できます。
【希望小売価格】
20包(10日分):2,400円(税抜)
48包(24日分):4,300円(税抜)
【内容量】
20包(1包あたり1.875g)
48包(1包あたり1.875g)
【用法・用量】
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
15歳以上 | 1包 | 2回 |
7歳以上15歳未満 | 2/3包 | 2回 |
4歳以上7歳未満 | 1/2包 | 2回 |
2歳以上4歳未満 | 1/3包 | 2回 |
※2歳未満の乳幼児には服用させないでください
関連記事:加味逍遙散はうつに効果がある?副作用や合わない人の特徴とは?
ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒
肩こりや精神的な不安、イライラ、火照り・のぼせなどの症状が現れる場合には、加味逍遙散(かみしょうようさん)がおすすめです。
柴胡や芍薬、蒼朮、当帰といった生薬が血の巡りとホルモンバランスを改善し、精神を落ち着け神経症の症状を緩和できる可能性があります。
【希望小売価格】
20包(10日分):2,400円(税抜)
48包(24日分):4,300円(税抜)
【内容量】
20包(1包あたり1.875g)
48包(1包あたり1.875g)
【用法・用量】
年齢 | 1回量 | 1日服用回数 |
15歳以上 | 1包 | 2回 |
7歳以上15歳未満 | 2/3包 | 2回 |
4歳以上7歳未満 | 1/2包 | 2回 |
2歳以上4歳未満 | 1/3包 | 2回 |
※2歳未満の乳幼児には服用させないでください
運龍堂では更年期障害に効くオーダーメイド漢方薬を処方
更年期障害で現れる症状は個人によっても異なり、特に症状が重く日常生活に支障をきたす場合には、漢方薬を服用してみるのもひとつの手といえます。
市販の漢方薬は、ドラッグストアで手軽に購入できるメリットがありますが、すべての人の体質や症状にマッチするとは限りません。
漢方薬の処方においてもっとも理想的なのは、漢方に特化した調剤薬局で自分自身の体質や症状について相談し、最適な生薬を選定してもらうことです。
宮城県仙台市にある漢方調剤薬局「運龍堂」では、オンラインによる無料の漢方相談を行っており、遠方の方でも気軽に薬剤師へ相談することができます。
個人の症状・体質を丁寧にヒアリングし、それに合わせたオーダーメイド漢方薬を提供しているため、まずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任