2020/06/05

梅雨によく用いる漢方処方

梅雨は湿度が高くなり、湿気を嫌う胃腸の働きが悪くなります。日本は海に囲まれており、湿気の悪さを受けやすい土地です。

身体が重だるくなったり、消化不良、頭痛など水分代謝が悪くなることで様々な不調が現れてきます。

低気圧による変化に敏感な人もおり、かなり遠くで台風が発生したことを自分の体調から察する人もいます。

日本の気候風土で培われてきた伝統医療である漢方はこの時期に適した処方があります。

ここでは辛い梅雨に時期身体のバランスを整える処方をご紹介していきます。

【六君子湯 (りっくんしとう):脾を整える代表薬】
五臓の「脾」というのは消化吸収機能のことを指します。胃腸の余計な水を除き低下した食欲を取り戻す代表処方が六君子湯です。梅雨の時期に食欲が出ない方にはおすすめです。

人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温

・人参と白朮→胃腸機能を改善し、気を補う作用がある。

・白朮、茯苓→消化管内、関節内、筋肉内、組織間の水など、
過剰な水分を血中へ移動させて、利尿する。

・大棗→緊張を緩和し、補血、強壮、利尿作用がある。

・生姜→体の表面と体内を温める。さらに胃の働きを改善し、健胃鎮嘔作用もある。

・甘草→胃腸機能を整え、緊張を取る。肺の潤いを補う。また諸薬を調和する。
・半夏と生姜→半夏の毒を抑え、止嘔作用を強める。
・陳皮と半夏→湿による咳や、胸部の閉塞感を改善する。

<効能効果>
体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、
貧血症で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、
食欲不振、胃痛、嘔吐

【水のバランスを調整する五苓散(ごれいさん)】
利水剤という身体の水分代謝を整える代表処方が五苓散です。

余計な水を血管に戻して尿として排泄してくれます。

また皮膚表面からの水蒸気の発散を促すことによっても水分代謝を良くしてくれます。病院から処方される利尿剤とは異なり、脱水になる心配がありません。

身体のどこかに乾燥があればそれを潤し、溜まって悪さをしているところからは余計な水を除いてくれます。

猪苓(ちょれい):サルノコシカケ科、利水滲湿薬
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬
沢瀉(たくしゃ):オモダカ科、利水滲湿薬
→体内の水を動かす、余計な水を排出。

白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬
→気を補い水を出すのを助ける。身体の体液も「気、エネルギー」が動かしています。

桂皮(けいひ):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬
皮膚蒸排(ひふじょうせつ)を促す。私たちの皮膚からは常に熱と水分を発散しています。

<効能効果>
胃部に水分停滞感あり、口渇し、尿量減少するもの、また頭痛、発熱、眩暈、悪心、嘔吐、
下痢、浮腫などを伴うもの。急性胃腸炎、胃拡張、糖尿病、癲癇、船暈病、急性慢性胃炎、
ネフローゼ、急性膀胱炎、小児の下痢、吐乳、暑気当り、二日酔。

【蟾酥(せんそ)製剤】
蟾酥は、心筋の収縮力を高め、血液循環を良くします。また、余分な水分を排泄し、心や肺の働きを助けます。蟾酥は、ヒキガエル科のシナヒキガエルまたはヘリグロヒキガエルの耳腺(耳下腺、皮脂腺)の分泌物を集めて、熟成・成形したものです。

蟾酥の薬理作用は下記のことが知られています。
・強心作用     (どうき、むくみ、めまいを改善)
・抗不整脈作用    (速い脈を抑える)
・自律神経調整作用  (更年期のどうき、手足の冷えを改善)
・利尿作用     (むくみを改善)
・血小板凝集抑制作用 (血液の粘度を下げ、血液をサラサラにする)
・意識改善作用   (日中の眠気、仕事の能率低下を改善する)
・呼吸興奮作用   (呼吸機能を助け、息切れを改善)
心臓のポンプ機能を引き出し、血液循環も良くすることから余計な水を血管に戻す五苓散との組み合わせはとてもよく効きます。

五苓散だけでむくみなどが取れない場合は血流の悪さも考えられます。
血液循環を良くする蟾酥製剤はエコノミークラス症候群予防にもよく用いられる処方ですので、身体をあまり動かさない方にもぜひ使っていただきたいと思います。

梅雨におすすめの処方

梅雨にお勧めの処方

六君子湯 (りっくんしとう):脾を整える代表薬

水のバランスを調整する五苓散(ごれいさん)

蟾酥(せんそ)製剤

漢方と季節の養生はこちらで解説しています(梅雨)
https://youtu.be/G93rK3heK6k

2020/06/05

梅雨によく用いる漢方処方

梅雨は湿度が高くなり、湿気を嫌う胃腸の働きが悪くなります。日本は海に囲まれており、湿気の悪さを受けやすい土地です。

身体が重だるくなったり、消化不良、頭痛など水分代謝が悪くなることで様々な不調が現れてきます。

低気圧による変化に敏感な人もおり、かなり遠くで台風が発生したことを自分の体調から察する人もいます。

日本の気候風土で培われてきた伝統医療である漢方はこの時期に適した処方があります。

ここでは辛い梅雨に時期身体のバランスを整える処方をご紹介していきます。

【六君子湯 (りっくんしとう):脾を整える代表薬】
五臓の「脾」というのは消化吸収機能のことを指します。胃腸の余計な水を除き低下した食欲を取り戻す代表処方が六君子湯です。梅雨の時期に食欲が出ない方にはおすすめです。

人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温

・人参と白朮→胃腸機能を改善し、気を補う作用がある。

・白朮、茯苓→消化管内、関節内、筋肉内、組織間の水など、
過剰な水分を血中へ移動させて、利尿する。

・大棗→緊張を緩和し、補血、強壮、利尿作用がある。

・生姜→体の表面と体内を温める。さらに胃の働きを改善し、健胃鎮嘔作用もある。

・甘草→胃腸機能を整え、緊張を取る。肺の潤いを補う。また諸薬を調和する。
・半夏と生姜→半夏の毒を抑え、止嘔作用を強める。
・陳皮と半夏→湿による咳や、胸部の閉塞感を改善する。

<効能効果>
体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、
貧血症で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、
食欲不振、胃痛、嘔吐

【水のバランスを調整する五苓散(ごれいさん)】
利水剤という身体の水分代謝を整える代表処方が五苓散です。

余計な水を血管に戻して尿として排泄してくれます。

また皮膚表面からの水蒸気の発散を促すことによっても水分代謝を良くしてくれます。病院から処方される利尿剤とは異なり、脱水になる心配がありません。

身体のどこかに乾燥があればそれを潤し、溜まって悪さをしているところからは余計な水を除いてくれます。

猪苓(ちょれい):サルノコシカケ科、利水滲湿薬
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬
沢瀉(たくしゃ):オモダカ科、利水滲湿薬
→体内の水を動かす、余計な水を排出。

白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬
→気を補い水を出すのを助ける。身体の体液も「気、エネルギー」が動かしています。

桂皮(けいひ):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬
皮膚蒸排(ひふじょうせつ)を促す。私たちの皮膚からは常に熱と水分を発散しています。

<効能効果>
胃部に水分停滞感あり、口渇し、尿量減少するもの、また頭痛、発熱、眩暈、悪心、嘔吐、
下痢、浮腫などを伴うもの。急性胃腸炎、胃拡張、糖尿病、癲癇、船暈病、急性慢性胃炎、
ネフローゼ、急性膀胱炎、小児の下痢、吐乳、暑気当り、二日酔。

【蟾酥(せんそ)製剤】
蟾酥は、心筋の収縮力を高め、血液循環を良くします。また、余分な水分を排泄し、心や肺の働きを助けます。蟾酥は、ヒキガエル科のシナヒキガエルまたはヘリグロヒキガエルの耳腺(耳下腺、皮脂腺)の分泌物を集めて、熟成・成形したものです。

蟾酥の薬理作用は下記のことが知られています。
・強心作用     (どうき、むくみ、めまいを改善)
・抗不整脈作用    (速い脈を抑える)
・自律神経調整作用  (更年期のどうき、手足の冷えを改善)
・利尿作用     (むくみを改善)
・血小板凝集抑制作用 (血液の粘度を下げ、血液をサラサラにする)
・意識改善作用   (日中の眠気、仕事の能率低下を改善する)
・呼吸興奮作用   (呼吸機能を助け、息切れを改善)
心臓のポンプ機能を引き出し、血液循環も良くすることから余計な水を血管に戻す五苓散との組み合わせはとてもよく効きます。

五苓散だけでむくみなどが取れない場合は血流の悪さも考えられます。
血液循環を良くする蟾酥製剤はエコノミークラス症候群予防にもよく用いられる処方ですので、身体をあまり動かさない方にもぜひ使っていただきたいと思います。

梅雨におすすめの処方

梅雨にお勧めの処方

六君子湯 (りっくんしとう):脾を整える代表薬

水のバランスを調整する五苓散(ごれいさん)

蟾酥(せんそ)製剤

漢方と季節の養生はこちらで解説しています(梅雨)
https://youtu.be/G93rK3heK6k