投稿日:2025.05.07/更新日:2025.05.08

【漢方医解説】五苓散を飲むべきタイミングとは?

「五苓散(ゴレイサン)」という名前の漢方薬があるのをご存じですか?

五苓散は、頭痛やめまいのような頭部に関する症状のほか、下痢や吐き気、胃腸などさまざまな症状をお持ちの患者様に処方されています。

しかし、症状に応じて飲むタイミングが異なります。

本記事では、五苓散を飲むタイミングを症状別に解説します。

併せて、正しい服用方法や、服用してはいけない多イニングなどについても詳しく解説します。

さまざまな症状に悩み、五苓散の服用を検討されている方はぜひ参考にしてください。

【症状別】五苓散を飲むタイミング

五苓散は、さまざまな症状で処方されることが多い漢方薬ですが、抱える症状によって飲むタイミングは異なります。

症状別の飲むタイミングは以下のとおりです。

症状飲むタイミング
むくみ朝や食前、空腹時
頭痛・めまい気圧変化や天候がトリガーの場合は予防的な服用も可能
下痢・急性胃腸炎水様下痢が始まってすぐのタイミング
吐き気・嘔吐症状が出てすぐ、繰り返す場合はその都度
二日酔い飲酒前や飲酒直後
暑気あたり・熱中症初期熱さによる不調を感じたらすぐに

基本的には症状が出てすぐが飲むタイミングですが、気圧や天候の変化に敏感で体に異変を感じられる患者様の場合は、予防として症状が出る前に飲むことも可能です。

関連記事:水毒とは?漢方で改善する体内の水分バランス|主な症状と対策

五苓散の正しい服用方法と用量

漢方薬に限らず、お薬は正しい服用方法と容量を守らないと、その効果を得ることはできません。

場合によっては、副作用などが生じる可能性もあります。

五苓散の正しい服用方法と容量について解説します。

五苓散の正しい服用方法

お薬全般にいえることですが、基本的に水、もしくはぬるま湯での服用をしましょう。

顆粒タイプの場合は、飲みにくければぬるま湯に溶かして服用しても大丈夫です。

飲むタイミングは食前、または食間(食後2〜3時間後)が一般的です。

1日に服用する回数は処方されるお薬や症状によって異なりますが、2〜3回に分けるケースが多いでしょう。

もしも飲み忘れたときは、気づいた時点ですぐに服用してください。

ただし、次の服用時間が近い場合は過剰摂取になる可能性があるため、飲み忘れた分は飛ばすようにしてください。

関連記事:「痩せる?」と話題の五苓散の副作用を漢方医が解説!

五苓散を飲んではいけないタイミングと注意点


さまざまな症状で処方される五苓散ですが、体質や症状、年齢などによっては飲んではいけないタイミングやケースがあります。

また、すでに服用しているお薬の成分や食品など、併用を避けるべきものもあります。

それぞれ詳しく解説します。

五苓散を飲んではいけないタイミング・ケース

五苓散を飲んではいけないタイミングやケースは以下のとおりです。

  • 便意があるのに出ない、残便感がある、便秘の時(しぶり腹)
  • 生後3ヶ月未満の乳児
  • シナモン(桂皮)アレルギーがある人
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある人

五苓散は下痢や急性胃腸炎による腹痛などに効果はありますが、便意があるのに出ない、残便感があるといったしぶり腹の場合には適応しません。

また、生後3ヶ月未満の乳児への投与も推奨されていません。

生後3ヶ月以上でも1歳未満の場合は副作用が出る可能性があるため、医師の診察・指示に従いましょう。

その他に、シナモン(桂皮)アレルギーのある方も、アレルギー症状が出る可能性があるため注意が必要です※1

五苓散は妊娠中・妊娠の可能性がある方でも影響は少ないとされています。

しかし、妊娠中は体の変化が起きやすく、確実に服用可能とはいえません。

主治医や漢方専門の薬剤師に相談したうえで検討をしてください。

※1:五苓散の成分・・・桂皮(ケイヒ)、沢瀉(タクシャ)、猪胆粉(チョレイ)、白茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)

併用を避けるべき食材・成分

一般的に、五苓散は他のお薬との併用は問題ないとされていますが注意すべき点があります。

先ほどもご紹介しましたが、五苓散にはシナモン(桂皮)が含まれています。

そのため、シナモンアレルギーのある方はアレルギー症状が出る可能性があるため注意が必要です。

また、五苓散で使用されている成分と重複したお薬は過剰摂取による副作用が出る可能性があります。

なかでも麻黄湯(マオウトウ)には五苓散と同じくシナモンが含まれているため、過敏症のリスクが高くなる可能性があるため、特に注意が必要です。

その他に、日頃から利尿薬を服用されている方も注意が必要です。

五苓散にも利尿作用があるため、併用した場合は体内で水分不足が生じ、脱水症状を引き起こす可能性があります。

五苓散は市販薬としてもドラッグストアなどで購入できますが、医師や漢方専門の薬剤師に相談することをおすすめします。

関連記事:五苓散を試してみた!実際の体験談と感じた効果

【Q&A】五苓散を飲むタイミングでよくある質問

五苓散を飲むタイミングについてよくいただく質問をご紹介します。

体調に異変を感じ、五苓散の服用を検討されている方は参考にしてください。

五苓散は寝る前に飲んでも大丈夫ですか?

大丈夫です。

ただし、胃の中に食べ物が残っていない状態で飲むようにしてください。

五苓散は症状が出てから飲んでも効果がありますか?

症状が出たあとでも効果は期待できますが、なるべく早い段階での服用が推奨されています。

五苓散を長期間服用する場合の注意点はありますか?

五苓散は、漢方薬のなかでも副作用が比較的少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が出ることがあります。

発疹発赤かゆみ吐き気
下痢倦怠感肝機能異常

上記の症状が現れたときは服用を中止し、医師の診察を受けるようにしてください。

まとめ

五苓散はさまざまな症状に効果があり、他の漢方薬と比べて比較的副作用が少ないとされています。

しかし、正しい飲み方をしないと得られる効果が低くなったり、副作用が出ることがあります。

特に、乳児や妊娠中・妊娠の可能性のある方やシナモンアレルギーのある方、他にお服用しているお薬のある方は注意が必要です。

身体の不調を治すために五苓散の服用を検討されている場合は、漢方専門の薬剤師に相談することをおすすめします。

雲龍堂は漢方専門の調剤薬局として、患者様一人ひとりの体質や抱えている症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を処方いたします。

また、身体の不調で動けない方や、妊娠中で外出が難しいといったお悩みを持つ方のために、オンラインによる無料漢方相談をご用意しています。

「身体の不調に五苓散が良いと聞いたけど副作用が心配」「服用している薬との併用ができるかわからない」「妊娠中に服用していいか不安」といったお悩みのある方は、ぜひ雲龍堂のオンライン漢方相談をご利用ください。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2025/05/07

【漢方医解説】五苓散を飲むべきタイミングとは?

「五苓散(ゴレイサン)」という名前の漢方薬があるのをご存じですか?

五苓散は、頭痛やめまいのような頭部に関する症状のほか、下痢や吐き気、胃腸などさまざまな症状をお持ちの患者様に処方されています。

しかし、症状に応じて飲むタイミングが異なります。

本記事では、五苓散を飲むタイミングを症状別に解説します。

併せて、正しい服用方法や、服用してはいけない多イニングなどについても詳しく解説します。

さまざまな症状に悩み、五苓散の服用を検討されている方はぜひ参考にしてください。

【症状別】五苓散を飲むタイミング

五苓散は、さまざまな症状で処方されることが多い漢方薬ですが、抱える症状によって飲むタイミングは異なります。

症状別の飲むタイミングは以下のとおりです。

症状飲むタイミング
むくみ朝や食前、空腹時
頭痛・めまい気圧変化や天候がトリガーの場合は予防的な服用も可能
下痢・急性胃腸炎水様下痢が始まってすぐのタイミング
吐き気・嘔吐症状が出てすぐ、繰り返す場合はその都度
二日酔い飲酒前や飲酒直後
暑気あたり・熱中症初期熱さによる不調を感じたらすぐに

基本的には症状が出てすぐが飲むタイミングですが、気圧や天候の変化に敏感で体に異変を感じられる患者様の場合は、予防として症状が出る前に飲むことも可能です。

関連記事:水毒とは?漢方で改善する体内の水分バランス|主な症状と対策

五苓散の正しい服用方法と用量

漢方薬に限らず、お薬は正しい服用方法と容量を守らないと、その効果を得ることはできません。

場合によっては、副作用などが生じる可能性もあります。

五苓散の正しい服用方法と容量について解説します。

五苓散の正しい服用方法

お薬全般にいえることですが、基本的に水、もしくはぬるま湯での服用をしましょう。

顆粒タイプの場合は、飲みにくければぬるま湯に溶かして服用しても大丈夫です。

飲むタイミングは食前、または食間(食後2〜3時間後)が一般的です。

1日に服用する回数は処方されるお薬や症状によって異なりますが、2〜3回に分けるケースが多いでしょう。

もしも飲み忘れたときは、気づいた時点ですぐに服用してください。

ただし、次の服用時間が近い場合は過剰摂取になる可能性があるため、飲み忘れた分は飛ばすようにしてください。

関連記事:「痩せる?」と話題の五苓散の副作用を漢方医が解説!

五苓散を飲んではいけないタイミングと注意点


さまざまな症状で処方される五苓散ですが、体質や症状、年齢などによっては飲んではいけないタイミングやケースがあります。

また、すでに服用しているお薬の成分や食品など、併用を避けるべきものもあります。

それぞれ詳しく解説します。

五苓散を飲んではいけないタイミング・ケース

五苓散を飲んではいけないタイミングやケースは以下のとおりです。

  • 便意があるのに出ない、残便感がある、便秘の時(しぶり腹)
  • 生後3ヶ月未満の乳児
  • シナモン(桂皮)アレルギーがある人
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある人

五苓散は下痢や急性胃腸炎による腹痛などに効果はありますが、便意があるのに出ない、残便感があるといったしぶり腹の場合には適応しません。

また、生後3ヶ月未満の乳児への投与も推奨されていません。

生後3ヶ月以上でも1歳未満の場合は副作用が出る可能性があるため、医師の診察・指示に従いましょう。

その他に、シナモン(桂皮)アレルギーのある方も、アレルギー症状が出る可能性があるため注意が必要です※1

五苓散は妊娠中・妊娠の可能性がある方でも影響は少ないとされています。

しかし、妊娠中は体の変化が起きやすく、確実に服用可能とはいえません。

主治医や漢方専門の薬剤師に相談したうえで検討をしてください。

※1:五苓散の成分・・・桂皮(ケイヒ)、沢瀉(タクシャ)、猪胆粉(チョレイ)、白茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)

併用を避けるべき食材・成分

一般的に、五苓散は他のお薬との併用は問題ないとされていますが注意すべき点があります。

先ほどもご紹介しましたが、五苓散にはシナモン(桂皮)が含まれています。

そのため、シナモンアレルギーのある方はアレルギー症状が出る可能性があるため注意が必要です。

また、五苓散で使用されている成分と重複したお薬は過剰摂取による副作用が出る可能性があります。

なかでも麻黄湯(マオウトウ)には五苓散と同じくシナモンが含まれているため、過敏症のリスクが高くなる可能性があるため、特に注意が必要です。

その他に、日頃から利尿薬を服用されている方も注意が必要です。

五苓散にも利尿作用があるため、併用した場合は体内で水分不足が生じ、脱水症状を引き起こす可能性があります。

五苓散は市販薬としてもドラッグストアなどで購入できますが、医師や漢方専門の薬剤師に相談することをおすすめします。

関連記事:五苓散を試してみた!実際の体験談と感じた効果

【Q&A】五苓散を飲むタイミングでよくある質問

五苓散を飲むタイミングについてよくいただく質問をご紹介します。

体調に異変を感じ、五苓散の服用を検討されている方は参考にしてください。

五苓散は寝る前に飲んでも大丈夫ですか?

大丈夫です。

ただし、胃の中に食べ物が残っていない状態で飲むようにしてください。

五苓散は症状が出てから飲んでも効果がありますか?

症状が出たあとでも効果は期待できますが、なるべく早い段階での服用が推奨されています。

五苓散を長期間服用する場合の注意点はありますか?

五苓散は、漢方薬のなかでも副作用が比較的少ないとされていますが、体質や症状によっては以下のような副作用が出ることがあります。

発疹発赤かゆみ吐き気
下痢倦怠感肝機能異常

上記の症状が現れたときは服用を中止し、医師の診察を受けるようにしてください。

まとめ

五苓散はさまざまな症状に効果があり、他の漢方薬と比べて比較的副作用が少ないとされています。

しかし、正しい飲み方をしないと得られる効果が低くなったり、副作用が出ることがあります。

特に、乳児や妊娠中・妊娠の可能性のある方やシナモンアレルギーのある方、他にお服用しているお薬のある方は注意が必要です。

身体の不調を治すために五苓散の服用を検討されている場合は、漢方専門の薬剤師に相談することをおすすめします。

雲龍堂は漢方専門の調剤薬局として、患者様一人ひとりの体質や抱えている症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を処方いたします。

また、身体の不調で動けない方や、妊娠中で外出が難しいといったお悩みを持つ方のために、オンラインによる無料漢方相談をご用意しています。

「身体の不調に五苓散が良いと聞いたけど副作用が心配」「服用している薬との併用ができるかわからない」「妊娠中に服用していいか不安」といったお悩みのある方は、ぜひ雲龍堂のオンライン漢方相談をご利用ください。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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