投稿日:2022.10.25/更新日:2024.01.22

漢方薬の煎じ方・作り方を紹介|飲むタイミングや保存方法などについて解説

漢方薬の原料である生薬を組み合わせて作られた薬のことを「漢方薬」と呼びます。

 

漢方薬は中国が起源ですが、日本で独自の発展を遂げてきたという歴史があります。

 

そんな漢方薬には煎じて飲む煎じ薬が存在するのをご存知でしょうか。

 

ただ煎じるだけならば、お湯を注ぐだけだと思われるかもしれませんが、漢方薬の効果を最大限に引き出すためには煎じ方にこだわる必要があります。

 

というわけで本記事では漢方薬の煎じ方はもちろん、必要な道具や漢方薬の飲み方、飲むタイミングまでご紹介していきます。

 

ぜひ参考にしてみてください。

 

漢方薬とは

漢方薬とは植物や動物などの生薬を組み合わせて作られる医薬品です。

 

生薬は薬としてだけでなく食品として利用されているものもあります。

 

さまざまな症状に対して、どの生薬を組み合わせると高い効果を得られるのかを昔から研究されてきました。

 

漢方薬は自然のものから作られる薬なので、人間の体に備わっている免疫機能を高め病気を撃退していきます。

 

個人の体質を考慮して薬が処方されるので、同じ症状であったとしても違う漢方薬が処方されるということも珍しくありません。

 

漢方薬のメリット・デメリット

漢方薬には西洋薬にないメリットがありますし、デメリットもあります。

 

薬を使用する際にはこれらの利点とリスクを把握しておかなければなりません。

 

というわけで、続いての項目で漢方薬を服用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。

 

 

漢方薬を服用するメリット

漢方薬を服用するメリットは以下の3つです。

 

  • 原因不明の症状にも作用する
  • 早期の段階で治療ができる
  • 副作用が起こりにくい

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・原因不明の症状にも作用する

日ごろ生活をしていると「なんだか調子が悪い」といったように原因がよくわからない不調を感じることはありませんか?

病院で検査しても原因が分からないような不調にも漢方薬は効果を発揮してくれます。

 

漢方薬はさまざまな生薬を組み合わせて作られるために、広い範囲の症状にも対応が可能です。

 

それだけでなく体質から改善してくれる効果もあるので慢性的な不調に対しても効果的だといえるでしょう。

 

・早期の段階で治療ができる

漢方薬は不眠や倦怠感のような病名がつかない未病の状態からも効果を得られます。

 

「原因不明の症状にも作用する」に通じるところがありますが、まだ症状が悪化していない不調の段階から治療ができるので、病気を未然に防ぐことが可能です。

 

複数の生薬を組み合わせて作られる漢方薬だからこその特徴だといえるでしょう。

 

・副作用が起こりにくい

漢方薬は自然由来の成分であるため効果の出具合が緩やかです。

 

そのため、西洋薬と比べて副作用が起こりにくいという特徴があります。

 

しかし、全く副作用が起こらないというわけではなく、体質や飲み過ぎから高血圧や胃腸不良といった副作用を発症する可能性もあります。

 

少しでも異常を感じたら医師に相談したり服用を控えたりするなど早めの措置を取ることが大切です。

 

漢方薬は用法用量を守って服用するようにしましょう。

 

 

漢方薬を服用するデメリット

漢方薬を服用するデメリットは以下の3つです。

 

  • 効果が出るまでに時間がかかることがある。
  • 味にクセがあり飲みづらい
  • 体質によって左右される

 

こちらについても詳しく見ていきましょう。

 

・効果が出るまでに時間がかかることがある

症状によっては、漢方薬は西洋薬と比べて効果は緩やかに発揮される場合があります。

 

これは、漢方薬は、スピード感よりも、体に毒性がないことや根本治療を重要視しているからです。

(ただし、処方によっては、分単位で効果があらわれるなど、常に時間がかかるとは限りません。)

 

そのため、漢方薬は、継続して服用することが大切になってくる場合が多いです。

 

予防や初期の段階では漢方薬を、症状が進行してきた場合には西洋薬を処方するといったように使い分ける必要があるでしょう。

 

・味にクセがあり飲みづらい

漢方薬には独特の苦味があるものが多く、飲むのに抵抗があるという方も多いかと思います。

 

特に小さなお子さんに飲ませるのは一苦労することでしょう。

 

飲みづらいと継続して服用することを諦めてしまう人もいるので、その点は漢方薬のデメリットといえます。

 

・体質によって左右される

漢方薬は同じ症状であったとしても、体質によって効果があったり無かったりとさまざまです。

 

そのため、自分にあった漢方薬を見つけるためには複数回の受診が必要なケースもあります。

 

さらに数値が改善したなど目に見えた効果が出づらいといった特徴もあります。

 

漢方薬には個人によって効き目が変わってくることと目に見えた効果がわかりづらいということを理解しておく必要があるでしょう。

 

 

漢方薬の煎じ方とは

漢方の煎じ薬には生薬と水しか使用されないため、余計な成分が入っていません。

 

そのため、生薬本来の効果を存分に発揮することが可能です。

 

漢方薬を煎じて服用するときに、その煎じ方によっても効果は大きく変わってきます。

 

少しでも高い効果を出すために正しい漢方薬の煎じ方について次の項目で紹介するので確認していきましょう。

 

 

漢方薬を煎じる際に必要な道具

土瓶

漢方薬を煎じる為にはいくつかの道具が必要です。

 

まずは下準備として、漢方薬を煎じる際に必要な道具について見ていきましょう。

 

 

土瓶か耐熱容器

まずは土瓶か耐熱容器を用意します。

 

この際、鉄器のような金属は生薬と化学変化を引き起こしてしまう可能性があるので使わないようにしましょう。

 

 

電熱器

土瓶などと併せて電熱器も必要ですので用意しておきましょう。

 

加熱する際に使用していきます。

 

 

漢方薬の煎じ方

漢方薬と土瓶

続いては実際に漢方薬を煎じる際の煎じ方について見ていきましょう。

 

手順を一つずつ追いながら説明をしていきます。

 

1.準備

先ほど紹介した漢方薬を煎じる際に必要な道具と使用する煎じ薬の中身、水を用意します。

 

漢方を煎じる際は一日一袋にし、まとめて煎じないようにしましょう。

 

 

2.煎じ薬の中身と水を入れる

まずは土瓶に煎じ薬の中身と水を入れていきます。

 

このとき煎じ薬の袋はそのまま入れても問題はないのですが、成分を十分に引き出す為には破って中身だけを入れるようにしましょう。

 

続いて煎じ薬の中身と水を土瓶に入れていくのですが、この際に必要になる水の量は約600mlです。

 

煎法や生薬の量、煎じる時間によって必要な水の量は変わってくるので、その時々に合わせて調整するようにしましょう。

 

 

3.煎じる

煎じ薬の中身と水を入れたらぐつぐつと沸騰するまで、中火で煮ます。

 

このとき蓋は開けたままで煎じるようにしましょう。

 

沸騰したら弱火に切り替え、30分〜40分程度煮出していきます。

 

投入した水が半分程度になるまで煮出したら火を止めます。

 

この際、使用する道具によって目安の時間は変わってくるので確認しながら作業するようにしてください。

 

 

4.完成

煎じ終わったら熱いうちにこし器で煎じ薬を取り出すようにしましょう。

 

時間が経つと生薬が液を吸い込み、量が減ってしまいます。

 

煎じ薬を取り出すことに成功したら完成です。

 

3回分に分けて朝昼晩と服用できるようにしておきましょう。

 

煎じ薬の効果が出るのは患っている期間の長さや生活習慣、体質などによっても異なりますが、だいたい1〜2ヶ月程度であるといわれています。

 

それだけの期間が経過しても効果が現れないようであれば、かかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

 

漢方薬の飲み方・飲むタイミング

漢方薬は基本的に1日3回食前の30分前か食間の空腹時に服用するようにしましょう。

 

飲み方としては水や白湯で飲むのが一般的です。

 

お茶やジュースなどで服用すると漢方薬の働きに影響する場合があるので、避けるようにしましょう。

 

そのほか、服薬ゼリーを使ったり、オブラートに包んだりして服用する方法もあります。

 

これらの服用方法は、お子さんやどうしても漢方の味が苦手で飲めないという方に効果的です。

 

また、服用を忘れてしまったからといって、2回分をまとめて摂取する行為はやめましょう。

 

2回分を摂取すると薬の作用が強く出過ぎてしまう危険性があるので、飲み忘れてしまったとしても、次の服用まである程度の時間を空けるようにする必要があります。

 

副作用が少ないと言われる漢方薬ですが、万が一のことを考えて用法用量を守り服用するように心がけましょう。

 

 

漢方薬の保存方法

保存する容器

漢方薬を保存する際にはいくつか注意点があります。

 

特に漢方薬を煎じて作った煎じ薬は保温ポットで保存するのがおすすめです。

 

基本は常温で、夏場の暑い時期は冷蔵庫で保管するようにしましょう。

 

冷めてしまった場合は電子レンジなどで温めなおすようにします。

 

開封した漢方薬も煎じ薬と同じように直射日光が当たらず、湿気の少ない場所で保存するのが一般的です。

 

また、万が一のことを考え、少児の手が届かない場所に保存するようにしなければなりません。

 

 

そのほかにも以下の点を注意して保存するようにしましょう。

 

  • ・品質の維持、誤用のリスクを低減させる為に他の容器に入れ替えて保存しない
  • ・瓶に詰められている場合は服用するたびに栓がよく閉まっているかを確認する
  • ・分包品が破損していないか確認する
  • ・1包を分割し服用する場合、残りは袋の口を折り返して保管する
  • ・開封から2日が経過したものは服用しない

 

薬は開封後すぐに服用し、服用後はそのまま放置せずに決まった場所に保存するのが大切です。

 

漢方薬は用法用量を守れば安全な薬なので、適切な保存方法で保管するようにしましょう。

 

 

漢方薬は女性や高齢者によく服用される

厚労省の調査によると病院で漢方薬が多く処方されているのは女性や高齢者だという結果がでています。

 

これは更年期や食欲不振、加齢に伴う心身の不調などに対して漢方薬を使用されるケースが多いためです。

 

そのほかにも風邪や疲労感、頭痛や便秘といった老若男女関係なく患う不調に対しても漢方薬は処方されています。

 

漢方薬はその人の症状にあった作用を期待できるうえ、副作用が少ないという点にも女性や高齢者の方に好んで処方されるケースが多いという要因になっています。

 

 

まとめ

今回は漢方薬を煎じる方法について順を追って解説してきました。

 

漢方薬を煎じることで薬の効果を存分に引き出すことができることが分かりましたね。

 

漢方を煎じるのは手間がかかると思われるかもしれませんが、手順的には簡単なので手軽に行うことができます。

 

そのほか、漢方薬にはたくさんのメリットがあり、さまざまな症状を抱えている人におすすめです。

 

漢方の煎じ薬を作りたい方は、ぜひ本記事を参考にチャレンジしてみてくださいね。

 

 

 

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この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2022/10/25

漢方薬の煎じ方・作り方を紹介|飲むタイミングや保存方法などについて解説

漢方薬の原料である生薬を組み合わせて作られた薬のことを「漢方薬」と呼びます。

 

漢方薬は中国が起源ですが、日本で独自の発展を遂げてきたという歴史があります。

 

そんな漢方薬には煎じて飲む煎じ薬が存在するのをご存知でしょうか。

 

ただ煎じるだけならば、お湯を注ぐだけだと思われるかもしれませんが、漢方薬の効果を最大限に引き出すためには煎じ方にこだわる必要があります。

 

というわけで本記事では漢方薬の煎じ方はもちろん、必要な道具や漢方薬の飲み方、飲むタイミングまでご紹介していきます。

 

ぜひ参考にしてみてください。

 

漢方薬とは

漢方薬とは植物や動物などの生薬を組み合わせて作られる医薬品です。

 

生薬は薬としてだけでなく食品として利用されているものもあります。

 

さまざまな症状に対して、どの生薬を組み合わせると高い効果を得られるのかを昔から研究されてきました。

 

漢方薬は自然のものから作られる薬なので、人間の体に備わっている免疫機能を高め病気を撃退していきます。

 

個人の体質を考慮して薬が処方されるので、同じ症状であったとしても違う漢方薬が処方されるということも珍しくありません。

 

漢方薬のメリット・デメリット

漢方薬には西洋薬にないメリットがありますし、デメリットもあります。

 

薬を使用する際にはこれらの利点とリスクを把握しておかなければなりません。

 

というわけで、続いての項目で漢方薬を服用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。

 

 

漢方薬を服用するメリット

漢方薬を服用するメリットは以下の3つです。

 

  • 原因不明の症状にも作用する
  • 早期の段階で治療ができる
  • 副作用が起こりにくい

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・原因不明の症状にも作用する

日ごろ生活をしていると「なんだか調子が悪い」といったように原因がよくわからない不調を感じることはありませんか?

病院で検査しても原因が分からないような不調にも漢方薬は効果を発揮してくれます。

 

漢方薬はさまざまな生薬を組み合わせて作られるために、広い範囲の症状にも対応が可能です。

 

それだけでなく体質から改善してくれる効果もあるので慢性的な不調に対しても効果的だといえるでしょう。

 

・早期の段階で治療ができる

漢方薬は不眠や倦怠感のような病名がつかない未病の状態からも効果を得られます。

 

「原因不明の症状にも作用する」に通じるところがありますが、まだ症状が悪化していない不調の段階から治療ができるので、病気を未然に防ぐことが可能です。

 

複数の生薬を組み合わせて作られる漢方薬だからこその特徴だといえるでしょう。

 

・副作用が起こりにくい

漢方薬は自然由来の成分であるため効果の出具合が緩やかです。

 

そのため、西洋薬と比べて副作用が起こりにくいという特徴があります。

 

しかし、全く副作用が起こらないというわけではなく、体質や飲み過ぎから高血圧や胃腸不良といった副作用を発症する可能性もあります。

 

少しでも異常を感じたら医師に相談したり服用を控えたりするなど早めの措置を取ることが大切です。

 

漢方薬は用法用量を守って服用するようにしましょう。

 

 

漢方薬を服用するデメリット

漢方薬を服用するデメリットは以下の3つです。

 

  • 効果が出るまでに時間がかかることがある。
  • 味にクセがあり飲みづらい
  • 体質によって左右される

 

こちらについても詳しく見ていきましょう。

 

・効果が出るまでに時間がかかることがある

症状によっては、漢方薬は西洋薬と比べて効果は緩やかに発揮される場合があります。

 

これは、漢方薬は、スピード感よりも、体に毒性がないことや根本治療を重要視しているからです。

(ただし、処方によっては、分単位で効果があらわれるなど、常に時間がかかるとは限りません。)

 

そのため、漢方薬は、継続して服用することが大切になってくる場合が多いです。

 

予防や初期の段階では漢方薬を、症状が進行してきた場合には西洋薬を処方するといったように使い分ける必要があるでしょう。

 

・味にクセがあり飲みづらい

漢方薬には独特の苦味があるものが多く、飲むのに抵抗があるという方も多いかと思います。

 

特に小さなお子さんに飲ませるのは一苦労することでしょう。

 

飲みづらいと継続して服用することを諦めてしまう人もいるので、その点は漢方薬のデメリットといえます。

 

・体質によって左右される

漢方薬は同じ症状であったとしても、体質によって効果があったり無かったりとさまざまです。

 

そのため、自分にあった漢方薬を見つけるためには複数回の受診が必要なケースもあります。

 

さらに数値が改善したなど目に見えた効果が出づらいといった特徴もあります。

 

漢方薬には個人によって効き目が変わってくることと目に見えた効果がわかりづらいということを理解しておく必要があるでしょう。

 

 

漢方薬の煎じ方とは

漢方の煎じ薬には生薬と水しか使用されないため、余計な成分が入っていません。

 

そのため、生薬本来の効果を存分に発揮することが可能です。

 

漢方薬を煎じて服用するときに、その煎じ方によっても効果は大きく変わってきます。

 

少しでも高い効果を出すために正しい漢方薬の煎じ方について次の項目で紹介するので確認していきましょう。

 

 

漢方薬を煎じる際に必要な道具

土瓶

漢方薬を煎じる為にはいくつかの道具が必要です。

 

まずは下準備として、漢方薬を煎じる際に必要な道具について見ていきましょう。

 

 

土瓶か耐熱容器

まずは土瓶か耐熱容器を用意します。

 

この際、鉄器のような金属は生薬と化学変化を引き起こしてしまう可能性があるので使わないようにしましょう。

 

 

電熱器

土瓶などと併せて電熱器も必要ですので用意しておきましょう。

 

加熱する際に使用していきます。

 

 

漢方薬の煎じ方

漢方薬と土瓶

続いては実際に漢方薬を煎じる際の煎じ方について見ていきましょう。

 

手順を一つずつ追いながら説明をしていきます。

 

1.準備

先ほど紹介した漢方薬を煎じる際に必要な道具と使用する煎じ薬の中身、水を用意します。

 

漢方を煎じる際は一日一袋にし、まとめて煎じないようにしましょう。

 

 

2.煎じ薬の中身と水を入れる

まずは土瓶に煎じ薬の中身と水を入れていきます。

 

このとき煎じ薬の袋はそのまま入れても問題はないのですが、成分を十分に引き出す為には破って中身だけを入れるようにしましょう。

 

続いて煎じ薬の中身と水を土瓶に入れていくのですが、この際に必要になる水の量は約600mlです。

 

煎法や生薬の量、煎じる時間によって必要な水の量は変わってくるので、その時々に合わせて調整するようにしましょう。

 

 

3.煎じる

煎じ薬の中身と水を入れたらぐつぐつと沸騰するまで、中火で煮ます。

 

このとき蓋は開けたままで煎じるようにしましょう。

 

沸騰したら弱火に切り替え、30分〜40分程度煮出していきます。

 

投入した水が半分程度になるまで煮出したら火を止めます。

 

この際、使用する道具によって目安の時間は変わってくるので確認しながら作業するようにしてください。

 

 

4.完成

煎じ終わったら熱いうちにこし器で煎じ薬を取り出すようにしましょう。

 

時間が経つと生薬が液を吸い込み、量が減ってしまいます。

 

煎じ薬を取り出すことに成功したら完成です。

 

3回分に分けて朝昼晩と服用できるようにしておきましょう。

 

煎じ薬の効果が出るのは患っている期間の長さや生活習慣、体質などによっても異なりますが、だいたい1〜2ヶ月程度であるといわれています。

 

それだけの期間が経過しても効果が現れないようであれば、かかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

 

漢方薬の飲み方・飲むタイミング

漢方薬は基本的に1日3回食前の30分前か食間の空腹時に服用するようにしましょう。

 

飲み方としては水や白湯で飲むのが一般的です。

 

お茶やジュースなどで服用すると漢方薬の働きに影響する場合があるので、避けるようにしましょう。

 

そのほか、服薬ゼリーを使ったり、オブラートに包んだりして服用する方法もあります。

 

これらの服用方法は、お子さんやどうしても漢方の味が苦手で飲めないという方に効果的です。

 

また、服用を忘れてしまったからといって、2回分をまとめて摂取する行為はやめましょう。

 

2回分を摂取すると薬の作用が強く出過ぎてしまう危険性があるので、飲み忘れてしまったとしても、次の服用まである程度の時間を空けるようにする必要があります。

 

副作用が少ないと言われる漢方薬ですが、万が一のことを考えて用法用量を守り服用するように心がけましょう。

 

 

漢方薬の保存方法

保存する容器

漢方薬を保存する際にはいくつか注意点があります。

 

特に漢方薬を煎じて作った煎じ薬は保温ポットで保存するのがおすすめです。

 

基本は常温で、夏場の暑い時期は冷蔵庫で保管するようにしましょう。

 

冷めてしまった場合は電子レンジなどで温めなおすようにします。

 

開封した漢方薬も煎じ薬と同じように直射日光が当たらず、湿気の少ない場所で保存するのが一般的です。

 

また、万が一のことを考え、少児の手が届かない場所に保存するようにしなければなりません。

 

 

そのほかにも以下の点を注意して保存するようにしましょう。

 

  • ・品質の維持、誤用のリスクを低減させる為に他の容器に入れ替えて保存しない
  • ・瓶に詰められている場合は服用するたびに栓がよく閉まっているかを確認する
  • ・分包品が破損していないか確認する
  • ・1包を分割し服用する場合、残りは袋の口を折り返して保管する
  • ・開封から2日が経過したものは服用しない

 

薬は開封後すぐに服用し、服用後はそのまま放置せずに決まった場所に保存するのが大切です。

 

漢方薬は用法用量を守れば安全な薬なので、適切な保存方法で保管するようにしましょう。

 

 

漢方薬は女性や高齢者によく服用される

厚労省の調査によると病院で漢方薬が多く処方されているのは女性や高齢者だという結果がでています。

 

これは更年期や食欲不振、加齢に伴う心身の不調などに対して漢方薬を使用されるケースが多いためです。

 

そのほかにも風邪や疲労感、頭痛や便秘といった老若男女関係なく患う不調に対しても漢方薬は処方されています。

 

漢方薬はその人の症状にあった作用を期待できるうえ、副作用が少ないという点にも女性や高齢者の方に好んで処方されるケースが多いという要因になっています。

 

 

まとめ

今回は漢方薬を煎じる方法について順を追って解説してきました。

 

漢方薬を煎じることで薬の効果を存分に引き出すことができることが分かりましたね。

 

漢方を煎じるのは手間がかかると思われるかもしれませんが、手順的には簡単なので手軽に行うことができます。

 

そのほか、漢方薬にはたくさんのメリットがあり、さまざまな症状を抱えている人におすすめです。

 

漢方の煎じ薬を作りたい方は、ぜひ本記事を参考にチャレンジしてみてくださいね。

 

 

 

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この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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