【子ども・小児向け】漢方薬の飲ませ方で工夫できることはある?
漢方薬などの粉薬は苦味を感じやすく、また口のなかの水分が足りなくなることもあって飲みづらいものです。
特に子どもの場合はその傾向が顕著であり、薬を飲ませるのに毎回苦労している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、子どもに漢方薬をスムーズに飲ませるための工夫や方法の一例を紹介します。
目次
子どもが漢方薬を飲むことに抵抗がある理由
子どもにとって薬は苦手に感じ、飲むことに抵抗を示すことが多くあります。
特に漢方薬はその傾向が強いですが、なぜ子どもは苦手に感じるのでしょうか。
漢方薬ならではの特徴も踏まえて詳しく解説しましょう。
苦い
漢方薬はさまざまな生薬をブレンドして作られており、特に苦味が強く感じられます。
人間には味覚を感じる「味蕾」とよばれる組織がありますが、大人になるにつれて味蕾の数は減少していきます。
すなわち、子どもは大人に比べて味蕾が発達している分、味覚も敏感であり、少量の漢方薬であっても強烈な苦味を感じやすいのです。
独特の匂いがある
漢方薬は苦いだけでなく、独特の匂いも発する特徴があります。
一つひとつの生薬はそれほど匂いが強くなくても、複数をブレンドすることで匂いが増し、特に顆粒状の漢方薬は袋を開けただけで嗅覚を刺激してくることもあります。
飲みづらい
これは漢方薬に限ったことではありませんが、粉末や顆粒状の薬は口のなかの水分が奪われる感覚があったり、喉につかえるような感覚もあって飲みづらいものです。
また、粉末状であるがゆえに舌の上に広がりやすく、その分苦味を感じやすくなります。
親ができる飲み方の工夫について
子どもに漢方薬を飲ませることは決して簡単ではなく、苦労している親御さんも多いのではないでしょうか。
しかし、少しの工夫をしてみるだけで、子どもが漢方薬を飲めるようになることもあります。
どういった方法が有効なのか、5つの例を紹介しましょう。
1. チョコやココアと混ぜる
漢方薬に限らず、特に苦味のある薬はチョコレートやココアなど味の濃いものに混ぜることで飲みやすくなります。
特にチョコレートのアイスクリームやアイスミルクココアなどに混ぜておけば、冷たさもあって苦味を感じにくくなるでしょう。
2.お湯に溶かす
漢方薬特有の匂いがどうしても苦手な場合には、お湯に溶かした後で電子レンジで加熱する方法もおすすめです。
嫌な匂いが緩和され、飲みやすくなります。
3.ハチミツやジャム
チョコレートやココアなどと同様に、ハチミツ・ジャムなどの甘いものに混ぜる方法もおすすめです。
ただし、1歳未満の子どもの場合、ハチミツを摂取するとボツリヌス菌によって健康被害が生じるリスクもあります。
そのため、乳幼児に対しては特に注意が必要です。
4.オブラートにつつむ
漢方薬の効果を最大限高めるためには、食品や飲み物に混ぜることなくそのまま服用するのがベストです。
どうしても苦味や匂いを感じる場合には、オブラートにつつんで服用しましょう。
オブラートを袋状にして漢方薬を入れたあと、水につけてから口に含むことでゼリーのように飲みやすくなります。
5.漢方薬と混ぜてはいけないもの
漢方薬を飲む際には、ほかの生薬との飲み合わせに注意しましょう。
「漢方薬」という名称が使われていなくても、健康食品やサプリメントなどのなかには生薬が含まれたものも存在します。
これらを漢方薬と一緒に摂取することで、過剰摂取となり気分が悪くなったり、体調に異変をきたすおそれがあります。
漢方の飲ませ方の注意点
上記の方法を試しても、大人に比べて味覚が敏感な子どもは漢方薬を拒んでしまうことがあります。
しかし、だからといって対応を間違えてしまうと、さらに薬の服用が苦手になる可能性もあるのです。
漢方薬を子どもに飲ませる場合、どういった点に注意すべきなのでしょうか。
無理やり飲ませない
まずは大原則として、無理やり飲ませないことが重要です。
強引に口を開けて薬を流し込んだり、体を押さえるような行為は、呼吸器系に悪影響を与えたりケガにつながるおそれもあるため、絶対にやめましょう。
また、そのような行為が精神的ダメージを負わせてしまい、薬を見ただけでさらに強烈な拒絶反応を示すことにもつながります。
最初は飲める分だけ
病院で処方された薬は飲み切るのが理想的ですが、どうしても苦手な場合には少量からスタートし、飲める分量を少しずつ増やしていきましょう。
ほとんどの漢方薬は、全てを飲みきらないと即座に病気が悪化したり、体調に異変をきたすというものではありません。
決して無理をさせず、飲める分から徐々にスタートさせていきましょう。
飲まないことで叱らない
漢方薬を無理やり飲ませないことと共通していますが、子どもが薬を飲めないからといって叱ることはやめましょう。
冒頭でも紹介した通り、子どもは味蕾が発達していることから、少量の漢方薬でも強烈な苦味を感じます。
大人が感じる苦さと、子どもが感じている苦さの程度は根本的に異なることを認識しておかなければなりません。
子どもでも飲みやすい漢方の種類
「苦い」、「飲みづらい」といったイメージの強い漢方薬ですが、甘いものに混ぜて飲んだり、オブラートに包んだりといった工夫をすることで克服は可能です。
しかし、より効果を高めるためには、何かに混ぜて飲むよりはそのままの状態で服用することが理想的といえます。
そこで、子どもにとっても比較的飲みやすい漢方薬にはどういったものがあるのか、代表的なものをいくつか紹介しましょう。
葛根湯
葛根湯は漢方薬のなかでも特に知名度が高いことから、一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
寒気やくしゃみ、鼻水、頭痛など、風邪の初期症状に効果のある漢方薬として知られており、病院でも処方されることが多くあります。
また、葛根湯はドラッグストアでもさまざまな商品が販売されており、もっとも手に入れやすい漢方薬といえるでしょう。
通常は顆粒で処方されることが多いですが、速溶顆粒とよばれるタイプが飲みやすくおすすめです。
これは少量の水でもすぐに溶けるように開発されたもので、漢方薬が口のなかで溶け残る心配がありません。
コーヒーのフレーバーなどを加えた商品もあり、子どもでも飲みやすいように工夫されています。
さらに、ドリンクタイプの葛根湯も販売されており、栄養ドリンクに近い味のため顆粒タイプよりも飲みやすさが改善されています。
麻黄湯
麻黄湯も葛根湯と同様、風邪の初期症状に効果のある漢方薬です。
寒気や頭痛といった症状だけでなく、発熱や気管支炎、関節の痛みなどにも対応しているため、風邪が悪化したときなどにも処方されることがあります。
麻黄湯は顆粒で処方されるケースが一般的ですが、強い苦味を抑えるために表面にコーティングが施された錠剤タイプもあり、子どもでも飲みやすいためおすすめです。
また、葛根湯と同様にドリンクタイプの麻黄湯も販売されており、こちらはシロップのように甘い味になっているためさらに飲みやすいはずです。
小青竜湯
小青竜湯とは、花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支炎、気管支喘息などに効果のある漢方薬です。
また、風邪の初期症状として鼻水や痰が出るときにもおすすめです。
耳鼻咽喉科や内科を受診した際には顆粒タイプの小青竜湯を処方されることが多いですが、飲みやすい錠剤タイプもあります。
どうしても子どもが漢方薬を飲んでくれない場合には、顆粒タイプではなく錠剤タイプの処方が可能か医師へ確認してみると良いでしょう。
また、小青竜湯はドラッグストアやネット通販などでも販売されており、錠剤タイプの製品も豊富です。
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
漢方薬は私たちの暮らしに身近な存在となり、今やドラッグストアやネット通販でも手軽に購入できます。
しかし、本来の漢方薬とは、その人の体質や症状に合わせて生薬をブレンドしたものであり、だからこそ優れた効果を発揮します。
運龍堂では、市販の漢方薬とは異なり、その人の症状や体質をヒアリングしたうえでオーダーメイドの漢方薬を提供しています。
子どもでも飲みやすい漢方薬も多数取り扱っているほか、漢方薬特有の苦味やザラつきを緩和できる飲み方のアドバイスなども提供しています。
子どもが漢方薬を飲んでくれないと悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
子どもは大人に比べて味覚が敏感であることから、少量の漢方薬であっても強烈な苦味を感じやすいものです。
甘いものに混ぜて飲ませたり、オブラートに包むといった工夫次第で抵抗なく飲めるようになるほか、顆粒タイプではなく錠剤やドリンクタイプを選ぶなどの方法もおすすめです。
飲みやすさを重視することはもちろんですが、その人の症状や体質に合わせた漢方薬を選ぶことも重要であることから、オーダーメイドの漢方薬を処方している専門店へ相談してみましょう。
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この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任