2021/05/02

漢方薬一覧(マ〜モで始まる処方)

目次



  1. 麻黄湯(マオウトウ)

  2. 麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)

  3. 麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)

  4. 麻子仁丸(マシニンガン)




(マオウトウ)


麻黄湯
①自然に汗が出ない、②発熱、③喘鳴
発熱性疾患で汗が無く、ゼイゼイする者に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。

※使用目標例
・麻黄湯のキーワード = 悪寒がゾクゾク

・麻黄湯は太陽病の実証である。頭痛、発熱、悪寒があり、実証であるため、悪寒も比較的はっきりして、少し震えが出る場合もある。また時に首の後ろがこる事がある。脈は浮いているが、実証のため緊張感が強い。

・自覚症状では、自汗がない。少し暑くて、普段なら汗ばむような時でも、かぜを引いて寒気がして汗が引いてしまっている。そして、喉が痛かったり、咳が出たりし易い。

・必ずしも出るものではないが、しばしば関節痛がある。熱が出た時に節々が痛む事が、太陽病の実証に見られる。関節は表裏でいうと、だいたい表に属する。従って、太陽病で熱が出るようなときは、節々が痛む事がしばしばあるが、そのような場合の適応として、麻黄湯は代表的な方剤である。

・一般に、インフルエンザなど悪寒や発熱などの強い節々の痛む風邪に用いる。これは麻黄湯に「麻黄—桂枝」が主薬として配合されているためで、寒邪を追い出す力が強いためである。また発汗の行き過ぎを抑える芍薬は本方には含まれていない。乳児の鼻づまりに対して頓服したり、悪寒、無汗で汗の出にくい熱病の発汗剤としても使用される。

・慢性C型肝炎の治療としてインターフェロンを投与すると、激しい悪寒や高熱とともに関節痛などの、あたかも太陽病実証に相当する症状が出現する。そのような場合に麻黄湯飲むと、それらの症状が緩和し、患者さんは、つらい症状に苦しむことなくインターフェロン治療を続ける事が出来る。さらに抗ウイルス作用も増強され、うつ状態などの副作用も抑制される。

※注意点
・麻黄湯は強い発表剤であるから、あまり長期に用いる処方ではない。また体力を消耗するので、体力のある患者に使用する。発汗などで初期の症状が緩和されれば止める。

・強い発表剤にも関わらず、小児、乳児には相当量使わなければならないときがある。大胆につかっても副作用はない。逆に老人には少量でも発汗過多で脱水症状が起きる場合があるので注意する。

・麻黄湯を用いて、かえって悪寒が強くなったり、食欲が減退したりすれば、すぐに続服をやめる。

・表面に汗が無く、皮膚の内部に水滞があるのを転用して、乳汁分泌不足に用いる事がある。

・体に湿のある、水太りの者が風邪を引くと、麻黄湯で発汗しても体内に湿が残り、高熱はなく、裏に熱があって汗が出て、気管支粘膜の浮腫や気道の水が残って喘鳴が起こる。このような時には、麻杏甘石湯を用いる。

・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。しかし、一方で小児においては、麻黄剤は比較的安心して用いる事ができる。

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(マキョウカンセキトウ)


麻杏甘石湯
気管支喘息の発作時の第一選択薬

①咳、②口渇、③喘鳴
熱性疾患で、喘鳴を伴う咳、口渇、発汗がある者に用いる。気管支喘息、気管支炎、肺炎に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
「麻黄湯」—「桂枝」+「石膏」

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・麻黄と杏仁には、利尿作用があり、滲出性の炎症に用いられる。
・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・麻黄と杏仁には、利尿作用があるため、滲出性の炎症に用いられる。体に湿のある、水太りの者が風邪を引くと、麻黄湯で発汗しても体内に湿が残り、高熱はなく、裏に熱があって汗が出て、気管支粘膜の浮腫や気道の水が残って喘鳴が起こる。このような時には、麻杏甘石湯を用いる。

・喘鳴を伴う湿性の咳に用いる。小児の気管支喘息の発作に頻用される。特徴としては、自汗傾向と口渇が特に発作時に見られる。

・気管支喘息の熱喘:口渇があり、痰は少なく、切れが悪い。気管支筋に痙攣があり、ヒューヒューという喘で、ゴロゴロという痰喘ではない。また汗が出る(汗出てて喘す)。一方、寒喘の場合は、小青竜湯加附子を用いる。気管支喘息でも最も多いのが、その中間の小青竜湯合麻杏甘石湯を用いるタイプである。

※使用目標例
・麻杏甘石湯は、胃腸の丈夫な人に用いるが、胃を冷やす力が強い。本方を続服して食欲が減退するようなら止める事。

・麻杏甘石湯の適応症の人は、カルシウム不足の傾向があるという。虫歯のものが多いとの意見もある。

・体力がある場合(実証)には続命湯(人参湯+麻杏甘石湯で代用)を脳血管障害(脳卒中)後遺症の第一選択薬とする。虚証に続命湯を用いると症状が3〜4週間で悪化することがあり、服用して1ヶ月程度は病状を確認する。そのため、薬を服用して疲れやだるさがひどくなっていないかを確認する必要がある。

※注意点
・体力が無く、手足の冷えがあって咳が遷延する人に誤って麻杏甘石湯を与えると、症状が憎悪するので、注意が必要である。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。しかし、一方で小児においては、麻黄剤は比較的安心して用いる事ができる。

●小青竜湯合麻杏甘石湯VS麻杏甘石湯VS小青竜湯加附子
気管支喘息の発作で、熱喘(口渇があり、痰は少なく切れが悪く、汗が出て、ヒューヒューという喘息)には、麻杏甘石湯を用いる。一方、寒喘(薄い痰が多量に出て、痰声がゼリゼリ、ゴロゴロという喘息を伴う)には、小青竜湯加附子を用いる。一般に中間型が多く、小青竜湯合麻杏甘石湯を用いる場合が多い。

●麻杏甘石湯VS五虎湯
麻黄甘石湯が頓服的に使うのに対し、五虎湯はやや長服して体質から改善する使い方をする。特に小児の喘息様気管支炎などで胃内停水がある場合、二陳湯と合して五虎二陳湯とする。

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(マキョウヨクカントウ)


麻杏薏甘湯
①関節痛、②夕方の熱、③実証
水毒により、関節炎となり夕方に発熱が起こる者に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
薏苡仁(よくいにん):イネ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
「麻黄湯」—「桂枝」+「薏苡仁」

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。
・薏苡仁には健胃、利湿、消炎、排膿などの効果があり、筋肉の攣縮を緩和し、皮膚の血燥を潤す。

※使用目標例
・体表部が開放している状態のところを風や寒により冷やされて、皮膚表面の機能低下が起こり、本来皮膚より発散されるべき熱と湿(汗)が皮下に停滞して、筋肉や関節に疼痛を現し、夕方になると、その疼痛や発熱が一段と強くなる者を目標とする。皮膚は乾いて萎縮して艶がなく、皮下に水腫、熱がこもっているものが多い。

・麻杏薏甘湯証は冷えから起こる。長い間冷えるところにいたり、冷える仕事をしているために身体中が痛くなったもの。

・筋肉痛、筋肉リウマチ、関節リウマチ、妊娠浮腫、腎炎、頭のフケ、手足の荒れ性、湿疹、水虫、イボ、さめ肌

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(マシニンガン)


麻子仁丸
①便秘、②老人、③虚証
虚弱な者や老人の便秘に用いる。大黄による腹痛を避ける事が出来る。

※組成
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温

※生薬の解説
・麻子仁、杏仁は油剤で、大便を軟らかくして、出易くする潤腸の作用がある。
・枳実、大黄は腸管の蠕動を亢進して排便を促し、瀉下作用がある。
・芍薬、厚朴は消化管の痙攣性疼痛(腹痛)を抑える作用がある。

※使用目標例
・本方は腸が乾いて、大便が硬くなる便秘に用いる。つまり、大便に水分が少なく、硬くてコロコロの便がでる場合に用いる。老人や腸の運動が弱い人に多い。

※注意点
・大黄により、いわゆるしぶり腹の症状が起きる。また老人や体力の落ちている人ではしばしば強い腹痛が起こったり、下痢が止まらなかったりする。その点、麻子仁丸のような油性下剤は緩和で不快作用は無い。

・麻子仁丸は、煎じ薬にすると効き目が落ちるので、煎剤としては潤腸湯の方が良い。

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  1. 麻黄湯(マオウトウ)

  2. 麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)

  3. 麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)

  4. 麻子仁丸(マシニンガン)




(マオウトウ)


麻黄湯
①自然に汗が出ない、②発熱、③喘鳴
発熱性疾患で汗が無く、ゼイゼイする者に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。

※使用目標例
・麻黄湯のキーワード = 悪寒がゾクゾク

・麻黄湯は太陽病の実証である。頭痛、発熱、悪寒があり、実証であるため、悪寒も比較的はっきりして、少し震えが出る場合もある。また時に首の後ろがこる事がある。脈は浮いているが、実証のため緊張感が強い。

・自覚症状では、自汗がない。少し暑くて、普段なら汗ばむような時でも、かぜを引いて寒気がして汗が引いてしまっている。そして、喉が痛かったり、咳が出たりし易い。

・必ずしも出るものではないが、しばしば関節痛がある。熱が出た時に節々が痛む事が、太陽病の実証に見られる。関節は表裏でいうと、だいたい表に属する。従って、太陽病で熱が出るようなときは、節々が痛む事がしばしばあるが、そのような場合の適応として、麻黄湯は代表的な方剤である。

・一般に、インフルエンザなど悪寒や発熱などの強い節々の痛む風邪に用いる。これは麻黄湯に「麻黄—桂枝」が主薬として配合されているためで、寒邪を追い出す力が強いためである。また発汗の行き過ぎを抑える芍薬は本方には含まれていない。乳児の鼻づまりに対して頓服したり、悪寒、無汗で汗の出にくい熱病の発汗剤としても使用される。

・慢性C型肝炎の治療としてインターフェロンを投与すると、激しい悪寒や高熱とともに関節痛などの、あたかも太陽病実証に相当する症状が出現する。そのような場合に麻黄湯飲むと、それらの症状が緩和し、患者さんは、つらい症状に苦しむことなくインターフェロン治療を続ける事が出来る。さらに抗ウイルス作用も増強され、うつ状態などの副作用も抑制される。

※注意点
・麻黄湯は強い発表剤であるから、あまり長期に用いる処方ではない。また体力を消耗するので、体力のある患者に使用する。発汗などで初期の症状が緩和されれば止める。

・強い発表剤にも関わらず、小児、乳児には相当量使わなければならないときがある。大胆につかっても副作用はない。逆に老人には少量でも発汗過多で脱水症状が起きる場合があるので注意する。

・麻黄湯を用いて、かえって悪寒が強くなったり、食欲が減退したりすれば、すぐに続服をやめる。

・表面に汗が無く、皮膚の内部に水滞があるのを転用して、乳汁分泌不足に用いる事がある。

・体に湿のある、水太りの者が風邪を引くと、麻黄湯で発汗しても体内に湿が残り、高熱はなく、裏に熱があって汗が出て、気管支粘膜の浮腫や気道の水が残って喘鳴が起こる。このような時には、麻杏甘石湯を用いる。

・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。しかし、一方で小児においては、麻黄剤は比較的安心して用いる事ができる。

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(マキョウカンセキトウ)


麻杏甘石湯
気管支喘息の発作時の第一選択薬

①咳、②口渇、③喘鳴
熱性疾患で、喘鳴を伴う咳、口渇、発汗がある者に用いる。気管支喘息、気管支炎、肺炎に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
「麻黄湯」—「桂枝」+「石膏」

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・麻黄と杏仁には、利尿作用があり、滲出性の炎症に用いられる。
・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・麻黄と杏仁には、利尿作用があるため、滲出性の炎症に用いられる。体に湿のある、水太りの者が風邪を引くと、麻黄湯で発汗しても体内に湿が残り、高熱はなく、裏に熱があって汗が出て、気管支粘膜の浮腫や気道の水が残って喘鳴が起こる。このような時には、麻杏甘石湯を用いる。

・喘鳴を伴う湿性の咳に用いる。小児の気管支喘息の発作に頻用される。特徴としては、自汗傾向と口渇が特に発作時に見られる。

・気管支喘息の熱喘:口渇があり、痰は少なく、切れが悪い。気管支筋に痙攣があり、ヒューヒューという喘で、ゴロゴロという痰喘ではない。また汗が出る(汗出てて喘す)。一方、寒喘の場合は、小青竜湯加附子を用いる。気管支喘息でも最も多いのが、その中間の小青竜湯合麻杏甘石湯を用いるタイプである。

※使用目標例
・麻杏甘石湯は、胃腸の丈夫な人に用いるが、胃を冷やす力が強い。本方を続服して食欲が減退するようなら止める事。

・麻杏甘石湯の適応症の人は、カルシウム不足の傾向があるという。虫歯のものが多いとの意見もある。

・体力がある場合(実証)には続命湯(人参湯+麻杏甘石湯で代用)を脳血管障害(脳卒中)後遺症の第一選択薬とする。虚証に続命湯を用いると症状が3〜4週間で悪化することがあり、服用して1ヶ月程度は病状を確認する。そのため、薬を服用して疲れやだるさがひどくなっていないかを確認する必要がある。

※注意点
・体力が無く、手足の冷えがあって咳が遷延する人に誤って麻杏甘石湯を与えると、症状が憎悪するので、注意が必要である。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。しかし、一方で小児においては、麻黄剤は比較的安心して用いる事ができる。

●小青竜湯合麻杏甘石湯VS麻杏甘石湯VS小青竜湯加附子
気管支喘息の発作で、熱喘(口渇があり、痰は少なく切れが悪く、汗が出て、ヒューヒューという喘息)には、麻杏甘石湯を用いる。一方、寒喘(薄い痰が多量に出て、痰声がゼリゼリ、ゴロゴロという喘息を伴う)には、小青竜湯加附子を用いる。一般に中間型が多く、小青竜湯合麻杏甘石湯を用いる場合が多い。

●麻杏甘石湯VS五虎湯
麻黄甘石湯が頓服的に使うのに対し、五虎湯はやや長服して体質から改善する使い方をする。特に小児の喘息様気管支炎などで胃内停水がある場合、二陳湯と合して五虎二陳湯とする。

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(マキョウヨクカントウ)


麻杏薏甘湯
①関節痛、②夕方の熱、③実証
水毒により、関節炎となり夕方に発熱が起こる者に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
薏苡仁(よくいにん):イネ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
「麻黄湯」—「桂枝」+「薏苡仁」

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。
・薏苡仁には健胃、利湿、消炎、排膿などの効果があり、筋肉の攣縮を緩和し、皮膚の血燥を潤す。

※使用目標例
・体表部が開放している状態のところを風や寒により冷やされて、皮膚表面の機能低下が起こり、本来皮膚より発散されるべき熱と湿(汗)が皮下に停滞して、筋肉や関節に疼痛を現し、夕方になると、その疼痛や発熱が一段と強くなる者を目標とする。皮膚は乾いて萎縮して艶がなく、皮下に水腫、熱がこもっているものが多い。

・麻杏薏甘湯証は冷えから起こる。長い間冷えるところにいたり、冷える仕事をしているために身体中が痛くなったもの。

・筋肉痛、筋肉リウマチ、関節リウマチ、妊娠浮腫、腎炎、頭のフケ、手足の荒れ性、湿疹、水虫、イボ、さめ肌

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(マシニンガン)


麻子仁丸
①便秘、②老人、③虚証
虚弱な者や老人の便秘に用いる。大黄による腹痛を避ける事が出来る。

※組成
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温

※生薬の解説
・麻子仁、杏仁は油剤で、大便を軟らかくして、出易くする潤腸の作用がある。
・枳実、大黄は腸管の蠕動を亢進して排便を促し、瀉下作用がある。
・芍薬、厚朴は消化管の痙攣性疼痛(腹痛)を抑える作用がある。

※使用目標例
・本方は腸が乾いて、大便が硬くなる便秘に用いる。つまり、大便に水分が少なく、硬くてコロコロの便がでる場合に用いる。老人や腸の運動が弱い人に多い。

※注意点
・大黄により、いわゆるしぶり腹の症状が起きる。また老人や体力の落ちている人ではしばしば強い腹痛が起こったり、下痢が止まらなかったりする。その点、麻子仁丸のような油性下剤は緩和で不快作用は無い。

・麻子仁丸は、煎じ薬にすると効き目が落ちるので、煎剤としては潤腸湯の方が良い。

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