八味地黄丸は自律神経の乱れに効果はある?代わりの漢方薬や合わない人の特徴を解説

「八味地黄丸(はちみじおうがん)」は、腎機能の低下や排尿トラブル、冷えや痺れなどさまざまな症状に用いられる漢方薬です。
最近では、「自律神経の乱れに八味地黄丸が効く」といった噂もありますが、実際にはどうなのでしょうか。
そこで本記事では、八味地黄丸が自律神経の乱れに本当に効果があるのかを、漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」が詳しく解説します。
また八味地黄丸以外で自律神経の乱れへの効果が期待できる漢方薬のご紹介もするので、自律神経の乱れによる症状にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
八味地黄丸は自律神経の乱れに効果ある?
結論から申し上げると、八味地黄丸は自律神経の乱れそのものを整える薬ではありません。
しかし、自律神経の乱れに関連して起こる症状の一部に対しては改善が期待できます。
そもそも八味地黄丸は、身体の「腎(じん)」のはたらきを補うことで、加齢や疲労によって低下した身体機能を整える漢方薬です。
そのため、自律神経の乱れが原因で血流や体温調整がうまくいかなくなった結果、以下のような症状が出ている方に対して、八味地黄丸が処方されることがあります。
- 起立性低血圧(立ちくらみの原因のひとつ)
- めまい
- 歩行障害
- 頻尿など排尿障害
八味地黄丸以外の自律神経の乱れに効果が期待できる漢方薬
自律神経の乱れに関する症状は、めまい・不眠・発汗・イライラなど多岐にわたります。
各症状の改善効果が期待できる八味地黄丸以外の漢方薬をご紹介します。
起立性低血圧・めまい・たちくらみがある方向けの漢方薬
自律神経のバランスが崩れると血圧の調整がうまくできなくなり、立ち上がるときにふらついたりめまいがしたりする場合があります。
このような症状は、次の漢方薬で改善が期待できます。
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
- 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
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排尿障害がある方向けの漢方薬
自律神経は、排尿のコントロールにも大きく関係しています。
そのため、自律神経が乱れると夜間頻尿や残尿感など、排尿トラブルが起きる場合は次のような漢方薬で改善効果が期待できます。
ホットフラッシュ・発汗がある方向けの漢方薬
自律神経の乱れによって体温調節がうまくいかず、顔のほてりや急な発汗などがあるときは、体内の熱を鎮める効果が期待できる漢方薬が処方されます。
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不安・不眠がある方向けの漢方薬
ストレスや緊張によって自律神経が乱れると、不安感や寝つきの悪さを引き起こすこともあります。
このようなときは、心身の緊張を和らげてリラックスを促す漢方薬が処方されます。
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イライラが強い方向けの漢方薬
イライラや怒りっぽさなど、情緒の不安定さが目立つ場合には、精神的な興奮を鎮める効果が期待できる漢方薬が処方されます。
八味地黄丸の注意点
八味地黄丸は自律神経の乱れに伴うめまいや歩行障害、排尿障害などの改善が期待できる漢方薬ですが、体質や症状によっては合わない場合もあります。
八味地黄丸が合わない人の特徴
八味地黄丸には身体を温める作用があるため、次のような体質の方は八味地黄丸が合わない可能性があります。
- 胃腸が弱く、下痢をしやすい方
- のぼせが強く、赤ら顔で体力に余裕のある方
また、以下のような方は思わぬ副作用をもたらすリスクがあるため、服用前に必ず医師や薬剤師へ相談をしてください。
- 食物や薬によってアレルギー反応が出た経験のある方
- 妊娠中または妊娠の可能性がある女性
- 授乳中の女性
- 現在ほかの薬を服用している方
八味地黄丸の副作用
漢方薬は副作用が少ないといわれる方もいらっしゃいますが、漢方薬の原料である生薬にはさまざまな成分が含まれているため、体質に合わない場合や、長く使用することによって次のような症状が出る場合があります。
- 発疹・赤み・かゆみ
- 食欲不振
- 胃部不快感・嘔吐
- 腹痛
- 下痢・便秘
- 倦怠感
- 動悸・のぼせ
- 舌のしびれ
服用中にこれらの症状が現れた場合は自己判断はせず、早めに医療機関で相談するようにしてください。
まとめ
八味地黄丸は、自律神経の乱れに関連した症状の改善に役立つ効果が期待できますが、体質的に合わなかったり、思わぬ副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
自律神経の乱れが原因による身体の不調に悩み、少しでも改善したいとお考えの方は、ぜひ漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」へご相談ください。
運龍堂では、患者様一人ひとりの症状や体質などを丁寧に確認させていただき、オーダーメイドの漢方薬を処方させていただきます。
また、ZoomやLINEによるオンライン相談のご提供もしているため、自律神経が乱れて長時間の外出が難しい方や遠方の方でも気軽にご相談して頂くことができます。
「自律神経が乱れて歩くことが辛い」
「排尿トラブルがあるから外出が怖い」
このようなお悩みのある方は、ぜひ漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」へご相談ください。
この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任


