秋の養生① 乾燥と亀板(きばん)の話
蒸し暑い夏と異なり、秋になると乾燥と寒さが目立ちます。
特に乾燥によって体調を崩すことが多くなることから、身体に悪さをする乾燥を燥邪(そうじゃ)と言います。
常に外気と接している「肺」は秋にトラブルを起こしやすく、鼻水・鼻炎・喘息・気管支炎・喉の炎症・咳や痰など肺関連の症状をはじめ、アレルギーなどの症状も起こりやすくなります。
意外と思われるかもしれませんが漢方では呼吸器だけでなく皮膚なども「肺」の領域ととらえており、アトピーやカサカサ肌などの肌トラブルも肺の不調と考えます。
花粉症などのアレルギーは春にも起こりますが、これは冬の間に眠っていた身体の代謝が春の暖かさで活発になり老廃物などがあふれることで起こりやすくなります。
一方で、秋に起こりやすいアレルギーは夏の暑さで体力を消耗したことで粘膜の潤いが減ってしまい秋の燥邪をきっかけに炎症が起こることが考えられます。
では乾燥が強まる秋にやるべきことは何か。
それは身体に不足している潤いを補うことです。
植物性の生薬でいえば麦門冬や人参、粳米、大棗、甘草なども知られていますが、動物性の素材では「亀板(きばん)」が有名です。
亀板はクサガメなどの甲羅のことで、中国最古の薬物書(神農本草経)にも上品という寿命を全うさせる長寿の薬として収載されています。成分としてはゼラチンやコラーゲンを含んでおり、体内の血や潤いを補うものとして重宝されています。
普段からのぼせやほてり、口やのど、肌の乾燥がある方はぜひ使ってみてください。
秋の燥邪が強まり、身体の不調が現れる前に足りない潤いを補いましょう。
お肌が潤うことで美容にも健康にも大変効果的です。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任