当帰芍薬散にはどんな効果がある?気になる副作用や長期の服用についても徹底解説
冷え性や生理不順、更年期障害など、女性の体の悩みはさまざまです。
体質によっても個人差はあるものの、辛い症状を改善したいと考える方は多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめなのが「当帰芍薬散」という漢方薬です。
本記事では、当帰芍薬散にはどういった効果が期待できるのか、気になる副作用のリスクや、飲み続けるとどうなるのかもあわせて詳しく解説します。
目次
当帰芍薬散とは
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)とは、当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)
川芎(センキュウ)、茯苓(ブクリョウ)、蒼朮(ソウジュツ)といった生薬を配合した漢方薬です。
漢方には「気血水」とよばれる概念があり、これら3つのバランスを保つことで健康が維持されると考えられています。
当帰芍薬散は、上記のうち「血」の流れを改善する働きがあります。
血とはその名の通り血液のことを指しますが、加齢や生活習慣、ストレスなどさまざまな原因によって水分代謝が低下すると血流が滞ることがあります。
その結果、手足の冷えや生理不順などの症状が現れる原因にもなるのです。
当帰芍薬散は体内の水分代謝を促すことにより血行を改善し、手足の冷えや月経不順といった女性特有の体の悩みを解消できる可能性があります。
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当帰芍薬散の効果
上記でもご紹介した通り、当帰芍薬散は女性に多い体の悩みや症状を改善する漢方薬として知られています。
継続的に服用することでどういった効果が期待できるのか、詳しく解説しましょう。
冷え性の改善
血液の流れが滞ると手足などの末端にまで十分な血が行き渡らなくなり、慢性的な冷え性につながる場合があります。
当帰芍薬散に含まれる当帰や芍薬、川芎といった生薬は、血液の不足を補う効果があります。
継続的に服用することで血の流れが良くなり、冷え性を改善できる可能性があります。
生理不順の改善
血流の停滞や血液不足によって引き起こされるもうひとつの症状に、生理不順があります。
生理中は大量の血液が排出されるため貧血が起こりやすく、場合によっては生理不順に陥ることも少なくありません。
血の不足を補い血流を改善することにより、生理不順はもちろんのこと生理痛なども緩和できる可能性があります。
更年期障害の症状緩和
閉経を迎える40代半ばから50代頃になると、女性ホルモンの分泌量が急速に減少し、更年期障害が現れることがあります。
更年期障害にはさまざまな症状がありますが、特に多いのが頭痛やめまい、イライラ感、不安感、むくみ、火照りなどです。
当帰芍薬散に配合されている芍薬と茯苓、川芎には鎮静作用や利尿作用があるため、これらの症状を緩和する効果が期待できます。
不妊症の治療サポート
不妊症にはさまざまな原因が考えられますが、血流が悪く体が冷えやすいと卵巣機能が低下し、妊娠しにくくなることがあります。
具体的には排卵障害や生理周期の遅れなどが挙げられ、さらにストレスが蓄積されていくと不妊症が悪化し、悪循環に陥ることも少なくありません。
当帰芍薬散には排卵を正常化する働きがあり、古くから不妊治療に多く用いられてきました。
特に慢性的な冷え性や貧血の傾向があり、不妊症を改善したいという方にはおすすめの漢方薬といえます。
当帰芍薬散は嗅覚・味覚障害にも効果がある?
「鼻の通りは良いはずなのに、匂いを感じない」あるいは「食べ物を口にしたのに、味を感じにくい」といった症状が現れた経験はないでしょうか。
このような嗅覚障害・味覚障害は、風邪や花粉症の症状として現れることが多く、ほとんどの場合は数日から1週間程度で正常に戻ります。
しかし、後遺症として嗅覚障害・味覚障害が長期化するケースもあり、日常生活にさまざまな影響が及ぶリスクも否定できません。
そもそも匂いは鼻の内部にある嗅神経によって認識しますが、何らかの原因によってこれが破壊されると嗅覚障害に至ります。
また、味覚は舌によって感じますが、実は嗅覚も味を認識するうえで重要な役割を果たしているのです。
当帰芍薬散に含まれる芍薬と蒼朮には、嗅神経の再生を促す働きがあるとされており、嗅覚が回復することによって間接的に味覚の正常化も期待できます。
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当帰芍薬散の副作用
漢方薬は自然由来の生薬がブレンドされているため、西洋薬に比べると副作用やリスクが少なく安全といわれています。
しかし、一切の副作用がないというわけではなく、体質によっては以下のような症状が現れるおそれもあります。
胃部不快感や食欲不振
当帰芍薬散に含まれる蒼朮には胃液の分泌を促す働きがあり、健胃作用が期待できます。
しかし、薬の飲み過ぎや体質によっては胃液の過剰な分泌によって不快感をもたらしたり、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状が現れることもあります。
このような副作用を無視して服用し続けると、胃酸過多の状態が続き、胃炎や胃潰瘍などを発症するおそれがあります。
異常を感じたら医師または薬剤師へ相談しましょう。
発疹やかゆみ
当帰芍薬散を含む多くの漢方薬は、服用することでまれに発疹やかゆみなどの症状が現れるケースもあります。
かゆみはないものの、気づいたら顔や体の一部に発疹ができていたというケースもあります。
初めて服用する際には、このような副作用が現れないかを注意深く観察しておきましょう。
また、万が一症状が現れた際には直ちに服用をやめ、医師または薬剤師へ相談してください。
肝機能障害
上記でご紹介した胃部不快感や発疹は比較的軽度の副作用ですが、体質によっては肝機能障害を伴う重度の副作用を発症するおそれもあります。
肝臓で生成される「AST」や「ALT」といった酵素の数値に異常が見られるようになり、これを放置しておくと肝硬変や脂肪肝といった疾患のリスクが高まります。
健康診断や人間ドックで肝臓の数値に異常が見られた場合には、当帰芍薬散の服用をやめて医師の診察を受けましょう。
当帰芍薬散を飲み続けるとどうなる?
当帰芍薬散を一定期間服用したことで体質が改善し、現在では薬に頼ることなく健康的な生活を送っている方は大勢います。
しかし、服用をやめた途端に再び症状が悪化し始めるケースもあります。
そのような場合「当帰芍薬散を長期間にわたって飲み続けても良いのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
漢方薬は西洋薬のように即効性の薬ではないため、数週間から数ヶ月にわたって服用し続けることで徐々に体質が改善していきます。
しかし、上記でもご紹介した通り、当帰芍薬散には健胃作用のある生薬が配合されています。
そのため、長期間にわたって服用し続けることで胃がダメージを受け、消化器系の異常につながるおそれがあります。
もともと胃腸が弱い方や、お腹を下しやすい方は体調を見ながら服用を続けてください。
しばらく飲み続けているのに効果が現れない場合には、体質に合っていないケースも考えられるため、医師や薬剤師に相談してみるのがおすすめです。
運龍堂では一人ひとりに合わせたオーダーメイドの漢方を処方
当帰芍薬散をはじめとした漢方薬は、ドラッグストアでも手軽に購入できるほか、最近ではネット通販でも販売されています。
これらの店舗で販売されているのは、大手製薬メーカーのパッケージ化された漢方薬です。
配合されている生薬の種類や成分量によっては、体質に合わないケースも考えられます。
漢方薬選びにおいて重要なのは、その人の体質や症状に合わせて最適な薬を処方してもらうことです。
しかし、中には「近所に漢方薬局がない」「漢方に詳しい薬剤師がどこにいるのか分からない」とお悩みの方も多いでしょう。
そのような場合には、宮城県仙台市にある漢方薬局「運龍堂」へご相談ください。
運龍堂では患者様が抱える体の悩みや症状、体質を丁寧にヒアリングしたうえで、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの漢方を処方しています。
また、オンラインでの無料の漢方相談も行っており、遠方で来店が難しい方も気軽にご利用いただけます。
もちろん、ご相談だけでなくその場で漢方薬のオーダーも可能なため、仕事が忙しい方でも安心です。
まとめ
当帰芍薬散は、冷え性や生理不順といった女性特有の体の悩みの改善効果が期待できる漢方薬です。
複数の生薬が配合され副作用のリスクは比較的少ないですが、胃部不快感などの症状が現れるおそれもあるため、特に胃腸の弱い方は注意しましょう。
ドラッグストアやネット通販などでも当帰芍薬散は販売されていますが、自分の体質や症状に合った漢方薬を選びたい方は運龍堂へご相談ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任