不安でヘトヘト、精神疲労、五月病
不安でヘトヘト、精神疲労、五月病
「五月病」を聞いたことがあると思いますが、春になって新しいことをスタートしたり、新しい人に囲まれたり、新しいことだらけで先も見えず様々な不安を抱いてしまうことがあります。医学的な表現でいうと「適応障害」になるのですが、4月からのスタートで5月頃から症状として現れることから五月病と呼ばれています。誰しも不安になることはありますが、やはり過度な不安を抱いたり、不安な気持ちを解消せず継続的に不安な感情を抱え込んでしまうことは良くありません。精神的なマイナス面だけにとどまらず、実際の体力も消耗してしまいます。考え方などを改め、気持ちをコントロールできれば良いですがなかなかうまくいかない場合も多いかと思います。そんなときには漢方の力をかりてうまく不安を乗り越えていくこともできます。
<頭の換気扇 羚羊角>
羚羊角(れいようかく)はウシ科サイガレイヨウの角を粉末にした生薬です。健脳生薬としても知られており認知症や脳梗塞の後遺症などでも用いられています。ケラチン(角質たんぱく)やリン酸カルシウムなどを含んでいます。中国最古の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に収載されており、鎮静作用、血圧降下作用、抗炎症作用、解熱作用、NGF産生促進作用(脳神経保護作用)があります。羚羊角は不安いっぱいになった頭の中をすっきりさせてくれる頭の換気扇のような生薬です。ネガティブな気持ちを和らげポジティブに向かわせてくれる、背中を押してくれるような働きがあります。考え事や悩み事で頭がいっぱいになったら羚羊角を試してみると良いと思います。
<ホタテ貝と脳の関係>
ホタテ貝はアミノ酸の一種であるタウリンが豊富であり、肝臓の働きを助けることが知られています。薬膳でも「肝(かん)」を養う食材として扱われ、イライラや落ち込み、パニックに加えて、めまい、頭痛、耳鳴りなどの春に起こりやすい諸症状におすすめです。また、近年ではホタテから抽出されたプラズマローゲンという成分が脳の働きにとても良いことがわかり、脳疲労からうつや不眠、認知症まで幅広く用いられています。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任