脊柱管狭窄症とは?効果的なストレッチや足のしびれを改善する方法を紹介
歩行の際に足腰が痛んだりしびれを感じたりする場合には、脊柱管狭窄症の可能性が考えられます。
高齢者に多い疾患のひとつであり、歳を重ねれば誰でも発病する可能性があります。
重篤化すると日常生活にも支障をきたす可能性があることから、初期段階から適切な治療やリハビリを行うことが大切です。
本記事では、脊柱管狭窄症とはどういった疾患なのか、自宅でもできるストレッチやトレーニング方法をご紹介します。
目次
脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症とは、脊柱管とよばれる背骨の中を通る管が狭くなることによって、神経組織や脊髄が圧迫される疾患です。
脊柱管は、神経組織や脊髄を保護するために存在しており、正常な機能を維持するために広い空間が確保されています。
しかし、何らかの原因によって脊柱管が狭くなることがあり、これによって神経組織や脊髄に圧力がかかり、さまざまな症状が現れるケースがあります。
脊柱管狭窄症を生じさせる主な原因として考えられているのは、以下の3つです。
加齢
年齢を重ねていくと骨や軟骨組織が変形したり、一部が肥大化することがあり、これによって脊柱管が圧迫され狭くなるケースがあります。
脊柱管狭窄症の発症要因として特に多く、高齢者の10人に1人の割合で発症していると推定されています。
外傷
交通事故や激しい動きによって脊椎に大きな力が加わると、脊柱管が損傷することがあります。
これによって脊柱管が狭まり、神経が圧迫されるケースがあります。
先天性要因
生まれつき脊柱管の形や大きさが小さい場合、脊柱管狭窄症が発症することがあります。
脊柱管狭窄症の症状
脊柱管狭窄症を発症した場合、どのような症状が現れることが多いのでしょうか。
どの高さの脊髄が圧迫されるのかによっても症状や発症部位が異なるため、詳しく解説しましょう。
腰痛
背骨の中でも腰に近い腰椎の部分が圧迫されていると、腰の痛みが現れることがあります。
特に歩行時に痛みが現れ、止まってしばらく休むと痛みが収まるという場合には、脊柱管狭窄症の可能性が考えられます。
下肢の痛み・しびれ
腰痛と同様に、お尻や太ももなどの下肢に痛みやしびれが現れる場合も、腰椎が圧迫されている可能性が高いです。
特にしびれは、脊柱管狭窄症を発症したときに多く見られる代表的な症状です。
一方、前かがみの姿勢や背中が丸まった姿勢をとると症状が緩和されるケースが多いです。
下肢の筋力低下
下半身に痛みやしびれが現れるようになると、継続的に直立したり歩いたりといった動作が困難になり、筋力低下を招くことがあります。
間欠性跛行
間欠性跛行(かんけいつせいはこう)とは、歩行中に下半身に痛みやしびれが生じるものの、しばらく休むと再び歩けるようになるといった症状です。
脊柱管狭窄症の初期段階では、ある程度長い距離を歩行できますが、状態が悪化するにつれて短時間の歩行でも症状が現れるようになります。
排尿障害
脊柱管狭窄症が進行していくと、腰や下肢の痛み・しびれが悪化するだけでなく、排尿障害が現れることもあります。
トイレが近くなったり、夜間尿や残尿感といった症状が現れるようになり、さらに重症化すると尿失禁や便失禁が見られる場合もあります。
脊柱管狭窄症に効果的なストレッチ
脊柱管狭窄症の予防や重症化を防ぐために、自宅で手軽にできるストレスがあります。
膝抱えストレッチ
1つ目は、仰向けの状態で手軽にできる「膝抱えストレッチ」です。
- 枕に頭を置き仰向けの姿勢になる
- ふくらはぎを椅子の上に乗せる
- 10分程度同じ体勢を維持する
- 10分経過後、仰向けの状態まま両膝を両手で抱えるように持ち上げる
- 1分のインターバルをおき、2〜4の動作を3セット繰り返す
椅子の上に足をのせるときには、血栓予防のために足首を前後に動かすのも有効です。
また、「4」の両膝を抱えて持ち上げる際には、腰の筋肉を伸ばすことを意識して行いましょう。
腰伸ばしストレッチ
2つ目は、腰痛に効く「腰伸ばしストレッチ」です。
- 四つん這いの姿勢になる
- 背骨を垂直に引っ張り上げるイメージで背中を丸める
- 手の位置はそのまま、お尻を下ろして座り、顔を前方に向ける
- 1〜3の動作を10セット繰り返す
2の背中を丸める動作は、顔を床に向けた状態で行ってください。
また、3のお尻を下ろして座るときの姿勢は正座に近いですが、手は床につけたままのため上体は起こさないことがポイントです。
太もも裏ストレッチ
3つ目は、立った姿勢からでも手軽にできる「太もも裏ストレッチ」です。
- 両膝を曲げてしゃがむ
- 左右の足首を手でつかむ
- お尻を持ち上げるようにして立ち上がる
- 20秒ほど姿勢をキープする
- 1〜4の動作を2セット繰り返す
両膝を曲げてしゃがむ姿勢は、無理のない範囲で問題ありません。
3のお尻を持ち上げる姿勢をつくる際には、太ももの裏が伸びていることを意識しましょう。
脊柱管狭窄症の足のしびれを改善する方法
脊柱管狭窄症の初期症状として現れることの多い足のしびれを改善するためには、以下のマッサージやストレッチがおすすめです。
足指広げマッサージ
足指のマッサージをすることで血行が改善され、しびれを改善できることもあります。
特にお風呂上がりや、就寝前などのタイミングで行うのがおすすめです。
- 足裏の縦の中心線をほぐす
- 足裏の横の線(もっとも横幅が長いライン)をほぐす
- 足裏でしびれが強い部分があれば1分程度もみほぐす
- 椅子に座った状態または立った状態で、足の指を手でつかみ上下に動かす
- 4の姿勢のまま足の指を手で回す
- 4の姿勢のまま、かかとと指先を交互に上げる
- 足指の間に手の指を入れて握り、前後方向に1分程度動かす
- 足の指を手で1本ずつ広げるようにゆっくり動かす
- アキレス腱の両脇を手でつかみ、上下左右にゆっくり動かす
腹部・背部の筋力トレーニング
頚椎や腰椎にかかる負担を軽減するためには、腹筋や背筋を鍛えることも重要です。
以下のトレーニングを習慣づけることで、徐々に筋力がアップしていきます。
- 四つ這いの姿勢になる
- 右手と左足を上げたまま15秒程度キープ
- 左手と右足を上げたまま15秒程度キープ
- 2〜3を10セット繰り返す
ポイントとしては、はじめに四つん這いの姿勢をつくるときに、背中を曲げたり反らせたりしないことです。
背中のラインが地面と平行になるように意識しましょう。
また、2〜3の片手足を上げるときも同様で、できるだけ平行になる位置で手足をキープすることが重要です。
脊柱管狭窄症の人がウォーキングで気を付けること
脊柱管狭窄症の予防やリハビリとして、ウォーキングは効果的な方法のひとつです。
しかし、正しい方法やポイントを理解しておかないと、状態を悪化させる可能性もあります。
特に重要なのがウォーキング時の姿勢です。一般的にウォーキングは、胸を張って腰を反らせるような姿勢をとる方が多いです。
ところが、脊柱管狭窄症の方にとってこのような姿勢は腰に負担をかけ、症状を悪化させる要因になります。
そのため、胸を張らず前かがみに近い姿勢を意識しましょう。
どうしても痛みが強い場合は無理をしないことと、杖を使用したり台車のようなカートを押しながら歩いたりするのも効果的です。
運龍堂では脊柱管狭窄症の神経症状に効くオーダーメイド漢方薬を処方
脊柱管狭窄症の治療にあたっては、上記で紹介したようなリハビリやトレーニングを継続的に行うことが基本です。
痛みやしびれの症状が続く場合には、漢方薬の服用も有効な手段となります。
漢方薬はドラッグストアでも手軽に購入できますが、さまざまな種類があるため症状に合わせた薬を選ぶのが難しいものです。
また、同じ症状であっても体質によって服用が適さないケースもあるほか、処方薬は市販薬に比べて成分量が限定的のため効果の現れ方が異なります。
そのため、医師や薬剤師に相談のうえ、症状や体質に合わせて漢方薬を処方してもらうことがベストといえるでしょう。
宮城県仙台市の漢方調剤薬局「運龍堂」では、一人ひとりに合ったオーダーメイドの漢方薬を処方しており、脊柱管狭窄症に効く漢方薬もご用意しています。
対面での漢方相談はもちろんのこと、オンラインによる無料の漢方相談にも対応しているため、遠方の方でもお気軽にご利用できます。
脊柱管狭窄症の症状でお悩みの方は、ぜひ運龍堂へご相談ください。
まとめ
脊柱管狭窄症は高齢者ほど発症リスクが高まる傾向があり、初期段階では足腰のしびれや軽い痛みが現れることが多いです。
しかし、治療をせずに放置していると重篤化し、短距離の歩行でも痛みが強くなったり排尿障害が現れるケースもあります。
そのため、少しでも足腰に違和感を覚えたら病院を受診し、無理のない範囲でウォーキングやストレッチを習慣づけることが大切です。
それに合わせて、症状を緩和したい場合には漢方薬の服用もおすすめです。
自分の症状や体質に合った漢方薬を選ぶためにも、漢方調剤薬局に相談してみましょう。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任