麻黄湯の効果について解説|飲むタイミングは?インフルエンザに効く?
風邪をひくと強い寒気を感じたり、膝や肘などの関節に痛みを生じたりすることもあります。
その人の体質によっても現れる症状は異なりますが、特に上記のような症状が見られた場合におすすめなのが「麻黄湯(まおうとう)」という漢方薬です。
麻黄湯にはどのような効果があるのか、適切な服用のタイミング、安全に服用するための注意点、風邪だけでなくインフルエンザにも効果があるのかも詳しく解説します。
目次
麻黄湯とは
麻黄湯とは、主に風邪のひきはじめに有効な漢方薬です。
風邪の薬といえば葛根湯(かっこんとう)をイメージする方も多いと思いますが、麻黄湯も代表的な漢方薬でありドラッグストアなどで手軽に購入できます。
麻黄湯に含まれる成分は主に「麻黄(マオウ)」、「杏仁(キョウニン)」、「桂皮(ケイヒ)」、「甘草(カンゾウ)」の4つです。
市販の製品には溶けやすい顆粒タイプのほか、飲みやすい錠剤タイプもあります。
麻黄湯の効果
上記でも紹介した通り、麻黄湯は風邪のひきはじめに効果があります。
具体的には、悪寒や咳、頭痛、発熱、鼻水・鼻詰まり、のどの痛みなどが挙げられます。
麻黄湯に含まれる生薬には体温を上げ、発汗を促す作用があります。
これにより、悪寒や発熱などの風邪の諸症状を改善する効果が期待できるのです。
また、風邪をひいた際に関節に痛みが生じることがあり、これも寒気が影響しています。
そこで、麻黄湯を服用することで発汗を促し、体温を上げることによって関節痛の緩和も期待できます。
麻黄湯はどんな人におすすめ?
麻黄湯は発汗を促す作用があるため、風邪の初期症状のなかでも特に寒気が強く汗をかいていないときに服用するのがおすすめです。
ただし、風邪の初期症状といってもさまざまで、「なんとなく体がだるい」、「鼻水が出る」、「頭痛がする」など比較的軽度のものもあります。
このような症状が見られ、かつ寒気の程度が軽い場合には葛根湯が適していますが、特に悪寒が強く関節にも痛みが現れる場合には麻黄湯の服用がおすすめです。
寒気を感じると、自然と体がこわばり首や肩が凝ったり、筋肉痛が現れたりすることがあります。
さらに寒気が強いと関節の痛みを発症することもあるため、症状に合わせて葛根湯と麻黄湯を使い分けると良いでしょう。
麻黄湯には眠くなる成分が含まれていないため、どうしても車を運転しなければならないときや、勉強や仕事に集中しなければならないときなどにも適しています。
麻黄湯を飲むタイミングは?
麻黄湯の効果を最大限まで高めるためには、服用するタイミングも大切です。
市販されている麻黄湯の場合、パッケージや説明書に記載されたタイミングで服用し、医療機関で処方された場合も医師や薬剤師の指示通りに服用してください。
基本的には1日3回、食前に飲むことが推奨されていることがほとんどです。
麻黄湯に限らず漢方薬は自然の生薬が配合されていることから、食後に服用すると食べたものによっては生薬の効果を半減させてしまう可能性があるためです。
また、満腹時よりも空腹時のほうが生薬の吸収が良く効果を高めやすいという理由もあります。
ただし、体調やライフサイクル、仕事などの都合で1日3回の服用が難しいこともあるでしょう。
たとえば、朝飲むタイミングを逃したとしても、昼と夜は忘れずに服用するなどできるだけ飲み続けることが大切です。
麻黄湯はインフルエンザにも効果がある?
発熱や関節痛、倦怠感など風邪とよく似た症状が現れる疾患に、インフルエンザがあります。
この2つは混同されることが多いのですが、風邪の原因はアデノウイルスやライノウイルスなどさまざまなウイルスが原因で発症します。
それに対し、インフルエンザはインフルエンザウイルスによって発症するという違いがあります。
症状の現れ方も風邪は比較的穏やかなのに対し、インフルエンザは急激に熱が上がるなどの違いも見られます。
麻黄湯は風邪のウイルスそのものを撃退する効果はなく、諸症状を緩和し体を楽にするために服用します。
インフルエンザウイルスに対しても同様で、ウイルスそのものを撃退しインフルエンザを即座に完治させることはできません。
しかし、高熱が出た際に服用することで発汗作用を促し、その結果としてウイルスを追い出すような働きを見せることも事実です。
麻黄湯を服用することで一時的に熱が上がったり、あるいは高熱のまま推移しますが、その後は解熱し体が楽になります。
また、麻黄湯に含まれる「杏仁(キョウニン)」には咳や”たん”を止める効果もあります。
複数の生薬が作用することで、インフルエンザの辛い症状を緩和することができるのです。
麻黄湯は喉の痛みにも効果がある?
風邪の初期症状として喉に炎症が起こり、痛みや違和感を感じることもあります。
しかし、これまで解説した通り、麻黄湯は強い寒気や関節痛が見られる場合に処方される漢方薬であり、喉の症状の緩和には適さないことが多いです。
寒気や関節痛などがなく、喉の痛みが現れた場合には「桔梗湯」や「駆風解毒湯」といった漢方薬がおすすめです。
どちらも「桔梗」と「甘草」という生薬が配合されており、喉の炎症を抑える働きがあります。
麻黄湯を飲むときの注意
麻黄湯は風邪やインフルエンザの症状を緩和するために効果的な漢方薬です。
しかし、服用方法を間違うと重篤な症状を引き起こす危険性もあるため注意が必要です。
特に強い発汗作用があるため、服用した後に大量の汗をかき脱水症状に陥る可能性があります。
たとえば、就寝前に麻黄湯を服用した後、起きたときに布団やベッドが大量の汗で濡れていたということは多いです。
それだけに、麻黄湯を服用する際には脱水症状を防ぐために十分な水分も一緒に摂ることを心がけましょう。
また、その人の体質によっては、麻黄湯を服用した後に全身から流れ落ちるほどの大量の発汗が見られることがあります。
皮膚に湿疹が現れたり、下痢や吐き気などの胃腸障害が現れたりすることもあります。
このような症状が見られたときにはただちに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
桂枝加朮附湯・桂枝茯苓丸に限らず、市販薬として販売されている漢方薬を探しているのになかなか見つからないケースも少なくありません。
もっとも確実な方法は医療機関を受診し処方してもらうことですが、仕事が忙しく時間が確保できないということも多いでしょう。
そのような場合には、漢方薬専門の薬局に相談してみることがおすすめです。
宮城県仙台市にある運龍堂では、お客様一人ひとりの体調や悩みを丁寧にヒアリングし、それに合った生薬を組み合わせて漢方薬として販売しています。
遠方で来店が難しい場合には、LINEやZoomでの問診にも対応しており、オンラインで専門の薬剤師とコミュニケーションがとれます。
もちろん、相談後はそのまま漢方薬をオーダーし、宅配便で送ってもらうこともできます。
まとめ
麻黄湯は「麻黄(マオウ)」、「杏仁(キョウニン)」、「桂皮(ケイヒ)」、「甘草(カンゾウ)」の4つの生薬が配合された漢方薬です。
風邪のひきはじめで、特に悪寒が強く関節痛が見られる場合に服用することで体が楽になります。
また、風邪以外にもインフルエンザの症状を緩和する働きもあり、医療機関では抗ウイルス薬と一緒に処方されることも少なくありません。
高い効果が期待できる麻黄湯ですが、発汗作用が強く脱水症状などのリスクもあります。
服用にあたっては、十分な水分を一緒に摂ることを心がけましょう。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任