投稿日:2025.09.18/更新日:2025.09.18

漢方にエビデンスはない?効果の実態をわかりやすく解説

漢方 エビデンス 効果

漢方薬に関するさまざまなご相談をいただくなかで、

「漢方薬はエビデンスがないけど大丈夫?」

「エビデンスが確認されている漢方薬はあるの?」

このような質問をいただくことがあります。

そこで本記事では、このようなご質問にお答えするために、なぜエビデンス(科学的な証拠)のある漢方薬が少ないのか、そしてエビデンスが確認されている漢方薬にはどのようなものがあるのかについて、詳しく解説します。

漢方にエビデンスはないのか?

漢方薬にエビデンスがないとされている理由として、次のようなことが挙げられます。

  • 患者の自覚症状や体質(証)ごとに処方されるため、臨床試験を行いづらい
  • 近代医学よりも昔から、経験則に基づいて発展してきたため
  • 西洋薬と異なり複数の生薬の組み合わせから作られるため、効果が出るまでのメカニズムの解明が困難

このように理由はさまざまですが、実際には長い年月をかけた研究により、エビデンスは日々蓄積がされ続けています。

エビデンスが確認されている漢方薬

エビデンスのレベルが高いとされている漢方薬として、次の3つが挙げられます。

  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)
  • 抑肝散(よくかんさん)
  • 六君子湯(りっくんしとう)

それぞれの漢方薬の効能と、科学的に確認されている効果をご紹介します。

大建中湯(だいけんちゅうとう)

大建中湯は、冷えが原因による腹痛や腹部の張り、ガスが溜まるといった症状に処方される漢方薬で、胃腸の働きを活発にする作用があります。

また、消化器がんの術後に大建中湯を投与したところ、術後の腸閉塞(イレウス)の発生率が大きく減少したことも報告されています。

その結果、大病院でも術後の治療薬として広く用いられています。

【大建中湯で科学的に証明された効果】

  • 腸の動きを活発にして、消化を助ける
  • 手術後などに起こりやすい腸の癒着を抑える
  • 腸の血流を増やし、回復を促す

抑肝散(よくかんさん)

イライラや不眠、神経過敏症など精神的な症状に処方されることの多い抑肝散は、被験者を無作為に振り分けて効果を確認するRCT(ランダム化比較試験)によって、次の効果が確認されています。

【抑肝散で科学的に証明された効果】

  • 認知症のBPSD(記憶障害などの中核症状に続いて現れる行動・心理症状)
  • 治療抵抗性の統合失調症
  • 心臓大血管手術後のせん妄

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸虚弱や食欲不振、消化不良、胃痛など胃腸の症状に効果が期待できる六君子湯は、RCTなどによるエビデンスが多い漢方薬としても知られています。

【六君子湯で科学的に証明された効果】

  • 胃の動きを良くして、食べ物をスムーズに排出する
  • 胃酸による過敏な反応を抑える
  • 食欲を調整するホルモン「グレリン」の分泌を増やし、食欲を改善する

関連記事:六君子湯(りっくんしとう)の効果が出るまでの期間は?効果を高める飲み方のポイントも解説

関連記事:六君子湯が合わない人の特徴は?漢方専門薬剤師が詳しく解説

まとめ

漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせによって作られているため、「エビデンスがない」といわれるケースは少なくありません。

しかし、実際には漢方医学の発展とともに長い年月をかけてさまざまな研究がされており、科学的に効果が証明されているものも存在します。

「漢方薬はエビデンスがないって聞いたけど、自分の症状を改善できる漢方薬はあるの?」

このようなお悩みのある方は、ぜひ漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」へご相談ください。

お悩みを丁寧にお伺いし、症状改善に向けた漢方薬のご提案をさせていただきます。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2025/09/18

漢方にエビデンスはない?効果の実態をわかりやすく解説

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漢方薬に関するさまざまなご相談をいただくなかで、

「漢方薬はエビデンスがないけど大丈夫?」

「エビデンスが確認されている漢方薬はあるの?」

このような質問をいただくことがあります。

そこで本記事では、このようなご質問にお答えするために、なぜエビデンス(科学的な証拠)のある漢方薬が少ないのか、そしてエビデンスが確認されている漢方薬にはどのようなものがあるのかについて、詳しく解説します。

漢方にエビデンスはないのか?

漢方薬にエビデンスがないとされている理由として、次のようなことが挙げられます。

  • 患者の自覚症状や体質(証)ごとに処方されるため、臨床試験を行いづらい
  • 近代医学よりも昔から、経験則に基づいて発展してきたため
  • 西洋薬と異なり複数の生薬の組み合わせから作られるため、効果が出るまでのメカニズムの解明が困難

このように理由はさまざまですが、実際には長い年月をかけた研究により、エビデンスは日々蓄積がされ続けています。

エビデンスが確認されている漢方薬

エビデンスのレベルが高いとされている漢方薬として、次の3つが挙げられます。

  • 大建中湯(だいけんちゅうとう)
  • 抑肝散(よくかんさん)
  • 六君子湯(りっくんしとう)

それぞれの漢方薬の効能と、科学的に確認されている効果をご紹介します。

大建中湯(だいけんちゅうとう)

大建中湯は、冷えが原因による腹痛や腹部の張り、ガスが溜まるといった症状に処方される漢方薬で、胃腸の働きを活発にする作用があります。

また、消化器がんの術後に大建中湯を投与したところ、術後の腸閉塞(イレウス)の発生率が大きく減少したことも報告されています。

その結果、大病院でも術後の治療薬として広く用いられています。

【大建中湯で科学的に証明された効果】

  • 腸の動きを活発にして、消化を助ける
  • 手術後などに起こりやすい腸の癒着を抑える
  • 腸の血流を増やし、回復を促す

抑肝散(よくかんさん)

イライラや不眠、神経過敏症など精神的な症状に処方されることの多い抑肝散は、被験者を無作為に振り分けて効果を確認するRCT(ランダム化比較試験)によって、次の効果が確認されています。

【抑肝散で科学的に証明された効果】

  • 認知症のBPSD(記憶障害などの中核症状に続いて現れる行動・心理症状)
  • 治療抵抗性の統合失調症
  • 心臓大血管手術後のせん妄

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸虚弱や食欲不振、消化不良、胃痛など胃腸の症状に効果が期待できる六君子湯は、RCTなどによるエビデンスが多い漢方薬としても知られています。

【六君子湯で科学的に証明された効果】

  • 胃の動きを良くして、食べ物をスムーズに排出する
  • 胃酸による過敏な反応を抑える
  • 食欲を調整するホルモン「グレリン」の分泌を増やし、食欲を改善する

関連記事:六君子湯(りっくんしとう)の効果が出るまでの期間は?効果を高める飲み方のポイントも解説

関連記事:六君子湯が合わない人の特徴は?漢方専門薬剤師が詳しく解説

まとめ

漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせによって作られているため、「エビデンスがない」といわれるケースは少なくありません。

しかし、実際には漢方医学の発展とともに長い年月をかけてさまざまな研究がされており、科学的に効果が証明されているものも存在します。

「漢方薬はエビデンスがないって聞いたけど、自分の症状を改善できる漢方薬はあるの?」

このようなお悩みのある方は、ぜひ漢方薬専門の調剤薬局「運龍堂」へご相談ください。

お悩みを丁寧にお伺いし、症状改善に向けた漢方薬のご提案をさせていただきます。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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