投稿日:2025.07.23/更新日:2025.07.23

注意が必要な飲み合わせを漢方専門薬剤師が詳しく解説

長い歴史を持ち、自然由来の生薬から作られる漢方薬は、「自然由来なら他の薬と併用しても大丈夫」と思われる方が少なくありません。

しかし、生薬にはさまざまな成分が含まれているため、飲み合わせによっては重篤な副作用を発症する可能性があるため注意が必要です。

そこで本記事では、注意が必要な飲み合わせを漢方薬専門の薬剤師が詳しく解説します。

漢方薬でも飲み合わせに注意が必要な理由

自然由来の生薬が原料となっている漢方も、しっかりと薬効を持つ「薬」です。

そのため、生薬に含まれる薬効成分の重複などが原因となり、飲み合わせによっては重篤な副作用が生じるリスクがあります。

その他にも、薬効成分同士の相互作用によって効きすぎてしまったり、薬効を打ち消してしまったりする場合もあります。

漢方薬との飲み合わせで特に注意が必要なケース

飲み合わせのなかでも、特に注意が必要な代表的なものを解説します。

小柴胡湯とインターフェロン製剤は併用禁忌

小柴胡湯は、風邪の中期や病後の体力回復、胃腸の不調などに処方される漢方薬です。

しかし、近年では肝炎に有効であるという臨床論文により、肝炎を患う患者様へ処方されるようになりました。

しかし、ウイルス性肝炎治療で広く用いられているインターフェロン製剤と併用することで間質性肺炎を発症するという報告が増えたことにより、併用禁忌とされています。

麻黄を含む漢方薬と高血圧治療薬や気管支拡張薬など

麻黄の主成分であるエフェドリンは、交感神経を刺激して血圧が上昇することがあります。

そのため、高血圧を抑える薬を服用されている方が麻黄を含む漢方薬を併用した場合、お互いの効果を打ち消してしまう可能性があります。

また、麻黄の効能として気管支を広げる作用があるため、気管支拡張薬との併用によって動機や不眠、血圧上昇などの副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

その他にも、甲状腺機能亢進症の薬、抗うつ薬やパーキンソン病などに用いられるモノアミン酸化酵素阻害剤といったものとの併用も注意が必要とされています。

関連記事:麻黄湯の効果について解説|飲むタイミングは?インフルエンザに効く?

甘草を含む漢方薬とグリチルリチン酸を含む薬剤

さまざまな漢方薬に使用されている甘草にも注意が必要です。

甘草にはグリチルリチン酸が含まれており、グリチルリチン酸を含む他の薬剤(風邪薬やアレルギー薬、肝臓疾患用製剤など)と併用することで偽アルドステロン症※1を引き起こすリスクがあります。

その他にも、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬と併用した場合も偽アルドステロン症や低カリウム血症※2、ミオパチー※3といった症状を発症する恐れがあります。

※1:アルドステロンと呼ばれるホルモンが過剰分泌されていないにも関わらず、高血圧やむくみ、低カリウム血症といった症状が現れる。
※2:利尿作用によって体内のカリウムが過剰排泄され、手足のだるさやしびれなどの症状が現れる。
※3:低カリウム血症の影響により、筋力低下や筋肉痛などの症状が現れる。

食品やサプリメントにも注意が必要

他の薬との併用以外にも、漢方薬の服用時は食品やサプリメントにも気をつけていただく必要があります。

例えば、甘草は食品の甘味成分として用いられることの多い生薬です。また、リコリスというハーブとしても知られています。

その他にも、サプリメントや健康食品などに複mなれるミネラル(特にカルシウムや鉄分)は漢方薬の成分と結びつくことで吸収が阻害され、薬効を弱める可能性があるため、併用する際は成分表を確認するなどの注意が必要です。

漢方薬同士の併用でも注意が必要

西洋薬や食品との併用以外にも、漢方薬同士の併用にも注意が必要です。

生薬の種類副作用の例
麻黄(まおう)・胃もたれ・食欲不振などの胃部不快感
・発汗過多や動悸など交感神経系の興奮症状
甘草(かんぞう)偽アルドステロン症、ミオパチー
大黄(だいおう)腹痛、下痢
附子(ぶし)動悸、のぼせ、舌のしびれ、吐き気

上記のように、それぞれの生薬が持つ薬効が重複することで効果が出過ぎてしまうことで副作用を発症したり、効果を打ち消してしまう可能性もあります。

薬の飲み合わせを確認するポイント

漢方薬と他の薬、サプリメントなどとの飲み合わせを確認するためのポイントをご紹介します。

お薬手帳を活用する

お薬手帳には、これまで処方されてきた薬が記録されています。

漢方薬を検討されるときに医師や薬剤師へお薬手帳を提示することで、危険な飲み合わせを回避することができます。

また、危険な飲み合わせを回避しても、患者様の体調などによっては副作用が出たり効果が現れなかったりすることもあるので、服用後の状況を記録しておくと次回の処方時に具体的な相談ができるのでおすすめです。

重複する成分がないか確認する

薬や食品、サプリメントのパッケージに記載されている成分を確認することで、重複している成分がないか確認することも可能です。

しかし、専門的な知識がなければ間違えるリスクが高いため、必ず薬剤師のアドバイスを受けるようにしてください。

医師や薬剤師へ相談する

飲み合わせを確認するには、医師や薬剤師へ相談することが一番よい方法です。

飲み合わせに注意が必要な薬剤の組み合わせは非常に多く、専門的知識がなければ判断が難しいです。

ご自身で確認することもできますが、体調や体質などによっても異なるため、必ず医師や薬剤師といった専門家へ相談するようにしましょう。

関連記事:【漢方専門薬剤師監修】漢方薬がなぜ効くのかを科学的視点から解説

漢方薬との飲み合わせに不安がある方は運龍堂にご相談ください!

運龍堂は、漢方薬専門の調剤薬局として、すでに患者様が服用されているお薬や体調、体質を考慮したうえでオーダーメイドの漢方薬を処方させていただいております。

また、オンラインいよる無料相談にも対応しているため、「薬の飲み合わせが大丈夫か知りたい」「今飲んでいる薬と併用できる漢方薬が欲しい」といったお悩みも気軽にご相談いただけます。

漢方薬との飲み合わせにご不安のある方は、ぜひお気軽に運龍堂までご相談ください。

まとめ

自然由来の生薬の組み合わせで作られる漢方薬に対して、「自然由来なら飲み合わせとか気にしないでも大丈夫でしょ」と思われる方は少なくありません。

しかし、生薬や薬効を含むれっきとした「薬」であり、他の薬や健康食品、サプリメントなどとの併用には注意が必要です。

漢方薬との併用が気になっている方は、まずはお気軽に運龍堂までご相談ください。

漢方薬専門の薬剤師が状況を丁寧にヒアリングし、飲み合わせを考慮したオーダーメイドの漢方薬を処方させていただきます。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2025/07/23

注意が必要な飲み合わせを漢方専門薬剤師が詳しく解説

長い歴史を持ち、自然由来の生薬から作られる漢方薬は、「自然由来なら他の薬と併用しても大丈夫」と思われる方が少なくありません。

しかし、生薬にはさまざまな成分が含まれているため、飲み合わせによっては重篤な副作用を発症する可能性があるため注意が必要です。

そこで本記事では、注意が必要な飲み合わせを漢方薬専門の薬剤師が詳しく解説します。

漢方薬でも飲み合わせに注意が必要な理由

自然由来の生薬が原料となっている漢方も、しっかりと薬効を持つ「薬」です。

そのため、生薬に含まれる薬効成分の重複などが原因となり、飲み合わせによっては重篤な副作用が生じるリスクがあります。

その他にも、薬効成分同士の相互作用によって効きすぎてしまったり、薬効を打ち消してしまったりする場合もあります。

漢方薬との飲み合わせで特に注意が必要なケース

飲み合わせのなかでも、特に注意が必要な代表的なものを解説します。

小柴胡湯とインターフェロン製剤は併用禁忌

小柴胡湯は、風邪の中期や病後の体力回復、胃腸の不調などに処方される漢方薬です。

しかし、近年では肝炎に有効であるという臨床論文により、肝炎を患う患者様へ処方されるようになりました。

しかし、ウイルス性肝炎治療で広く用いられているインターフェロン製剤と併用することで間質性肺炎を発症するという報告が増えたことにより、併用禁忌とされています。

麻黄を含む漢方薬と高血圧治療薬や気管支拡張薬など

麻黄の主成分であるエフェドリンは、交感神経を刺激して血圧が上昇することがあります。

そのため、高血圧を抑える薬を服用されている方が麻黄を含む漢方薬を併用した場合、お互いの効果を打ち消してしまう可能性があります。

また、麻黄の効能として気管支を広げる作用があるため、気管支拡張薬との併用によって動機や不眠、血圧上昇などの副作用を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

その他にも、甲状腺機能亢進症の薬、抗うつ薬やパーキンソン病などに用いられるモノアミン酸化酵素阻害剤といったものとの併用も注意が必要とされています。

関連記事:麻黄湯の効果について解説|飲むタイミングは?インフルエンザに効く?

甘草を含む漢方薬とグリチルリチン酸を含む薬剤

さまざまな漢方薬に使用されている甘草にも注意が必要です。

甘草にはグリチルリチン酸が含まれており、グリチルリチン酸を含む他の薬剤(風邪薬やアレルギー薬、肝臓疾患用製剤など)と併用することで偽アルドステロン症※1を引き起こすリスクがあります。

その他にも、ループ利尿薬やチアジド系利尿薬と併用した場合も偽アルドステロン症や低カリウム血症※2、ミオパチー※3といった症状を発症する恐れがあります。

※1:アルドステロンと呼ばれるホルモンが過剰分泌されていないにも関わらず、高血圧やむくみ、低カリウム血症といった症状が現れる。
※2:利尿作用によって体内のカリウムが過剰排泄され、手足のだるさやしびれなどの症状が現れる。
※3:低カリウム血症の影響により、筋力低下や筋肉痛などの症状が現れる。

食品やサプリメントにも注意が必要

他の薬との併用以外にも、漢方薬の服用時は食品やサプリメントにも気をつけていただく必要があります。

例えば、甘草は食品の甘味成分として用いられることの多い生薬です。また、リコリスというハーブとしても知られています。

その他にも、サプリメントや健康食品などに複mなれるミネラル(特にカルシウムや鉄分)は漢方薬の成分と結びつくことで吸収が阻害され、薬効を弱める可能性があるため、併用する際は成分表を確認するなどの注意が必要です。

漢方薬同士の併用でも注意が必要

西洋薬や食品との併用以外にも、漢方薬同士の併用にも注意が必要です。

生薬の種類副作用の例
麻黄(まおう)・胃もたれ・食欲不振などの胃部不快感
・発汗過多や動悸など交感神経系の興奮症状
甘草(かんぞう)偽アルドステロン症、ミオパチー
大黄(だいおう)腹痛、下痢
附子(ぶし)動悸、のぼせ、舌のしびれ、吐き気

上記のように、それぞれの生薬が持つ薬効が重複することで効果が出過ぎてしまうことで副作用を発症したり、効果を打ち消してしまう可能性もあります。

薬の飲み合わせを確認するポイント

漢方薬と他の薬、サプリメントなどとの飲み合わせを確認するためのポイントをご紹介します。

お薬手帳を活用する

お薬手帳には、これまで処方されてきた薬が記録されています。

漢方薬を検討されるときに医師や薬剤師へお薬手帳を提示することで、危険な飲み合わせを回避することができます。

また、危険な飲み合わせを回避しても、患者様の体調などによっては副作用が出たり効果が現れなかったりすることもあるので、服用後の状況を記録しておくと次回の処方時に具体的な相談ができるのでおすすめです。

重複する成分がないか確認する

薬や食品、サプリメントのパッケージに記載されている成分を確認することで、重複している成分がないか確認することも可能です。

しかし、専門的な知識がなければ間違えるリスクが高いため、必ず薬剤師のアドバイスを受けるようにしてください。

医師や薬剤師へ相談する

飲み合わせを確認するには、医師や薬剤師へ相談することが一番よい方法です。

飲み合わせに注意が必要な薬剤の組み合わせは非常に多く、専門的知識がなければ判断が難しいです。

ご自身で確認することもできますが、体調や体質などによっても異なるため、必ず医師や薬剤師といった専門家へ相談するようにしましょう。

関連記事:【漢方専門薬剤師監修】漢方薬がなぜ効くのかを科学的視点から解説

漢方薬との飲み合わせに不安がある方は運龍堂にご相談ください!

運龍堂は、漢方薬専門の調剤薬局として、すでに患者様が服用されているお薬や体調、体質を考慮したうえでオーダーメイドの漢方薬を処方させていただいております。

また、オンラインいよる無料相談にも対応しているため、「薬の飲み合わせが大丈夫か知りたい」「今飲んでいる薬と併用できる漢方薬が欲しい」といったお悩みも気軽にご相談いただけます。

漢方薬との飲み合わせにご不安のある方は、ぜひお気軽に運龍堂までご相談ください。

まとめ

自然由来の生薬の組み合わせで作られる漢方薬に対して、「自然由来なら飲み合わせとか気にしないでも大丈夫でしょ」と思われる方は少なくありません。

しかし、生薬や薬効を含むれっきとした「薬」であり、他の薬や健康食品、サプリメントなどとの併用には注意が必要です。

漢方薬との併用が気になっている方は、まずはお気軽に運龍堂までご相談ください。

漢方薬専門の薬剤師が状況を丁寧にヒアリングし、飲み合わせを考慮したオーダーメイドの漢方薬を処方させていただきます。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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