気が散るときに使う漢方
何かに集中したいけど頭が疲れて集中できないときに役立つ素材をご紹介します。羚羊角 (れいようかく)というサイガレイヨウの角を粉末にしたもので、鎮静作用により神経の緊張を和らげる働きがあります。
この生薬(しょうやく)は「頭の換気扇」と呼ばれていて、いわゆる気が散って集中できないときに不安や寝不足などで溜まった頭の疲れを追い出してくれます。
これから受験や資格試験、会社であれば年末に向けてたくさん頭を使う時期になるかと思います。限りある時間とエネルギーを効果的に使うために集中できる環境作りに加えて脳内環境作りにお役立てください。
実際に使用するときには健脳生薬といわれる他の素材と併用することが多いです。
漢方から見た「脳の働き」は実は「腎」の領域が重要です。そこで頭をしっかり働かせるためには脳の栄養となる「腎精(じんせい)」を養う食材や生薬がおすすめです。
おすすめ食材は「栗」です。消化吸収機能をつけながら身体を穏やかに温めてくれます。
脳の栄養不足は集中力の低下だけにとどまらず、物忘れ、認知症にも関係しています。
加齢とともにこれらの機能が衰えてくるのも腎精が関わっているためです。
腎精を最も強力に補う働きがあるのは鹿茸(ろくじょう)という鹿の幼角です。
身体を温める働きのほか、加齢に伴う様々な不調に用いることで改善が期待できます。
羚羊角で溜まった頭の疲れを取り除き、身体の衰えからくる集中力の低下などは鹿茸でしっかり補っていくことが大切です。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任