漢方の効き目とは?効果を引き出す正しい使い方と選び方を紹介
自然由来の生薬を原料とした漢方薬はドラッグストアでも気軽に購入できますが、なんとなく効き目が分かりづらいと感じたことはないでしょうか。
漢方薬は西洋薬に比べて効き目が緩やかで、即効性が期待できる薬ばかりではありません。
本記事では、漢方の効き目の仕組みや効果を引き出すためのコツ、服用の際の注意点なども詳しく解説します。
目次
漢方の効き目の仕組み
漢方は西洋薬に比べて即効性が低く、徐々に症状を改善していくというイメージがありますが、これは漢方の仕組みや考え方が大きく影響しています。
「気・血・水」のバランスを重視
漢方には「気・血・水」という基本的な概念があります。
一言でいえば「気」はエネルギー、「血」は血液をはじめとした栄養素を運ぶもの、「水」は水分のことを指し、これら3つの要素のバランスによって健康が維持されていると考えます。
逆にいえば、体に何らかの不調がある場合には、気・血・水のいずれかが不足していたり、停滞していると考えられます。
そこで、漢方によってこれらのバランスを適正化することで効き目を感じられるようになるのです。
個人の体質や症状に合わせて処方される
漢方のもうひとつの特徴として、その人が抱えている症状はもちろんのこと、体質に合わせて処方されることも重要なポイントです。
たとえば、慢性的なむくみや肩こり、関節痛などの症状が現れやすい人もいれば、そうでない人もいます。
これは普段の生活習慣だけでなく、生まれもった体質が影響しているケースも少なくありません。
症状が現れる頻度や程度、普段の仕事内容、その人の体格なども考慮しながら体質を見極め、最適な漢方が処方されます。
継続的に漢方を服用し続けることにより、徐々に体質が改善していき症状の緩和につながることもあります。
関連記事:のどの痛み・乾燥・痰に効果のある漢方と効果が出るまでの期間について解説
漢方の効き目が期待される場面
漢方の効き目を最大限に発揮できるのは、どういった症状や場面なのでしょうか。
気圧の変化による不調の改善
悪天候によって急激に気圧が変化するとき、頭痛やめまい、倦怠感などの不調を感じることはないでしょうか。
このような症状は、特定の疾患というよりも個人の体質をはじめとしたさまざまな要因が複雑に絡み合い起こるケースが少なくありません。
たとえば、頭痛薬を飲んでも倦怠感が残ったままなど、根本的な解決にはつながらないことも多いでしょう。
そこで、漢方によって「気・血・水」のバランスを整えることで、気の巡りや水分代謝が改善され、不調が起こりにくい体質へと変えられる可能性があります。
メンタルの不調の改善
明確な理由に心当たりがないにもかかわらず、ストレスや不安、イライラといったメンタルの不調を感じる際にも漢方がおすすめです。
これらの症状は気の停滞や陰陽の不調和が原因であると考えられるため、体質や症状に応じたオーダーメイドの漢方を処方することで心身のバランスが整います。
女性特有の症状の改善
女性の場合、月経痛の程度には個人差があるほか、年齢を重ねるにつれて更年期障害などの症状に悩むこともあります。
これらは体の冷えが密接に関わっていることも多いため、血の滞りを改善する漢方を服用することで痛みが軽減されたり、体質改善によって徐々にホルモンバランスが整い、健康的な生活を送れるようになります。
西洋医学との併用による相乗効果
病院で処方されることの多い西洋薬は、特定の症状や疾患に対してピンポイントに効き、即効性も期待できます。
しかし、その一方で胃腸の機能が低下したり、一時的に体力が落ちたりといった副作用をもたらすことも少なくありません。
そこで、西洋薬と漢方を併用することで消化機能を助けたり、あるいは西洋薬の効き目をさらに高める相乗効果も期待できます。
ただし、併用の際は薬の相互作用に注意が必要なため、医師や薬剤師の適切な判断を仰ぐ必要があります。
関連記事:風邪のひきはじめにおすすめの漢方「小青竜湯」|効果や飲み方を解説
漢方の効き目を最大限に引き出すためのポイント
どのような薬であっても、適切な方法で服用しないと効果が半減したり、場合によっては健康被害をもたらすこともあります。
漢方の効き目を最大限に引き出すためには、どういった点に注意すれば良いのでしょうか。
適切な漢方薬の選択
現在ではドラッグストアでも漢方薬が販売されており、処方箋がなくても手軽に購入できます。
しかし、たとえば頭痛の症状が出ていたとしても、その原因や個々の体質に応じて適切な漢方薬を選ばなくてはなりません。
医学的な知識に乏しい一般の方にとっては、どの漢方が最適であるか判断することは難しいため、自己判断ではなく医師や薬剤師に相談して選ぶことが大切です。
正しい服用タイミング
漢方薬の効果を引き出すためには、症状や薬の種類に応じた服用のタイミングを守ることが大切です。
一般的に、空腹時に服用することで吸収が良くなりますが、胃腸が弱い場合は食後に服用することもあります。
市販薬の場合はパッケージや説明書に記載された内容をよく読み、処方薬の場合は薬剤師の指示を確認しておきましょう。
服用方法の工夫
薬と聞くと錠剤や散剤(粉薬)などが一般的ですが、漢方の場合はこれ以外にも煎じ茶という服用方法もあります。
また、漢方薬は自然由来のさまざまな生薬がブレンドされているため、独特の風味があり苦手に感じる方も少なくありません。
どうしても飲みにくい場合は散剤をオブラートに包んだり、少量ずつ飲むなどの工夫をすると良いでしょう。
継続的な服用
漢方薬は必ずしも即効性が期待できるものではなく、体質改善を目的とした長期的な効果を目指すものが多いです。
そのため、途中で服用をやめると十分な効果が得られないことがあります。
医師や薬剤師の指導のもと、一定期間にわたって継続的に服用することで体全体のバランスが徐々に整っていきます。
保存方法の注意
漢方薬は天然の素材を原料としているため、保管の環境によっては品質が劣化しやすくなります。
湿気や高温を避け、冷暗所に保管することを心がけましょう。
また、期限切れの薬を使用すると健康上のリスクが高まったり、薬の効果が減少する可能性もあるため、服用前には必ず使用期限を確認しておきましょう。
漢方の効き目はいつ感じられる?即効性と持続性
漢方薬を服用後、効果が現れるまでどの程度の時間を要するのでしょうか。持続性についても解説します。
継続的な服用でジワジワ効いてくる
これまで解説してきた通り、漢方薬の多くは体質を改善しながら根本的な治癒を目指すものです。
そのため、西洋薬に比べると即効性は決して高くなく、ジワジワと時間をかけて効いてくるのが特徴といえるでしょう。
効果を感じるまでの期間は薬の種類によっても異なりますが、数週間から数ヶ月程度を要することが多いため、その間は継続的な服用が必要です。
また、漢方の服用によって体質が徐々に改善してくると、効き目も長続きする傾向があります。
特に、冷え性や肩こり、慢性的な疲労、女性特有の症状(生理痛や更年期障害など)に対しては体全体のバランスを整えることで徐々に症状を改善していきます。
即効性のある漢方薬も存在する
一方で、即効性のある漢方薬も存在します。
たとえば、「葛根湯」や「麻黄湯」は風邪の初期症状や悪寒、発熱に対して用いられることが多く、服用してから数時間~数日程度で効果を実感できることが多いです。
また、「五苓散」はむくみや頭痛、車酔いに迅速に作用することでも知られています。
これらの漢方薬は特定の症状が出たタイミングで使用するため、ピンポイントな効き目が期待できます。
漢方の効き目に関するよくある質問
漢方を服用しているにもかかわらず、効き目が感じられないなどの不安や疑問を抱く方も少なくありません。
よくある疑問とその対処法を解説しましょう。
効き目が感じられない
漢方の効果を実感するまでに時間がかかることが多いため、まずは薬剤師の指示に従い一定期間の服用を継続してみましょう。
それでも効き目が感じられない場合には、症状や体質に合った薬が選ばれていない可能性があるため、医師や薬剤師に相談し処方を変えてもらうのもひとつの手といえるかもしれません。
また、漢方は西洋薬に比べて副作用のリスクが少ないといわれることが多いですが、まったくリスクがないというわけではないため、体の不調や異常を感じた場合にはただちに服用を中止し、医師または薬剤師へ相談してください。
どれくらいの期間使い続ければ効き目を感じられる?
漢方の効き目が現れるまでの期間は、薬の種類や治療する症状によっても異なります。
たとえば、風邪のひきはじめなど急性症状に対応する漢方薬であれば、数時間から数日で効き目を感じられることが多いです。
一方、慢性的な症状や体質改善を目的とした漢方薬の場合には、効果が出るまでに数週間から数カ月かかることがあります。
そのため、少なくとも2週間程度は継続して服用し、症状の改善具合を観察してみましょう。
関連記事:五苓散の効果がすごい!二日酔いやむくみに効果あり!
オーダーメイド漢方の処方なら運龍堂!
これまで解説してきた通り、漢方はその人の症状や体質に合わせて選ぶことが重要です。
しかし、近所に漢方専門の薬局がなかったり、ドラッグストアで目的の漢方薬が販売されていないというケースもあるでしょう。
そのような場合には、漢方専門の調剤薬局「運龍堂」へお気軽にご相談ください。
運龍堂では患者様一人ひとりの体調を丁寧にヒアリングしたうえで、体質にマッチしたオーダーメイドの漢方を処方しています。
「頭痛や肩こりがひどい」といった明確な症状はもちろんのこと「なんとなく気分が落ち込む」「なんとなく倦怠感がある」といった症状に対してもさまざまな漢方を提案でき、不調の根本原因を解決するお手伝いをさせていただきます。
また、運龍堂ではオンラインによる無料の漢方相談も行っており、ご来店が難しい方でも気軽にご利用いただけます。
まとめ
漢方はその人の体質や症状に合わせて処方され、自然由来の生薬によって少しずつ体質を改善していく効果が期待できます。
西洋薬に比べると即効性が低い薬も多いですが、継続的に服用し続けることで原因が明確ではない症状を改善できる可能性もあります。
漢方の効き目を最大化するためには医師や薬剤師に相談したうえで処方してもらうことが大切です。
近所に漢方専門の薬局がなく、相談できる専門家を見つけられない場合には、運龍堂のオンライン漢方相談をご利用ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任