投稿日:2022.07.11/更新日:2022.10.17

漢方・薬膳料理|お手軽レシピもご紹介

薬膳料理と聞くと身体には良いイメージがあるものの、作るのが難しそうであったり、美味しくないといったネガティブな印象をもっている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、意外にも薬膳料理は簡単に作ることができ、毎日の食事に手軽に取り入れられるのも事実です。

 

そこで今回は、薬膳料理の手軽なレシピを紹介するとともに、薬膳料理を食べることでどのような効果が得られるのかも詳しく解説します。

 

薬膳料理とは


薬膳料理とは、健康を維持するうえでさまざまな効能のある素材を組み合わせた料理のことを指します。

 

東洋において古くから食されてきた料理で、薬膳料理の根本には中国の伝統的な医学である「中医学」や「漢方」の理論がベースとなっています。

 

体質に合わせて食材の性質を考慮し、気(熱)・血・水の流れやバランスを整えるのが目的となっています。

 

薬膳料理には漢方薬や生薬とよばれる天然由来の食材が使用されているイメージを持たれる方も多いですが、日頃から食している野菜やフルーツなども豊富に使用されます。

 

そして、薬膳料理の食材選びにおいて重要となるのが「陰陽」という考え方です。

 

「陰」とは身体を冷やす性質がある食材で、「陽」は身体を温める効果のある食材を指し、それぞれの食材の特徴をうまく取り入れながら料理を作ります。

 

なお、薬膳料理は漢方と密接な関わりがあります。

 

そもそも漢方とは、その人の体質や症状に合わせて自然由来の生薬を組み合わせたり、鍼灸や食養生によって健康を維持する医学のこと。

 

その人の体質を改善するために、食材の機能や性質を組み合わせて作られる薬膳料理は、まさに漢方の考え方とマッチしているのです。

 

日頃から薬膳料理を食事に取り入れることで、「未病」を改善し身体の不調を整える効果が期待されます。

 

未病とは


薬膳料理を摂取することで改善が期待される「未病」とは何なのでしょうか。

 

一言で表すとすれば、文字通り「病気ではないものの、身体に何らかの不調をきたしている状態」が未病にあたります。

 

多くの場合、未病からさまざまな病気の悪化につながっていくとされており、未病を改善することは病気の予防にもなり得ます。

 

中医学や漢方では、人間の五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎、および胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)はそれぞれつながっているという考え方があり、軽度の症状が見られる未病のうちに体質を改善することが重要とされているのです。

 

未病の症状例




では、身体に何らかの不調をきたす未病には、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。今回は、代表的な未病の症状を6つ紹介します。

 

立ちくらみ


椅子から立ち上がったときやベッドから下りて立ち上がったとき、または浴槽から上がったときなどのタイミングで、一時的に貧血のような症状や目まい、ふらつき、意識が遠くなるなどの症状が現れる立ちくらみ。

 

主な原因は、姿勢を変えることで血圧が極度に低下することによって起こるとされており、症状が現れるのは起き上がってから数秒間から数分間程度と個人差があります。

 

ただし、立ちくらみは血圧の極端な低下によってのみ起こるとは限らず、特に若い世代の方の場合は血圧の変化がないにもかかわらず立ちくらみが起こることがあります。

 

若い世代の場合、心拍数が増加する傾向が見られますが、なぜ目まいやふらつきの症状が現れるのかははっきりとわかっていません。

 

頭痛


頭痛も未病の代表的な症状のひとつです。

 

一口に頭痛といっても人によって症状はさまざまで、強烈で鋭い痛みが続くケースや、頭部が締め付けられるように鈍く傷むケース、さらには悪天候や湿度の高い日に頭痛の症状が現れるケースもあります。

 

ただし、すべての頭痛が未病に該当するとは限らず、精密検査を受けることで痛みの原因がはっきりすることもあり、治療を受けずに決めつけることは危険です。

 

未病の症状として頭痛が現れる場合には、全身の血液の流れが悪くなっていたり、胃腸の働きが弱っていたりするケースも珍しくないようです。

 

食欲がない


抵抗力が落ち病気にかかりやすくなると、食欲の低下や胃もたれなどの症状が現れることもあります。

 

抵抗力が落ちる原因はさまざまで、加齢にともない胃腸の働きが弱くなるケースや、慢性的なストレス、身体の冷えなども食欲不振につながることが多いのです。

 

特に、真夏の時期に冷たいものを食べ過ぎた結果、下痢をしやすくなったり、胃に痛みを感じたりすることが多い方は、胃腸が弱く食欲不振を起こす体質ともいえるため注意が必要です。

 

冷え性


季節を問わず身体が冷えやすいと感じている方は、未病に該当する可能性があります。

 

特に手足の指先などの末端部分は、毛細血管まで血がめぐりにくくなり冷えを感じるケースが珍しくありません。

 

冷え性と聞くと冬の時期に起こりやすい症状ととらえられがちですが、夏の時期もクーラーなどで身体が冷えやすくなり油断はできません。

 

クーラーから発せられる冷気は下に滞留しやすいこともあり、つねに空調が整った部屋で仕事をしていると、足が冷えやすくなることも多いのです。

 

また、冷え性と同様に起こりやすいのが”むくみ”です。

 

こちらも血液が循環せず滞留することで起こる症状のひとつで、特に血行が悪くなりがちな下半身にむくみが現れるケースが少なくありません。

 

倦怠感・疲れやすい


身体がだるく思うように動かすことができない、または疲労が溜まりやすいといった症状も未病の典型的な例に挙げられます。

 

客観的に見ると仕事や家事をサボっているようにとらえられがちですが、本人にしてみれば身体が思うように動かずに大変な思いをしています。

 

また、十分な睡眠や休息をとっているにもかかわらず、朝起きた時点で倦怠感が残っていたり、疲れがとれていないケースも少なくありません。

 

このような症状が起こる背景にはさまざまな理由が考えられますが、睡眠の質が悪く十分な休息がとれていない場合もあります。

 

また、慢性的なストレスから不眠に陥ってしまい、疲れがとれないケースも多いようです。

 

肩こり


肩こりも代表的な未病の症状のひとつです。

 

特に、PCに向かって同じ姿勢を維持するデスクワークは肩こりになりやすく、運動不足によって血流が悪くなり頭痛や目まいなどの症状が現れることもあります。

 

また、天気が悪い日に肩こりの症状がひどくなり、仕事のやる気が出ないという方も少なくありません。

 

さらに、物理的な原因によって血流が悪くなり肩こりが起こるだけでなく、ストレスによって身体が緊張状態になり、肩こりが発生しやすくなることもあるのです。

 

未病には薬膳料理がおすすめ




未病の代表的な症状例でも紹介したとおり、多くの場合は血流の悪化やストレスなどが原因であり、複数の症状に関連している場合も珍しくありません。

 

血流を改善しストレスを緩和するためには、適度な運動を心がけることが重要ですが、それとあわせて食事にも気を使う必要があります。

 

その人の体質や未病の症状に合わせて、最適な食材を選ぶことで体調を整える効果が期待できるのです。

 

冒頭でも紹介したとおり、薬膳料理は身体を冷やす性質がある「陰」の食材と、身体を温める効果のある「陽」の食材を組み合わせてつくられます。

 

陰の食材は夏に最適な食材であると同時に、体内にある毒素を排出し便通を整える作用があります。

 

これに対し、陽の食材は身体を温めて冷え性を改善し、血行を良くする効果も期待できるのです。

 

さらに、陰と陽の間には「平」の食材もあり、これは滋養強壮にも効果があるとされています。

 

陰陽、そして平にあたる代表的な食材としては以下が挙げられます。

 

陰の食材

きゅうり、すいか、メロン、バナナ、大根、ほうれん草、トマト、たけのこ、ゴーヤ、セロリ、豆腐、豚肉など

 

平の食材

米、大豆、たまご、鶏肉、山芋、ブロッコリー、牛乳、じゃがいも、にんじん、りんご、ぶどうなど

 

陽の食材

牛肉、アジ、イワシ、エビ、かぼちゃ、玉ねぎ、小松菜、みかん、しょうが、長ネギ、にんにく、コショウ、唐辛子など

 

未病に効果的な薬膳料理のレシピ


慢性的な体調不良を改善するために、未病に効果的な薬膳料理のレシピをいくつか紹介しましょう。

 

薬膳がゆ




陽の食材をふんだんに取り入れた、冷え性に最適の一品です。

 

真冬に身体を温めるために食べるのはもちろんですが、夏の時期に少し冷ましてから食べると冷え性の改善が期待できるでしょう。

 

しょうが、にんにくの香りは食欲を増進する効果があるのと同時に、鶏手羽の臭み消しにも役立ちます。

 

【材料】

米 40cc

鶏手羽 2本

しょうが 薄切り1〜2枚

にんにく 1/2片

水 400cc

鶏ガラスープの素 小さじ1

松の実 4個

クコの実 4個

塩 適量

小松菜 30g

長ネギ 適量

 

【作り方】

1.米、水、鶏手羽、しょうが、にんにく、鶏ガラスープの素、松の実、クコの実を鍋に入れ、強火で沸騰させる

 

2.沸騰したら弱火にかけ、15〜20分ほどとろみが出るまで煮込む

 

3.塩で味を整え、小松菜と長ネギを入れて軽く火を通したら完成

 

薬膳ピクルス




陰の食材を取り入れた、夏にぴったりの常備菜です。

 

夏野菜が豊富に使われており、以下のレシピにある食材以外にもアレンジは自由自在。

 

お好みでピクルス液の味付けもアレンジできます。

 

【材料】

きゅうり 1本

大根 30g

セロリ 30g

にんじん 1/2本

ミニトマト 5個程度

パプリカ 1/2個

水 50cc

ワインビネガー 80cc

砂糖 大さじ3

塩 小さじ1/2

ローリエ 1枚

にんにく 1片(薄切り)

粒胡椒 5粒

鷹の爪 1本

 

【作り方】

1.水、ワインビネガー、砂糖、塩、ローリエ、にんにく、粒胡椒、鷹の爪を混ぜ合わせ、レンジで2分加熱しピクルス液をつくる

 

2.粗熱をとった後、大きめのタッパーや瓶にピクルス液を入れる

 

3.きゅうり、大根、セロリ、にんじん、パプリカを食べやすい長さにカットし、ピクルス液に一晩漬け込んだら完成

 

かつおのたたき




旬のかつおには鉄分が多く含まれており、貧血気味の方に最適な食材であるほか、ポン酢と大葉、みょうがには血流を改善する効果も期待できます。

 

材料さえあれば10分もかからずに調理でき、疲れが溜まって料理をする気力がないときでも素早く食卓に並べられます。

 

【材料】

かつお 100g

にんにく 1片

大葉 3〜4枚

みょうが 2個

ポン酢 大さじ2

オリーブオイル 適量

 

【作り方】

1.かつおを柵のまま直火にかけ、表面を軽く炙る

 

2.一口大の大きさにかつおを切る

 

3.オリーブオイルをフライパンにしき、薄切りにしたにんにくを入れて軽く火を通す

 

4.大きめの皿にかつおを乗せ、大葉、みょうがの千切り、にんにくをトッピングしポン酢をかけたら完成

 

毎日の食卓に薬膳料理を取り入れよう


薬膳料理と聞くと、特殊な漢方薬や生薬が必要であったり、調理方法も難しいのではないかと身構えてしまいがちですが、今回紹介したように日々の食卓に手軽に取り入れられるものも少なくありません。

 

慢性的な頭痛や肩こり、倦怠感などの未病に悩まされている方は、漢方の考え方をもとにした薬膳料理を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

その他の記事では、薬膳スープや薬膳茶など様々な漢方に関する記事を掲載しています。

自宅でも外出先でも元気なカラダにするためにぜひ参考にして下さい。

 

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2022/07/11

漢方・薬膳料理|お手軽レシピもご紹介

薬膳料理と聞くと身体には良いイメージがあるものの、作るのが難しそうであったり、美味しくないといったネガティブな印象をもっている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、意外にも薬膳料理は簡単に作ることができ、毎日の食事に手軽に取り入れられるのも事実です。

 

そこで今回は、薬膳料理の手軽なレシピを紹介するとともに、薬膳料理を食べることでどのような効果が得られるのかも詳しく解説します。

 

薬膳料理とは


薬膳料理とは、健康を維持するうえでさまざまな効能のある素材を組み合わせた料理のことを指します。

 

東洋において古くから食されてきた料理で、薬膳料理の根本には中国の伝統的な医学である「中医学」や「漢方」の理論がベースとなっています。

 

体質に合わせて食材の性質を考慮し、気(熱)・血・水の流れやバランスを整えるのが目的となっています。

 

薬膳料理には漢方薬や生薬とよばれる天然由来の食材が使用されているイメージを持たれる方も多いですが、日頃から食している野菜やフルーツなども豊富に使用されます。

 

そして、薬膳料理の食材選びにおいて重要となるのが「陰陽」という考え方です。

 

「陰」とは身体を冷やす性質がある食材で、「陽」は身体を温める効果のある食材を指し、それぞれの食材の特徴をうまく取り入れながら料理を作ります。

 

なお、薬膳料理は漢方と密接な関わりがあります。

 

そもそも漢方とは、その人の体質や症状に合わせて自然由来の生薬を組み合わせたり、鍼灸や食養生によって健康を維持する医学のこと。

 

その人の体質を改善するために、食材の機能や性質を組み合わせて作られる薬膳料理は、まさに漢方の考え方とマッチしているのです。

 

日頃から薬膳料理を食事に取り入れることで、「未病」を改善し身体の不調を整える効果が期待されます。

 

未病とは


薬膳料理を摂取することで改善が期待される「未病」とは何なのでしょうか。

 

一言で表すとすれば、文字通り「病気ではないものの、身体に何らかの不調をきたしている状態」が未病にあたります。

 

多くの場合、未病からさまざまな病気の悪化につながっていくとされており、未病を改善することは病気の予防にもなり得ます。

 

中医学や漢方では、人間の五臓六腑(肝・心・脾・肺・腎、および胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)はそれぞれつながっているという考え方があり、軽度の症状が見られる未病のうちに体質を改善することが重要とされているのです。

 

未病の症状例




では、身体に何らかの不調をきたす未病には、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。今回は、代表的な未病の症状を6つ紹介します。

 

立ちくらみ


椅子から立ち上がったときやベッドから下りて立ち上がったとき、または浴槽から上がったときなどのタイミングで、一時的に貧血のような症状や目まい、ふらつき、意識が遠くなるなどの症状が現れる立ちくらみ。

 

主な原因は、姿勢を変えることで血圧が極度に低下することによって起こるとされており、症状が現れるのは起き上がってから数秒間から数分間程度と個人差があります。

 

ただし、立ちくらみは血圧の極端な低下によってのみ起こるとは限らず、特に若い世代の方の場合は血圧の変化がないにもかかわらず立ちくらみが起こることがあります。

 

若い世代の場合、心拍数が増加する傾向が見られますが、なぜ目まいやふらつきの症状が現れるのかははっきりとわかっていません。

 

頭痛


頭痛も未病の代表的な症状のひとつです。

 

一口に頭痛といっても人によって症状はさまざまで、強烈で鋭い痛みが続くケースや、頭部が締め付けられるように鈍く傷むケース、さらには悪天候や湿度の高い日に頭痛の症状が現れるケースもあります。

 

ただし、すべての頭痛が未病に該当するとは限らず、精密検査を受けることで痛みの原因がはっきりすることもあり、治療を受けずに決めつけることは危険です。

 

未病の症状として頭痛が現れる場合には、全身の血液の流れが悪くなっていたり、胃腸の働きが弱っていたりするケースも珍しくないようです。

 

食欲がない


抵抗力が落ち病気にかかりやすくなると、食欲の低下や胃もたれなどの症状が現れることもあります。

 

抵抗力が落ちる原因はさまざまで、加齢にともない胃腸の働きが弱くなるケースや、慢性的なストレス、身体の冷えなども食欲不振につながることが多いのです。

 

特に、真夏の時期に冷たいものを食べ過ぎた結果、下痢をしやすくなったり、胃に痛みを感じたりすることが多い方は、胃腸が弱く食欲不振を起こす体質ともいえるため注意が必要です。

 

冷え性


季節を問わず身体が冷えやすいと感じている方は、未病に該当する可能性があります。

 

特に手足の指先などの末端部分は、毛細血管まで血がめぐりにくくなり冷えを感じるケースが珍しくありません。

 

冷え性と聞くと冬の時期に起こりやすい症状ととらえられがちですが、夏の時期もクーラーなどで身体が冷えやすくなり油断はできません。

 

クーラーから発せられる冷気は下に滞留しやすいこともあり、つねに空調が整った部屋で仕事をしていると、足が冷えやすくなることも多いのです。

 

また、冷え性と同様に起こりやすいのが”むくみ”です。

 

こちらも血液が循環せず滞留することで起こる症状のひとつで、特に血行が悪くなりがちな下半身にむくみが現れるケースが少なくありません。

 

倦怠感・疲れやすい


身体がだるく思うように動かすことができない、または疲労が溜まりやすいといった症状も未病の典型的な例に挙げられます。

 

客観的に見ると仕事や家事をサボっているようにとらえられがちですが、本人にしてみれば身体が思うように動かずに大変な思いをしています。

 

また、十分な睡眠や休息をとっているにもかかわらず、朝起きた時点で倦怠感が残っていたり、疲れがとれていないケースも少なくありません。

 

このような症状が起こる背景にはさまざまな理由が考えられますが、睡眠の質が悪く十分な休息がとれていない場合もあります。

 

また、慢性的なストレスから不眠に陥ってしまい、疲れがとれないケースも多いようです。

 

肩こり


肩こりも代表的な未病の症状のひとつです。

 

特に、PCに向かって同じ姿勢を維持するデスクワークは肩こりになりやすく、運動不足によって血流が悪くなり頭痛や目まいなどの症状が現れることもあります。

 

また、天気が悪い日に肩こりの症状がひどくなり、仕事のやる気が出ないという方も少なくありません。

 

さらに、物理的な原因によって血流が悪くなり肩こりが起こるだけでなく、ストレスによって身体が緊張状態になり、肩こりが発生しやすくなることもあるのです。

 

未病には薬膳料理がおすすめ




未病の代表的な症状例でも紹介したとおり、多くの場合は血流の悪化やストレスなどが原因であり、複数の症状に関連している場合も珍しくありません。

 

血流を改善しストレスを緩和するためには、適度な運動を心がけることが重要ですが、それとあわせて食事にも気を使う必要があります。

 

その人の体質や未病の症状に合わせて、最適な食材を選ぶことで体調を整える効果が期待できるのです。

 

冒頭でも紹介したとおり、薬膳料理は身体を冷やす性質がある「陰」の食材と、身体を温める効果のある「陽」の食材を組み合わせてつくられます。

 

陰の食材は夏に最適な食材であると同時に、体内にある毒素を排出し便通を整える作用があります。

 

これに対し、陽の食材は身体を温めて冷え性を改善し、血行を良くする効果も期待できるのです。

 

さらに、陰と陽の間には「平」の食材もあり、これは滋養強壮にも効果があるとされています。

 

陰陽、そして平にあたる代表的な食材としては以下が挙げられます。

 

陰の食材

きゅうり、すいか、メロン、バナナ、大根、ほうれん草、トマト、たけのこ、ゴーヤ、セロリ、豆腐、豚肉など

 

平の食材

米、大豆、たまご、鶏肉、山芋、ブロッコリー、牛乳、じゃがいも、にんじん、りんご、ぶどうなど

 

陽の食材

牛肉、アジ、イワシ、エビ、かぼちゃ、玉ねぎ、小松菜、みかん、しょうが、長ネギ、にんにく、コショウ、唐辛子など

 

未病に効果的な薬膳料理のレシピ


慢性的な体調不良を改善するために、未病に効果的な薬膳料理のレシピをいくつか紹介しましょう。

 

薬膳がゆ




陽の食材をふんだんに取り入れた、冷え性に最適の一品です。

 

真冬に身体を温めるために食べるのはもちろんですが、夏の時期に少し冷ましてから食べると冷え性の改善が期待できるでしょう。

 

しょうが、にんにくの香りは食欲を増進する効果があるのと同時に、鶏手羽の臭み消しにも役立ちます。

 

【材料】

米 40cc

鶏手羽 2本

しょうが 薄切り1〜2枚

にんにく 1/2片

水 400cc

鶏ガラスープの素 小さじ1

松の実 4個

クコの実 4個

塩 適量

小松菜 30g

長ネギ 適量

 

【作り方】

1.米、水、鶏手羽、しょうが、にんにく、鶏ガラスープの素、松の実、クコの実を鍋に入れ、強火で沸騰させる

 

2.沸騰したら弱火にかけ、15〜20分ほどとろみが出るまで煮込む

 

3.塩で味を整え、小松菜と長ネギを入れて軽く火を通したら完成

 

薬膳ピクルス




陰の食材を取り入れた、夏にぴったりの常備菜です。

 

夏野菜が豊富に使われており、以下のレシピにある食材以外にもアレンジは自由自在。

 

お好みでピクルス液の味付けもアレンジできます。

 

【材料】

きゅうり 1本

大根 30g

セロリ 30g

にんじん 1/2本

ミニトマト 5個程度

パプリカ 1/2個

水 50cc

ワインビネガー 80cc

砂糖 大さじ3

塩 小さじ1/2

ローリエ 1枚

にんにく 1片(薄切り)

粒胡椒 5粒

鷹の爪 1本

 

【作り方】

1.水、ワインビネガー、砂糖、塩、ローリエ、にんにく、粒胡椒、鷹の爪を混ぜ合わせ、レンジで2分加熱しピクルス液をつくる

 

2.粗熱をとった後、大きめのタッパーや瓶にピクルス液を入れる

 

3.きゅうり、大根、セロリ、にんじん、パプリカを食べやすい長さにカットし、ピクルス液に一晩漬け込んだら完成

 

かつおのたたき




旬のかつおには鉄分が多く含まれており、貧血気味の方に最適な食材であるほか、ポン酢と大葉、みょうがには血流を改善する効果も期待できます。

 

材料さえあれば10分もかからずに調理でき、疲れが溜まって料理をする気力がないときでも素早く食卓に並べられます。

 

【材料】

かつお 100g

にんにく 1片

大葉 3〜4枚

みょうが 2個

ポン酢 大さじ2

オリーブオイル 適量

 

【作り方】

1.かつおを柵のまま直火にかけ、表面を軽く炙る

 

2.一口大の大きさにかつおを切る

 

3.オリーブオイルをフライパンにしき、薄切りにしたにんにくを入れて軽く火を通す

 

4.大きめの皿にかつおを乗せ、大葉、みょうがの千切り、にんにくをトッピングしポン酢をかけたら完成

 

毎日の食卓に薬膳料理を取り入れよう


薬膳料理と聞くと、特殊な漢方薬や生薬が必要であったり、調理方法も難しいのではないかと身構えてしまいがちですが、今回紹介したように日々の食卓に手軽に取り入れられるものも少なくありません。

 

慢性的な頭痛や肩こり、倦怠感などの未病に悩まされている方は、漢方の考え方をもとにした薬膳料理を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

その他の記事では、薬膳スープや薬膳茶など様々な漢方に関する記事を掲載しています。

自宅でも外出先でも元気なカラダにするためにぜひ参考にして下さい。

 

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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