投稿日:2025.02.27/更新日:2025.02.27

【専門家が解説】妊活に効果的な漢方とは?選び方とおすすめ漢方薬

風邪や胃腸の調子が悪いときに、漢方薬を服用する方は少なくないでしょう。

しかし、体の不調を整える効果が期待できる漢方薬が、妊活にも効果が期待できることをご存じの方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、漢方が妊活に有効な理由と、おすすめの漢方薬や選び方を詳しくご紹介します。

「妊活を検討している」「妊活で悩んでいる」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

【そもそも】妊活に漢方は有効なのか?

「妊活において漢方が有効なのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

厳密にいえば、漢方が直接的に妊活に有効ということではありません。漢方によって体の調子や女性のホルモンバランスを整えることによって、妊活にも有効になるということです。

漢方は黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモン、プロゲステロンといった卵胞発育や妊娠維持に必要なホルモンを、分泌促進させる効果があるといわれています。

女性の繊細なホルモンは、様々なストレスによってバランスを崩しやすく、月経不順や無月経などの症状を発症する場合があります。

適切な漢方を服用することで、体調や女性ホルモンのバランスを整えることが、妊活にもつながる理由です。

妊活におすすめの代表的な漢方薬と特徴

妊活におすすめの代表的な漢方薬を、6つご紹介します。

ご紹介する漢方薬は、実際に不妊治療の一環として、体質改善を目的として処方されることもあるものです。

しかし、市販されている漢方薬はあくまでも自己判断での服用となり、妊活への効果が得られるとはかぎりません。

実際に妊活のために検討されるときは、専門医へ相談するか、漢方の処方を専門としている調剤薬局へ相談するとよいでしょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、月経不順などのお悩みを改善することに効果が期待できます。

月経不順のほかに冷え性や更年期障害、肩こりや頭痛など、女性ならではの幅広い症状に用いられる漢方薬です。

産婦人科でも処方されることもあるので、女性の不調に対するさまざまなお悩みに効果が期待できます。

関連記事:当帰芍薬散にはどんな効果がある?気になる副作用や長期の服用についても徹底解説

温経湯(うんけいとう)

ホルモンバランスの乱れや冷え性による月経不順・月経不良に効果が期待できる漢方薬が、温経湯(うんけいとう)です。

体を内側から温めるための生薬が配合されているため、冷え性なのに手足だけがほてるといった症状にも用いられます。

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)と診断されたときに処方されることがありますが、自己判断で市販薬を服用しても効果は期待できません。

多嚢胞性卵巣症候群と診断されて温経湯の服用を検討するときは、診断をした主治医の指示にしたがって服用・治療をするようにしましょう。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、加齢による生殖機能の低下に効果が期待できるため、高齢不妊の方に用いられます。

生殖機能の改善だけでなく、頻尿や冷え性の改善にも効果が期待できる漢方薬です。

八味地黄丸は、女性の妊活のためだけでなく、男性の生殖能力を改善する漢方薬として、男性も妊活に参加するために処方されています。

男性向けの漢方薬ですが、冷え性などで体を温める目的で女性が服用することもあります。

関連記事:八味地黄丸の効果とは?女性におすすめの理由や副作用を徹底解説

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れやすい体質や、全身の倦怠感を改善するために用いられる漢方薬が、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。その他にも、胃腸などの不調のときに服用することがあります。

ストレスによる生殖機能の不調は、女性だけでなく男性にも起こる可能性があります。

疲れやすさや倦怠感など、ストレスによる心身の不調に効果が期待できるので、男性側の不妊改善に役立つ漢方薬です。

八味地黄丸と同様に、妊活では男性が服用する場合が多いですが、疲れやすかったり倦怠感があったりする女性も服用できます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

当帰芍薬散と同じように、血行の改善をするために用いられることが多い漢方薬が、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。

卵巣を刺激するためのホルモンを分泌する臓器や、ホルモンを受け取る臓器への血流を促すことで、不妊症の体質改善を目指します。

さまざまな臓器の不調改善を目指すことで、卵巣機能不全症に対する効果も期待できる漢方薬です。

関連記事:桂枝茯苓丸とは?効果や飲み合わせの注意を徹底解説

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

セリ科の植物の根を主成分とした婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は、冷え性や月経不順、不妊症などに対して効果が期待できる漢方薬です。

これまでご紹介した漢方薬と同じように血の巡りをよくし、女性特有の体に関する不調の改善を目指します。

血行の不調による冷え性などのほか、腹痛や肩こり・のぼせといった症状にも効果が期待でき、妊活だけでなく健康と美容のために服用する方もいらっしゃいます。

妊活中に注意すべき漢方はある?

天然の生薬を処方した漢方薬も、お薬の一つです。

体質や不調の原因に適した漢方薬を選択しないと、皮疹や胃腸の痛みといった副作用が出る可能性があり、注意が必要です。

なかでも、麻黄(まおう)や大黄(だいおう)を含む漢方薬を服用するときは、気をつける必要があります。

ここでは、なぜ麻黄と大黄に注意が必要なのか、理由を解説します。

麻黄(まおう)を含む漢方

麻黄は、服用することで興奮や血圧上昇、動悸や頻脈などの副作用が出ることがあります。

妊娠していることに気づかないまま服用を続けることで、血圧の上昇や胎盤への血流低下が起き、母体や胎児に影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

大黄(だいおう)を含む漢方

大黄は、血流の改善のほかに便通をよくする効果が期待できる生薬です。

そのため、体力が落ちていたり胃腸が弱かったりする方が服用を続けると、腹痛や下痢、食欲不振などの副作用が現れることがあります。

麻黄と同様に、妊娠に気づかないまま服用を継続した場合、子宮収縮による流早産のリスクがあります。

妊活のために服用している漢方薬に麻黄や大黄が含まれている場合は、妊娠の兆候があった段階で服用を控えるようにしましょう。

関連記事:麻黄湯の効果について解説|飲むタイミングは?インフルエンザに効く?​

妊活中の漢方選びのポイント

妊活中の方が漢方薬の服用を検討するとき、次に挙げる3つのポイントをおさえて選ぶことが大切です。

  • ・元々の体質を考慮して選ぶ
  • ・吐き気を催すにおいを理解しておく
  • ・漢方専門医に相談する

一つずつ詳しく解説するので、漢方薬を検討するときの参考にしてはいかがでしょうか。

元々の体質を考慮して選ぶ

妊活のために漢方薬を服用する理由は、漢方薬によって体調とホルモンのバランスを整えて、自然な状態で妊娠力を高めることが目的です。

そのため妊娠のために漢方薬を選ぶのではなく、患者様の体の不調を改善するための漢方薬を選ぶことが大切です。

妊娠力を高めるために改善すべき体の不調には、以下のようなことが挙げられます。

  • ・冷え性の改善(ホルモンバランスの改善)
  • ・体内水分量の改善
  • ・ストレスの軽減

冷え性の方は血の巡りを改善できる漢方薬を選びましょう。血流をよくすることで、臓器にも血が巡り、ホルモンバランスを整えるサポートをしてくれます。

軟便がお悩みの方の場合は、便通を改善して、体内の水分量を調整できる漢方薬を選ぶことがおすすめです。

このように、抱えている不調を考慮し、改善して妊娠力を高められるような漢方薬を選ぶことが大切です。

漢方薬によってホルモンバランスや自律神経を整えることは、妊活中の不安やストレスの軽減にもつながるでしょう。

吐き気を催すにおいを理解しておく

漢方薬は複数の生薬を配合して処方されているため、独特なにおいを放つものがあります。

また、体質によっては胃に不快感を及ぼすこともあります。

特に妊娠中の場合、悪阻によってにおいに敏感になる方が少なくありません。

漢方薬のにおいが原因で吐き気を催す可能性があることを理解しておきましょう。

漢方専門医に相談する

すでにご紹介したとおり、漢方薬は患者様の体の不調に合わせて、体質改善を目指したものを選ぶ必要があります。

そのため、自己判断で漢方薬を選んでも、期待した効果がみられないことがあります。

妊活のために漢方薬を用いて体質の改善を目指すときは、漢方専門医に相談し、抱えている症状や体質に合った漢方薬の処方をしてもらうことが大切です。

妊活中に漢方薬を飲んでいた人の体験談

ここからは、実際に妊活中に漢方薬を飲んでいた方の体験談をご紹介します。

  • ・結婚3年めから妊活で漢方の服用を始めました。 すぐに妊娠しましたが、結果は流産。
  • とてもショックでしたが「妊娠できない体ではない」ということがわかったので、諦めずに漢方を服用しながら妊活を続け、1年も経たずに無事妊娠・出産をすることができました。

参考URL:カウンセリングを受けて漢方飲み始めたら、すぐ妊娠しました

  • ・夫婦で検査したところ、夫婦共にホルモンなどの数値が悪いことがわかりました。
  • 不妊治療と並行して漢方薬による体質改善を目指したところ、月経周期が一定になり、基礎体温による排卵時期もわかるようになりました。

    漢方の服用を始めてから半年後に妊娠がわかり、無事に元気な男の子を出産しました。

参考URL:漢方で夫婦一緒に体質改善、不妊治療と併用して妊娠・出産できました

【Q&A】妊活と漢方についてのよくある質問

妊活で漢方薬を用いたとき、「いつから飲めばよいかわからない」「妊娠中も服用していいのかわからない」といったご質問をいただきます。

ここでは、妊活で漢方薬を検討した方からご相談をいただいたときに、よくいただくご質問をご紹介します。

漢方はいつから飲み始めるべき?

漢方薬は、服用を始めてすぐに効果が得られるものではありません。患者様ごとに処方をし、継続して服用することでゆっくりと体質の改善を目指します。

そのため、妊活のために漢方薬を服用するときは、妊活のスタートを決めた段階で早めに服用することをおすすめします。

漢方の服用を止めるタイミングは?

本記事でご紹介した妊活におすすめの漢方薬は、血流の改善作用がある生薬などを配合しているものが多いです。

妊娠中にそれらの漢方薬を服用した場合、血圧の上昇や早産のリスクが高まる可能性があります。妊娠がわかった時点で服用を止めるようにしましょう。

妊娠中も冷え性などで悩まれる場合は、主治医や漢方専門医に相談のうえで、妊娠中でも服用できる漢方薬の処方を相談してください。

妊娠初期も漢方を飲んでいいの?

妊娠初期の場合、風邪や花粉症などの一般的な市販薬が飲めない場合があります。

漢方薬は生薬で作られており、妊娠中でも服用できるものがたくさんあります。ただし、自己判断で市販の漢方薬を服用することはおすすめできません。

患者様ごとに体質は異なり、成分だけ読んでも妊娠中に飲めるかどうかの判断が難しいためです。

妊娠中も漢方薬の服用がしたいときは、主治医や漢方専門医に相談をしたうえで服用をしてください。

運龍堂はオーダーメイド漢方を処方

妊活のための漢方薬は、体質改善を促し、妊娠力を高める効果が期待できます。

雲龍堂では、妊活に悩んでいる方の悩みを丁寧にお伺いし、体質や症状に適した漢方薬を処方いたします。

妊娠力を高めるためには、患者様一人ひとりの体質や抱えている症状によってオーダーメイドの漢方薬の服用をおすすめします。

妊活で漢方薬を検討されている方は、まずはお気軽にオンラインによる無料漢方相談をご利用ください。お悩みをお伺いしたうえで、適切な漢方薬のご提案をさせていただきます。

まとめ

漢方薬は、自然由来の生薬を継続して服用することで、体質の改善を目指すためのお薬です。

患者様一人ひとりに適した漢方薬を服用することで、血行やホルモンバランスの改善、ストレスの緩和など妊娠力向上の手助けをしてくれます。

「妊活のための漢方薬がわからない」「自分の体質に合った漢方薬が欲しい」と悩んでいる方は、ぜひ雲龍堂のオンライン漢方相談をご利用ください。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2025/02/27

【専門家が解説】妊活に効果的な漢方とは?選び方とおすすめ漢方薬

風邪や胃腸の調子が悪いときに、漢方薬を服用する方は少なくないでしょう。

しかし、体の不調を整える効果が期待できる漢方薬が、妊活にも効果が期待できることをご存じの方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、漢方が妊活に有効な理由と、おすすめの漢方薬や選び方を詳しくご紹介します。

「妊活を検討している」「妊活で悩んでいる」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

【そもそも】妊活に漢方は有効なのか?

「妊活において漢方が有効なのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

厳密にいえば、漢方が直接的に妊活に有効ということではありません。漢方によって体の調子や女性のホルモンバランスを整えることによって、妊活にも有効になるということです。

漢方は黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモン、プロゲステロンといった卵胞発育や妊娠維持に必要なホルモンを、分泌促進させる効果があるといわれています。

女性の繊細なホルモンは、様々なストレスによってバランスを崩しやすく、月経不順や無月経などの症状を発症する場合があります。

適切な漢方を服用することで、体調や女性ホルモンのバランスを整えることが、妊活にもつながる理由です。

妊活におすすめの代表的な漢方薬と特徴

妊活におすすめの代表的な漢方薬を、6つご紹介します。

ご紹介する漢方薬は、実際に不妊治療の一環として、体質改善を目的として処方されることもあるものです。

しかし、市販されている漢方薬はあくまでも自己判断での服用となり、妊活への効果が得られるとはかぎりません。

実際に妊活のために検討されるときは、専門医へ相談するか、漢方の処方を専門としている調剤薬局へ相談するとよいでしょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、月経不順などのお悩みを改善することに効果が期待できます。

月経不順のほかに冷え性や更年期障害、肩こりや頭痛など、女性ならではの幅広い症状に用いられる漢方薬です。

産婦人科でも処方されることもあるので、女性の不調に対するさまざまなお悩みに効果が期待できます。

関連記事:当帰芍薬散にはどんな効果がある?気になる副作用や長期の服用についても徹底解説

温経湯(うんけいとう)

ホルモンバランスの乱れや冷え性による月経不順・月経不良に効果が期待できる漢方薬が、温経湯(うんけいとう)です。

体を内側から温めるための生薬が配合されているため、冷え性なのに手足だけがほてるといった症状にも用いられます。

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)と診断されたときに処方されることがありますが、自己判断で市販薬を服用しても効果は期待できません。

多嚢胞性卵巣症候群と診断されて温経湯の服用を検討するときは、診断をした主治医の指示にしたがって服用・治療をするようにしましょう。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸(はちみじおうがん)は、加齢による生殖機能の低下に効果が期待できるため、高齢不妊の方に用いられます。

生殖機能の改善だけでなく、頻尿や冷え性の改善にも効果が期待できる漢方薬です。

八味地黄丸は、女性の妊活のためだけでなく、男性の生殖能力を改善する漢方薬として、男性も妊活に参加するために処方されています。

男性向けの漢方薬ですが、冷え性などで体を温める目的で女性が服用することもあります。

関連記事:八味地黄丸の効果とは?女性におすすめの理由や副作用を徹底解説

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

疲れやすい体質や、全身の倦怠感を改善するために用いられる漢方薬が、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。その他にも、胃腸などの不調のときに服用することがあります。

ストレスによる生殖機能の不調は、女性だけでなく男性にも起こる可能性があります。

疲れやすさや倦怠感など、ストレスによる心身の不調に効果が期待できるので、男性側の不妊改善に役立つ漢方薬です。

八味地黄丸と同様に、妊活では男性が服用する場合が多いですが、疲れやすかったり倦怠感があったりする女性も服用できます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

当帰芍薬散と同じように、血行の改善をするために用いられることが多い漢方薬が、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。

卵巣を刺激するためのホルモンを分泌する臓器や、ホルモンを受け取る臓器への血流を促すことで、不妊症の体質改善を目指します。

さまざまな臓器の不調改善を目指すことで、卵巣機能不全症に対する効果も期待できる漢方薬です。

関連記事:桂枝茯苓丸とは?効果や飲み合わせの注意を徹底解説

婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)

セリ科の植物の根を主成分とした婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)は、冷え性や月経不順、不妊症などに対して効果が期待できる漢方薬です。

これまでご紹介した漢方薬と同じように血の巡りをよくし、女性特有の体に関する不調の改善を目指します。

血行の不調による冷え性などのほか、腹痛や肩こり・のぼせといった症状にも効果が期待でき、妊活だけでなく健康と美容のために服用する方もいらっしゃいます。

妊活中に注意すべき漢方はある?

天然の生薬を処方した漢方薬も、お薬の一つです。

体質や不調の原因に適した漢方薬を選択しないと、皮疹や胃腸の痛みといった副作用が出る可能性があり、注意が必要です。

なかでも、麻黄(まおう)や大黄(だいおう)を含む漢方薬を服用するときは、気をつける必要があります。

ここでは、なぜ麻黄と大黄に注意が必要なのか、理由を解説します。

麻黄(まおう)を含む漢方

麻黄は、服用することで興奮や血圧上昇、動悸や頻脈などの副作用が出ることがあります。

妊娠していることに気づかないまま服用を続けることで、血圧の上昇や胎盤への血流低下が起き、母体や胎児に影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

大黄(だいおう)を含む漢方

大黄は、血流の改善のほかに便通をよくする効果が期待できる生薬です。

そのため、体力が落ちていたり胃腸が弱かったりする方が服用を続けると、腹痛や下痢、食欲不振などの副作用が現れることがあります。

麻黄と同様に、妊娠に気づかないまま服用を継続した場合、子宮収縮による流早産のリスクがあります。

妊活のために服用している漢方薬に麻黄や大黄が含まれている場合は、妊娠の兆候があった段階で服用を控えるようにしましょう。

関連記事:麻黄湯の効果について解説|飲むタイミングは?インフルエンザに効く?​

妊活中の漢方選びのポイント

妊活中の方が漢方薬の服用を検討するとき、次に挙げる3つのポイントをおさえて選ぶことが大切です。

  • ・元々の体質を考慮して選ぶ
  • ・吐き気を催すにおいを理解しておく
  • ・漢方専門医に相談する

一つずつ詳しく解説するので、漢方薬を検討するときの参考にしてはいかがでしょうか。

元々の体質を考慮して選ぶ

妊活のために漢方薬を服用する理由は、漢方薬によって体調とホルモンのバランスを整えて、自然な状態で妊娠力を高めることが目的です。

そのため妊娠のために漢方薬を選ぶのではなく、患者様の体の不調を改善するための漢方薬を選ぶことが大切です。

妊娠力を高めるために改善すべき体の不調には、以下のようなことが挙げられます。

  • ・冷え性の改善(ホルモンバランスの改善)
  • ・体内水分量の改善
  • ・ストレスの軽減

冷え性の方は血の巡りを改善できる漢方薬を選びましょう。血流をよくすることで、臓器にも血が巡り、ホルモンバランスを整えるサポートをしてくれます。

軟便がお悩みの方の場合は、便通を改善して、体内の水分量を調整できる漢方薬を選ぶことがおすすめです。

このように、抱えている不調を考慮し、改善して妊娠力を高められるような漢方薬を選ぶことが大切です。

漢方薬によってホルモンバランスや自律神経を整えることは、妊活中の不安やストレスの軽減にもつながるでしょう。

吐き気を催すにおいを理解しておく

漢方薬は複数の生薬を配合して処方されているため、独特なにおいを放つものがあります。

また、体質によっては胃に不快感を及ぼすこともあります。

特に妊娠中の場合、悪阻によってにおいに敏感になる方が少なくありません。

漢方薬のにおいが原因で吐き気を催す可能性があることを理解しておきましょう。

漢方専門医に相談する

すでにご紹介したとおり、漢方薬は患者様の体の不調に合わせて、体質改善を目指したものを選ぶ必要があります。

そのため、自己判断で漢方薬を選んでも、期待した効果がみられないことがあります。

妊活のために漢方薬を用いて体質の改善を目指すときは、漢方専門医に相談し、抱えている症状や体質に合った漢方薬の処方をしてもらうことが大切です。

妊活中に漢方薬を飲んでいた人の体験談

ここからは、実際に妊活中に漢方薬を飲んでいた方の体験談をご紹介します。

  • ・結婚3年めから妊活で漢方の服用を始めました。 すぐに妊娠しましたが、結果は流産。
  • とてもショックでしたが「妊娠できない体ではない」ということがわかったので、諦めずに漢方を服用しながら妊活を続け、1年も経たずに無事妊娠・出産をすることができました。

参考URL:カウンセリングを受けて漢方飲み始めたら、すぐ妊娠しました

  • ・夫婦で検査したところ、夫婦共にホルモンなどの数値が悪いことがわかりました。
  • 不妊治療と並行して漢方薬による体質改善を目指したところ、月経周期が一定になり、基礎体温による排卵時期もわかるようになりました。

    漢方の服用を始めてから半年後に妊娠がわかり、無事に元気な男の子を出産しました。

参考URL:漢方で夫婦一緒に体質改善、不妊治療と併用して妊娠・出産できました

【Q&A】妊活と漢方についてのよくある質問

妊活で漢方薬を用いたとき、「いつから飲めばよいかわからない」「妊娠中も服用していいのかわからない」といったご質問をいただきます。

ここでは、妊活で漢方薬を検討した方からご相談をいただいたときに、よくいただくご質問をご紹介します。

漢方はいつから飲み始めるべき?

漢方薬は、服用を始めてすぐに効果が得られるものではありません。患者様ごとに処方をし、継続して服用することでゆっくりと体質の改善を目指します。

そのため、妊活のために漢方薬を服用するときは、妊活のスタートを決めた段階で早めに服用することをおすすめします。

漢方の服用を止めるタイミングは?

本記事でご紹介した妊活におすすめの漢方薬は、血流の改善作用がある生薬などを配合しているものが多いです。

妊娠中にそれらの漢方薬を服用した場合、血圧の上昇や早産のリスクが高まる可能性があります。妊娠がわかった時点で服用を止めるようにしましょう。

妊娠中も冷え性などで悩まれる場合は、主治医や漢方専門医に相談のうえで、妊娠中でも服用できる漢方薬の処方を相談してください。

妊娠初期も漢方を飲んでいいの?

妊娠初期の場合、風邪や花粉症などの一般的な市販薬が飲めない場合があります。

漢方薬は生薬で作られており、妊娠中でも服用できるものがたくさんあります。ただし、自己判断で市販の漢方薬を服用することはおすすめできません。

患者様ごとに体質は異なり、成分だけ読んでも妊娠中に飲めるかどうかの判断が難しいためです。

妊娠中も漢方薬の服用がしたいときは、主治医や漢方専門医に相談をしたうえで服用をしてください。

運龍堂はオーダーメイド漢方を処方

妊活のための漢方薬は、体質改善を促し、妊娠力を高める効果が期待できます。

雲龍堂では、妊活に悩んでいる方の悩みを丁寧にお伺いし、体質や症状に適した漢方薬を処方いたします。

妊娠力を高めるためには、患者様一人ひとりの体質や抱えている症状によってオーダーメイドの漢方薬の服用をおすすめします。

妊活で漢方薬を検討されている方は、まずはお気軽にオンラインによる無料漢方相談をご利用ください。お悩みをお伺いしたうえで、適切な漢方薬のご提案をさせていただきます。

まとめ

漢方薬は、自然由来の生薬を継続して服用することで、体質の改善を目指すためのお薬です。

患者様一人ひとりに適した漢方薬を服用することで、血行やホルモンバランスの改善、ストレスの緩和など妊娠力向上の手助けをしてくれます。

「妊活のための漢方薬がわからない」「自分の体質に合った漢方薬が欲しい」と悩んでいる方は、ぜひ雲龍堂のオンライン漢方相談をご利用ください。

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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