風邪のひきはじめにおすすめの漢方「小青竜湯」|効果や飲み方を解説
風邪のひきはじめに、鼻水やくしゃみで辛い経験をしたことはないでしょうか。
風邪の諸症状に効果的な漢方薬にはさまざまなものがありますが、特に鼻水に有効とされているのが「小青竜湯」です。
小青竜湯を飲むことでどのような効果が期待できるのか、正しい飲み方や漢方薬の味が苦手な方におすすめの飲み方などもあわせてご紹介します。
目次
小青竜湯とは
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)とは、咳やたん、鼻水といった風邪の諸症状を緩和するために使用されることの多い漢方薬です。
小青竜湯は主に以下の生薬が配合されており、体温を上昇させることで症状を緩和する働きが期待できるため、冷え性の人にも適しています。
- 麻黄(マオウ):発汗作用・解熱作用
- 桂皮(ケイヒ):鎮痛作用・体温を上昇させ血行を促進
- 芍薬(シャクヤク):鎮痛作用・筋肉の緊張を緩和
- 五味子(ゴミシ):鎮咳作用・去痰作用
- 乾姜(カンキョウ):鎮咳作用・体温を上昇させ胃腸の不調を改善
- 細辛(サイシン):鎮咳作用・抗炎症作用・解熱作用
- 甘草(カンゾウ):鎮咳作用・胃腸の不調を改善
- 半夏(ハンゲ):去痰作用
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小青竜湯の効果
小青竜湯はどのような症状が見られる場合に効果を実感しやすいのでしょうか。代表的な諸症状の一例をご紹介します。
風邪の初期症状の緩和
小青竜湯には、五味子(ゴミシ)や乾姜(カンキョウ)、細辛(サイシン)、甘草(カンゾウ)など鎮咳作用が期待できる生薬が豊富に含まれています。
そのため、風邪の初期症状である咳やたんなどを緩和する効果が期待できます。
また、体温を上昇させ水分の代謝を促す効果も期待できるため、寒気を感じる場合や透明で水っぽい鼻水が出る場合にも効果的です。
気管支炎や喘息の改善
頻繁に咳やくしゃみなどが出るようになると、喉や気管に炎症が発生し、気管支炎や喘息を悪化させる原因にもなります。
鎮咳作用のある小青竜湯を服用することで咳が徐々に治まり、呼吸器の炎症を抑えながら痰の排出を促進することで、呼吸が楽になっていきます。
神経痛や筋肉痛の緩和
小青竜湯に含まれる桂皮(ケイヒ)や芍薬(シャクヤク)といった生薬には、筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和する作用があります。
これにより、神経痛や筋肉痛の症状を改善する効果も期待できるでしょう。
消化器系の不調改善
水分の摂りすぎやストレス、周囲の環境の変化などが原因で水分代謝が正常に行われにくくなると、消化不良や胃もたれ、腹部のハリなどの症状が現れることがあります。
乾姜(カンキョウ)や半夏(ハンゲ)などの生薬には胃腸の機能を助ける働きがあり、消化器系の不調改善に役立ちます。
体質改善と免疫力向上
小青竜湯は体を温めることで血行を促進し、新陳代謝を高める効果があります。
慢性的な冷え性に悩む方はもちろん「代謝が悪く太りやすい」「むくみやすい体質にお悩みの方」
あるいは「病気にかかりやすく免疫力を向上させたい」とお考えの方にもおすすめの漢方薬といえるでしょう。
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小青竜湯は喉の痛みに効く?
先述の通り、小青竜湯は風邪のひきはじめの段階で処方されることが多い漢方薬ですが、喉の痛みに効果は期待できるのでしょうか。
小青竜湯は、喉の痛みや炎症に直接作用して症状を改善するというものではありません。
あくまでも、咳やたん、鼻水を緩和するために処方されることが多い漢方薬です。
咳を頻繁に繰り返していると喉の炎症を招きますが、咳を鎮めることで喉を安静な状態にしていれば、間接的に痛みを緩和できる可能性はあるでしょう。
そのため、たとえば咳やたんは出ておらず、喉の痛みだけを感じる場合には小青竜湯以外の薬を検討しなければなりません。
小青竜湯の正しい飲み方は?
薬の効き目を高めるためには、用量や服用のタイミングを守り正しく飲むことが大切です。小青竜湯の飲み方や服用時の注意点をご紹介しましょう。
基本的な飲み方
小青竜湯は主に処方薬と市販薬がありますが、処方薬の場合は医師や薬剤師の指示に従って服用します。
市販薬の場合は製品によっても用量が変わることはありますが、基本的に15歳以上の成人であれば1回あたり1包、食前または食間のタイミングで1日3回を服用します。
また、15歳未満の小児および乳幼児の場合は、1回あたりの用量が1/2包や1/3包など定められているため、パッケージや説明書を確認しておきましょう。
小青竜湯は顆粒状の製品が多いため、水またはぬるめのお湯と一緒に服用します。
ちなみに、緑茶やコーヒー、ジュースなどと一緒に飲むと薬の効果に影響を与える可能性もあるため、水またはお湯で飲むことが大切です。
服用の注意点
以下に該当する人は服用前に医師または薬剤師に相談が必要です。
- 何らかの病気を治療している人
- 妊婦または妊娠している可能性がある人
- 高齢者・体力が衰えている人・虚弱体質の人
- 胃腸が弱い人
- 発汗量が多い人
- 過去に薬を服用し発疹や発赤、かゆみなどが現れたことがある人
- 高血圧・心臓病・腎臓病・甲状腺機能障害のいずれかを診断された人
また、上記に該当しない場合でも、体質によっては以下の症状が現れることもあります。
異常が見られた場合には、即座に服用を中止し医師の診察を受けてください。
- 発疹・発赤
- かゆみ
- 吐き気
- 食欲不振
- 胃もたれ・胃の不快感
飲みやすくするには
顆粒状の漢方薬は体内に素早く吸収されるよう溶けやすいのが特徴ですが、強い苦みもあるため飲みにくいと感じる方も多いでしょう。
そこで、漢方薬を飲みやすくする工夫をいくつかご紹介します。
【水を口に含んだ状態で薬を飲む】
もっとも簡単なのは、水を口に含んだ後に薬を飲む方法です。
薬が直接舌に触れることがないため、漢方薬の苦みや香りを緩和することができ、薬の後味が残る心配もありません。
また、顆粒のザラザラ感が口に残って飲みにくいと感じる場合には、お湯に溶かして飲む方法もおすすめです。
【オブラートや服薬ゼリーを使う】
わずかな苦みや香りでも抵抗がある方は、オブラートや服薬ゼリーと一緒に服用する方法もあります。
オブラートが口内にくっついて飲みにくい場合には、薬を包んだオブラートを水に浸すことで飲みやすくなります。
また、服薬ゼリーはフルーツなどの風味が付いたものも販売されているため、味覚が敏感なお子様でも飲みやすくなるでしょう。
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小青竜湯が効かないときは?
漢方薬と聞くと長期間にわたって継続的に服用しなければ効果が期待できないのではないか、というイメージを抱く方も多いと思います。
しかし、小青竜湯は即効性が期待できる漢方薬です。
ただし、たとえば鼻水が出る原因は風邪以外にもさまざまな疾患が考えられ、花粉症のようなアレルギー性鼻炎には小青竜湯が効かないケースもあります。
その場合には「麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)」「苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)」などの漢方薬を併用すると、症状を緩和できる可能性があります。
小青竜湯を飲んでいるのに症状が緩和されないという方は、まずは医師や薬剤師に相談し、適切な薬を処方してもらうことが大切です。
運龍堂では一人ひとりに合わせたオーダーメイドの漢方を処方
小青竜湯は市販薬としても販売されており、ドラッグストアでも手軽に購入できます。
しかし、すべての人に対して十分な効果を発揮できるとは限らず、症状の程度や体質によっては思うような効果が得られないこともあります。
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gd2md-html: xyzzy Wed Jul 17 2024
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任