冬の乾燥対策
ある医療機関ではインフルエンザ患者数が現時点で昨年の6倍くらいのところもあるそうです。寒さと乾燥がこれらの流行に関わっていますが、忘れてはならないのが自分の身体側の問題です。
身体のどこかが乾いている実感のある方は要注意です。お肌に限らず喉、口、眼、鼻などいつもより乾燥を感じている場合、体内の潤い不足が起きています。
これら身体の乾燥もインフルエンザの流行に関わっているはずです。
部屋で加湿器を使ってもある程度の表面的な保湿はできても衰えた水分保持の働きまでは補ってくれません。
ではそもそも身体の潤いには何が大切かを考える必要があります。
漢方では老化と関係の深い五臓の「腎(じん)」の働きが衰えると水分代謝と保湿のバランスが崩れてしまいます。
腎が衰えていると水分を意識して取っても乾燥してしまいます。
つまり、何もしなければ加齢とともに年々自分の身体は乾いてきてしまいます。
反対に、漢方の力を活用してしっかりと「腎」を補うことで乾燥対策にとどまらず、アンチエイジング(抗老化)も可能となります。
ここでは腎の働きを補い、潤いをサポートする「亀板(きばん)」をご紹介していきます。
亀板はクサガメなどの甲羅を煮詰めて固形の膠(にかわ)にして用いられます。漢方では寿命を全うさせる素材を上品(じょうほん)といいます。亀板もこの上品に分類されているまさに優れたアンチエイジング素材です。
成分としてはゼラチンやコラーゲンなど含んでいることが知られており、補陰(ほいん)の働きで体内の血(けつ)や潤いを補うといわれています。
陰が不足している状態、のぼせやほてりをはじめとして身体のあらゆる乾燥感がみられる場合におすすめです。
冬の乾燥によって美容にも健康にも悪影響が及ぶ前に、身体のどこかに乾燥を感じる方にはぜひ活用していただきたい素材です。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任