十全大補湯のすごい効果について|自律神経への効果が出るまでの期間は?
疲労の蓄積やストレスによる不調の改善におすすめの漢方薬が「十全大補湯」です。
十全大補湯は主に自律神経からくる不調に効果があるとされています。
古来から愛用されている漢方薬が、ストレス社会に生きる我々現代人を助けてくれるケースは意外と多いものです。
本記事では、そんな十全大補湯の効果や副作用について詳しく解説していきます。
目次
十全大補湯とは
十全大補湯の「十」とは、10の生薬から成る漢方薬であることを意味しています。
- 黄耆(オウギ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 地黄(ジオウ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 川芎(センキュウ)
- 当帰(トウキ)
- 人参(ニンジン)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 甘草(カンゾウ)
なお、製品によっては上記のうち蒼朮の代わりに白朮(ビャクジュツ)が用いられることもあります。
十全大補湯はなぜ自律神経の不調に効果があるのか
「気・血・水」の3要素がバランスよく作用することで体の機能を維持しているというのが東洋医学での考え方です。
「気」は一言でいえばメンタル面、「血」はフィジカル面、「水」は字のとおり水分の巡りのことを意味します。
十全大補湯は10の生薬がバランスよく配合されており、3要素の中で気および血の不調を改善する効果が期待できます。
その中でもとりわけ「気」に関する生薬の割合が多くを占めるため、自律神経の回復に有効な漢方薬として知られているのです。
十全大補湯のすごい効果とは
ここでは、十全大補湯には具体的にどういった効果があるのか見ていきましょう。
抗うつ
強いストレスが長期間にわたって続いたり精神的に大きなダメージを受ける出来事が原因でうつ状態になった場合、抗うつ剤とあわせて「補気剤」として十全大補湯が処方されることもあります。
ただし、十全大補湯によってうつ病が治癒するわけではないという点には注意しましょう。
ダイエット
十全大補湯に含まれる生薬には体温の上昇や冷え性の改善といった、代謝を上げる効果も期待できます。
あわせて適度な運動や食生活の改善を図ることで、ダイエット効果を高めてくれる可能性も。
ただし十全大補湯そのものにはダイエット効果があるわけではなく、あくまでも代謝を助けるサポート的な役割となるため、運動や食事管理は必須です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎を発症すると、皮膚に赤みが出て強烈なかゆみを感じることがあり、皮膚が常に荒れた状態になることも。
皮膚の新陳代謝を促進して早期回復につなげるために、十全大補湯が処方されることもあります。
更年期障害
特に中年を迎えた女性に多いのが自律神経のバランスが崩れることで発症する更年期障害。汗の増加や手足の冷え、精神面の不安定などが主な症状です。
十全大補湯は自律神経のバランスを整える効果があることから、更年期障害をの症状を緩和するために処方されることがあります。
十全大補湯の効果が出るまでの期間は?
十全大補湯をはじめとした漢方薬の多くは効果が出るまでにある程度の時間を要し、即効性が見込めるものではありません。
漢方薬の種類やその人の体質、症状などによって効果が出るまでの期間は異なります。
もし症状が深刻で今すぐにでもどうにかしたいという場合は医療機関を受診しましょう。
十全大補湯の副作用
漢方薬は基本的には副作用が少なく、西洋薬に比べると健康リスクは低いとされています。
しかし、すべての人にとって安全とは限らず、稀に以下のような副作用が現れることもあります。
- 胃もたれ・吐き気
- 赤み・発疹
- かゆみ
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 蕁麻疹
万が一上記のような症状が現れた場合は、速やかに服用を中止し医師の診察を受けるようにしましょう。
十全大補湯と他の漢方薬の違い・使い分け
十全大補湯と似た効能をもつ漢方薬は他にも存在します。それぞれの漢方薬との違いや使い分けについて解説します。
補中益気湯との違い・使い分け
補中益気湯は人参(ニンジン)、蒼朮(ソウジュツ)、黄耆(オウギ)、当帰(トウキ)、陳皮(チンピ)、大棗(タイソウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、升麻(ショウマ)が配合された漢方薬です。
体力および気力を回復する効果は十全大補湯と共通していますが、主に胃腸など消化器官が弱っている方に処方されることが多いです。
人参養栄湯との違い・使い分け
人参養栄湯は、人参(ニンジン)、当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、地黄(ジオウ)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)などが配合された漢方薬です。
主に体力の低下が見られる場合に処方されることが多く、貧血や食欲不振などを改善する効果があります。
ツムラ・クラシエ|十全大補湯は市販されている?
十全大補湯には市販されている商品もあるので、手軽に購入することができます。
ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)
ツムラからは医療用の十全大補湯エキス顆粒が販売されており、医師からの処方で購入することができます。
500gのボトル、5kg(500g×10)のパウチ、2.5g×42包と2.5g×189包の分包があります。
十全大補湯エキス顆粒クラシエ
クラシエからは十全大補湯の錠剤タイプが販売されています。
- 内容量:180錠(12錠/日)
- 希望小売価格:5,203円(税込)
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
十全大補湯に限らず、市販薬として販売されている漢方薬を探しているのになかなか見つからないケースもあるでしょう。
もっとも確実な方法は医療機関を受診し処方してもらうことですが、仕事が忙しく時間が確保できないという場合には、漢方薬専門の薬局に相談してみるのがおすすめです。
運龍堂では、お客様一人ひとりの体調や悩みを丁寧にヒアリングし、それに合った生薬を組み合わせて漢方薬として販売しています。
遠方で来店が難しい場合にはLINEやZoomでの問診にも対応しており、オンラインで専門の薬剤師とコミュニケーションがとれます。相談後はそのまま漢方薬をオーダーし、宅配便でお送りします。
まとめ
十全大補湯には10の生薬が配合されており、身体的な不調はもちろんメンタル面の不調も改善してくれる漢方薬です。
特に体力が低下している方や疲労が溜まっている方、ストレスが原因で自律神経に不調をきたしている方の助けとなってくれるでしょう。
十全大補湯以外にも一人ひとりに最適な漢方薬を提案させていただきますので、オンラインでの問診とオーダーメイドに対応した運龍堂に一度ご相談ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任