半夏厚朴湯の飲み合わせの禁忌や副作用について徹底解説
喉のイガイガ感や自律神経系の不調に対しては、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」という漢方薬がおすすめです。
本記事では半夏厚朴湯の効果や副作用、飲み合わせの禁忌などについて徹底解説していきます。
目次
半夏厚朴湯とは
漢方薬の一種である半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)にはハンゲやブクリョウ、コウボク、ソヨウなどが配合されています。
半夏厚朴湯は気剤の代表格であり、上記でも不安感の解消効果が見込まれると紹介しました。
私たちの生命活動を維持するためのエネルギーを示す「気」に効果をもたらす漢方薬とされ、特に精神的な不安や緊張からくる胃炎をはじめとした胃腸の不調を改善する効果があります。
また、不安感そのものの改善はもちろんのこと、気分の低下に伴う喉の異物感や違和感、咳、イガイガ感、詰まったような閉塞感などにも有効です。
半夏厚朴湯の注意すべき飲み合わせの禁忌
薬を服用する際、安全面で気になるのが飲み合わせの問題です。
半夏厚朴湯に限らず、多くの漢方薬は自然由来の生薬が原料となっているため、飲み合わせに関しては過度に心配する必要はありません。
ただし、既にほかの漢方薬を服用している場合、そこに半夏厚朴湯を追加することによって効果が強く出すぎてしまったり、反対に効果が薄くなったりすることがあります。
もちろん、すべての漢方薬の飲み合わせが禁忌というわけではなく、複数の漢方薬を組み合わせて処方されることもあり、最適な効果を得るためには専門的な知識が不可欠です。
半夏厚朴湯はドラッグストアなどでも手軽に購入できますが、自分自身で飲み合わせを判断するのではなく、必ず医師や薬剤師へ相談しましょう。
半夏厚朴湯の効果
半夏厚朴湯はどういった人に適した漢方薬なのでしょうか。
自律神経失調症
自律神経失調症は慢性的なストレスや生活習慣の乱れなどの理由により、自律神経のバランスが崩れ精神が不安定化し、身体的症状が現れる病気のことです。
気分が暗くなるといった症状はもちろんですが、不眠や慢性的な疲労、倦怠感、動悸、めまい、頭痛、便秘または下痢など、人によって現れる症状は大きく異なります。
半夏厚朴湯は「気」の巡りを改善することで、自律神経系の症状に効くとされています。
喉のイガイガ・つっかえ感
先述した自律神経系の症状として喉にイガイガやつっかえ感を覚える人も多く、炎症を起こしたり、異物が詰まったように感じたりするケースもあります。
半夏厚朴湯は喉から胃にかけて特に症状が現れるときに処方されることが多く、違和感や不快感を低減してくれる効果が期待できます。
うつ病
自律神経失調症と同様に、精神的な疾患の代表格にうつ病があります。
うつ病を発症すると、単に気分が落ち込んで何もやる気が起きなくなったり興味を失ったりするケースが多いですが、それ以外に身体的な症状が現れる場合も少なくありません。
半夏厚朴湯を服用することで、精神を安定化させ、それに伴う身体的症状も緩和する効果が期待できます。
パニック障害
半夏厚朴湯に含まれる厚朴や蘇葉といった生薬は東洋医学でいうところの「気」の巡りを良くする作用があります。
ストレスや緊張を和らげ、胸の詰まり感を解消するため、パニック障害にも効果があるとされます。
つわり
妊娠中の女性は、ホルモンバランスの乱れによって“つわり”の症状に悩まされることが多くあります。
吐き気や嘔吐、胸のむかつきなどの症状が代表的ですが、体質によっては頭痛や眠気などの症状が現れることもあるようです。
半夏厚朴湯を服用することで、これらの症状を緩和できる場合があります。
ただし、妊娠中の漢方薬の服用に関しては、胎児への影響も考え事前に主治医へ相談することが大切です。
半夏厚朴湯の効果が出るまでどれくらい?
半夏厚朴湯はさまざまな症状に対して効果が期待でき、漢方薬のなかでも比較的即効性が見込まれる薬でもあります。
実際に弊社が処方させていただいた方から、「半夏厚朴湯がすぐ効いた!」という声を聞いたことがあります。
特に、胃腸の不調や喉の異物感・違和感に対しては、半夏厚朴湯を服用してすぐに効果が現れることが多いです。
そのため、特にストレスや不安など精神的な問題を抱える人のなかで、身体的症状が胃腸や喉に現れやすい人に有用な薬といえるでしょう。
しかし、精神的な不安を取り除くには時間を要することが多く、胃腸や喉のように必ずしも即効性が期待できるとは限りません。
半夏厚朴湯の副作用
半夏厚朴湯の副作用としては、大きく分けて過敏症と肝臓に関する症状が挙げられます。
副作用はすべての人に現れるものではなく、個人の体質によっても症状の内容や程度が異なります。
具体的にどういった症状が現れる可能性があるのか解説しましょう。
過敏症
過敏症の代表的な症状としては、発疹や赤み、炎症、かゆみなど、主に皮膚に現れる異常があります。
これらの副作用が現れた場合、速やかに服用を中止し医師へ相談してください。
肝機能障害
肝臓の異常を知るための指標として、ASTとALTがあります。
これらの数値が上昇すると、肝臓障害や胆道障害などが疑われるほか、場合によっては心筋梗塞などに直結するケースも少なくありません。
半夏厚朴湯を服用した後に体調が悪くなり、血液検査でASTとALTの上昇が見られていた場合は服用を中止したほうが良いでしょう。
半夏厚朴湯は長期服用しても大丈夫?
漢方薬のなかには長期的に服用しても問題ないものもあれば、一時的な服用にとどめておいたほうが良いものも存在します。
半夏厚朴湯の場合は、数ヶ月以上にわたって長期的に服用しても基本的には問題ありません。
ただし、服用してから1ヶ月程度が経過しても症状が改善しない、または悪化していると感じる場合には体質にマッチしていない可能性があります。
一定期間の服用で改善が見られないときには、主治医へ相談し処方する薬を変えてもらうなどの処置が求められるでしょう。
また、半夏厚朴湯に限らず漢方薬を服用したことで太るという話がありますが、実際には漢方薬を服用したことで体調がよくなり、以前より食欲が旺盛になったことによる副次的なものであることが多いとされています。
そのため、半夏厚朴湯をはじめとする漢方薬を飲んだことが直接的に太ることに結びつくわけではないと考えて差し支えないでしょう
また、体内から水分が不足している状態で漢方薬を服用することで水分が補われ、それによってむくんだ、太ったと錯覚するケースもあるようです。
半夏厚朴湯が効かないときに考えられる原因とは?
症状や体質に合わない
漢方薬は個々の症状や体質に合わせて処方されるため、半夏厚朴湯が特定の症状や体質に合っていない場合は効果が現れにくいことがあります。
正しく診断されていない
パニック障害やその他の精神的な問題に対して半夏厚朴湯を使用している場合、正しい診断がされていないと効果が現れないことがあります。
症状の原因が他の要因にある場合、別の治療法が必要です。
用法・用量の問題
正しい用法・用量で服用していない場合は思ったような効果を得にくいでしょう。
医師や薬剤師の指導に従い、適切な方法で服用することが重要です。
生活習慣や環境の影響
ストレスや不安の原因が生活習慣や環境にある場合、漢方薬だけでは対処しきれないことがあります。
こうしたケースでは生活習慣の改善やストレスの軽減が必要です。
併用薬の影響
他の薬と併用している場合、相互作用により効果が減弱することがあります。
特に西洋薬との併用には注意が必要です。
長期間の服用が必要
漢方薬は即効性があるものではなく、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
一定期間継続して服用することが求められます。
ただし長期間服用しているのに効果が得られなかったり、逆に副作用が出たりする場合はただちに服用を中止してください。
病状の重篤さ
漢方薬は病気や疾患を根本から治すことを期待して服用するものではありません。
症状が非常に重い場合は半夏厚朴湯だけでは十分な効果を得られないこともあるでしょう。
このような場合、他の治療法や薬剤との併用が必要です。
半夏瀉心湯・柴朴湯との違い
半夏厚朴湯と似た効果のある漢方薬に、半夏瀉心湯や柴朴湯などがあります。
これらとはどういった違いがあるのでしょうか。
主な効能や配合されている生薬の違いなども見てみましょう。
半夏瀉心湯との違い
半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)は、ハンゲやオウゴン、カンキョウ、カンゾウなどの生薬が配合された漢方薬です。
どちらも「半夏」という名称がついていることから効果や効能は近いですが、どちらかといえば半夏厚朴湯は喉の異物感や違和感に処方されるのに対して、半夏瀉心湯は胃のむかつきや消化不良、下痢、神経性胃炎などの症状が強い場合に処方されるケースが多いです。
また、半夏瀉心湯は口内炎にも効果を発揮してくれる漢方薬です。
柴朴湯との違い
柴朴湯(サイボクトウ)は、半夏厚朴湯と小柴胡湯(ショウサイコトウ)を合わせてつくられる漢方薬で、サイコやハンゲ、ブクリョウ、オウゴン、コウボクなどの生薬が配合されています。
こちらも気剤のひとつであることから、精神的な不安定から喉に閉塞感や吐き気などが感じられるときに処方されることが多いです。
また、体の免疫力を向上させる働きがあり、炎症を緩和させる効果も期待できます。
半夏厚朴湯を処方してもらうためには
上記でも紹介した通り、半夏厚朴湯はドラッグストアなどでも購入できる漢方薬のひとつです。
しかし、ドラッグストアで販売されている医薬品と、病院や薬局で処方される医薬品は成分量に違いがあることも事実です。
半夏厚朴湯を処方してもらうためには、どういった方法があるのでしょうか。
病院やクリニックでの処方
病院やクリニックで処方してもらう場合、保険が適用されるため市販薬を購入するよりもコストを抑えられるメリットがあります。
では、実際に半夏厚朴湯を処方してもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。
大前提として、診断結果や医師の方針・考え方によっても処方される薬は異なり、「これをすれば確実に半夏厚朴湯を処方してもらえる」といった方法はありません。
しかし冒頭でも紹介した通り、半夏厚朴湯は気剤のひとつであり、おもに自律神経失調症やうつ病などの精神的な疾患を改善するために有効とされています。
そのため、内科ではなく、心療内科や精神科などを受診したほうが半夏厚朴湯を処方してもらえる可能性は高いといえるでしょう。
医師の診察を受ける際には、「半夏厚朴湯が良いと聞いたのですが」といったように、相談してみることで希望に沿った処方を出してもらえるかもしれません。
ただし、繰り返しになりますが、確実な方法はなく、あくまでも薬の処方は医師の判断に委ねられることになります。
薬局での処方
クリニックを受診する方法以外に、漢方薬を扱っている薬局で処方をしてもらう方法もあります。
薬剤師が常駐している薬局では、その人の症状に合った薬を処方してもらえるため、クリニックを受診せずとも手軽に漢方薬を購入できるでしょう。
ただしドラッグストアの場合、すべての店舗に薬剤師が常駐しているとは限らず、扱っている医薬品にも限りがあります。
ドラッグストアでは漢方薬以外にも西洋薬など幅広い商品が販売されているため、薬剤師が常駐していたとしても半夏厚朴湯の取り扱いがないケースも多いです。
そこで、近隣に漢方薬の品揃えが豊富な薬局や専門店があれば、そこで相談してみるのもひとつの方法といえるでしょう。
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
漢方薬を専門に扱う薬局は決して多くなく、どこにお店があるのか探すだけでも簡単なことではありません。
もし、漢方薬専門のお店を見つけられたとしても、遠方にあって足を運べないというケースも多いはずです。
そのような悩みを抱えている方におすすめなのが、オーダーメイドの漢方薬を提供している「運龍堂」です。
宮城県仙台市にある運龍堂は、患者一人ひとりの症状や体質をカウンセリングし、それぞれにマッチした生薬を配合した漢方薬を提供しています。
市販の漢方薬は配合されている生薬の成分や割合、量が画一的であり、必ずしもすべての人にマッチしているとは限りません。
しかし、運龍堂ではオーダーメイドの処方が可能であることから、「市販薬を試してみたものの効果が実感できなかった」という人にもおすすめです。
さらに、運龍堂ではオンラインによる漢方相談も承っており、電話やLINE、Zoomなどで漢方専門の薬剤師と無料で会話ができます。
初回は約60分、2回目以降は30分程度が相談時間の目安となりますが、いずれも料金はかからないため安心して相談が可能です。
もちろん、相談だけでなくそのままオンラインでの注文も可能で、入金確認後1〜4営業日で商品を発送します。
まとめ
半夏厚朴湯は、自律神経失調症やうつ病など、精神的な疾患や不調からくる体の異常に対し有用な漢方薬です。
特に喉や胃などに現れる不調に効果を発揮し、比較的即効性もあることから心療内科や精神科などでも多く処方されています。
また、妊娠中のつわりに悩む人にも症状を軽減する効果があり、比較的安全性の高い漢方薬といえるでしょう。
半夏厚朴湯はドラッグストアなどでも購入できますが、より高い効果を得るためにはオーダーメイドの漢方薬を提供してくれる薬局に相談するのがベストです。
お住まいの地域に漢方薬専門の薬局が見つからないという場合には、ぜひ一度オンライン漢方相談にも対応している運龍堂へご相談ください。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任