女性特有の不快な症状におすすめ ヨモギ
独特の香りを持つヨモギは気血を促す代表的な薬膳素材です。漢方では「艾葉(がいよう)」といい、『病を艾(おさ)める葉=状態を安定させる薬草』という意味を持ちます。春は「肝(かん)」の季節であり、のびのびとリラックスして過ごすことが養生として大切です。ヨモギの香りは気の巡りを良くすることが知られており、味も良し、香りも良しのこの時期にお勧めの健康素材です。ヨモギといえばヨモギ餅が頭に浮かびますが、薬膳茶にするのも大変美味しいです。血行促進によって身体を温めるだけではなくホルモン分泌を促して内臓の働きを高めるほか、冷え性、肩こり、腰痛、月経痛などの女性に多い様々な不調にもおすすめです。ヨモギの香り成分の中には抗菌作用のあるものも含まれており気管支炎の改善や風邪予防にも役立つとされています。ヨモギに含まれる葉緑素(クロロフィル )はデトックスの効果としても有名です。
<ヨモギ茶の作り方>
乾燥したヨモギを5gを500mLの水で煎じ、沸騰したら3~5分ほど弱火で煎じます。煎じた残りカスは入れたままにせず、取り除いてその日のうちに飲み切るようにしてください。
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<女性に嬉しい薬膳素材>
ヨモギはサフランやベニバナと並ぶ、女性の不調に良い素材として有名です。特に冷え性持ちで、月経不順や月経痛がある場合や月経が遅れがちな場合に良いとされています。止血効果も期待できるため、月経時に出血が多いものや冷えを伴う血便や痔疾患などの出血性疾患にもおすすめです。
<味から見たヨモギの働きについて>
漢方で分類されるヨモギの味・・・苦、辛
実際の食材としての味というよりも、「働き」から分類された味になります。一般に漢方ではそれぞれの味に以下のような特徴があると分類しています。すべてではないですが、ヨモギの有名な健康効果として知られているものもいくつか該当しています。
苦
清熱:消炎、抗菌、解熱に働く、主に実熱証の治療
瀉火:病邪による高熱、多汗、煩渇、鼻血などの症状を取り除く
燥湿:体内の水分滞留(湿邪)を乾燥に似た処置で取り除くこと
降気:気の高ぶりや喘息、激しい咳などを鎮静化させる
解毒:体内に蓄積する老廃物や病邪を取り除く作用
清熱という意味では身体を冷やす働きが考えられますが、ヨモギは身体を温めることで有名です。独特の香り成分としてデカノイルやアセトアルデヒドが含まれていますが、これらは抗菌成分として知られています。また、出血や咳などの改善効果も味の効能と合致します。解毒作用としてはヨモギの緑成分、葉緑素(クロロフィル)は有名です。春は代謝が盛んになり、老廃物も増えてくる季節ですので、春に旬のヨモギは理にかなった素材といえます。
辛
発散:体表を開き、汗や不要な物質を発散させる
行気:気の巡りを良くする。気機を順調に巡らせる
活血:血液循環を良くする
独特の香り成分が気の巡りを促し、リラックス効果が期待できます。血行促進の働きも有名ですが、味から見た働きとも合致します。
参考文献
・日本栄養・食糧学会誌/71 巻 (2018) 2 号
日本食品標準成分表の食品群と中医営養学の食味との関連性
西村 桂一, 前田 樹海, 中村 きよみ
・漢方薬膳学 横浜薬科大学編
伊田喜光
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この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任