投稿日:2019.03.29/更新日:2020.03.06

リーキーガット症候群(腸漏れ)

現代人が無視できない問題の一つにリーキーガット症候群があります。これは健康な腸にはない、「腸に穴が開く」ことで様々な毒素が体内に入ってきてしまう状態です。前回のブログ(体調不良の原因は副腎疲労にあった!?)では慢性的なストレスから身体を守るコルチゾールを分泌する副腎がフル稼働することによっておこる慢性疲労、様々な不調をご紹介しました。ストレスの種類は数多くあるのですが、この腸漏れによっておこるストレスも現代人に多いとされています。

<腸漏れ>
健康な場合、腸の細胞(上皮細胞)は密に結合しており、身体に毒となる大きな分子や病原菌(カンジダ菌など)が入り込めないバリア構造(タイトジャンクション)となっています。食事や生活習慣の乱れによってこのバリア機能が失われた状態をリーキーガット症候群と言います。リーキー(漏れやすい)ガット(腸)という意味です。腸に穴が開くことで、健康な腸なら体内に入ってこない未消化のタンパク質や病原菌が侵入し、様々な身体の不調を引き起こすことから「症候群」と名前がついています。なかなか取れない疲れや精神的な落ち込みはもしかすると「腸」に原因があるかもしれません。

<腸漏れで起こる症状や病気>
腸の症状としてはお通じが安定しないことです。慢性的な便秘や下痢、食事の有無にかかわらず見られる腹部膨満感などがあげられます。また、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患です。炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)、関節炎、過敏性腸症候群、肝疾患、膵炎、糖尿病、腎疾患、心臓病、うつ病などの精神疾患などとも関係が疑われています。免疫反応を乱すアレルゲンや炎症を引き起こす物質、病原菌が侵入してくることでこれらの疾患を引き起こすと考えられています。

<日常で気を付けること>
健康志向の方の間でグルテンフリーが流行っていますが、パンなどをはじめとする小麦の成分のグルテンが腸に穴をあける原因になることが報告されています。また、乳製品に含まれるカゼインなども腸の健康を考えた場合は控える方が無難です。カルシウムなどの必要なミネラル質などは小魚などから補うのがおすすめです。副腎のフル稼働を防ぐために、疲れたからと言ってカフェインで一時しのぎは避けましょう。コーヒーやチョコ、エナジードリンクは根本的な疲れの解消にはなりませんし、ますます副腎を疲れさせてしまいます。急激な血糖値の上昇も良くありませんので清涼飲料水やお菓子は控えます。睡眠は十分にとり、意識して身体を休ませる工夫を心がけましょう。

<回復を早めるもの>
ポイントは大きく3つあります。「整腸・補腎(ほじん:アンチエイジング)・保護」によって回復を早めましょう。整腸ではスピルリナ、クマザサ、酵素ドリンクなどの緑ものや善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌など)です。腸の中に分泌型IgA抗体がないと善玉菌が腸内にとどまることができないという報告もあるため、単に善玉菌を摂取するというよりは整腸全体を意識するのが良いと思います。漢方では基礎体力の向上によく使われる鹿茸(ろくじょう)、亀板(きばん)、山薬(さんやく)などのアンチエイジングが期待できる生薬を用います。亜鉛やセレンといった必須微量元素をバランスよく含んでいる牡蠣肉エキスもおすすめです。リーキーガット症候群では異物の侵入によって身体の様々な場所で炎症が起こっていることが考えられ、抗炎症作用のあるEPA、DHA、フコキサンチンなども回復を手助けしてくれます。

    この記事の監修薬剤師

    運龍堂 佐藤貴繁

    略歴

    1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
         北海道大学薬学部を卒業
    2003年 薬剤師免許を取得
    2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
         専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
    2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
    2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
    2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
    2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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    2019/03/29

    リーキーガット症候群(腸漏れ)

    現代人が無視できない問題の一つにリーキーガット症候群があります。これは健康な腸にはない、「腸に穴が開く」ことで様々な毒素が体内に入ってきてしまう状態です。前回のブログ(体調不良の原因は副腎疲労にあった!?)では慢性的なストレスから身体を守るコルチゾールを分泌する副腎がフル稼働することによっておこる慢性疲労、様々な不調をご紹介しました。ストレスの種類は数多くあるのですが、この腸漏れによっておこるストレスも現代人に多いとされています。

    <腸漏れ>
    健康な場合、腸の細胞(上皮細胞)は密に結合しており、身体に毒となる大きな分子や病原菌(カンジダ菌など)が入り込めないバリア構造(タイトジャンクション)となっています。食事や生活習慣の乱れによってこのバリア機能が失われた状態をリーキーガット症候群と言います。リーキー(漏れやすい)ガット(腸)という意味です。腸に穴が開くことで、健康な腸なら体内に入ってこない未消化のタンパク質や病原菌が侵入し、様々な身体の不調を引き起こすことから「症候群」と名前がついています。なかなか取れない疲れや精神的な落ち込みはもしかすると「腸」に原因があるかもしれません。

    <腸漏れで起こる症状や病気>
    腸の症状としてはお通じが安定しないことです。慢性的な便秘や下痢、食事の有無にかかわらず見られる腹部膨満感などがあげられます。また、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患です。炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)、関節炎、過敏性腸症候群、肝疾患、膵炎、糖尿病、腎疾患、心臓病、うつ病などの精神疾患などとも関係が疑われています。免疫反応を乱すアレルゲンや炎症を引き起こす物質、病原菌が侵入してくることでこれらの疾患を引き起こすと考えられています。

    <日常で気を付けること>
    健康志向の方の間でグルテンフリーが流行っていますが、パンなどをはじめとする小麦の成分のグルテンが腸に穴をあける原因になることが報告されています。また、乳製品に含まれるカゼインなども腸の健康を考えた場合は控える方が無難です。カルシウムなどの必要なミネラル質などは小魚などから補うのがおすすめです。副腎のフル稼働を防ぐために、疲れたからと言ってカフェインで一時しのぎは避けましょう。コーヒーやチョコ、エナジードリンクは根本的な疲れの解消にはなりませんし、ますます副腎を疲れさせてしまいます。急激な血糖値の上昇も良くありませんので清涼飲料水やお菓子は控えます。睡眠は十分にとり、意識して身体を休ませる工夫を心がけましょう。

    <回復を早めるもの>
    ポイントは大きく3つあります。「整腸・補腎(ほじん:アンチエイジング)・保護」によって回復を早めましょう。整腸ではスピルリナ、クマザサ、酵素ドリンクなどの緑ものや善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌、枯草菌など)です。腸の中に分泌型IgA抗体がないと善玉菌が腸内にとどまることができないという報告もあるため、単に善玉菌を摂取するというよりは整腸全体を意識するのが良いと思います。漢方では基礎体力の向上によく使われる鹿茸(ろくじょう)、亀板(きばん)、山薬(さんやく)などのアンチエイジングが期待できる生薬を用います。亜鉛やセレンといった必須微量元素をバランスよく含んでいる牡蠣肉エキスもおすすめです。リーキーガット症候群では異物の侵入によって身体の様々な場所で炎症が起こっていることが考えられ、抗炎症作用のあるEPA、DHA、フコキサンチンなども回復を手助けしてくれます。

      この記事の監修薬剤師

      運龍堂 佐藤貴繁

      略歴

      1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
           北海道大学薬学部を卒業
      2003年 薬剤師免許を取得
      2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
           専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
      2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
      2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
      2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
      2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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