腎気（じんき）と成長発育・老化の関係

子供の腎気は父母の先天的な精気を受け継いだものです。

妊娠後は胎児の発育成長を促進する基礎ともなります。

この腎気が不足するといろいろな障害が起こります。

腎気は生まれつき不足している人もいますが、後天的な原因（セックスの過剰など）によっても一時的に腎気の不足が起こる場合があります。

しかし、一般的には親から受け継いだ腎気は生後の自らの生命活動によって充実し人間の生長と発育を調整します。

素問によると、成長と老化を下記のように述べられています。

この腎気の消長は男女によって若干異なります。

＜女子の場合は７の倍数で変化していきます＞
７歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え変わり、髪も長くなる。
１４歳で天癸(てんき)が充満し、任脈（にんみゃく）と衝脈（しょうみゃく）の流通が増進し、月経が始まる＊。
２１歳で体格は頂点に達します。
２８歳で筋骨は充実して引き締まり毛髪は最も長く豊かになります。
３５歳で陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行してきます。
４９歳で任脈が空虚となり、月経が停止します。

＊天癸とは天のめぐりのことで、女子では特に月経のことをいいます。この天癸によって精が生産され天癸がつきると精もつき、生殖能力がなくなります。

任脈は全身の陰経脈を調整しており「陰脈の海」と呼ばれています。任脈は月経を調節し、胎児を育成します。衝脈は経絡の気血を調整し、経絡の海と言われており、衝脈は月経を調節する生理機能を持っています。

＜男子の場合は８の倍数で変化していきます＞
８歳で腎気が充実します。
１６歳で精気が充満して交合可能となり子をなすことができます。
２４歳になると筋骨は強壮となり、体格は頂点に達します。
３２歳で筋骨は隆盛、肌肉は力にあふれ、身体は最盛期となります。
４０歳で腎気が衰え始め、脱毛が始まります。
４８歳になると顔面は憔悴（しょうすい）します。
５６歳で筋肉動作の自由が失われ、精気は欠乏し、腎は退化し、身体全体の疲弊は極度に達します。
６４歳で天癸も尽きます。

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この記事の監修薬剤師

運龍堂佐藤貴繁

略歴

1977年　北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
　　　　北海道大学薬学部を卒業
2003年　薬剤師免許を取得
2006年　北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
　　　　専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年　福祉社会法人緑仙会理事就任
2012年　杜の都の漢方薬局運龍堂開局
2013年　宮城県自然薬研究会会長就任
2017年　宮城県伝統生薬研究会会長就任