頭痛の漢方の代表「川芎茶調散」
風邪の際の頭痛から女性の自律神経の乱れから生じる頭痛にも幅広く効果が期待できる処方があります。
それが川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)という処方です。
頭痛がひどく鎮痛剤を飲んでいる方は胃腸トラブルになりやすく、できるだけ鎮痛剤に頼らない体質改善が必要です。
川芎茶調散は鎮痛剤にみられる胃腸障害や血流障害などの副作用を気にすることなく使用できる有難い処方の一つです。
<由来と構成>
川芎茶調散は9種類の生薬から成る処方です。気血の巡りを促す川芎(センキュウ)を主薬とし、散剤を茶湯で飲み下す(調下)ことからこの名前がついたとされています。
川芎(センキュウ)・香附子(コウブシ)、薄荷(ハッカ)、荊芥(ケイガイ)、防風(ボウフウ)、白芷(ビャクシ)、羗活(カヨウカツ)、甘草(カンゾウ)細茶(サイチャ)の9つから成ります。
<頭痛に対する効き方>
漢方では通るべきものが通っていないと痛みが生じるという考えがあります。気や血が巡っていないことが頭痛の大きな原因になります。また、血管の収縮・拡張には自律神経の働きが関わっているため、ストレスがかかった際にも自律神経の働きを乱して頭痛を引き起こします。川芎茶調散には気血の巡りを整える生薬から自律神経を整える生薬まで含まれており、幅広い頭痛に対応しています。
また、川芎茶調散は体質を選ばず使える使いやすい処方です。
頭痛で悩んでいる場合、安易に痛みだけを抑える鎮痛剤に頼るのではなく、頭痛の原因を解消する漢方薬をぜひ試して見てください。
<風邪の時の頭痛>
川芎茶調散は風邪の際の悪寒・発熱・鼻づまり・めまいなどがみられる突発性の頭痛にもお使いいただけます。
風邪は身体の外から邪が侵入してくることで引きおこると考えられています。
川芎茶調散には辛味で身体を温める発散性の高い生薬が含まれており、外から侵入してくる外邪を外へ発散させて追い出す働きもあるため風邪の際にも用いられます。
風邪をひいて急に頭が痛くなったら川芎茶調散を思い出しましょう。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任