牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
①腰痛、②尿減少、③浮腫
腎虚で、下肢が腫れ、腰痛、尿の減少する者に用いる。
※組成
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
山茱萸(さんしゅゆ):ミズキ科、収渋薬 —固精縮尿止帯薬/微温
山薬(さんやく):キク科、補虚薬 — 補気薬/平
沢瀉(たくしゃ):オモダカ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
牡丹皮(ぼたんぴ):ボタン科、清熱薬 — 清熱解毒薬/微寒
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
(炮)附子(ぶし):キンポウゲ科、温裏薬/熱(有毒)
〜以上、「八味地黄丸」〜
牛膝(ごしつ):ヒユ科、活血化瘀薬 —活血調経薬/平
車前子(しゃぜんし):オオバコ科、利水滲湿薬 — 利尿通淋薬/寒
※生薬の解説
・地黄は、栄養を補い老化を防ぐ作用、消炎止血作用、神経反射を良くする作用がある。
・山茱萸は地黄の働きを助けて老化を防ぐ作用を助ける。また地黄とともに耳鳴り、めまい、腰膝のだるさや無力感、遺精、寝汗を治す。
・山薬は地黄とともに、寝汗、熱感、口渇、疲労感を治す。
・沢瀉は腎臓に働きかけて、血中の過剰の水分を尿として排出する。
・茯苓は、消化管内、関節内、筋肉内、組織間の水など、過剰な水分を血中へ移動させて、利尿する。
・牡丹皮は、出血やうっ血に伴う熱感や手足のほてりを治す。
・桂枝は、血行を良くして、瘀血(注1)の除去作用を助ける。
・附子は体内を温める。また桂枝と組んで寒さや余分な水分による関節痛、筋肉痛、腰痛などを改善する。
・牛膝には駆瘀血作用があり、また諸薬の効果を下に持って行く作用があると言われている。
・車前子には利水作用があり、茯苓と組んで水分代謝を促し、利尿する。
(注1)瘀血(おけつ)は、血液の流れが、何らかの原因で滞ってしまった状態である。瘀血によって、皮膚の黒ずみ、シミ、肩こり、しこり、頭痛や生理痛などの痛みなどの症状が現れる。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任