漢方は疲労回復にぴったり!おすすめの漢方薬などを詳しくご紹介!
朝起きるのが辛かったり、全身がだるく何もやる気が起きなかったりすることがありませんか?
それはすべて疲労からきているものかもしれません。
日ごろの仕事や家事など、さまざまな要因で疲労を溜めている方も多いでしょう。
特に慢性的な疲労はなかなか回復せず、精神的にも疲弊していきます。
そんな方には漢方薬の服用がおすすめです。
今回は、なぜ漢方薬が疲労に効くのかと、さまざまな疲労回復に最適な漢方薬についてご紹介していきます。
疲労が溜まっているけど、まとまった休息をとる時間がない方や、休んでも疲労が取れないという方はぜひ参考にしてみてください。
目次
疲労とは
疲労とは、肉体的にも精神的にも負荷がかかり、これ以上の活動は身体に害を及ぼすと知らせるために発せられる警報の一種です。
痛みや発熱などでも同様の反応が表れ、倦怠感などを強く感じることでしょう。
また、疲労が溜まると身体機能が低下し、集中力が散漫になるなどさまざまな悪影響を及ぼします。
症状が重いと不眠からうつ病になる可能性もあり、日常生活を送ることが難しくなるケースも考えられます。
そのため、疲労はなるべく溜めないようにしなければなりません。
時間があるときは、しっかり睡眠を取るなどして疲労回復に努めるようにしましょう。
疲労・倦怠感が起きる原因
疲労や倦怠感が起きる原因は主に以下のとおりです。
- ・運動や労働などによる過労
- ・エネルギー不足
- ・睡眠不足
- ・精神的ストレス
- ・風邪などの感染症
肉体的な疲労では、疲労物質である乳酸菌の蓄積やエネルギー不足が原因として考えられていました。
筋肉は酸性に弱いため、乳酸が溜まることで筋肉が十分に機能せず、それが疲れやだるさにつながるというメカニズムです。
ただし、実際は、酸化ストレスが原因です。疲労を作り出す様々な原因を除きながら、酸化ストレスを除くことが重要です。
特に脳の酸化ストレスが増えると、体を回復させる成長ホルモンの分泌が低下します。
その結果、体の回復が遅れ、加齢にもつながってしまいます。
また、精神的な疲労は人間関係や悩みなどから心が疲弊し、やる気の低下や倦怠感を引き起こすでしょう。これも上記と同じく、脳の酸化ストレスをもたらします。
これらはほんの一部ですが、たかが疲労と思っていても、重大な病気が潜んでいる可能性があるので注意が必要です。
漢方薬で疲労回復を行う
漢方には生命活動のコントロールに必要な「気・血・水」があり、これらのバランスを整えることで疲労回復が見込めるといわれています。
特に気分が上がらないときや、なんだかだるいといった病名がつかない「未病」に対して効果的なのが漢方薬でもあります。
そのため、漢方薬の服用によって目に見えづらい疲労の回復や倦怠感の改善に期待ができるでしょう。
続いては、漢方の得意分野である「疲労回復」に適したおすすめの漢方薬を3つ紹介していきます。
日ごろの疲労を、漢方の観点から改善に努めていきましょう。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
補中益気湯は、慢性的な疲れや倦怠感、食欲不振などの症状がある方に効果的な漢方薬です。
そのほか、胃腸の弱い方や風邪などにも利用でき、さまざまな症状に対して処方できる万能薬ともいえます。
主な副作用は、発疹や蕁麻疹、胃部の不快感、下痢などが報告されていますが、まれに間質性肺炎や肝機能障害などの重い副作用も報告されています。
これらの症状が発生したら、直ちに服用をやめ、医師や薬剤師に相談をしましょう。
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
十全大補湯は、疲労によって衰弱している方の気力や体力を補う効果が期待できます。
疲労や倦怠感はもちろん、貧血や食欲不振、手足の冷えなどのさまざまな症状があるときにも利用される漢方薬です。
そのほか、漢方における気や血を補うことで意欲の低下を改善できるので、うつ患者に抗うつ剤と併せて処方されます。
副作用として、偽アルドステロン症やミオパチーが発症する危険性もあるので、特に高齢者の方などへの服用には注意が必要です。
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
人参養栄湯は、消化器の働きを高め、栄養を体内に巡らせる効果を持ちます。
体力や食欲の低下、疲労感や倦怠感の症状がある方に効果が期待できるでしょう。
人参養栄湯を服用することによって、皮膚に発疹や発赤、かゆみの症状が出る場合があります。
また、まれに肝臓機能障害などの重い症状が出る場合もあるので、用法・用量を守って服用するようにしましょう。
また運龍堂では、上記の3つに加え、鹿の角である鹿茸製剤や牡蠣肉エキスなどを実際良く使用します。
鹿茸(ろくじょう)製剤
鹿茸は、アンチエイジングとして有名な生薬ですが、効能は様々です。
主に腎臓やホルモンバランスに関係する副腎の働きを改善します。
ストレスによって、副腎からのホルモンバランスが乱れると、脳血流が減少し、慢性疲労の他に、物忘れや不眠、不安などの症状があらわれます。鹿茸はこのようなストレスによる副腎機能の低下にも対応します。
さらに鹿茸には、成長ホルモン作用があるため、肉体の回復に役立ちます。
ただし、この成長ホルモン作用があるため、体には良いのですが、ドーピングの対象となるので、注意が必要です。
牡蠣肉エキス
昔から牡蠣を煮たものは、精神安定に良いとされてきました。
なぜ煮たものが良いのか、その理由が最近解明されています。
実は、生牡蠣や焼いた牡蠣には存在せず、低温で牡蠣を煮た時だけ生まれる抗酸化物質があります。
この抗酸化物質は脳へ移行することが出来、脳の酸化ストレスを改善します。
実際、ストレスによってコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが増加するのですが、一緒に牡蠣肉を摂取すると、コルチゾールの増加が抑えられます。
したがって、ストレスによるホルモンバランスの乱れに牡蠣肉エキスが有効です。
運龍堂では、ストレスの他、不眠や不妊に使用しています。
様々な疲労にあう漢方薬
疲労といっても、体のだるさや倦怠感だけではありません。
目からくる疲労や、精神的な疲労、慢性的な疲労までさまざまです。
続いては、体によく現れる疲労の原因や、その疲労に効くおすすめの漢方薬まで紹介していきます。
眼精疲労
眼精疲労は目を酷使することによって起こる疲労です。
症状としては目が重い感じがしたり、痛みを感じたり、充血したりするなどさまざまな症状が目に現れます。
また、頭痛や首・肩こりの原因にもなり、ひどい場合は吐き気を催すこともあります。
休息や睡眠をしっかり取っても、疲労が取れにくいといった特徴もあり、目だけでなく全身にも影響が出て、たまると辛い疲労といえるでしょう。
眼精疲労の原因
眼精疲労は、目が疲れるような環境で作業するなど、目の酷使によって引き起こされます。
また、度の合っていないメガネやコンタクトレンズを使用することによる負担も原因の一つです。
スマホやパソコンを注視する機会が多い現代人は、この眼精疲労が知らずのうちにたまっている方が多いでしょう。
度があっているメガネやコンタクトに変えたり、スマホを見る時間を少なくしたりするなど、目を酷使する頻度を減らす努力が必要です。
眼精疲労におすすめの漢方薬
疲れ目には、飲む目薬といわれる杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)が有名です。
杞菊地黄丸は、疲れ目による目の痛みや乾燥、充血といった症状に効果を発揮してくれます。
また、実際、運龍堂で使用しているものは、真珠散という処方に基づいて作られた製品です。
真珠散は、眼精疲労から、白内障、緑内障、飛蚊症など、様々な目の問題に対応できます。
慢性疲労
常に疲れやだるさがあり、休養をたっぷりとったとしても、疲労が軽減されない状態が長期に渡って続く場合は、慢性疲労の可能性があります。
慢性疲労は、疲れだけでなく発熱や睡眠障害、抑うつなどさまざまな症状も現れる辛い疲労です。
休んでも取れない疲れは、身体検査でも異常が認められにくく精神的にも疲弊をしてしまいます。
病院で相談しても病名がつきにくいことから、特に治療をしていない方も多く、長期に渡って悩んでいる方も少なくありません。
そんな、慢性疲労も漢方薬なら改善が期待できます。
慢性疲労の原因
慢性疲労は、運動不足によって血液の循環が悪くなることが原因となるケースが多いといわれています。
また、体の緊張によっても血の巡りは悪くなるので、普段からデスクワークをしている方も慢性的な疲労を感じやすく、休養をたくさん取っても改善しにくい特徴があります。
慢性疲労におすすめの漢方薬
慢性疲労におすすめの漢方薬は、加味帰脾湯(かみきひとう)です。
加味帰脾湯は、睡眠障害や抑うつに対して有効とされ心と体、両方の疲れに効果的です。
副作用としては、腹痛や便秘、下痢などお腹に対して症状が現れる腸間膜静脈硬化症があります。
慢性疲労だけでなく、日ごろからストレスを感じている方にもおすすめの漢方薬です。
筋肉疲労
筋肉疲労は、体のだるさや疲れを感じる状態で、筋肉痛も筋肉疲労の一種です。
筋肉疲労を起こすと身体パフォーマンスが低下し、体を動かすのが億劫に感じるでしょう。
筋肉疲労の原因
筋肉疲労は、強度の高い運動や長時間の運動によって引き起こされます。
また、同じ体制で長時間過ごした場合や、普段では使わない筋肉を使うことによっても筋肉にとって負荷がかかります。
筋肉疲労は、数日で回復に向かいますが、患部が熱く炎症を起こしたり、痛みが発生したりととても辛い症状だといえます。
筋肉疲労におすすめの漢方薬
筋肉疲労におすすめの漢方薬は、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。
芍薬甘草湯は、運動前に服用することによって筋肉疲労を事前に抑える効果を持っています。
そのため、スポーツをされる方や力仕事をされる方によく愛用されている漢方薬です。
また、運動による腰痛などにも効果的なので、運動後に服用しても効果は期待できます。
芍薬甘草湯には、間質性肺炎や偽アルドステロン症といった副作用の危険性があるので、これらの症状が出た場合は医師または薬剤師に相談するようにしましょう。
精神疲労
精神疲労は、その名の通り精神的に疲弊した状態を指します。
ストレスの多い環境にいる方は精神疲労の症状が強く現れるでしょう。
精神疲労が溜まっている状態が長く続くと、うつ病や自律神経失調症につながるので、精神疲労を放置することは好ましくありません。
精神的な病気は一度発症してしまうと回復が難しいので、早めの対策を施すようにしましょう。
精神疲労の原因
精神疲労は、人間関係や仕事、家事といったさまざまな原因で引き起こされます。
特にストレス社会といわれる現代では、知らずのうちに精神疲労を溜め込んでいる方も少なくないでしょう。
精神疲労はメンタルが強ければ良いというものではなく、脳に疲労が溜まることが原因なので誰にでも起こり得ます。
対策としては、ストレスがかかる環境から抜け出すことが挙げられますが、そう簡単に実現できるものでもないでしょう。
そんな場合は、息抜きできる趣味を見つけるなど定期的にストレスを発散して、落ち込んだ気持ちを溜め込まないようにするのが大切です。
精神疲労におすすめの漢方薬
精神疲労におすすめの漢方薬は、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)です。
半夏厚朴湯は、ストレスによる動悸や嘔吐、めまいといった症状に効果的です。
気分が落ち込み咽喉部に詰まったような不快感があるときに服用すると、症状が和らぐでしょう。
そのため、普段からストレスを溜めがちな方におすすめの漢方薬となっています。
また、精神疲労で最も使用するのが、麝香(じゃこう)製剤です。麝香は自律神経を整える力が非常に強力で、水戸黄門の印籠に入っていた処方にも麝香が使われています。
まとめ
今回は、疲労回復に役立つ漢方薬について紹介してきました。
仕事や家庭、学校など日ごろから疲労を溜め込むことが多くなりがちですが、その疲労を溜め込むと精神的な病気にかかるなど大きな危険があります。
特に慢性的な疲労は、休んでも回復しないため不眠などで悩んでいる方もいるでしょう。
今回紹介してきた漢方薬は、そんなさまざまな疲労回復に役立ちます。
最近疲れが取れないと悩んでいる方は、ぜひ一度漢方薬を試してみることをおすすめします。
-お知らせ-
漢方のお話を気軽に聞けます。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任