ペットに活用できる薬膳素材
ペットにも、有効な薬膳素材
ペットに対して、薬膳素材を使えることを知っている人はまだまだ少ないかもしれませんが、実は非常に有効です。
これまで、ペットに漢方薬が使えることを発信してきましたが、薬膳素材も同様です。
薬膳素材が入ったペットフードが最近増えていますし、近くの漢方薬局で入手することも可能ですので、ぜひお試しください。
薬膳素材を活用することで、
・特に病名が付かない場合でも、体質改善に応用できる。
・普段の食事にプラスするだけで、日々のケアや予防ができる。
・体重換算で漢方を使用するので、ペット漢方や薬膳素材のコストは低い。
下記に、症状別に有効な薬膳素材を紹介します。
皮膚(毛並み)に対する薬膳素材
皮膚近くの血流が悪化して、栄養が届かなくなると、皮膚が乾燥したり、毛並みが悪くなってしまいます。
そのため血を増やし、血流を改善することが重要です。なかでも薬膳素材の組み合わせでも特にお勧めなのが、「熊笹+松葉+朝鮮人参」の組み合わせです。
この組み合わせは、胃腸や血流を改善するとともに、毛並みの改善効果もあります。
実際、サラブレッドの毛並み改善のためにも使用されています。
さらに、筋肉量が増えることも知られています。
朝鮮人参
ウコギ科オタネニンジンの根です。
人参特有のサポニン・ビタミン類・ミネラル類を豊富に含み、五臓(肝・心・脾・肺・腎)すべてを補うといわれる薬膳の代表食材で、身体に元気をつける食材として広く使われています。
また中国最古の薬物書「神農本草経」に上品(飲むと長寿になる生薬)として収載されています。
漢方の世界では気を補う生薬として最高峯とされ、幅位広い効能があります。
※皮膚の炎症を改善
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28413317/
※皮膚の老化防止効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28123324/
※ラット皮膚血流改善作用
https://ci.nii.ac.jp/naid/110001869088
クマザサ(熊笹)
イネ科クマザサの葉です。
葉緑素(クロロフィル)を豊富に含み、腸の中のデトックスにおすすめです。
血液をキレイにすると言われています。
葉緑素と同じ骨格を持つものとしては活性酸素を除去する酵素、赤血球中のヘモグロビン、骨格筋中のミオグロビン、神経機能を正常に保つビタミンB12などがあります。
葉の成分にはトリテルペノイド、ミネラル類、ビタミン類も豊富に含まれています。
マツバ(松葉)
マツ科アカマツの葉です。
不飽和酸を含み、余分なコレステロールを除去します。
また血管に弾力をあたえて血管を強化する精油を含んでいます。
ウイキョウ(茴香)
セリ科ウイキョウの果実です。
味は辛く、スパイスのフェンネルとしても知られています。
漢方の世界では腎を温め、寒を除き、胃を調和すると言われており、「気」や「血」の巡りを改善します。
ベニバナ(紅花)
キク科ベニバナの管状花を乾燥したもので、女性特有のトラブルによく使われる薬膳食材です。
「血(けつ)の巡り」を良くすると言われます。
食物繊維、ビタミンA( β-カロテン)、ビタミンE、カルシウム、葉酸を含んでいます。
肥満に対する薬膳素材
肥満に対する一番重要なことは、やはり食事の管理と運動です。
また薬膳素材を加えて代謝をあげることで、ダイエット効果を高めることができます。
※肥満抑制作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30515278/
蒸し生姜(乾姜)
ショウガの根茎を蒸してから、乾燥したものです。
通常の生姜は発汗作用が強く、発汗により体を冷やしますが、蒸し加工すると内臓を温める力が強くなります。
ウイキョウ(茴香)
セリ科ウイキョウの果実です。
味は辛く、スパイスのフェンネルとしても知られています。
漢方の世界では腎を温め、寒を除き、胃を調和すると言われており、「気」や「血」の巡りを改善します。
ギヌネマ
ガガイモ科ギムネマ・シルベスタの野草です。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、2000以上も前から、糖尿病の症状や胃腸の働きを助ける薬草として用いられてきました。
※肥満抑制作用
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28514906/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24166097/
※血糖値改善
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22432517/
サンザシ(山査子)
バラ科サンザシの偽果です。
抗酸化作用があるカテキンが豊富に含まれています。
漢方の世界では、「脾・胃・肝」の働きを助け、消化薬として、胃腸の機能を改善して、消化を促します。
また脂肪の吸収を遅らせる働きもあり、現在ではダイエット効果も注目されています。
ミカンの皮(陳皮)
熟したミカンの果皮を長期間にわたり乾燥させたものです。
古い(陳旧)のものが良いとされるので、陳皮と呼ばれています。
フラボノイドやカロテンなどが豊富に含まれています。
漢方の考え方では、気の巡りを整えるものとして、ストレスや胃腸の機能低下などに用いられます。
ガジュツ(莪蒁)
ショウガ科ガジュツの根茎を湯通して乾燥させたものです。
漢方の考え方では、血の巡りを整えるものとして、血流の悪化に伴う様々な症状に応用されます。
また体を温めて新陳代謝機能を促します。
涙やけに対する薬膳素材
涙やけの原因は様々ですが、漢方の世界では水分代謝の低下が関係していること考えます。
そのため、水分代謝をあげたり、目の炎症を除く薬膳素材が有効です。
ヨクイニン(薏苡仁)
イネ科ハトムギの種皮を除いた種子です。
イボを取る生薬としても有名です。
漢方の世界では、特に関節や皮膚付近の「水」の巡りを良くし、美肌効果も期待できます。
※脂質改善と炎症抑制
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30993386/
ミカンの皮(陳皮)
漢方の考え方では、気の巡りを整えるものとして、ストレスや胃腸の機能低下などに用いられます。
そして、みかんの皮は、胃腸の残った余計な水を排出することで、水分代謝の改善も行います。
ノギク(野菊)
キク科シマカンギクの頭花です。
漢方の世界では、体の余計な熱を除き、目を明らかにし、充血をとると言われています。
そのため、目の充血やかすみ目などの目のトラブルにおすすめです(成分:クサンテノン)。
また「水」の巡りを整えることでデトックス効果も期待できます。
デンシチ(田七)
田七は、朝鮮人参と同じくウコギ科ニンジン属の薬用植物です。
中国では三七人参という名で呼ばれ、お金にもかえがたい貴重な生薬という意味で 金不換とも言います。
漢方の世界では、「一切の血病を治す」と言われ、「血」の巡りを強力にサポートします。
また「血」 の巡りに伴って「水」の巡りも促されます。
朝鮮人参の 10 倍ものサポニンが含まれており、肝臓の特効薬として注目を浴びています。
どくだみ
ドクダミ科ドクダミの全草です。
生薬名は、その効能の広さから、10種類の薬効をもっているということで「十薬」と呼ばれ、民間薬として便秘、尿量減少、吹き出物などに広く用いられてきました。
古くから毒下しとして活用されており、「どくだみ」という名前の由来にもなっています。
下痢に対する薬膳素材
下痢の原因の一つは胃腸に余計な水が残って、これを捌き切れないことにあります。
従って、水分代謝をあげたり、自律神経を整えて、胃腸の働きを改善する薬膳素材が有効です。
ヨクイニン(薏苡仁)
イネ科ハトムギの種皮を除いた種子です。
イボを取る生薬としても有名です。
漢方の世界では、特に関節や皮膚付近の「水」の巡りを良くし、美肌効果も期待できます。
※腸内環境改善
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31338616/
ミカンの皮(陳皮)
漢方の考え方では、気の巡りを整えるものとして、ストレスや胃腸の機能低下などに用いられます。
そして、みかんの皮は、胃腸の残った余計な水を排出することで、水分代謝の改善も行います。
スギナ
トクサ科ツクシンボウの全草です。
ケイ酸、サポニン、フラボノイド、ビタミンCを含みます。
漢方の世界では、「水」の巡りを整え、体から余計な水を除くと言われています。
またヨーロッパでは古くからスギナが熱をさげたり、ガンを予防することが知られています。
繊維質が豊富なので便秘にもおすすめです。
どくだみ
ドクダミ科ドクダミの全草です。
生薬名は、その効能の広さから、10種類の薬効をもっているということで「十薬」と呼ばれ、民間薬として便秘、尿量減少、吹き出物などに広く用いられてきました。
古くから毒下しとして活用されており、「どくだみ」という名前の由来にもなっています。
※腸内環境改善
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30921521/
ヨモギ
キク科のヨモギもしくはオオヨモギの葉です。
昔から婦人薬を始め、止血や咳止めなどに使われてきました。
カリウム、食物繊維、ビタミンBなどが豊富なため、むくみや腸内環境の改善、そして美肌効果が期待されます。
※腸内環境改善
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22834551/
免疫改善に使用する薬膳素材
免疫改善を行う薬膳素材は、非常に多いです。
例えば、韓国の疫学調査で朝鮮人参非摂取グループの発がんリスクを1とした場合、朝鮮人参を摂取したグループの胃がんになるリスクは0.33で、肺がんになるリスクは0.30と減少になることで知られています。
つまり、朝鮮人参を取り続けるだけで、胃がんや肺がんになる確率が3分の1になるということです。
普段の生活からぜひ取り入れていただきたいものです。
朝鮮人参
ウコギ科オタネニンジンの根です。
人参特有のサポニン・ビタミン類・ミネラル類を豊富に含み、五臓(肝・心・脾・肺・腎)すべてを補うといわれる薬膳の代表食材で、身体に元気をつける食材として広く使われています。
また中国最古の薬物書「神農本草経」に上品(飲むと長寿になる生薬)として収載されています。
漢方の世界では気を補う生薬として最高峯とされ、幅位広い効能があります。
※免疫調整
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31700262/
白花蛇舌草
アカネ科のフタバムグラの全草です。
白い花と蛇の舌のような形状の葉をもっていることが命名の由来です。
中国ではお茶のような形で、白花蛇舌草と同じく癌予防に飲まれている人気の生薬です。
※免疫調整
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26130790/
※抗腫瘍効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31387180/
半枝蓮
シソ科のコガネバナ属植物の全草です。
解毒作用があり、白花蛇舌草と同じく癌予防に飲まれています。
※抗腫瘍効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28086772/
亀板
カメ科クサガメの腹甲を乾燥したものです。
働きは、スッポンと近いですが、スッポンよりも体を潤す力が強いです。
レイシ(霊芝)
サルノコシカケ科マンネンタケ(霊芝)の子実体です。
名前も長寿をもたらすことから由来しています。
中国で古くから「不老長寿の仙草」として珍重されてきました。
漢方の世界では「気・血」を補い、五臓 (肝・心・脾・肺・腎)を滋養すると言われています。
また抗酸化作用に優れているため、細胞の老化を遅延させる働きが知られています。
※免疫調整
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31777013/
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任