2021/05/02

漢方薬一覧(シで始まる処方)

目次



  1. 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)

  2. 滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)

  3. 紫雲膏(シウンコウ)

  4. 四逆散(シギャクサン)

  5. 四君子湯(シクンシトウ)

  6. 七物降下湯(シチモツコウカトウ)

  7. 柿蒂湯(シテイトウ)

  8. 四物湯(シモツトウ)

  9. 炙甘草湯(シャカンゾウトウ)

  10. 芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)

  11. 鷓鴣菜湯(シャコサイトウ)

  12. 十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)

  13. 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)

  14. 潤腸湯(ジュンチョウトウ)

  15. 生姜瀉心湯(ショウキョウシャシントウ)

  16. 小建中湯(ショウケンチュウトウ)

  17. 小柴胡湯(ショウサイコトウ)

  18. 小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)

  19. 小承気湯(ショウジョウキトウ)

  20. 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

  21. 小青竜湯加石膏(ショウセイリュウトウカセッコウ)

  22. 小青竜湯合麻杏甘石湯(ショウセイリュウトウゴウマキョウカンセキトウ)

  23. 小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)

  24. 消風散(ショウフウサン)

  25. 升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)

  26. 逍遙散(ショウヨウサン)

  27. 四苓湯(シレイトウ)

  28. 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)

  29. 参蘇飲(ジンソイン)

  30. 神秘湯(シンピトウ)/a>

  31. 参苓白朮散料(ジンレイビャクジッサンリョウ))




(ジインコウカトウ)


滋陰降火湯
①咳、②皮膚が浅黒い、③便秘
体力が衰弱し、発熱がある老人、虚弱者の気管支炎に用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
天門冬(てんもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
黄柏(おうばく):ミカン科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。
・天門冬、麦門冬ともに粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。
・白朮、陳皮、甘草は脾胃を補い、消化機能を助ける。
・知母、黄柏は腎の燥きを潤し、熱をさます。

※使用目標例
・陰を滋潤して、火を降ろすという方名は、泌尿器、あるいは呼吸器の高熱疾患による体液損失や、酒色過度による上盛下虚に、腎水の虚乏を滋潤し、胸部の火熱(炎症)を清解するという意味である。

・滋陰降火湯を肺結核や慢性気管支炎に用いる場合、咳は乾咳で痰は粘稠で切れ難く、呼吸音に乾性ラ音があり、皮膚は浅黒く乾燥し、便秘傾向で便は硬いものに用いる。禁忌として、皮膚は白く、下痢し易く、湿性ラ音のあるもの。

・腎盂炎、肋膜炎、糖尿病、腺病体質、初老期の生殖器障害などにも用いるが、この場合は微熱、体液減少、便秘気味、口乾傾向のあるものを目標にする。

※注意点
・体力が極度に衰えたものや、一服して下痢するものは不適である。

●麦門冬湯VS半夏厚朴湯VS滋陰降火湯 VS 桂枝加厚朴杏仁湯
麦門冬湯証は乾性の咳であるが、半夏厚朴湯は、湿性痰がからんで咳が出る場合に適応となる。さらに麦門冬湯よりもさらに咽頭粘膜が乾燥して、咽頭に妙な熱がこもってテカテカと赤いときには、滋陰降火湯が使用される。桂枝加厚朴杏仁湯は、布団に入ると痙攣性に咳き込み、水溶性の痰が絡む場合に使用される。

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(ジインシホウトウ)


滋陰至宝湯
①慢性の咳、②虚証、③胸脇苦満
体力が衰弱した慢性の咳に用いる。慢性気管支炎、肺繊維症、気管支喘息などに用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
薄荷(はっか):シソ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「逍遥散」—「生姜」〜
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
香附子(こうぶし):カヤツリグサ科、理気薬/平
地骨皮(じこっぴ):ナス科、清熱薬 —清虚熱薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
貝母(ばいも):ユリ科、止咳平喘薬 —消化熱痰薬/寒

※生薬の解説
・当帰と芍薬は、下垂体、卵巣や子宮に作用して月経障害を調整する作用も兼ねている。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・薄荷は憂鬱感や精神的な原因による胸の痞えや胸肋の膨満感を治し、柴胡、芍薬、甘草とともに精神的ストレスによる無月経、月経不順に有効である。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・茯苓も精神的な心悸亢進、不眠に効く。
・白朮、陳皮、甘草は脾胃を補い、消化機能を助ける。
・知母は抗炎症作用を持ち、発赤、充血、熱感を治す。また地骨皮は知母とともに、結核などの微熱、咳嗽(がいそう)、寝汗を治す。
・麦門冬は粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。貝母も麦門冬とともに、肺の津液を補い、鎮咳、去痰する。
・香附子は、気分の滞りを散じ、血を巡らして、月経を整える

※使用目標例
・逍遥散が母体であるので、婦人に使用する事が多い。神経症の加わった慢性の肺や気管支の病気で羸痩(るいそう:いわゆるやせの程度が著しい状態)し、栄養状態や消化機能が低下し、痰が切れにくい咳をするもの。

・慢性気管支炎、肺結核、気管支拡張症、自律神経失調症、鬱状態、ヒステリー、寝汗、咳嗽、微熱、脾胃の虚の咳嗽、衰弱

※注意点
・すぐに効くものではなく、長期戦で考える処方。

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(シウンコウ)


紫雲膏
①痔核、②火傷、③しもやけ
保険適応では、火傷、痔核、肛門裂傷であるが、切り傷、湿疹など様々な皮膚疾患に効果がある。

※組成
紫根(しこん)= 紫草:ムラサキ科、清熱薬 —清熱涼血薬/寒
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
ゴマ油
ミツロウ
豚脂

※生薬の解説
・潤肌を目的とする当帰と解熱、解毒、殺菌の効果がある紫根の成分をゴマ油、ミツロウ、豚脂で熱抽出したものである。紫根は外用すれば肉芽形成作用を促進する。

※使用目標例
・皮膚病、外傷、火傷にはほとんど万能と言って良い。ただ化膿していないこと、創面がおおきくないこと、分泌物が多くないことの条件を守れば良い。

・皮膚病や切り傷にも陰陽があって、紫雲膏はその陽性の場合に効く。炎症性のものが適応で、年月を経たもの、カリエス(脊椎を含む骨組織の結核菌による侵食など。大半が、結核の時の二次感染)、冷性膿瘍(熱膿瘍と異なり、急性炎症症状を欠き、結核菌が膿に含まれている)、痔瘻などの陰性のものには効かない。

・湿疹、乾癬、角皮症、水虫、うおのめ、たこ、にきび、いぼ、ひび、あかぎれ、あせも、かぶれ、わきが、円形脱毛症、白なまず(尋常性白斑)、しろくも、外傷、凍瘡、火傷、虫刺され、潰瘍、痔、脱肛、ひょうそ(指の急性化膿性疾患で、爪囲炎が多い。ブドウ球菌、連鎖球菌が感染して起きる。炎症は深部に達するので、激痛があり、腫脹、発赤、熱感を伴う)、びらん(皮膚の上皮が破壊され、下の組織が露出した状態)

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(シギャクサン)


四逆散
①胸脇苦満、②憂鬱、③中間証
中間証で、胸脇苦満、憂鬱等に用いる。四逆散は大柴胡湯と小柴胡湯の中間に位置する薬方である。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・芍薬と枳実は中腔臓器の運動リズムを調整し、機能をスムーズにする。
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。また芍薬は、桂枝の気を巡らせる働き(順気作用)を腹部に引っ張ってくるとも言われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。

※使用目標例
・四逆散の特徴は、小陽病の実証にも適応する方剤でありながら、その適応の病態が少し冷えっぽいことである。ただし、一見冷えが強いので、陰証に見えるが、実は陽証の病態である。

・腹直筋の緊張が両側とも非常に強く、幅も厚みもあってピンと張っている。なお、腹直筋が緊張するときは、全身的に筋肉はspasticになり易い時で、また冷えを伴う事が多い。例えば寒い時に足がつり易い、あるいは冷たい水に飛び込むと足が痙攣するなどがある。筋肉の緊張は寒と関連があり、従って、そのような徴候が出てくる場合には顔色が悪い。→「左右の腹直筋の2本棒と言えば四逆散」

・小陽病で、あまり虚証ではなく、左右ほぼ均一に胸脇苦満があり、腹直筋の緊張も全身にわたってかなりあり、白っぽい顔をしている。

・下痢と便秘を交互に繰り返す場合に適応する。便秘すると、コロコロした便がでる。そして出たかと思うと、下痢をしてしまうと訴える。ちょっと抑うつ傾向があったり、本人が寒さに弱かったり、下痢や便秘を繰り返すので、顔色も悪いし、自分は虚弱だと思っている。しかし客観的にはそれほど虚弱に見えない。顔色などは良くないが、胸脇苦満があり腹力もあまり弱くない。腹直筋の緊張も幅広く厚みもある。

・胃潰瘍、胆石の疼痛、心下部の痙攣性疼痛。精神的ストレスによる痙攣、痙攣性疼痛に用いる。
・神経症、心身症。イライラ緊張しやすいものに用いる。

※使用目標例
・多くの加味方が可能であり、加味する場合は「K88 四逆散料」を使用した方が便利である。

・歯痛の場合、上顎には四逆散、下顎には排膿散が効く。

※ 四逆散VS 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
「四逆」というのは四肢厥逆(ししけつぎゃく)の略で、簡単に言えば手足が冷える事。四逆散の場合、エネルギーである「気」の流れが途絶えて起きる四逆で、緊張する場面で手足が冷えるのはこれにあたる。当帰四逆加呉茱萸生姜湯の場合は、寒さが血管を収縮させて血が通わなくなった事による四逆である。従って、温める薬が多く含まれる。

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(シクンシトウ)


四君子湯
①易疲労、②食欲不振、③体重減少
胃腸機能が虚弱で、食欲不振、易疲労などの症状がある者に用いる。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・人参には、造血作用と胃酸を増加させる作用がある。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・生姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。
・大棗は、鎮静、鎮痙作用がある。そして甘草は、大棗とともに痙攣を抑制する。また大棗、甘草は諸薬を調和する。

※使用目標例
・胃部に振水音があるのを「胃内停水」と言い、これが消化機能を低下させ、悪循環を呈するので、皮膚に色つやがなく、爪や唇も血色少なく、腹部は軟弱で下痢しやすく、全身的にアトニー性で気力に乏しい。食事をすると胃にもたれ小食で、手足が冷え、寒さに弱く、言語にも力が無い事が多い。

・胃腸虚弱、消化不良、慢性胃炎、萎縮性胃炎、慢性下痢、食欲不振、胃下垂
・各種出血後、大病後の貧血、四肢無力、遺尿

●四君子湯VS六君子湯 VS香砂六君子湯VS半夏白朮天麻湯
四君子湯は気を補う典型的な生薬だけで構成されており、この四君子湯に二陳湯という胃腸の水毒をさばくような半夏、陳皮を含む方剤を加えた方剤が六君子湯である。四君子湯は脾胃を補うといいながら、結果的には気を補うのが専門の薬であるが、六君子湯は、それに対して少し水毒をさばく作用を持っている。従って、四君子湯は単に気が虚している場合に使用し、六君子湯は、胃の辺りに水毒が溜まって消化吸収が悪いような時に使用する。一般的には、胃の弱い方で、無難に見て行く時には六君子湯を良く使用する。また六君子湯に縮砂、藿香、香附子が加えられた香砂六君子湯は、食後眠くなり、手足がだるく頭重を訴えるものに良い。頭痛が強ければ、もっと発展させて半夏白朮天麻湯を用いる。

※注意点
・実際には、四君子湯単独で使用することは少なく、六君子湯や香砂六君子湯などの加味された方剤を用いることが多い。

・四君子湯の人参はオタネ人参や紅参など上等品を使用したい。

・普通、貧血には鉄剤が使用されるが、ほとんどが胃腸障害で目的達成まで使えない。四君子湯はその点、安心である。

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(シチモツコウカトウ)


七物降下湯
①高血圧、②頭痛、③虚証
虚証の高血圧、頭痛、タンパク尿のある者に用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
〜以上、「四物湯」〜
黄耆(おうぎ):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
黄柏(おうばく):ミカン科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
釣藤鈎(ちょうとうこう):アカネ科、平肝熄風薬 — 熄風鎮痙薬/微寒

※生薬の解説
・当帰と川芎には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。川芎は主に上半身の血流を良くして頭痛を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。
・黄耆は、皮膚に水毒がたまるような異常に使用するが、同時に元気を補ったり、免疫力をつけたりする作用がある。また陽を助ける役目をし、衛気を実し、表を固める。さらに、血管拡張作用による血圧降下作用が報告されている。
・黄柏は、腎と下焦の熱を冷まし、胃燥を潤し、下痢を止める。
・釣藤鈎には、降圧、鎮静、催眠、鎮痙作用などがある。特に脳動脈拡張作用による降圧作用があり、イライラ、不眠を治す鎮静作用もある。

※使用目標例
・最小血圧が高い高血圧症で同時に蛋白尿の陽性者や腎硬化症のある人を目的とする。

・高血圧症で、虚弱なため、大黄剤や柴胡剤を用いられないもの。腎性高血圧症、腎硬化症。

・軽度(140-160 mmHg程度)の高血圧には比較的効きが良く、本方単独で正常血圧に落ち着く事が多い。

※注意点
・重症の高血圧(拡張期血圧で115 mmHg以上)には、漢方薬単独で治療するのは危険である。漢方薬と降圧薬とを併用することにより、高血圧の症状を軽減し、よい結果が得られる場合がある。

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(シテイトウ)


柿蒂湯(シテイトウ)
※組成
丁子(ちょうじ)=丁香(ちょうこう):フトモモ科、温裏薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
柿蒂(してい):カキ科、理気薬/平

※生薬の解説
・柿蒂が主薬であり、柿蒂に含まれる胃内で固まり物理的にしゃっくりを止める。柿蒂と丁子は、胃を温め、上衝した気を下げ、しゃっくりを止める。柿蒂と生姜はうっ滞した痰を除き、しゃっくりを止める。

※使用目標例
・しゃっくり

・大抵のしゃっくりは、柿蒂湯で解決するが、明らかに陽証と思えるもの、例えば壮実の体格の人が平時にしゃっくりを起こした場合は、半夏瀉心湯と併用する。

※注意点
・柿のヘタは、柿の種類を問わず使える。

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(シモツトウ)


四物湯
①貧血、②瘀血、③月経異常
血虚という血が不足する病態に用いる。色々な処方と合方して用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温

※生薬の解説
・当帰と川芎には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。川芎は主に上半身の血流を良くして頭痛を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。

※使用目標例
・四物湯は血虚の聖剤と言われている。また血虚の際には、気虚を伴う事が多く、
貧血以外の症状にも注目する必要がある。月経異常、不妊症、血の道症、産前産後はもちろん、皮膚の枯燥した皮膚病には、病名を問わず使用して良い。その用途によって種々の加味方がある。

・貧血、食欲不振には四君子湯と合方して用いる。

・皮膚病には黄連解毒湯との合方である温清飲が使用される。

・下部出血には、阿膠、桂枝、艾葉、甘草が加えられた芎帰膠艾湯が使用される。

※注意点
・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

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(シャカンゾウトウ)


炙甘草湯
不整脈の第一選択薬

①動悸(不整脈)、②息切れ、③虚証
虚証で体力が衰えて動悸、不整脈のある者に用いる。

※組成
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「桂枝湯」—「芍薬」〜
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平

(別包)
阿膠(あきょう):ウマ科、補虚薬 — 補血薬/平

※生薬の解説
・「桂枝—甘草」には、強心利尿作用(強心作用により腎血圧を上昇させて二次的に利尿作用を現す)があり、心悸亢進や気の上衝を抑制する。
・大棗は緊張を緩和し心脾を補うとされ、補血、強壮、利尿作用がある。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。
・地黄は血熱を冷まし、出血を止め、肌肉を潤す効果があり、血糖降下作用を認められている。
・麦門冬は肺を潤し、心熱を去り、気を鎮めるとされ、乾燥性咳嗽や息切れに多用される。
・人参は気を補い、津液を生じて精神を安定させる。麦門冬と共に滋潤作用を発揮する。
・麻子仁は、熱によって燥き固まったものを潤し和らげる効能があり、緩下作用がある。
・阿膠は血を補い、肺を潤し、傷を癒し、止血作用がある。

※使用目標例
・津液の不足状態が、特に循環器にあって、呼吸器、消化器、皮膚粘膜にまで波及した状態に用いられる。心悸亢進、不整脈、呼吸困難で手足は煩熱する。この時の不整脈は促脈と言われている。我々が遭遇するものは期外性収縮(異常な刺激によって心臓が本来の周期を外れて早く収縮する不整脈)で、炙甘草湯証に一致する事が多いと思われる。

・心悸亢進症、上室性期外収縮、心室性期外収縮、バセドウ病、交感神経緊張症、ノイローゼ

・「腹部に大きく動悸を触れる」というのは、炙甘草湯の目標の一つである。

※注意点
・阿膠は他の薬味を煎じ上げた後、カスをこしてから入れて煮溶かす事。器壁につかぬよう、別の水に湿らせてから入れると良い。

・麻子仁のような堅い殻を持っている種子は炒って粗く砕く事。

・甘草は炙甘草にするため、改めてフライパンで炒める事。

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(シャクヤクカンゾウトウ)


芍薬甘草湯
①こむら返り、②筋肉痙攣、③腹痛
急激に起こった筋肉痙攣、こむら返り、腹痛に用いる。虚実は問わない。

※組成
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。

※使用目標例
・芍薬甘草湯が適当となる病態の最も特徴的な症候は、腹直筋の攣急である。典型的には、季肋下部から恥骨まで腹直筋の緊張が見られる。腹直筋を上から下まで手で按じていくと、異常緊張がわかる。また腹直筋が異常に緊張している場合は、按じられると緊張が見られる。

・他覚的には、両側の腹直筋の緊張が見られ、病態としては様々な筋肉のspasticな異常緊張状態に用いる。従って、お腹が急に痛くなった時や、脚をつった時に頓服として用いれば即効性があり、またそのような体質を治すために用いることもある。

・子供はよく腹痛を訴えるが、お腹全体あるいはお臍のあたりが痛いときは、芍薬甘草湯をなめさせると軽くなる。登山や小さな子供と旅行する際に携帯すれば、便利である。

・胆石や尿結石のような、石による腹部の痛みは平滑筋のspasmによって生じるので、頓服として少し多めに1回に1日分くらいを服用させる。芍薬甘草湯は、正常な蠕動は阻害せずに異常緊張のみをとる点が一般の鎮痙剤と異なる。従って、お腹が張ったりすることなく痛みが緩和し、排石を促進してくれることもある。

・冷えると筋肉は痙攣し易いので、筋肉の異常緊張に有効な芍薬甘草湯は少し温める作用がある。したがって、病位は太陰病あるいは小陽病の虚証である。ただし、冷えが明らかな場合は、附子を加えた芍薬甘草附子湯が適用となる。冷えで脚をつりやすい者が例えば海で泳ぐ直前に芍薬甘草附子湯を2回分程飲むと、予防となる。

・寝違い、肩こり、五十肩、こむら返り、腰痛にも使用する。臍の高さあたりだけが重く痛い場合には、八味地黄丸を良く使うが、痛みの急性期、特に座骨神経痛などでは筋肉の緊張を伴うので、芍薬甘草湯や芍薬甘草附子湯をよく使う。

・小児の腹痛のある胃腸型感冒の時には芍薬甘草湯の投与により、腹痛の症状を抑える事が可能である。通常の胃腸型感冒では、五苓散を第一選択薬として用いる。

※注意点
・芍薬甘草湯は頓服的に用いるもので、連続しての使用は少ない。(休日前などには休薬などをして、不要であれば早く離脱する。)連用すれば、甘草の副作用と言われている浮腫や筋無力様症状が現れる事がある。もしこれらの症状が起きれば五苓散を使う。

・芍薬甘草湯加麻黄でバネ指が治る。

・劇的な効果は湯液のみに見られる。

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(シャコサイトウ)


鷓鴣菜湯
※組成
海人草(まくり、かいじんそう):フジマツモ科、駆虫薬/温
〜以下、「大黄甘草湯」〜
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・海人草には、駆虫成分であるカイニン酸が含まれている。
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・甘草は、清熱解毒作用を持ち、諸薬を調和する。

※使用目標例
・回虫、ギョウ虫の駆除

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(ジュウゼンダイホトウ)


十全大補湯
①気血両虚、②易疲労、③悪性腫瘍
気と血の両方が虚して、易疲労、貧血、悪性腫瘍等がある時に用いる。様々な難病の最後の手段として用いる。アトピー性皮膚炎にも有効である。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
〜以上、「四君子湯」—「生姜」—「大棗」〜
黄耆(おうぎ):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
〜以下、「四物湯」〜
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・当帰、川芎、芍薬、地黄の4味で、四物湯となる。四物湯は補血作用があり、皮膚・筋肉・骨の老化防止、造血・調経による貧血や生理不順の改善、止血作用などがある。なお、地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)がある。
・桂枝に当帰と黄耆を加えると、肉芽の増殖が非常に促進され、難治性潰瘍を改善する。
・黄耆は気を補い、桂枝は冷えを温め、血行を良くする。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。

※使用目標例
・補中益気湯を使う目標で、さらに痩せて枯れて冷え易い者。皮膚が萎縮して皮脂の分泌が悪い、骨や筋肉が枯れて痩せた者に用いる。

・肉芽が出来てこない、創傷の治癒が悪い者に用いる。

・運動麻痺、骨や筋肉が萎縮した者(老化現象)。老化に伴って背中が曲がって、腰が痛くなるとか、膝の関節が痛んで筋肉萎縮が起きて動きが悪いという者などに用いる。

・貧血症、白血球減少、血小板減少に用いる。

・白内障に対して、防風通聖散を少量合方して用いる。

※注意点
・熱症状のないものに用いる。また地黄を含んでいるので、瘀血質、枯燥の性格を帯びている事が必須である。

・通常、補剤にはヒネショウガ3g、大棗3gを入れる。さもないと、もたれる。

・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・川芎を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(ジュウミハイドクトウ)


十味敗毒湯
①胸脇苦満、②湿疹、③化膿性湿疹
中間証に用いる。急性、慢性の湿疹、蕁麻疹、化膿性疾患に用いる。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
桜皮(おうひ):バラ科、鎮咳、去痰作用
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
独活(どくかつ、どっかつ):セリ科、怯風湿薬/微温
防風(ぼうふう):セリ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
荊芥(けいがい):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡、桜皮には、消炎解熱作用がある。
・桔梗には、去痰排膿作用があり(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)、甘草と組んで咽頭を治す消炎作用がある。
・荊芥、防風、独活、川芎、生姜には発汗解表、鎮痛、止痒作用がある。
・桜皮、桔梗、甘草には去痰、排膿作用がある。
・独活、桔梗には利水作用がある。

※使用目標例
・脂漏性皮膚炎:脂漏性皮膚炎は、水泡、湿潤性のびらん面などを作らない乾燥性の湿疹である。化膿菌が起炎菌であれ、非特異的なものであれ、毛嚢炎、毛嚢周囲炎には、十味排毒散が有効である。

・湿疹、皮膚炎群:皮疹を大別して、乾燥性皮疹には、十味排毒散や当帰飲子を、湿潤性の皮疹には、消風散を用いる。体質的には、皮膚に水分の多い乳児、水太りの体質の人は、皮疹の湿潤傾向が強く、夏期に増悪する。痩せ型体質や皮膚の水分が少ないカサカサした皮膚では、乾燥性の皮疹を生じ、空気の乾燥する冬季に増悪する。

※注意点
・十味排毒散に連翹、薏苡仁、麻黄などを加味したり、四物湯、排膿散などを合方することが多い。さらに原方にあった金銀花を復活させたい。5g程別包する。

・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・川芎を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

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(ジュンチョウトウ)


潤腸湯
①便秘、②体液欠乏、③中間証
一般に老人、衰弱者の便秘に用いる事になっているが、大黄、枳実が含まれているので、甚だしい虚証には用いない方が良い。ひどい腹痛を生じる事がある。

※組成
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
〜以上、「麻子仁丸」−「芍薬」〜
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
桃仁(とうにん):バラ科、活血化瘀薬 —活血調経薬/平(小毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。なお当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。
・枳実、厚朴は腸の緊張を和らげ、腸内のガスを巡らす。
・黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。また消炎解熱作用を持つ。
・麻子仁、杏仁、桃仁は油剤で、大便を軟らかくして、出易くする潤腸の作用がある。
・枳実、大黄は腸管の蠕動を亢進して排便を促し、瀉下作用がある。
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・甘草は、瀉下による腹痛を緩和する。

※使用目標例
・常習便秘に用いる。潤腸湯は、体液が減少していて腸内も乾いて、粘滑性を失い、コロコロした兎糞状の便を排泄するものが目標で、弛緩性の時も、痙攣性の時もある。

・常習便秘、老人性便秘、高血圧や動脈硬化症などを伴う便秘

※注意点
・大黄の分量は、少量から持って行く事が常道で、個人差の強い薬物でもある。量を固定化してしまうことは疑問である。

・桃仁、紅花、大黄、冬葵子、附子、乾姜、肉桂、枳実は、妊婦に慎重に投与すべき生薬である。

・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・桃仁の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。

・大黄の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。また大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児が下痢を起こす事があるので、授乳中の婦人には慎重に投与すること。

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(ショウキョウシャシントウ)


生姜瀉心湯
①胸やけ、②げっぷ、腹鳴、③下痢
胃部の不快感が強く、げっぷに食臭があるもの

※組成
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
黄連(おうれん):キンポウゲ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
半夏瀉心湯の中の乾姜の量を減らして、生姜が加えられている。

※瀉心湯類
漢方処方の分類で「黄芩」と「黄連」を主薬とする処方群である。瀉心とは「心下のつかえ感を去る」と定義され、胸やみぞおちのつかえがある人を目標としている。代表的な方剤に半夏瀉心湯、生姜瀉心湯、甘草瀉心湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯などがある。前3つの処方の構成生薬は同じであるが、甘草瀉心湯は甘草を増量し、生姜瀉心湯は乾姜を減らして生姜を加味している。半夏瀉心湯は軽い吐気や嘔吐、食欲不振、腹中雷鳴を目標とし、生姜瀉心湯は嘔吐が激しいときに、甘草瀉心湯は消化管全体が虚し下痢が続く場合および精神不安を伴う場合に用いる。一方、主薬二味に大黄を加えた三黄瀉心湯は消炎瀉下薬と考えられ、上半身の充血を鎮める意味を持ち、高血圧の諸症状で便秘のある人に用いる。便秘のない場合は黄連解毒湯とし、皮膚瘙痒症にも適応する。これら2種の処方は虚している人には使用しない。

※生薬の解説
・半夏は吐き気を取る作用がある。
・人参は、上腹部の痞え、痛みをとる。
・黄連は、横隔膜前後から上の比較的実証の対する薬。黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。
・乾姜は、体を温める作用がある。従って、黄蓮や黄芩で熱を冷ましながらも、乾姜で胃の辺りを温めて活力をつけ、補う作用を持っている。
・大棗—生姜は、胃腸を温め、機能を整える。
・生姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。また甘草は諸薬を調和する。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。

※使用目標例
・柴胡が入っていないので、胸脇苦満はないが、黄蓮、黄芩が入っている方剤は、心下の痞(みぞおちのつかえ)をとる作用があり、使用目標となる。また人参が入っており、心下が単につかえるだけでなく、抵抗(鞭)がある時に使う。腹部の所見は、虚実間であるため、腹力は中程度から少し弱く、心下痞鞭があるということになる。

・半夏瀉心湯と似たような症候で、胸やけやゲップがある時に良く効く。

・下痢にも用いる。この場合、嘔吐と下痢なら半夏瀉心湯か五苓散、腹痛嘔吐が主であれば、黄連湯で、心下痞硬が主であれば、生姜瀉心湯である。

・神経症で心下痞硬があれば、生姜瀉心湯を考える。胸の痞えなら生姜瀉心湯、咽中の痞えなら半夏瀉心湯を使用する。

・胃弱、胃炎、胃酸過多症、胃下垂、胃拡張、胃酸欠乏症、胃潰瘍、胃運動亢進症、十二指腸潰瘍、胃腸炎、胃痛、腸炎などで心下が痞え、胃部不和感が強く、あるいは腹鳴、鼓腸、胸やけ、ゲップ、嘔吐、下痢のうち何らかがある。

※注意点
・生姜が乾生姜では意味が無い。従って乾姜1.5gは除いて、ヒネショウガを約2~3g入れるのが本来であろう。

●半夏瀉心湯VS生姜瀉心湯VS甘草瀉心湯
半夏瀉心湯は吐き気が中心である。ゲップや胸やけがあれば、生姜瀉心湯となる。急迫症状、例えば下痢であれば頻回であったり、冷えが強そうな時は、甘草瀉心湯を用いる。また半夏瀉心湯は胃部が痞えて硬い、食欲が無い、吐き気、腹鳴、下痢、ゲップなどの胃炎に用いる薬方であり、生姜瀉心湯の方は、胃部の不快感が特に強く、ゲップに食臭のあるものに用いる。

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小(ショウケンチュウトウ)


小建中湯
①腹痛、②ほてり、③腹直筋の緊張
虚弱な者の腹痛や、普段丈夫な者が無理をして体調を壊した時に用いる。小児の夜尿症に用いる。

※組成
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
注)芍薬は、桂枝湯の2倍量含まれている
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「桂枝加芍薬湯」〜
(別包)
飴糖(いとう)=膠飴(こうい):餅米、うるち、小麦、麦芽、補虚薬 — 補気薬/温
桂枝加芍薬湯にさらに膠飴を加えたものが小建中湯である

※生薬の解説
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。また芍薬は、桂枝の気を巡らせる働き(順気作用)を腹部に引っ張ってくるとも言われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。
・大棗は緊張を緩和し心脾を補うとされ、補血、強壮、利尿作用がある。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。
・飴糖には、体力を補う作用がある。

※使用目標例
・ベニヤ腹→小建中湯

・飴糖には、体力を補う作用があり、小建中湯はしばしば虚弱な体を丈夫にする目的で使用する。また芍薬が多い処方なので、腹直筋の緊張は全長にわたって見られる。しかし、桂枝加芍薬湯よりもさらに虚証に適当となる薬なので、腹力は弱く、腹直筋の性状も小指ほどの太さぐらいの索状や、また幅はあっても薄っぺらいテープ状のものが多い。なお、腹満はない。

・虚弱な感じで、よくお腹が痛がる子供に対する第一選択薬であり、効果もある。例えば、かぜを引き易い人、お腹をこわし易い人、夜尿症などに使用する。ただし、最近の子供は寒が強い事が多く、そのような場合の夜尿症では、小建中湯だけではなく、時には附子を加えた方が良い。また虚弱な人で、時に手足がほてる場合にも使用できる。

・貧血して疲労しやすく、腹の皮が薄く、腹直筋が張っている。この腹直筋の拘攣は四逆散の場合も現れるが、小建中湯の場合は薄く、四逆散の場合は厚みがあり、主に上腹部になる。時々腹痛を訴え、寝汗、鼻血、手足が温かい、手足がだるいなどの症状があれば、病名の如何を問わず、まず小建中湯を考える。
・肺結核、肋膜炎の軽症、または回復期で、疲労倦怠、あるいは微熱、食欲不振、盗汗などがあるが、咳や痰などの呼吸器症状がほとんど無いもの。

・気管支喘息、肺気腫、心臓弁膜症、神経性心悸亢進症、動脈硬化症、高血圧症、低血圧症などで、疲労感、動悸、息切れ、軽い眩暈、背痛を訴えるもの。

・胃下垂、胃アトニーで疲れ易く、食欲がなく、食後に眠気を催したり、よくあくびの出るもの。また胃酸過多、胃酸欠乏症、胃運動亢進、慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍などで虚弱体質、食欲不振、胃部鈍痛、引き締まる感じ、軽度の胸やけを訴えるもの。

・慢性腸炎、慢性大腸炎、慢性消化不良、直腸潰瘍、直腸がんなどで下痢、腹鈍痛、粘液便が出て疲れ易いもの。常習便秘、弛緩性便秘で虚弱体質、腹が張るもの。

・急性肝炎の後、肝硬変症で虚性の腹満、食欲不振のもの。胆石症で体力弱く、心窩部鈍痛するとき。

・体力の弱い人の黄疸で腹が張り気味、あるいは食欲不振のもの。

・肥厚を主とした結核性腹膜炎で、全身的に疲労衰弱の徴があるもの。

・腹痛で発作的に強くおきるもの。小児の夜泣きで、腹が痛むかのように激しく泣き出すもの。小児の消化不良で腹満のもの。

・どもりで腹直筋や首から背中にかけて筋骨が張るもの。

・胃腸性、あるいは性的神経衰弱で、胃腸が弱く、疲れ易く、気力がなく、何をするにもおっくうで、眠くなり、あくびの出るもの。夢精、インポテンス、性的神経衰弱で疲れ易く、手足がほてるもの。夜尿症、頻尿症、前立腺肥大、腎硬化症。

・過労、疲労、スポーツ後。原因なく突然出る鼻血。

・痔、脱肛、ヘルニアなどで前進虚弱のもの。

※注意点
・小柴胡湯と並んでもっとも応用範囲の広い漢方である。いずれの場合にも「脈浮で緩、手足自温」に留意。

・「小建中湯を与えて、うまくいかなかったら小柴胡湯を与えよ」とあるが、その逆もある。紙一重のところで陰陽が逆であることから、この現象が起こる。

・処方に、阿膠、膠飴、芒硝などを入れるときは煎じた薬液に入れて溶解させる。

●桂枝加芍薬湯VS小建中湯
桂枝加芍薬湯は腹部膨満が主体であるが、小建中湯はお腹が張る事は無い。

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(ショウサイコトウ)


小柴胡湯
B型慢性肝炎の第一選択薬

①胸脇苦満、②悪心、嘔吐、③中間証
柴胡剤の代表処方で、慢性肝炎(実証〜中間証)に頻繁に用いる。風邪の亜急性期に用いる。(煎じ方は、再煎法)

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。
・柴胡と黄芩にはマイルドな消炎解熱作用がある。柴胡は表を、黄芩は裏を消炎解熱する。主に、喉、耳、気道、食道、胸部、心窩部などの小陽の部位(半表半裏)の炎症に用いられる。
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・人参、生姜、甘草は胃の調子を整える。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・大棗は脾胃を補い、気を整え、精神安定作用を持つ。また大棗と甘草は諸薬を調和する。

※使用目標例
・小柴胡湯のキーワード = 熱が出たり、寒気がしたり

・太陽病期を過ぎる頃で、往来寒熱(午後になると熱が出るような周期的な発熱)、胸脇苦満が出現し、口数も少なく食欲が少なくっている。あるいは、胸の中がもやもやする、吐き気がするといった症状が最も代表的である。

・少し寒気はするが、体が大分熱っぽくなってきている。また太陽病の「項背強ばる」という項から背中に沿っての強ばりとは異なり、「頚項強ばる」とあり、頸の側面が強ばり、首のコリにしても振り向けない(首をまわしにくい)コリである。一方、太陽病でも首がこわばる事がしばしばあるが、多くの場合は正中に沿ってのコリである。さらに、小柴胡湯証では、脇の下辺りがちょっと張っている感じがする。あるいは、手足が少しほてって、喉が渇く。

・風邪症候群、気管支炎、扁桃腺炎などの熱症で熱がある時、悪寒のある時期は太陽病といって解熱剤を用いるのは良くなく、温めて発汗療法を行うべきである。熱があって熱く感じ、汗が出るようになると本方のような消炎解熱剤を用いる。

・耳下腺炎、扁桃腺編、頸部リンパ腺炎、中耳炎、気管支炎、胸膜炎などの消炎解熱剤として、小柴胡湯を用いる。炎症が強いときや化膿性炎症には桔梗・石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏を用いる。

・急性肝炎には、小柴胡湯合黄連解毒湯を用いる。黄疸があれば、さらに茵蔯蒿湯を加える。

※注意点
・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

・「小建中湯を与えて、うまくいかなかったら小柴胡湯を与えよ」とあるが、その逆もある。紙一重のところで陰陽が逆であることから、この現象が起こる。
・本方中の人参はチクセツニンジンである。急性熱性病の場合はこの方が良い。慢性病や体質改善に使う場合には人参または紅参の方が良い。

・煎じあがってカスを分けた後に、もう一度煎じ液を半量に濃縮する事が原典で指示されている。これを再煎法という。これはサイコサポニンの変化を期待している手法なので、必ずしなくてはならない。

・小柴胡湯を続服していると、みぞおちが痞えると訴える人が出てくる。これは胸脇苦満のために心下痞が隠されていたので、決して副作用ではない。心下痞は半夏瀉心湯の合方が良い。黄連1gを加味すると合方したことになる。また小柴胡湯は長期間使用する薬だとは考えられていないとの意見もあるので、他剤への途中変更も考える。

・インターフェロン投与中の患者、肝硬変の患者、慢性肝炎で血小板10万以下の患者、肝がん患者には使用禁忌である。

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(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)


小柴胡湯加桔梗石膏
①胸脇苦満、②咽頭痛、③中間証
小柴胡湯に桔梗石膏を加えたもの。咽頭炎に用いる。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「小柴胡湯」〜
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・柴胡と黄芩にはマイルドな消炎解熱作用がある。柴胡は表を、黄芩は裏を消炎解熱する。主に、喉、耳、気道、食道、胸部、心窩部などの小陽の部位(半表半裏)の炎症に用いられる。
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・人参、生姜、甘草は胃の調子を整える。
・大棗は脾胃を補い、気を整え、精神安定作用を持つ。大棗と甘草は諸薬を調和する。
・桔梗には、去痰排膿作用がある(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)。
・ 石膏は、熱を冷ます作用があり、太陽病でも、熱が強い病態に適応となる。

※使用目標例
・耳下腺炎、扁桃腺編、頸部リンパ腺炎、中耳炎、気管支炎、胸膜炎などの消炎解熱剤として、小柴胡湯を用いる。炎症が強いときや化膿性炎症には桔梗・石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏を用いる。

・小柴胡湯桔梗石膏湯は、直接細菌を攻撃するだけではなく、免疫グロブリンの産生を高め、炎症を鎮める。このため上気道炎症疾患などの2次感染、口腔疾患の細菌感染とその炎症に応用され、抗生物質などの現代療法に抵抗する状態に使用して著効する。

※注意点
・石膏はなるべく塊状のものを求め、自分で割り、混ざっている土などを除いて調整すべきである。また灼熱するまで焼いたものは避けた方が良い。

・小柴胡湯の場合と同様に急性熱性病の場合にはチクセツニンジン、慢性病や体質改善に使う場合には人参または紅参と区別して使いたい。

・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(ショウジョウキトウ)


小承気湯
①お腹の張り、②便秘傾向、③脳症
陽明病で使用する。身体の中に熱がこもり、熱性疾患であれば高熱が続く場合に用いる。

※組成
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
大承気湯より芒硝を除いたものである。

※生薬の解説
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・厚朴は、気を巡らせる作用がある。身体を巡っている気がうまく巡らず、どこかに溜まっており、例えばお腹が張ったり、胸に物が詰まっているような感じがする時に使用する。
・枳実は、気を巡らせる作用があり、ぐっと固まった気が対象である。例えば、筋肉がspastic(痙攣性麻痺)な場合は、芍薬と甘草を使った方剤をよく使うが、腹直筋の緊張が太い感じに触れる時は、さらに枳実が入ったものを使用する。

※使用目標例
・小承気湯は陽明病で使用する。陽明病は裏に病があり、実証なので、典型的な脈は沈で実である。主要な症候としては、身体の中に熱がこもり、熱性疾患であれば高熱が続く。また身体の隅々まで、熱が行き渡り、熱臭のある汗がでる。裏まで病気が進んでいるので、典型的にはお腹が張ったり、便秘しやすくなる。

・大承気湯や調胃承気湯とは異なり、小承気湯には熱を冷ます作用の強い芒硝が含まれていない。そのため、熱を冷ます作用は比較的弱い。お腹が張って便秘傾向があり、あまり症状が強くない時に使用する。なお、調胃承気湯は小承気湯証よりも実の度合いが低い場合に使用する。

・急性熱病で、腹満便秘し、そのために脳症を起こしているものの比較的軽症のもの

・気管支喘息などで腹満便秘のあるもの

※注意点
・大黄の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。また大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児が下痢を起こす事があるので、授乳中の婦人には慎重に投与すること。

・芒硝の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。

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(ショウセイリュウトウ)


小青竜湯
①咳、②水様鼻汁、③泡沫状痰
中間証に用いる。体表に熱があり、心窩部に水毒を伴う気管支喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・芍薬には、発汗の行き過ぎを抑える作用もある。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・乾姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。乾姜は主にお腹が温めて、冷えによって起こる腹痛、下痢、悪心、嘔吐などを治す。また甘草は冷えによる腹痛を治すために乾姜と合わせて用いられる。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用や鎮咳去痰作用がある。

※使用目標例
・太陽病の症状でありながら、ちょっと冷えがあり、むくみや鼻水(水っぽく、粘性が低い。)などの水毒症状が出易くなっている。なお、水毒があると、脈が張ることが多いが、小青竜湯証でも、指が血管壁から離れる前にナイロン糸のような細い緊状を感知する。顔色は青白いような顔だが、陰証のかぜのように寒が強い状態ではないので、真っ白い顔ではない。急性証の太陽病で使う薬の慢性疾患の応用として、アレルギー性鼻炎や花粉症などに使われる。

・水毒症状は、胃内停水、浮腫、尿利減少、めまいとして現れ、ゼイゼイと喘鳴、薄い痰、流れるように出る鼻水も水毒症状である。このような特徴があれば、広く諸病に応用される。例えば、(1)感冒、気管支炎などで頭痛、発熱のような表証とともに咳、喘鳴があり、尿不利、めまいがあるもの、(2)喘鳴があって痰は水様で多量の気管支喘息、(3)百日咳、肺炎などで喘鳴があるもの、(4)ネフローゼ、腎炎など、(5)アレルギー性鼻炎で鼻づまり、クシャミが多く、鼻水がでるもの、(6)浮腫のある関節炎などに著効する。

※注意点
・頭痛、発熱、脈浮のような表証のあることを確かめる事。同じような症状で表証がないものには苓甘姜味辛夏仁湯などがある。

・咳が激しく、吐き気を催し、のどの渇かないものは小青竜湯。

・慢性アレルギー性鼻炎などの慢性病には、少なくとも半年くらいは続ける必要がある。

・五味子は黒っぽいものを選ぶ。刻んだものは仁に味が強すぎるので、使わぬ方が良い。

・「表解せず心下に水気」は必須条件。

・細辛には、特有の刺激があり、服用後に舌がヒリヒリする感じが起こることがある。

●小青竜湯VS小青竜湯合麻杏甘石湯
普通感冒やアレルギー性鼻炎、寒証型のネフローゼには、小青竜湯もしくは、これに附子を加えた小青竜湯加附子を使用する。気管支炎や気管支喘息には、杏仁と石膏が加わった小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。熱寒証型のネフローゼにも小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。

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(ショウセイリュウトウカセッコウ)


小青竜湯加石膏
①激しい咳、②逆上、③煩燥
唾や痰が多く出て、激しい咳がある場合に使用する。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「小青竜湯」〜
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用がある。
・麻黄には、利水作用があり、石膏には消炎解熱作用がある。このため、主に滲出性炎症を伴った浮腫に用いられるが、一般の浮腫で、浮腫が強い時にも用いられる。
・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・熱があって咳が激しく出て、唾や痰が多く、汗が少し出て悪寒があるものに用いる。小青竜湯証で逆上が激しく、咳、喘も激しいものである。胸の中が苦しくもだえるものもある。小青竜湯証で煩燥(胸苦しい)または上気(ほてり、のぼせ)の強いもの。

※注意点
・桂枝の服用により、発疹が出現する場合がある。

・乾姜の常用量は、1〜2gであるが、通常量を超えると、特有の刺激があり、口や舌に痺れ感が出現することがある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・細辛には、特有の刺激があり、服用後に舌がヒリヒリする感じが起こることがある。

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小(ショウセイリュウトウゴウマキョウカンセキトウ)


小青竜湯合麻杏甘石湯
①口渇、②気管支炎、③気管支喘息
咳や喘鳴、息切れ、呼吸困難が強くて、口が渇くといった場合に用いられる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
注)麻黄は、小青竜湯の4/3倍量含まれている
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上「小青竜湯」(ただし、麻黄は、小青竜湯の4/3倍量)〜
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用がある。
・麻黄には、利水作用があり、石膏には消炎解熱作用がある。このため、主に滲出性炎症を伴った浮腫に用いられるが、一般の浮腫で、浮腫が強い時にも用いられる。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。主として、アミグダリンの分解物、ベンズアルデヒトシアンヒドリンの薬効である。

・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・小青竜湯と麻杏甘石湯とは、どちらも喘と咳に使う漢方であるが条件が少し異なる。汗について考えると、どちらも水毒を体に持っているが、小青竜湯の場合は、それが鼻水とか唾とか水様性の痰とかになって出るのに反して汗は出そうで出ない。麻杏甘石湯証は汗して喘すと言われるぐらい額に脂汗を浮かべて咳をし、口渇を訴える。この2方の合方である小青竜湯合麻杏甘石湯は、小青竜湯証で鼻水とか水様性の痰とかの特量が少なく、しかも口渇を訴えるという風に2方の中間をいく証に変わっている。

※注意点
・一般に合方すれば、合方をしない前の鋭さを失い、効力は穏やかになる反面、弱くなるので、証ははっきりすれば、なるべく合方しない方が良い。

・杏仁の皮を取るという作業は大変だが守るべき。

・乾姜の常用量は、1〜2gであるが、通常量を超えると、特有の刺激があり、口や舌に痺れ感が出現することがある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

●小青竜湯VS小青竜湯合麻杏甘石湯
普通感冒やアレルギー性鼻炎、寒証型のネフローゼには、小青竜湯もしくは、これに附子を加えた小青竜湯加附子を使用する。気管支炎や気管支喘息には、杏仁と石膏が加わった小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。熱寒証型のネフローゼにも小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。

●小青竜湯合麻杏甘石湯VS麻杏甘石湯VS小青竜湯加附子
気管支喘息の発作で、熱喘(口渇があり、痰は少なく切れが悪く、汗が出て、ヒューヒューという喘息)には、麻杏甘石湯を用いる。一方、寒喘(薄い痰が多量に出て、痰声がゼリゼリ、ゴロゴロという喘息を伴う)には、小青竜湯加附子を用いる。一般に中間型が多く、小青竜湯合麻杏甘石湯を用いる場合が多い。

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(ショウハンゲカブクリョウトウ)


小半夏加茯苓湯
小半夏加茯苓湯は悪心、嘔吐の基本方剤の一つ

①悪心、②嘔吐、③つわり
激しい嘔吐やつわりに用いる。

※組成
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平

※生薬の解説
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・茯苓には利水作用があり、組織間、細胞間の水を血中に吸収させる。

※使用目標例
・悪阻(つわりが悪化し、病院での対処が必要になると妊娠悪阻(にんしんおそ)という病名がつく)の薬として使用される。病位は小陽病の虚証あたり。吐き気が強い場合は、湯気が吐き気を促進してしまう事があるため、冷やして飲ませる。吐き気が強い場合で、小半夏茯苓湯以外を服用させたい場合は、最初に小半夏茯苓湯を服用してもらい、30分後にその他の薬を服用してもらう方法がある。

・突然に嘔吐し、心窩部が膨満して痞え、めまいや心悸亢進がある時は、水飲のためであり、このような場合に本方を用いる。他にも、つわり、妊娠悪阻、胃腸疾患に伴う悪心、嘔吐に用いる。なお、五苓散は、利水剤であり嘔吐の方剤ではない。水逆の嘔吐に用いるが、このとき悪心はない。

・つわり(妊娠嘔吐)では、縮砂の生薬を少しずつ噛んでいると悪心が消失してくる(制吐作用)。その後に、小半夏茯苓湯か半夏厚朴湯を少しずつ冷服させると良い。

※注意点
・生姜はヒネショウガ3gを使うと良い。また生姜を倍加すると食べられるようになる事が多い。

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(ショウフウサン)


消風散
蕁麻疹に対する第一選択薬

①陽証実証、②湿疹、③夏に憎悪
陽証で実証の湿疹で夏に憎悪するものに用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
胡麻(ごま):ゴマ科、補虚薬 — 補陰薬/平
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
苦参(くじん):マメ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
蒼朮(そうじゅつ):キク科、化湿薬/温
木通(もくつう):アケヒ科、利水滲湿薬 — 利尿通淋薬/寒
防風(ぼうふう):セリ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
牛蒡子(ごぼうし):キク科、解表薬 — 発散風熱薬/寒
荊芥(けいがい):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
蝉退(せんたい):セミ科、解表薬 — 発散風熱薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・苦参、知母、石膏、地黄は抗炎症作用を持ち、発赤、充血、熱感を治す。
・蒼朮、木通には利水作用があり、水泡を消退させる。
・当帰、地黄、胡麻には湿潤作用があり、落屑や乾燥の症状を治す。
・防風、荊芥、牛蒡子、蝉退には止痒作用があり、掻痒性の皮疹を緩解させるように働く。
・甘草は、清熱解毒作用を持ち、諸薬を調和する。

※使用目標例
・消風散は、じくじくとした分泌物の多い慢性皮膚疾患(湿疹)全般に効くように作れている。炎症が激しく、局所の発赤、熱感が強い時は、黄連解毒湯を加える。また化膿性炎症には、十味排毒散や排膿散及湯などを加える。

・蕁麻疹に対するファーストチョイスの処方である。発赤が強く、局所の熱感を伴う風熱型に用いる。一方、皮疹の色が白く、熱感がない、寒冷の作用で起きる風寒型には桂麻各半湯が良い。

・水泡形成の見られる湿の多いものには、五苓散などを合方して利湿を強めて治療する。

・痒疹、固定蕁麻疹にも消風散がファーストチョイスとなる。ケロイド様になったもの、慢性化したものには、桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤を合方して用いる。

※注意点
・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

●補中益気湯VS通導散VS消風散
アトピー性皮膚炎の患者は腸管の環境が悪いために免疫異常を起こしていると考えられる。漢方では、補中益気湯と通導散の二つがこの腸管の環境を良くして免疫異常を改善すると考えられる。補中益気湯は主に小児に比較的大量に用いる。腸の環境を良くして消化吸収機能と免疫機能を改善する作用があるため、アトピー性皮膚炎に効果があると考えられる。成人型で肥厚、色素沈着があり、うっ血が強く、顔面、頸部などがびらん性に暗赤色を呈し、西洋医学的治療に抵抗する者に対しては、駆瘀血作用のある通導散合桂枝茯苓丸を用いる。また、アトピー性皮膚炎は基本的に湿疹、皮膚炎であり、この皮疹に対する治療は消風散を中心に用いる。さらに湿潤型や夏期増悪型には、消風散を増量し、乾燥型や冬季増悪型には、十味排毒散や温清飲を消風散に合方して用いる。

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(ショウマカッコントウ)


升麻葛根湯
①麻疹の初期、②風邪、③水痘
中間証に用いる。麻疹の初期や風邪に用いる。

※組成
葛根(かっこん):マメ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
升麻(しょうま):キンポウゲ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・葛根には、余計なこわばりを取り除く作用がある。特に首などのこわばりを取り除く作用がある。肩こり(主に首筋や脊椎の棘突起の両側)や緊張性頭痛に使う場合がある。
・芍薬は、筋肉の緊張を正常にさせる作用がある生薬で、しばしば甘草と組んで使われる。
・升麻には、升堤作用(内から外に引き上げる作用)がある。また外感病風熱型による諸症状を発散して清熱解毒し、麻疹の未発疹期などに処方して発疹を透疹させる
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。

※使用目標例
・発疹初期(必ず発疹が出る病気の場合に、発疹が出てこない時に使用する)、溶連菌症、鼻血、眼充血、扁桃炎

※注意点
・発疹がすでに出ていたら使用してはいけない。発疹が急に激しくなって体を弱らせる。

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(ショウヨウサン)


逍遙散
①不定愁訴、②痩せ気味の女性、③便秘
虚弱体質、月経不順、更年期障害、血の道症、冷え症などに用いられる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
薄荷(はっか):シソ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰と芍薬は、下垂体、卵巣や子宮に作用して月経障害を調整する作用も兼ねている。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・薄荷は憂鬱感や精神的な原因による胸の痞えや胸肋の膨満感を治し、柴胡、芍薬、甘草とともに精神的ストレスによる無月経、月経不順に有効である。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・茯苓も精神的な心悸亢進、不眠に効く。

※使用目標例
・痩せ気味の女性で、月経前になると感情が高ぶり易く、イライラして子供を叱りつけたり、つまらないことに腹を立てたりする傾向のある人が、肩が張りつめ、頭痛、不眠、便秘のある時に良く奏効する。また、とりとめもない症状を並べたり、前回の愁訴と異なる症状を訴えたりするのも目標となる。この症状にのぼせが加われば、加味逍遥散の方が良い。逍遥散証のようでいて肝火上亢の証がなく、考え込む気鬱の場合には、地黄と香附子を加える。なお、当帰芍薬散と同様に、同じような症状の場合は男性でも使用可能である。

・気鬱、婦人神経症、肩こり、月経不順、更年期障害、皮膚病、口舌びらん、慢性尿道炎、肝硬変の腹水のないもの。

※注意点
・頭痛、のぼせが無い場合は、加味逍遥散よりも逍遥散の方が良い。逍遥散に地黄と香附子を加えると良い。

・薄荷を除いたものを先に煎じ、煎じ上がる直前に薄荷を入れる。

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(シレイトウ)


四苓湯
①口渇、②嘔吐、③小便不利
体質(証)にそれほどこだわらず、口が渇き、尿量が少ないことを目安に広く用いる。

※組成
猪苓(ちょれい):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
沢瀉(たくしゃ):オモダカ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
「四苓湯」=「五苓散」—「桂枝」

※生薬の解説
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・猪苓と沢瀉は腎臓での再吸収を抑制して血中の過剰の水分を尿として排出する。

※使用目標例
・五苓散は、表裏双解の薬方で表証のあるものに使うが、この四苓湯証は表証がない。ただ、口渇して水を飲み、飲めばすぐ吐いて、小便不利するものに用いる。その他、つわり、夜盲症にも使用する。

※注意点
・特別に五苓散から桂枝を除く必要はないと感じるが、温疫理論から言うと、表寒がなければ、温剤である桂枝は必要なく、表熱があれば、むしろ病状の悪化をみるかもしれないという。

・失禁する人に黄連、黄柏、五味子、山茱萸を加える事がある。

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(シンイセイハイトウ)


辛夷清肺湯
①鼻閉塞、②副鼻腔炎、③中間証
中間証で、熱証の副鼻腔炎に用いる。

※組成
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
山梔子(さんしし):アカネ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
升麻(しょうま):キンポウゲ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
辛夷(しんい):モクレン科、解表薬 — 発散風寒薬/温
百合(びゃくごう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/平
枇杷葉(びわよう):バラ科、止咳平喘薬/微寒

※生薬の解説
・知母、石膏ともに熱をさます作用がある。
・黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。また消炎解熱作用を持つ。
・山梔子は、五臓の熱を冷ます。
・麦門冬は粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。
・升麻には、升堤作用(内から外に引き上げる作用)がある。また外感病風熱型による諸症状を発散して清熱解毒する。
・辛夷は、肺を温め、鼻孔を通じて風寒を散ずる。
・百合は、肺を潤し、気を整える。
・枇杷葉は、痰を化して肺を清くする。

※使用目標例
・化膿炎症が著明なものか、鼻孔内に腫脹のあるもので、局部に熱感が強く、鼻汁も膿性、粘稠なものが目標となる。

・鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症、鼻ポリープ、肥厚性鼻炎

・辛夷清肺湯で急性期を乗り切ったら、荊芥連翹湯でじっくり治療することも考えられる。

※注意点
・胃腸が弱い人には用いない方が良い。

・山梔子を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

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(ジンソイン)


参蘇飲
参蘇飲は風邪の代表的な方剤である。

①咳、②喀痰、③胃腸虚弱
感冒後に続く咳に用いる。

※組成
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
葛根(かっこん):マメ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
木香(もっこう):キク科、理気薬/温
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
前胡(ぜんこ):セリ科、化痰薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・桔梗には、去痰排膿作用があり(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)、鎮咳作用の半夏と組んで、鎮咳去痰剤の処方構成の骨格として使用される。また桔梗は、甘草と組んで咽頭を治す消炎作用がある。
・蘇葉、葛根、陳皮、生姜には解表作用、解熱鎮痛作用がある。
・半夏、前胡には鎮咳作用がある。
・桔梗、枳実には去痰作用がある。
・陳皮、枳実、人参、木香、大棗、生姜、甘草には健胃作用がある。

※使用目標例
・参蘇飲は、一年中を通じて普通の感冒に用いる(風邪の代表方剤で、これくらい良い薬方はないといえる)。普通の風邪で、頭痛、発熱、咳、痰などのある者に用いる。また、本方は風邪の鎮咳去痰剤でもある。半夏の鎮咳と桔梗の去痰を軸として組んだ処方で、半夏に前胡を、桔梗に枳実を加えている。蘇葉、葛根、前胡の解表薬を加えて、悪寒、発熱、肩こり、頭痛、筋肉痛などの表証に対している。葛根、前胡は胃にこたえるが、陳皮、枳実、生姜、大棗、甘草、木香などの胃腸薬が入っていて、胃腸を傷つけないように工夫されている。

・肺熱の風邪に使用する。この肺熱の風邪は、咳をしても痰が切れにくく、くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状がないことによって、肺寒と区別できる。夏風邪の中に参蘇飲を応用できる場合もある。

・感冒で頭痛発熱、咳痰、声重く、胃部が痞え張り、あるいは嘔吐するもの。

・胃腸の弱い人の感冒、気鬱、つわり

・肌熱性の感冒、体が熱くてムシムシという感冒

※注意点
・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(シンピトウ)


神秘湯
①咳、②呼吸困難、③胸脇苦満
小児の風邪で喘鳴を伴うもの、喘息性気管支炎、気管支喘息に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「麻黄湯」—「桂枝」〜
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・麻黄と杏仁には、利尿作用があり、滲出性の炎症に用いられる。
・厚朴には食道、腸管、気管支の痙攣を止める作用がある。厚朴はクレーラ様作用があり、食道、噴門の痙攣を緩める。腸の痙攣による腹痛、腹満、しぶり腹(残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおすもの)にも効果がある。
・蘇葉は、気分を晴れやかにして、半夏や厚朴の制吐作用、鎮咳作用を助ける。
・陳皮は湿を取り、痰を化して、胃を温めて腹満を除く。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。
・甘草は胃の調子を整える。また諸薬を調和する。

※使用目標例
・広範囲の喘息に応用される。ただし、水剤が少ないので喀痰の多いタイプには不向きであると言われている。必要に応じて、先回りして桔梗3g、貝母3gを加味し、甘草を増量する。また肺気腫にも使用される。

※注意点
・蘇葉は煎じる前に手でもむと成分が容出しやすくなる。また可能であれば、蘇葉を別包とし、煎じ上がる前に別包を入れる。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。

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(ジンレイビャクジッサン)


参苓白朮散
①胃腸虚弱、②食欲不振、③下痢
乳幼児の原因不明の長期間下痢に著効する。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
蓮肉(れんにく)= 蓮子:スイレン科、収渋薬 — 固精縮尿止帯薬/平
山薬(さんやく):キク科、補虚薬 — 補気薬/平
薏苡仁(よくいにん):イネ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
扁豆(へんず):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・人参には、造血作用と胃酸を増加させる作用がある。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・蓮肉、山薬は滋養強壮剤で、山薬は疲労回復の効果がある
・薏苡仁は消炎利尿、鎮痛、排膿などの作用があり、末梢血管拡張作用、抗ウイルス作用も報告されている。
・扁豆は胃腸機能を高め、消化を促進し、湿を除き、腹部膨満感およびしぶり腹(残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおすもの)を治す。
・蘇葉には解表作用、解熱鎮痛作用がある。
・桔梗には、去痰排膿作用がある(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)。
・芍薬は筋肉の緊張を緩め、桔梗とともに膨満感を治す。
・甘草は内部を温める温裏作用を持つ。さらに諸薬を調和する。

※使用目標例
・胃腸が虚弱で、別に発熱悪寒の様子も無く、ただ体がかるく食欲がない人。

・大病後、胃腸を元気にする時や胃腸が弱っていて常に下痢をする時。

・離乳期の乳児が原因のはっきりしない下痢を長く続ける時。小児の消化不良性下痢。

・慢性腸炎、腸結核(結核菌が腸に感染して起こる病気。回腸の末端部と盲腸上行結腸に発生することが多く、潰瘍が多発して穿孔を起こすこともある。腸結核の症状は、下痢、腹痛、発熱、だるいなど。)、病後の胃腸強壮

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2021/05/02

漢方薬一覧(シで始まる処方)

目次



  1. 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)

  2. 滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)

  3. 紫雲膏(シウンコウ)

  4. 四逆散(シギャクサン)

  5. 四君子湯(シクンシトウ)

  6. 七物降下湯(シチモツコウカトウ)

  7. 柿蒂湯(シテイトウ)

  8. 四物湯(シモツトウ)

  9. 炙甘草湯(シャカンゾウトウ)

  10. 芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)

  11. 鷓鴣菜湯(シャコサイトウ)

  12. 十全大補湯(ジュウゼンダイホトウ)

  13. 十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)

  14. 潤腸湯(ジュンチョウトウ)

  15. 生姜瀉心湯(ショウキョウシャシントウ)

  16. 小建中湯(ショウケンチュウトウ)

  17. 小柴胡湯(ショウサイコトウ)

  18. 小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)

  19. 小承気湯(ショウジョウキトウ)

  20. 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)

  21. 小青竜湯加石膏(ショウセイリュウトウカセッコウ)

  22. 小青竜湯合麻杏甘石湯(ショウセイリュウトウゴウマキョウカンセキトウ)

  23. 小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリョウトウ)

  24. 消風散(ショウフウサン)

  25. 升麻葛根湯(ショウマカッコントウ)

  26. 逍遙散(ショウヨウサン)

  27. 四苓湯(シレイトウ)

  28. 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)

  29. 参蘇飲(ジンソイン)

  30. 神秘湯(シンピトウ)/a>

  31. 参苓白朮散料(ジンレイビャクジッサンリョウ))




(ジインコウカトウ)


滋陰降火湯
①咳、②皮膚が浅黒い、③便秘
体力が衰弱し、発熱がある老人、虚弱者の気管支炎に用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
天門冬(てんもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
黄柏(おうばく):ミカン科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。
・天門冬、麦門冬ともに粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。
・白朮、陳皮、甘草は脾胃を補い、消化機能を助ける。
・知母、黄柏は腎の燥きを潤し、熱をさます。

※使用目標例
・陰を滋潤して、火を降ろすという方名は、泌尿器、あるいは呼吸器の高熱疾患による体液損失や、酒色過度による上盛下虚に、腎水の虚乏を滋潤し、胸部の火熱(炎症)を清解するという意味である。

・滋陰降火湯を肺結核や慢性気管支炎に用いる場合、咳は乾咳で痰は粘稠で切れ難く、呼吸音に乾性ラ音があり、皮膚は浅黒く乾燥し、便秘傾向で便は硬いものに用いる。禁忌として、皮膚は白く、下痢し易く、湿性ラ音のあるもの。

・腎盂炎、肋膜炎、糖尿病、腺病体質、初老期の生殖器障害などにも用いるが、この場合は微熱、体液減少、便秘気味、口乾傾向のあるものを目標にする。

※注意点
・体力が極度に衰えたものや、一服して下痢するものは不適である。

●麦門冬湯VS半夏厚朴湯VS滋陰降火湯 VS 桂枝加厚朴杏仁湯
麦門冬湯証は乾性の咳であるが、半夏厚朴湯は、湿性痰がからんで咳が出る場合に適応となる。さらに麦門冬湯よりもさらに咽頭粘膜が乾燥して、咽頭に妙な熱がこもってテカテカと赤いときには、滋陰降火湯が使用される。桂枝加厚朴杏仁湯は、布団に入ると痙攣性に咳き込み、水溶性の痰が絡む場合に使用される。

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(ジインシホウトウ)


滋陰至宝湯
①慢性の咳、②虚証、③胸脇苦満
体力が衰弱した慢性の咳に用いる。慢性気管支炎、肺繊維症、気管支喘息などに用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
薄荷(はっか):シソ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「逍遥散」—「生姜」〜
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
香附子(こうぶし):カヤツリグサ科、理気薬/平
地骨皮(じこっぴ):ナス科、清熱薬 —清虚熱薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
貝母(ばいも):ユリ科、止咳平喘薬 —消化熱痰薬/寒

※生薬の解説
・当帰と芍薬は、下垂体、卵巣や子宮に作用して月経障害を調整する作用も兼ねている。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・薄荷は憂鬱感や精神的な原因による胸の痞えや胸肋の膨満感を治し、柴胡、芍薬、甘草とともに精神的ストレスによる無月経、月経不順に有効である。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・茯苓も精神的な心悸亢進、不眠に効く。
・白朮、陳皮、甘草は脾胃を補い、消化機能を助ける。
・知母は抗炎症作用を持ち、発赤、充血、熱感を治す。また地骨皮は知母とともに、結核などの微熱、咳嗽(がいそう)、寝汗を治す。
・麦門冬は粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。貝母も麦門冬とともに、肺の津液を補い、鎮咳、去痰する。
・香附子は、気分の滞りを散じ、血を巡らして、月経を整える

※使用目標例
・逍遥散が母体であるので、婦人に使用する事が多い。神経症の加わった慢性の肺や気管支の病気で羸痩(るいそう:いわゆるやせの程度が著しい状態)し、栄養状態や消化機能が低下し、痰が切れにくい咳をするもの。

・慢性気管支炎、肺結核、気管支拡張症、自律神経失調症、鬱状態、ヒステリー、寝汗、咳嗽、微熱、脾胃の虚の咳嗽、衰弱

※注意点
・すぐに効くものではなく、長期戦で考える処方。

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(シウンコウ)


紫雲膏
①痔核、②火傷、③しもやけ
保険適応では、火傷、痔核、肛門裂傷であるが、切り傷、湿疹など様々な皮膚疾患に効果がある。

※組成
紫根(しこん)= 紫草:ムラサキ科、清熱薬 —清熱涼血薬/寒
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
ゴマ油
ミツロウ
豚脂

※生薬の解説
・潤肌を目的とする当帰と解熱、解毒、殺菌の効果がある紫根の成分をゴマ油、ミツロウ、豚脂で熱抽出したものである。紫根は外用すれば肉芽形成作用を促進する。

※使用目標例
・皮膚病、外傷、火傷にはほとんど万能と言って良い。ただ化膿していないこと、創面がおおきくないこと、分泌物が多くないことの条件を守れば良い。

・皮膚病や切り傷にも陰陽があって、紫雲膏はその陽性の場合に効く。炎症性のものが適応で、年月を経たもの、カリエス(脊椎を含む骨組織の結核菌による侵食など。大半が、結核の時の二次感染)、冷性膿瘍(熱膿瘍と異なり、急性炎症症状を欠き、結核菌が膿に含まれている)、痔瘻などの陰性のものには効かない。

・湿疹、乾癬、角皮症、水虫、うおのめ、たこ、にきび、いぼ、ひび、あかぎれ、あせも、かぶれ、わきが、円形脱毛症、白なまず(尋常性白斑)、しろくも、外傷、凍瘡、火傷、虫刺され、潰瘍、痔、脱肛、ひょうそ(指の急性化膿性疾患で、爪囲炎が多い。ブドウ球菌、連鎖球菌が感染して起きる。炎症は深部に達するので、激痛があり、腫脹、発赤、熱感を伴う)、びらん(皮膚の上皮が破壊され、下の組織が露出した状態)

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(シギャクサン)


四逆散
①胸脇苦満、②憂鬱、③中間証
中間証で、胸脇苦満、憂鬱等に用いる。四逆散は大柴胡湯と小柴胡湯の中間に位置する薬方である。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・芍薬と枳実は中腔臓器の運動リズムを調整し、機能をスムーズにする。
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。また芍薬は、桂枝の気を巡らせる働き(順気作用)を腹部に引っ張ってくるとも言われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。

※使用目標例
・四逆散の特徴は、小陽病の実証にも適応する方剤でありながら、その適応の病態が少し冷えっぽいことである。ただし、一見冷えが強いので、陰証に見えるが、実は陽証の病態である。

・腹直筋の緊張が両側とも非常に強く、幅も厚みもあってピンと張っている。なお、腹直筋が緊張するときは、全身的に筋肉はspasticになり易い時で、また冷えを伴う事が多い。例えば寒い時に足がつり易い、あるいは冷たい水に飛び込むと足が痙攣するなどがある。筋肉の緊張は寒と関連があり、従って、そのような徴候が出てくる場合には顔色が悪い。→「左右の腹直筋の2本棒と言えば四逆散」

・小陽病で、あまり虚証ではなく、左右ほぼ均一に胸脇苦満があり、腹直筋の緊張も全身にわたってかなりあり、白っぽい顔をしている。

・下痢と便秘を交互に繰り返す場合に適応する。便秘すると、コロコロした便がでる。そして出たかと思うと、下痢をしてしまうと訴える。ちょっと抑うつ傾向があったり、本人が寒さに弱かったり、下痢や便秘を繰り返すので、顔色も悪いし、自分は虚弱だと思っている。しかし客観的にはそれほど虚弱に見えない。顔色などは良くないが、胸脇苦満があり腹力もあまり弱くない。腹直筋の緊張も幅広く厚みもある。

・胃潰瘍、胆石の疼痛、心下部の痙攣性疼痛。精神的ストレスによる痙攣、痙攣性疼痛に用いる。
・神経症、心身症。イライラ緊張しやすいものに用いる。

※使用目標例
・多くの加味方が可能であり、加味する場合は「K88 四逆散料」を使用した方が便利である。

・歯痛の場合、上顎には四逆散、下顎には排膿散が効く。

※ 四逆散VS 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
「四逆」というのは四肢厥逆(ししけつぎゃく)の略で、簡単に言えば手足が冷える事。四逆散の場合、エネルギーである「気」の流れが途絶えて起きる四逆で、緊張する場面で手足が冷えるのはこれにあたる。当帰四逆加呉茱萸生姜湯の場合は、寒さが血管を収縮させて血が通わなくなった事による四逆である。従って、温める薬が多く含まれる。

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(シクンシトウ)


四君子湯
①易疲労、②食欲不振、③体重減少
胃腸機能が虚弱で、食欲不振、易疲労などの症状がある者に用いる。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・人参には、造血作用と胃酸を増加させる作用がある。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・生姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。
・大棗は、鎮静、鎮痙作用がある。そして甘草は、大棗とともに痙攣を抑制する。また大棗、甘草は諸薬を調和する。

※使用目標例
・胃部に振水音があるのを「胃内停水」と言い、これが消化機能を低下させ、悪循環を呈するので、皮膚に色つやがなく、爪や唇も血色少なく、腹部は軟弱で下痢しやすく、全身的にアトニー性で気力に乏しい。食事をすると胃にもたれ小食で、手足が冷え、寒さに弱く、言語にも力が無い事が多い。

・胃腸虚弱、消化不良、慢性胃炎、萎縮性胃炎、慢性下痢、食欲不振、胃下垂
・各種出血後、大病後の貧血、四肢無力、遺尿

●四君子湯VS六君子湯 VS香砂六君子湯VS半夏白朮天麻湯
四君子湯は気を補う典型的な生薬だけで構成されており、この四君子湯に二陳湯という胃腸の水毒をさばくような半夏、陳皮を含む方剤を加えた方剤が六君子湯である。四君子湯は脾胃を補うといいながら、結果的には気を補うのが専門の薬であるが、六君子湯は、それに対して少し水毒をさばく作用を持っている。従って、四君子湯は単に気が虚している場合に使用し、六君子湯は、胃の辺りに水毒が溜まって消化吸収が悪いような時に使用する。一般的には、胃の弱い方で、無難に見て行く時には六君子湯を良く使用する。また六君子湯に縮砂、藿香、香附子が加えられた香砂六君子湯は、食後眠くなり、手足がだるく頭重を訴えるものに良い。頭痛が強ければ、もっと発展させて半夏白朮天麻湯を用いる。

※注意点
・実際には、四君子湯単独で使用することは少なく、六君子湯や香砂六君子湯などの加味された方剤を用いることが多い。

・四君子湯の人参はオタネ人参や紅参など上等品を使用したい。

・普通、貧血には鉄剤が使用されるが、ほとんどが胃腸障害で目的達成まで使えない。四君子湯はその点、安心である。

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(シチモツコウカトウ)


七物降下湯
①高血圧、②頭痛、③虚証
虚証の高血圧、頭痛、タンパク尿のある者に用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
〜以上、「四物湯」〜
黄耆(おうぎ):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
黄柏(おうばく):ミカン科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
釣藤鈎(ちょうとうこう):アカネ科、平肝熄風薬 — 熄風鎮痙薬/微寒

※生薬の解説
・当帰と川芎には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。川芎は主に上半身の血流を良くして頭痛を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。
・黄耆は、皮膚に水毒がたまるような異常に使用するが、同時に元気を補ったり、免疫力をつけたりする作用がある。また陽を助ける役目をし、衛気を実し、表を固める。さらに、血管拡張作用による血圧降下作用が報告されている。
・黄柏は、腎と下焦の熱を冷まし、胃燥を潤し、下痢を止める。
・釣藤鈎には、降圧、鎮静、催眠、鎮痙作用などがある。特に脳動脈拡張作用による降圧作用があり、イライラ、不眠を治す鎮静作用もある。

※使用目標例
・最小血圧が高い高血圧症で同時に蛋白尿の陽性者や腎硬化症のある人を目的とする。

・高血圧症で、虚弱なため、大黄剤や柴胡剤を用いられないもの。腎性高血圧症、腎硬化症。

・軽度(140-160 mmHg程度)の高血圧には比較的効きが良く、本方単独で正常血圧に落ち着く事が多い。

※注意点
・重症の高血圧(拡張期血圧で115 mmHg以上)には、漢方薬単独で治療するのは危険である。漢方薬と降圧薬とを併用することにより、高血圧の症状を軽減し、よい結果が得られる場合がある。

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(シテイトウ)


柿蒂湯(シテイトウ)
※組成
丁子(ちょうじ)=丁香(ちょうこう):フトモモ科、温裏薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
柿蒂(してい):カキ科、理気薬/平

※生薬の解説
・柿蒂が主薬であり、柿蒂に含まれる胃内で固まり物理的にしゃっくりを止める。柿蒂と丁子は、胃を温め、上衝した気を下げ、しゃっくりを止める。柿蒂と生姜はうっ滞した痰を除き、しゃっくりを止める。

※使用目標例
・しゃっくり

・大抵のしゃっくりは、柿蒂湯で解決するが、明らかに陽証と思えるもの、例えば壮実の体格の人が平時にしゃっくりを起こした場合は、半夏瀉心湯と併用する。

※注意点
・柿のヘタは、柿の種類を問わず使える。

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(シモツトウ)


四物湯
①貧血、②瘀血、③月経異常
血虚という血が不足する病態に用いる。色々な処方と合方して用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温

※生薬の解説
・当帰と川芎には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。川芎は主に上半身の血流を良くして頭痛を治す。
・芍薬には、筋肉の異常緊張を和らげる作用がある。また血液成分の中の水分を利水する。
・地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)や血流の異常を正常化する作用がある。

※使用目標例
・四物湯は血虚の聖剤と言われている。また血虚の際には、気虚を伴う事が多く、
貧血以外の症状にも注目する必要がある。月経異常、不妊症、血の道症、産前産後はもちろん、皮膚の枯燥した皮膚病には、病名を問わず使用して良い。その用途によって種々の加味方がある。

・貧血、食欲不振には四君子湯と合方して用いる。

・皮膚病には黄連解毒湯との合方である温清飲が使用される。

・下部出血には、阿膠、桂枝、艾葉、甘草が加えられた芎帰膠艾湯が使用される。

※注意点
・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

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(シャカンゾウトウ)


炙甘草湯
不整脈の第一選択薬

①動悸(不整脈)、②息切れ、③虚証
虚証で体力が衰えて動悸、不整脈のある者に用いる。

※組成
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「桂枝湯」—「芍薬」〜
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平

(別包)
阿膠(あきょう):ウマ科、補虚薬 — 補血薬/平

※生薬の解説
・「桂枝—甘草」には、強心利尿作用(強心作用により腎血圧を上昇させて二次的に利尿作用を現す)があり、心悸亢進や気の上衝を抑制する。
・大棗は緊張を緩和し心脾を補うとされ、補血、強壮、利尿作用がある。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。
・地黄は血熱を冷まし、出血を止め、肌肉を潤す効果があり、血糖降下作用を認められている。
・麦門冬は肺を潤し、心熱を去り、気を鎮めるとされ、乾燥性咳嗽や息切れに多用される。
・人参は気を補い、津液を生じて精神を安定させる。麦門冬と共に滋潤作用を発揮する。
・麻子仁は、熱によって燥き固まったものを潤し和らげる効能があり、緩下作用がある。
・阿膠は血を補い、肺を潤し、傷を癒し、止血作用がある。

※使用目標例
・津液の不足状態が、特に循環器にあって、呼吸器、消化器、皮膚粘膜にまで波及した状態に用いられる。心悸亢進、不整脈、呼吸困難で手足は煩熱する。この時の不整脈は促脈と言われている。我々が遭遇するものは期外性収縮(異常な刺激によって心臓が本来の周期を外れて早く収縮する不整脈)で、炙甘草湯証に一致する事が多いと思われる。

・心悸亢進症、上室性期外収縮、心室性期外収縮、バセドウ病、交感神経緊張症、ノイローゼ

・「腹部に大きく動悸を触れる」というのは、炙甘草湯の目標の一つである。

※注意点
・阿膠は他の薬味を煎じ上げた後、カスをこしてから入れて煮溶かす事。器壁につかぬよう、別の水に湿らせてから入れると良い。

・麻子仁のような堅い殻を持っている種子は炒って粗く砕く事。

・甘草は炙甘草にするため、改めてフライパンで炒める事。

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(シャクヤクカンゾウトウ)


芍薬甘草湯
①こむら返り、②筋肉痙攣、③腹痛
急激に起こった筋肉痙攣、こむら返り、腹痛に用いる。虚実は問わない。

※組成
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。

※使用目標例
・芍薬甘草湯が適当となる病態の最も特徴的な症候は、腹直筋の攣急である。典型的には、季肋下部から恥骨まで腹直筋の緊張が見られる。腹直筋を上から下まで手で按じていくと、異常緊張がわかる。また腹直筋が異常に緊張している場合は、按じられると緊張が見られる。

・他覚的には、両側の腹直筋の緊張が見られ、病態としては様々な筋肉のspasticな異常緊張状態に用いる。従って、お腹が急に痛くなった時や、脚をつった時に頓服として用いれば即効性があり、またそのような体質を治すために用いることもある。

・子供はよく腹痛を訴えるが、お腹全体あるいはお臍のあたりが痛いときは、芍薬甘草湯をなめさせると軽くなる。登山や小さな子供と旅行する際に携帯すれば、便利である。

・胆石や尿結石のような、石による腹部の痛みは平滑筋のspasmによって生じるので、頓服として少し多めに1回に1日分くらいを服用させる。芍薬甘草湯は、正常な蠕動は阻害せずに異常緊張のみをとる点が一般の鎮痙剤と異なる。従って、お腹が張ったりすることなく痛みが緩和し、排石を促進してくれることもある。

・冷えると筋肉は痙攣し易いので、筋肉の異常緊張に有効な芍薬甘草湯は少し温める作用がある。したがって、病位は太陰病あるいは小陽病の虚証である。ただし、冷えが明らかな場合は、附子を加えた芍薬甘草附子湯が適用となる。冷えで脚をつりやすい者が例えば海で泳ぐ直前に芍薬甘草附子湯を2回分程飲むと、予防となる。

・寝違い、肩こり、五十肩、こむら返り、腰痛にも使用する。臍の高さあたりだけが重く痛い場合には、八味地黄丸を良く使うが、痛みの急性期、特に座骨神経痛などでは筋肉の緊張を伴うので、芍薬甘草湯や芍薬甘草附子湯をよく使う。

・小児の腹痛のある胃腸型感冒の時には芍薬甘草湯の投与により、腹痛の症状を抑える事が可能である。通常の胃腸型感冒では、五苓散を第一選択薬として用いる。

※注意点
・芍薬甘草湯は頓服的に用いるもので、連続しての使用は少ない。(休日前などには休薬などをして、不要であれば早く離脱する。)連用すれば、甘草の副作用と言われている浮腫や筋無力様症状が現れる事がある。もしこれらの症状が起きれば五苓散を使う。

・芍薬甘草湯加麻黄でバネ指が治る。

・劇的な効果は湯液のみに見られる。

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(シャコサイトウ)


鷓鴣菜湯
※組成
海人草(まくり、かいじんそう):フジマツモ科、駆虫薬/温
〜以下、「大黄甘草湯」〜
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・海人草には、駆虫成分であるカイニン酸が含まれている。
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・甘草は、清熱解毒作用を持ち、諸薬を調和する。

※使用目標例
・回虫、ギョウ虫の駆除

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(ジュウゼンダイホトウ)


十全大補湯
①気血両虚、②易疲労、③悪性腫瘍
気と血の両方が虚して、易疲労、貧血、悪性腫瘍等がある時に用いる。様々な難病の最後の手段として用いる。アトピー性皮膚炎にも有効である。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
〜以上、「四君子湯」—「生姜」—「大棗」〜
黄耆(おうぎ):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
〜以下、「四物湯」〜
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・当帰、川芎、芍薬、地黄の4味で、四物湯となる。四物湯は補血作用があり、皮膚・筋肉・骨の老化防止、造血・調経による貧血や生理不順の改善、止血作用などがある。なお、地黄、芍薬には止血作用があり、主に静脈性の出血に用いる。特に地黄には消炎止血作用(清熱涼血)がある。
・桂枝に当帰と黄耆を加えると、肉芽の増殖が非常に促進され、難治性潰瘍を改善する。
・黄耆は気を補い、桂枝は冷えを温め、血行を良くする。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。

※使用目標例
・補中益気湯を使う目標で、さらに痩せて枯れて冷え易い者。皮膚が萎縮して皮脂の分泌が悪い、骨や筋肉が枯れて痩せた者に用いる。

・肉芽が出来てこない、創傷の治癒が悪い者に用いる。

・運動麻痺、骨や筋肉が萎縮した者(老化現象)。老化に伴って背中が曲がって、腰が痛くなるとか、膝の関節が痛んで筋肉萎縮が起きて動きが悪いという者などに用いる。

・貧血症、白血球減少、血小板減少に用いる。

・白内障に対して、防風通聖散を少量合方して用いる。

※注意点
・熱症状のないものに用いる。また地黄を含んでいるので、瘀血質、枯燥の性格を帯びている事が必須である。

・通常、補剤にはヒネショウガ3g、大棗3gを入れる。さもないと、もたれる。

・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・川芎を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(ジュウミハイドクトウ)


十味敗毒湯
①胸脇苦満、②湿疹、③化膿性湿疹
中間証に用いる。急性、慢性の湿疹、蕁麻疹、化膿性疾患に用いる。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
桜皮(おうひ):バラ科、鎮咳、去痰作用
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
川芎(せんきゅう):セリ科、活血化瘀薬 —活血止痛薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
独活(どくかつ、どっかつ):セリ科、怯風湿薬/微温
防風(ぼうふう):セリ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
荊芥(けいがい):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡、桜皮には、消炎解熱作用がある。
・桔梗には、去痰排膿作用があり(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)、甘草と組んで咽頭を治す消炎作用がある。
・荊芥、防風、独活、川芎、生姜には発汗解表、鎮痛、止痒作用がある。
・桜皮、桔梗、甘草には去痰、排膿作用がある。
・独活、桔梗には利水作用がある。

※使用目標例
・脂漏性皮膚炎:脂漏性皮膚炎は、水泡、湿潤性のびらん面などを作らない乾燥性の湿疹である。化膿菌が起炎菌であれ、非特異的なものであれ、毛嚢炎、毛嚢周囲炎には、十味排毒散が有効である。

・湿疹、皮膚炎群:皮疹を大別して、乾燥性皮疹には、十味排毒散や当帰飲子を、湿潤性の皮疹には、消風散を用いる。体質的には、皮膚に水分の多い乳児、水太りの体質の人は、皮疹の湿潤傾向が強く、夏期に増悪する。痩せ型体質や皮膚の水分が少ないカサカサした皮膚では、乾燥性の皮疹を生じ、空気の乾燥する冬季に増悪する。

※注意点
・十味排毒散に連翹、薏苡仁、麻黄などを加味したり、四物湯、排膿散などを合方することが多い。さらに原方にあった金銀花を復活させたい。5g程別包する。

・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・川芎を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

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(ジュンチョウトウ)


潤腸湯
①便秘、②体液欠乏、③中間証
一般に老人、衰弱者の便秘に用いる事になっているが、大黄、枳実が含まれているので、甚だしい虚証には用いない方が良い。ひどい腹痛を生じる事がある。

※組成
麻子仁(ましにん):クワ科、瀉下薬 — 潤下薬/平
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
〜以上、「麻子仁丸」−「芍薬」〜
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
桃仁(とうにん):バラ科、活血化瘀薬 —活血調経薬/平(小毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰には、皮膚、筋肉、関節、骨、神経などの外部や経路を温める作用があり、外表、四肢末梢の血行を促進して冷え性を治す。また動脈の血流を良くして(活血作用)、駆瘀血の作用を助ける。なお当帰は主に四肢、下半身の血流を良くして冷え性を治す。
・枳実、厚朴は腸の緊張を和らげ、腸内のガスを巡らす。
・黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。また消炎解熱作用を持つ。
・麻子仁、杏仁、桃仁は油剤で、大便を軟らかくして、出易くする潤腸の作用がある。
・枳実、大黄は腸管の蠕動を亢進して排便を促し、瀉下作用がある。
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・甘草は、瀉下による腹痛を緩和する。

※使用目標例
・常習便秘に用いる。潤腸湯は、体液が減少していて腸内も乾いて、粘滑性を失い、コロコロした兎糞状の便を排泄するものが目標で、弛緩性の時も、痙攣性の時もある。

・常習便秘、老人性便秘、高血圧や動脈硬化症などを伴う便秘

※注意点
・大黄の分量は、少量から持って行く事が常道で、個人差の強い薬物でもある。量を固定化してしまうことは疑問である。

・桃仁、紅花、大黄、冬葵子、附子、乾姜、肉桂、枳実は、妊婦に慎重に投与すべき生薬である。

・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・桃仁の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。

・大黄の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。また大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児が下痢を起こす事があるので、授乳中の婦人には慎重に投与すること。

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(ショウキョウシャシントウ)


生姜瀉心湯
①胸やけ、②げっぷ、腹鳴、③下痢
胃部の不快感が強く、げっぷに食臭があるもの

※組成
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
黄連(おうれん):キンポウゲ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
半夏瀉心湯の中の乾姜の量を減らして、生姜が加えられている。

※瀉心湯類
漢方処方の分類で「黄芩」と「黄連」を主薬とする処方群である。瀉心とは「心下のつかえ感を去る」と定義され、胸やみぞおちのつかえがある人を目標としている。代表的な方剤に半夏瀉心湯、生姜瀉心湯、甘草瀉心湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯などがある。前3つの処方の構成生薬は同じであるが、甘草瀉心湯は甘草を増量し、生姜瀉心湯は乾姜を減らして生姜を加味している。半夏瀉心湯は軽い吐気や嘔吐、食欲不振、腹中雷鳴を目標とし、生姜瀉心湯は嘔吐が激しいときに、甘草瀉心湯は消化管全体が虚し下痢が続く場合および精神不安を伴う場合に用いる。一方、主薬二味に大黄を加えた三黄瀉心湯は消炎瀉下薬と考えられ、上半身の充血を鎮める意味を持ち、高血圧の諸症状で便秘のある人に用いる。便秘のない場合は黄連解毒湯とし、皮膚瘙痒症にも適応する。これら2種の処方は虚している人には使用しない。

※生薬の解説
・半夏は吐き気を取る作用がある。
・人参は、上腹部の痞え、痛みをとる。
・黄連は、横隔膜前後から上の比較的実証の対する薬。黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。
・乾姜は、体を温める作用がある。従って、黄蓮や黄芩で熱を冷ましながらも、乾姜で胃の辺りを温めて活力をつけ、補う作用を持っている。
・大棗—生姜は、胃腸を温め、機能を整える。
・生姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。また甘草は諸薬を調和する。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。

※使用目標例
・柴胡が入っていないので、胸脇苦満はないが、黄蓮、黄芩が入っている方剤は、心下の痞(みぞおちのつかえ)をとる作用があり、使用目標となる。また人参が入っており、心下が単につかえるだけでなく、抵抗(鞭)がある時に使う。腹部の所見は、虚実間であるため、腹力は中程度から少し弱く、心下痞鞭があるということになる。

・半夏瀉心湯と似たような症候で、胸やけやゲップがある時に良く効く。

・下痢にも用いる。この場合、嘔吐と下痢なら半夏瀉心湯か五苓散、腹痛嘔吐が主であれば、黄連湯で、心下痞硬が主であれば、生姜瀉心湯である。

・神経症で心下痞硬があれば、生姜瀉心湯を考える。胸の痞えなら生姜瀉心湯、咽中の痞えなら半夏瀉心湯を使用する。

・胃弱、胃炎、胃酸過多症、胃下垂、胃拡張、胃酸欠乏症、胃潰瘍、胃運動亢進症、十二指腸潰瘍、胃腸炎、胃痛、腸炎などで心下が痞え、胃部不和感が強く、あるいは腹鳴、鼓腸、胸やけ、ゲップ、嘔吐、下痢のうち何らかがある。

※注意点
・生姜が乾生姜では意味が無い。従って乾姜1.5gは除いて、ヒネショウガを約2~3g入れるのが本来であろう。

●半夏瀉心湯VS生姜瀉心湯VS甘草瀉心湯
半夏瀉心湯は吐き気が中心である。ゲップや胸やけがあれば、生姜瀉心湯となる。急迫症状、例えば下痢であれば頻回であったり、冷えが強そうな時は、甘草瀉心湯を用いる。また半夏瀉心湯は胃部が痞えて硬い、食欲が無い、吐き気、腹鳴、下痢、ゲップなどの胃炎に用いる薬方であり、生姜瀉心湯の方は、胃部の不快感が特に強く、ゲップに食臭のあるものに用いる。

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小(ショウケンチュウトウ)


小建中湯
①腹痛、②ほてり、③腹直筋の緊張
虚弱な者の腹痛や、普段丈夫な者が無理をして体調を壊した時に用いる。小児の夜尿症に用いる。

※組成
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
注)芍薬は、桂枝湯の2倍量含まれている
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「桂枝加芍薬湯」〜
(別包)
飴糖(いとう)=膠飴(こうい):餅米、うるち、小麦、麦芽、補虚薬 — 補気薬/温
桂枝加芍薬湯にさらに膠飴を加えたものが小建中湯である

※生薬の解説
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・芍薬と甘草には平滑筋、骨格筋の痙攣性疼痛を治す作用がある生薬で、しばしば芍薬と甘草が組んで使われる。また芍薬は、桂枝の気を巡らせる働き(順気作用)を腹部に引っ張ってくるとも言われる。腸管の蠕動が以上となり、腹が張った状態を治すと考えられている。さらに芍薬には平滑筋の鎮痙作用があり、痙攣性疼痛に用いられる。加えて骨格筋の痙攣性疼痛(こむら返り)にも用いられる。甘草にも平滑筋の痙攣性疼痛を止める作用があり、また芍薬を助けて、骨格筋の痙攣性疼痛を抑える作用がある。
・大棗は緊張を緩和し心脾を補うとされ、補血、強壮、利尿作用がある。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。
・大棗、生姜、甘草の3味の組み合わせは、古来より多用されており、営衛の調和、すなわち自律神経系の調整と自然治癒力の回復に役立っているとされている。
・飴糖には、体力を補う作用がある。

※使用目標例
・ベニヤ腹→小建中湯

・飴糖には、体力を補う作用があり、小建中湯はしばしば虚弱な体を丈夫にする目的で使用する。また芍薬が多い処方なので、腹直筋の緊張は全長にわたって見られる。しかし、桂枝加芍薬湯よりもさらに虚証に適当となる薬なので、腹力は弱く、腹直筋の性状も小指ほどの太さぐらいの索状や、また幅はあっても薄っぺらいテープ状のものが多い。なお、腹満はない。

・虚弱な感じで、よくお腹が痛がる子供に対する第一選択薬であり、効果もある。例えば、かぜを引き易い人、お腹をこわし易い人、夜尿症などに使用する。ただし、最近の子供は寒が強い事が多く、そのような場合の夜尿症では、小建中湯だけではなく、時には附子を加えた方が良い。また虚弱な人で、時に手足がほてる場合にも使用できる。

・貧血して疲労しやすく、腹の皮が薄く、腹直筋が張っている。この腹直筋の拘攣は四逆散の場合も現れるが、小建中湯の場合は薄く、四逆散の場合は厚みがあり、主に上腹部になる。時々腹痛を訴え、寝汗、鼻血、手足が温かい、手足がだるいなどの症状があれば、病名の如何を問わず、まず小建中湯を考える。
・肺結核、肋膜炎の軽症、または回復期で、疲労倦怠、あるいは微熱、食欲不振、盗汗などがあるが、咳や痰などの呼吸器症状がほとんど無いもの。

・気管支喘息、肺気腫、心臓弁膜症、神経性心悸亢進症、動脈硬化症、高血圧症、低血圧症などで、疲労感、動悸、息切れ、軽い眩暈、背痛を訴えるもの。

・胃下垂、胃アトニーで疲れ易く、食欲がなく、食後に眠気を催したり、よくあくびの出るもの。また胃酸過多、胃酸欠乏症、胃運動亢進、慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍などで虚弱体質、食欲不振、胃部鈍痛、引き締まる感じ、軽度の胸やけを訴えるもの。

・慢性腸炎、慢性大腸炎、慢性消化不良、直腸潰瘍、直腸がんなどで下痢、腹鈍痛、粘液便が出て疲れ易いもの。常習便秘、弛緩性便秘で虚弱体質、腹が張るもの。

・急性肝炎の後、肝硬変症で虚性の腹満、食欲不振のもの。胆石症で体力弱く、心窩部鈍痛するとき。

・体力の弱い人の黄疸で腹が張り気味、あるいは食欲不振のもの。

・肥厚を主とした結核性腹膜炎で、全身的に疲労衰弱の徴があるもの。

・腹痛で発作的に強くおきるもの。小児の夜泣きで、腹が痛むかのように激しく泣き出すもの。小児の消化不良で腹満のもの。

・どもりで腹直筋や首から背中にかけて筋骨が張るもの。

・胃腸性、あるいは性的神経衰弱で、胃腸が弱く、疲れ易く、気力がなく、何をするにもおっくうで、眠くなり、あくびの出るもの。夢精、インポテンス、性的神経衰弱で疲れ易く、手足がほてるもの。夜尿症、頻尿症、前立腺肥大、腎硬化症。

・過労、疲労、スポーツ後。原因なく突然出る鼻血。

・痔、脱肛、ヘルニアなどで前進虚弱のもの。

※注意点
・小柴胡湯と並んでもっとも応用範囲の広い漢方である。いずれの場合にも「脈浮で緩、手足自温」に留意。

・「小建中湯を与えて、うまくいかなかったら小柴胡湯を与えよ」とあるが、その逆もある。紙一重のところで陰陽が逆であることから、この現象が起こる。

・処方に、阿膠、膠飴、芒硝などを入れるときは煎じた薬液に入れて溶解させる。

●桂枝加芍薬湯VS小建中湯
桂枝加芍薬湯は腹部膨満が主体であるが、小建中湯はお腹が張る事は無い。

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(ショウサイコトウ)


小柴胡湯
B型慢性肝炎の第一選択薬

①胸脇苦満、②悪心、嘔吐、③中間証
柴胡剤の代表処方で、慢性肝炎(実証〜中間証)に頻繁に用いる。風邪の亜急性期に用いる。(煎じ方は、再煎法)

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。
・柴胡と黄芩にはマイルドな消炎解熱作用がある。柴胡は表を、黄芩は裏を消炎解熱する。主に、喉、耳、気道、食道、胸部、心窩部などの小陽の部位(半表半裏)の炎症に用いられる。
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・人参、生姜、甘草は胃の調子を整える。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・大棗は脾胃を補い、気を整え、精神安定作用を持つ。また大棗と甘草は諸薬を調和する。

※使用目標例
・小柴胡湯のキーワード = 熱が出たり、寒気がしたり

・太陽病期を過ぎる頃で、往来寒熱(午後になると熱が出るような周期的な発熱)、胸脇苦満が出現し、口数も少なく食欲が少なくっている。あるいは、胸の中がもやもやする、吐き気がするといった症状が最も代表的である。

・少し寒気はするが、体が大分熱っぽくなってきている。また太陽病の「項背強ばる」という項から背中に沿っての強ばりとは異なり、「頚項強ばる」とあり、頸の側面が強ばり、首のコリにしても振り向けない(首をまわしにくい)コリである。一方、太陽病でも首がこわばる事がしばしばあるが、多くの場合は正中に沿ってのコリである。さらに、小柴胡湯証では、脇の下辺りがちょっと張っている感じがする。あるいは、手足が少しほてって、喉が渇く。

・風邪症候群、気管支炎、扁桃腺炎などの熱症で熱がある時、悪寒のある時期は太陽病といって解熱剤を用いるのは良くなく、温めて発汗療法を行うべきである。熱があって熱く感じ、汗が出るようになると本方のような消炎解熱剤を用いる。

・耳下腺炎、扁桃腺編、頸部リンパ腺炎、中耳炎、気管支炎、胸膜炎などの消炎解熱剤として、小柴胡湯を用いる。炎症が強いときや化膿性炎症には桔梗・石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏を用いる。

・急性肝炎には、小柴胡湯合黄連解毒湯を用いる。黄疸があれば、さらに茵蔯蒿湯を加える。

※注意点
・発熱性疾患を伴う膀胱炎では、葛根湯や麻黄湯などで発汗療法を行うと尿が濃縮して高浸透圧になり、症状が増悪して血尿が現れたりする。このような時に発汗療法は禁忌であり、小柴胡湯を中心とした和解法で対処する。膀胱炎には、猪苓湯を、血尿には四物湯、芎帰膠艾湯を合方して用いる。

・「小建中湯を与えて、うまくいかなかったら小柴胡湯を与えよ」とあるが、その逆もある。紙一重のところで陰陽が逆であることから、この現象が起こる。
・本方中の人参はチクセツニンジンである。急性熱性病の場合はこの方が良い。慢性病や体質改善に使う場合には人参または紅参の方が良い。

・煎じあがってカスを分けた後に、もう一度煎じ液を半量に濃縮する事が原典で指示されている。これを再煎法という。これはサイコサポニンの変化を期待している手法なので、必ずしなくてはならない。

・小柴胡湯を続服していると、みぞおちが痞えると訴える人が出てくる。これは胸脇苦満のために心下痞が隠されていたので、決して副作用ではない。心下痞は半夏瀉心湯の合方が良い。黄連1gを加味すると合方したことになる。また小柴胡湯は長期間使用する薬だとは考えられていないとの意見もあるので、他剤への途中変更も考える。

・インターフェロン投与中の患者、肝硬変の患者、慢性肝炎で血小板10万以下の患者、肝がん患者には使用禁忌である。

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(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)


小柴胡湯加桔梗石膏
①胸脇苦満、②咽頭痛、③中間証
小柴胡湯に桔梗石膏を加えたもの。咽頭炎に用いる。

※組成
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「小柴胡湯」〜
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・柴胡と黄芩にはマイルドな消炎解熱作用がある。柴胡は表を、黄芩は裏を消炎解熱する。主に、喉、耳、気道、食道、胸部、心窩部などの小陽の部位(半表半裏)の炎症に用いられる。
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・人参、生姜、甘草は胃の調子を整える。
・大棗は脾胃を補い、気を整え、精神安定作用を持つ。大棗と甘草は諸薬を調和する。
・桔梗には、去痰排膿作用がある(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)。
・ 石膏は、熱を冷ます作用があり、太陽病でも、熱が強い病態に適応となる。

※使用目標例
・耳下腺炎、扁桃腺編、頸部リンパ腺炎、中耳炎、気管支炎、胸膜炎などの消炎解熱剤として、小柴胡湯を用いる。炎症が強いときや化膿性炎症には桔梗・石膏を加えた小柴胡湯加桔梗石膏を用いる。

・小柴胡湯桔梗石膏湯は、直接細菌を攻撃するだけではなく、免疫グロブリンの産生を高め、炎症を鎮める。このため上気道炎症疾患などの2次感染、口腔疾患の細菌感染とその炎症に応用され、抗生物質などの現代療法に抵抗する状態に使用して著効する。

※注意点
・石膏はなるべく塊状のものを求め、自分で割り、混ざっている土などを除いて調整すべきである。また灼熱するまで焼いたものは避けた方が良い。

・小柴胡湯の場合と同様に急性熱性病の場合にはチクセツニンジン、慢性病や体質改善に使う場合には人参または紅参と区別して使いたい。

・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(ショウジョウキトウ)


小承気湯
①お腹の張り、②便秘傾向、③脳症
陽明病で使用する。身体の中に熱がこもり、熱性疾患であれば高熱が続く場合に用いる。

※組成
大黄(だいおう):タデ科、瀉下薬 — 攻下薬/寒
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
大承気湯より芒硝を除いたものである。

※生薬の解説
・大黄には、瀉下作用と消炎解熱作用がある。
・厚朴は、気を巡らせる作用がある。身体を巡っている気がうまく巡らず、どこかに溜まっており、例えばお腹が張ったり、胸に物が詰まっているような感じがする時に使用する。
・枳実は、気を巡らせる作用があり、ぐっと固まった気が対象である。例えば、筋肉がspastic(痙攣性麻痺)な場合は、芍薬と甘草を使った方剤をよく使うが、腹直筋の緊張が太い感じに触れる時は、さらに枳実が入ったものを使用する。

※使用目標例
・小承気湯は陽明病で使用する。陽明病は裏に病があり、実証なので、典型的な脈は沈で実である。主要な症候としては、身体の中に熱がこもり、熱性疾患であれば高熱が続く。また身体の隅々まで、熱が行き渡り、熱臭のある汗がでる。裏まで病気が進んでいるので、典型的にはお腹が張ったり、便秘しやすくなる。

・大承気湯や調胃承気湯とは異なり、小承気湯には熱を冷ます作用の強い芒硝が含まれていない。そのため、熱を冷ます作用は比較的弱い。お腹が張って便秘傾向があり、あまり症状が強くない時に使用する。なお、調胃承気湯は小承気湯証よりも実の度合いが低い場合に使用する。

・急性熱病で、腹満便秘し、そのために脳症を起こしているものの比較的軽症のもの

・気管支喘息などで腹満便秘のあるもの

※注意点
・大黄の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。また大黄中のアントラキノン誘導体が母乳中に移行し、乳児が下痢を起こす事があるので、授乳中の婦人には慎重に投与すること。

・芒硝の妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。投与により流早産の危険性があるので、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与しない事が望ましい。

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(ショウセイリュウトウ)


小青竜湯
①咳、②水様鼻汁、③泡沫状痰
中間証に用いる。体表に熱があり、心窩部に水毒を伴う気管支喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・芍薬には、発汗の行き過ぎを抑える作用もある。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・乾姜と甘草は内部を温める温裏作用を持つ。乾姜は主にお腹が温めて、冷えによって起こる腹痛、下痢、悪心、嘔吐などを治す。また甘草は冷えによる腹痛を治すために乾姜と合わせて用いられる。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用や鎮咳去痰作用がある。

※使用目標例
・太陽病の症状でありながら、ちょっと冷えがあり、むくみや鼻水(水っぽく、粘性が低い。)などの水毒症状が出易くなっている。なお、水毒があると、脈が張ることが多いが、小青竜湯証でも、指が血管壁から離れる前にナイロン糸のような細い緊状を感知する。顔色は青白いような顔だが、陰証のかぜのように寒が強い状態ではないので、真っ白い顔ではない。急性証の太陽病で使う薬の慢性疾患の応用として、アレルギー性鼻炎や花粉症などに使われる。

・水毒症状は、胃内停水、浮腫、尿利減少、めまいとして現れ、ゼイゼイと喘鳴、薄い痰、流れるように出る鼻水も水毒症状である。このような特徴があれば、広く諸病に応用される。例えば、(1)感冒、気管支炎などで頭痛、発熱のような表証とともに咳、喘鳴があり、尿不利、めまいがあるもの、(2)喘鳴があって痰は水様で多量の気管支喘息、(3)百日咳、肺炎などで喘鳴があるもの、(4)ネフローゼ、腎炎など、(5)アレルギー性鼻炎で鼻づまり、クシャミが多く、鼻水がでるもの、(6)浮腫のある関節炎などに著効する。

※注意点
・頭痛、発熱、脈浮のような表証のあることを確かめる事。同じような症状で表証がないものには苓甘姜味辛夏仁湯などがある。

・咳が激しく、吐き気を催し、のどの渇かないものは小青竜湯。

・慢性アレルギー性鼻炎などの慢性病には、少なくとも半年くらいは続ける必要がある。

・五味子は黒っぽいものを選ぶ。刻んだものは仁に味が強すぎるので、使わぬ方が良い。

・「表解せず心下に水気」は必須条件。

・細辛には、特有の刺激があり、服用後に舌がヒリヒリする感じが起こることがある。

●小青竜湯VS小青竜湯合麻杏甘石湯
普通感冒やアレルギー性鼻炎、寒証型のネフローゼには、小青竜湯もしくは、これに附子を加えた小青竜湯加附子を使用する。気管支炎や気管支喘息には、杏仁と石膏が加わった小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。熱寒証型のネフローゼにも小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。

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(ショウセイリュウトウカセッコウ)


小青竜湯加石膏
①激しい咳、②逆上、③煩燥
唾や痰が多く出て、激しい咳がある場合に使用する。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「小青竜湯」〜
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用がある。
・麻黄には、利水作用があり、石膏には消炎解熱作用がある。このため、主に滲出性炎症を伴った浮腫に用いられるが、一般の浮腫で、浮腫が強い時にも用いられる。
・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・熱があって咳が激しく出て、唾や痰が多く、汗が少し出て悪寒があるものに用いる。小青竜湯証で逆上が激しく、咳、喘も激しいものである。胸の中が苦しくもだえるものもある。小青竜湯証で煩燥(胸苦しい)または上気(ほてり、のぼせ)の強いもの。

※注意点
・桂枝の服用により、発疹が出現する場合がある。

・乾姜の常用量は、1〜2gであるが、通常量を超えると、特有の刺激があり、口や舌に痺れ感が出現することがある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・細辛には、特有の刺激があり、服用後に舌がヒリヒリする感じが起こることがある。

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小(ショウセイリュウトウゴウマキョウカンセキトウ)


小青竜湯合麻杏甘石湯
①口渇、②気管支炎、③気管支喘息
咳や喘鳴、息切れ、呼吸困難が強くて、口が渇くといった場合に用いられる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
注)麻黄は、小青竜湯の4/3倍量含まれている
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
桂枝(けいし):クスノキ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
細辛(さいしん):ウマノスズクサ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
五味子(ごみし):モクレン科、収渋薬 —斂肺渋腸薬/温
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上「小青竜湯」(ただし、麻黄は、小青竜湯の4/3倍量)〜
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒

※生薬の解説
・(麻黄+甘草)麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・桂枝には、全般に様々な薬の作用を表に引っぱる力やのぼせを抑える力がある。
・(麻黄+桂枝)麻黄には発汗作用があるが、これに血行を良くして体表を温める作用がある桂枝を配合すると、発汗作用が強くなり、悪寒を伴う表証(発熱、頭痛、肩こり、四肢痛、関節痛、脈浮)を発汗により解表(鎮痛)する。
・乾姜と細辛には、体を温める作用がある。
・五味子と半夏には、体内の水分代謝異常を調整する作用がある。
・麻黄には、利水作用があり、石膏には消炎解熱作用がある。このため、主に滲出性炎症を伴った浮腫に用いられるが、一般の浮腫で、浮腫が強い時にも用いられる。
・杏仁には鎮咳去痰作用がある。主として、アミグダリンの分解物、ベンズアルデヒトシアンヒドリンの薬効である。

・石膏には、抗炎症性解熱作用がある。

※使用目標例
・小青竜湯と麻杏甘石湯とは、どちらも喘と咳に使う漢方であるが条件が少し異なる。汗について考えると、どちらも水毒を体に持っているが、小青竜湯の場合は、それが鼻水とか唾とか水様性の痰とかになって出るのに反して汗は出そうで出ない。麻杏甘石湯証は汗して喘すと言われるぐらい額に脂汗を浮かべて咳をし、口渇を訴える。この2方の合方である小青竜湯合麻杏甘石湯は、小青竜湯証で鼻水とか水様性の痰とかの特量が少なく、しかも口渇を訴えるという風に2方の中間をいく証に変わっている。

※注意点
・一般に合方すれば、合方をしない前の鋭さを失い、効力は穏やかになる反面、弱くなるので、証ははっきりすれば、なるべく合方しない方が良い。

・杏仁の皮を取るという作業は大変だが守るべき。

・乾姜の常用量は、1〜2gであるが、通常量を超えると、特有の刺激があり、口や舌に痺れ感が出現することがある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

●小青竜湯VS小青竜湯合麻杏甘石湯
普通感冒やアレルギー性鼻炎、寒証型のネフローゼには、小青竜湯もしくは、これに附子を加えた小青竜湯加附子を使用する。気管支炎や気管支喘息には、杏仁と石膏が加わった小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。熱寒証型のネフローゼにも小青竜湯合麻杏甘石湯を使用する。

●小青竜湯合麻杏甘石湯VS麻杏甘石湯VS小青竜湯加附子
気管支喘息の発作で、熱喘(口渇があり、痰は少なく切れが悪く、汗が出て、ヒューヒューという喘息)には、麻杏甘石湯を用いる。一方、寒喘(薄い痰が多量に出て、痰声がゼリゼリ、ゴロゴロという喘息を伴う)には、小青竜湯加附子を用いる。一般に中間型が多く、小青竜湯合麻杏甘石湯を用いる場合が多い。

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(ショウハンゲカブクリョウトウ)


小半夏加茯苓湯
小半夏加茯苓湯は悪心、嘔吐の基本方剤の一つ

①悪心、②嘔吐、③つわり
激しい嘔吐やつわりに用いる。

※組成
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平

※生薬の解説
・半夏には中枢性の鎮嘔制吐作用、鎮咳作用があり、生姜には末梢性の制吐作用がある。半夏と生姜で、プリンペラン(D2受容体ブロックによって脳内嘔吐中枢を抑制し、吐き気を抑える)やナウゼリン(吐き気の抑制と胃腸の排出機能を正常化させる)類似作用がある。
・茯苓には利水作用があり、組織間、細胞間の水を血中に吸収させる。

※使用目標例
・悪阻(つわりが悪化し、病院での対処が必要になると妊娠悪阻(にんしんおそ)という病名がつく)の薬として使用される。病位は小陽病の虚証あたり。吐き気が強い場合は、湯気が吐き気を促進してしまう事があるため、冷やして飲ませる。吐き気が強い場合で、小半夏茯苓湯以外を服用させたい場合は、最初に小半夏茯苓湯を服用してもらい、30分後にその他の薬を服用してもらう方法がある。

・突然に嘔吐し、心窩部が膨満して痞え、めまいや心悸亢進がある時は、水飲のためであり、このような場合に本方を用いる。他にも、つわり、妊娠悪阻、胃腸疾患に伴う悪心、嘔吐に用いる。なお、五苓散は、利水剤であり嘔吐の方剤ではない。水逆の嘔吐に用いるが、このとき悪心はない。

・つわり(妊娠嘔吐)では、縮砂の生薬を少しずつ噛んでいると悪心が消失してくる(制吐作用)。その後に、小半夏茯苓湯か半夏厚朴湯を少しずつ冷服させると良い。

※注意点
・生姜はヒネショウガ3gを使うと良い。また生姜を倍加すると食べられるようになる事が多い。

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(ショウフウサン)


消風散
蕁麻疹に対する第一選択薬

①陽証実証、②湿疹、③夏に憎悪
陽証で実証の湿疹で夏に憎悪するものに用いる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
胡麻(ごま):ゴマ科、補虚薬 — 補陰薬/平
(熟)地黄(じゅくじおう):ゴマノハグサ科、補虚薬 — 補血薬/微温
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
苦参(くじん):マメ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
蒼朮(そうじゅつ):キク科、化湿薬/温
木通(もくつう):アケヒ科、利水滲湿薬 — 利尿通淋薬/寒
防風(ぼうふう):セリ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
牛蒡子(ごぼうし):キク科、解表薬 — 発散風熱薬/寒
荊芥(けいがい):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/微温
蝉退(せんたい):セミ科、解表薬 — 発散風熱薬/寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・苦参、知母、石膏、地黄は抗炎症作用を持ち、発赤、充血、熱感を治す。
・蒼朮、木通には利水作用があり、水泡を消退させる。
・当帰、地黄、胡麻には湿潤作用があり、落屑や乾燥の症状を治す。
・防風、荊芥、牛蒡子、蝉退には止痒作用があり、掻痒性の皮疹を緩解させるように働く。
・甘草は、清熱解毒作用を持ち、諸薬を調和する。

※使用目標例
・消風散は、じくじくとした分泌物の多い慢性皮膚疾患(湿疹)全般に効くように作れている。炎症が激しく、局所の発赤、熱感が強い時は、黄連解毒湯を加える。また化膿性炎症には、十味排毒散や排膿散及湯などを加える。

・蕁麻疹に対するファーストチョイスの処方である。発赤が強く、局所の熱感を伴う風熱型に用いる。一方、皮疹の色が白く、熱感がない、寒冷の作用で起きる風寒型には桂麻各半湯が良い。

・水泡形成の見られる湿の多いものには、五苓散などを合方して利湿を強めて治療する。

・痒疹、固定蕁麻疹にも消風散がファーストチョイスとなる。ケロイド様になったもの、慢性化したものには、桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤を合方して用いる。

※注意点
・当帰を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

●補中益気湯VS通導散VS消風散
アトピー性皮膚炎の患者は腸管の環境が悪いために免疫異常を起こしていると考えられる。漢方では、補中益気湯と通導散の二つがこの腸管の環境を良くして免疫異常を改善すると考えられる。補中益気湯は主に小児に比較的大量に用いる。腸の環境を良くして消化吸収機能と免疫機能を改善する作用があるため、アトピー性皮膚炎に効果があると考えられる。成人型で肥厚、色素沈着があり、うっ血が強く、顔面、頸部などがびらん性に暗赤色を呈し、西洋医学的治療に抵抗する者に対しては、駆瘀血作用のある通導散合桂枝茯苓丸を用いる。また、アトピー性皮膚炎は基本的に湿疹、皮膚炎であり、この皮疹に対する治療は消風散を中心に用いる。さらに湿潤型や夏期増悪型には、消風散を増量し、乾燥型や冬季増悪型には、十味排毒散や温清飲を消風散に合方して用いる。

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(ショウマカッコントウ)


升麻葛根湯
①麻疹の初期、②風邪、③水痘
中間証に用いる。麻疹の初期や風邪に用いる。

※組成
葛根(かっこん):マメ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
升麻(しょうま):キンポウゲ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・葛根には、余計なこわばりを取り除く作用がある。特に首などのこわばりを取り除く作用がある。肩こり(主に首筋や脊椎の棘突起の両側)や緊張性頭痛に使う場合がある。
・芍薬は、筋肉の緊張を正常にさせる作用がある生薬で、しばしば甘草と組んで使われる。
・升麻には、升堤作用(内から外に引き上げる作用)がある。また外感病風熱型による諸症状を発散して清熱解毒し、麻疹の未発疹期などに処方して発疹を透疹させる
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・甘草は急迫を緩和するとされ、脾胃を補い、肺を潤して毒を除き、諸薬を調和する。その他、抗炎症、抗アレルギー、抗潰瘍、高脂血症改善などの作用が確認されている。

※使用目標例
・発疹初期(必ず発疹が出る病気の場合に、発疹が出てこない時に使用する)、溶連菌症、鼻血、眼充血、扁桃炎

※注意点
・発疹がすでに出ていたら使用してはいけない。発疹が急に激しくなって体を弱らせる。

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(ショウヨウサン)


逍遙散
①不定愁訴、②痩せ気味の女性、③便秘
虚弱体質、月経不順、更年期障害、血の道症、冷え症などに用いられる。

※組成
当帰(とうき):セリ科、補虚薬 — 補血薬/温
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
生姜(しょうきょう):ショウガ科、解表薬— 発散風寒薬/微温
薄荷(はっか):シソ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・当帰と芍薬は、下垂体、卵巣や子宮に作用して月経障害を調整する作用も兼ねている。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。芍薬は、平滑筋、骨格筋の痙攣や痙攣性疼痛を緩解する作用があり、柴胡に働きを助けて、自律神経を鎮静し、精神的ストレスによるイライラ、緊張を治す。さらに不安、憂鬱、眩暈、ふらつき、胸脇部の痛みなどを治す。
・生姜は風寒を散し、胃気を益し、中を温め、湿を除く。健胃鎮嘔作用もある。
・薄荷は憂鬱感や精神的な原因による胸の痞えや胸肋の膨満感を治し、柴胡、芍薬、甘草とともに精神的ストレスによる無月経、月経不順に有効である。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・茯苓も精神的な心悸亢進、不眠に効く。

※使用目標例
・痩せ気味の女性で、月経前になると感情が高ぶり易く、イライラして子供を叱りつけたり、つまらないことに腹を立てたりする傾向のある人が、肩が張りつめ、頭痛、不眠、便秘のある時に良く奏効する。また、とりとめもない症状を並べたり、前回の愁訴と異なる症状を訴えたりするのも目標となる。この症状にのぼせが加われば、加味逍遥散の方が良い。逍遥散証のようでいて肝火上亢の証がなく、考え込む気鬱の場合には、地黄と香附子を加える。なお、当帰芍薬散と同様に、同じような症状の場合は男性でも使用可能である。

・気鬱、婦人神経症、肩こり、月経不順、更年期障害、皮膚病、口舌びらん、慢性尿道炎、肝硬変の腹水のないもの。

※注意点
・頭痛、のぼせが無い場合は、加味逍遥散よりも逍遥散の方が良い。逍遥散に地黄と香附子を加えると良い。

・薄荷を除いたものを先に煎じ、煎じ上がる直前に薄荷を入れる。

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(シレイトウ)


四苓湯
①口渇、②嘔吐、③小便不利
体質(証)にそれほどこだわらず、口が渇き、尿量が少ないことを目安に広く用いる。

※組成
猪苓(ちょれい):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
沢瀉(たくしゃ):オモダカ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
「四苓湯」=「五苓散」—「桂枝」

※生薬の解説
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・猪苓と沢瀉は腎臓での再吸収を抑制して血中の過剰の水分を尿として排出する。

※使用目標例
・五苓散は、表裏双解の薬方で表証のあるものに使うが、この四苓湯証は表証がない。ただ、口渇して水を飲み、飲めばすぐ吐いて、小便不利するものに用いる。その他、つわり、夜盲症にも使用する。

※注意点
・特別に五苓散から桂枝を除く必要はないと感じるが、温疫理論から言うと、表寒がなければ、温剤である桂枝は必要なく、表熱があれば、むしろ病状の悪化をみるかもしれないという。

・失禁する人に黄連、黄柏、五味子、山茱萸を加える事がある。

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(シンイセイハイトウ)


辛夷清肺湯
①鼻閉塞、②副鼻腔炎、③中間証
中間証で、熱証の副鼻腔炎に用いる。

※組成
知母(ちも):ユリ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
黄芩(おうごん):シソ科、清熱薬 — 清熱燥湿薬/寒
山梔子(さんしし):アカネ科、清熱薬 — 清熱瀉火薬/寒
麦門冬(ばくもんとう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/微寒
石膏(せっこう):硫酸カルシウム、清熱薬 — 清熱瀉火薬/大寒
升麻(しょうま):キンポウゲ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
辛夷(しんい):モクレン科、解表薬 — 発散風寒薬/温
百合(びゃくごう):ユリ科、補虚薬 — 補陰薬/平
枇杷葉(びわよう):バラ科、止咳平喘薬/微寒

※生薬の解説
・知母、石膏ともに熱をさます作用がある。
・黄芩は、横隔膜前後の熱を冷ます。また消炎解熱作用を持つ。
・山梔子は、五臓の熱を冷ます。
・麦門冬は粘液質に富み、肺を潤して清熱去痰の効果がある。
・升麻には、升堤作用(内から外に引き上げる作用)がある。また外感病風熱型による諸症状を発散して清熱解毒する。
・辛夷は、肺を温め、鼻孔を通じて風寒を散ずる。
・百合は、肺を潤し、気を整える。
・枇杷葉は、痰を化して肺を清くする。

※使用目標例
・化膿炎症が著明なものか、鼻孔内に腫脹のあるもので、局部に熱感が強く、鼻汁も膿性、粘稠なものが目標となる。

・鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症、鼻ポリープ、肥厚性鼻炎

・辛夷清肺湯で急性期を乗り切ったら、荊芥連翹湯でじっくり治療することも考えられる。

※注意点
・胃腸が弱い人には用いない方が良い。

・山梔子を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

・石膏を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こし、下痢を起こす事がある。

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(ジンソイン)


参蘇飲
参蘇飲は風邪の代表的な方剤である。

①咳、②喀痰、③胃腸虚弱
感冒後に続く咳に用いる。

※組成
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
枳実(きじつ):ミカン科、理気薬/微寒
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
葛根(かっこん):マメ科、解表薬 — 発散風熱薬/涼
半夏(はんげ):サトイモ科、化痰薬/温(有毒)
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
大棗(たいそう):クロウメモドキ科、補虚薬 — 補気薬/温
乾姜(かんきょう):ショウガ科、温裏薬/熱
木香(もっこう):キク科、理気薬/温
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
前胡(ぜんこ):セリ科、化痰薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・桔梗には、去痰排膿作用があり(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)、鎮咳作用の半夏と組んで、鎮咳去痰剤の処方構成の骨格として使用される。また桔梗は、甘草と組んで咽頭を治す消炎作用がある。
・蘇葉、葛根、陳皮、生姜には解表作用、解熱鎮痛作用がある。
・半夏、前胡には鎮咳作用がある。
・桔梗、枳実には去痰作用がある。
・陳皮、枳実、人参、木香、大棗、生姜、甘草には健胃作用がある。

※使用目標例
・参蘇飲は、一年中を通じて普通の感冒に用いる(風邪の代表方剤で、これくらい良い薬方はないといえる)。普通の風邪で、頭痛、発熱、咳、痰などのある者に用いる。また、本方は風邪の鎮咳去痰剤でもある。半夏の鎮咳と桔梗の去痰を軸として組んだ処方で、半夏に前胡を、桔梗に枳実を加えている。蘇葉、葛根、前胡の解表薬を加えて、悪寒、発熱、肩こり、頭痛、筋肉痛などの表証に対している。葛根、前胡は胃にこたえるが、陳皮、枳実、生姜、大棗、甘草、木香などの胃腸薬が入っていて、胃腸を傷つけないように工夫されている。

・肺熱の風邪に使用する。この肺熱の風邪は、咳をしても痰が切れにくく、くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状がないことによって、肺寒と区別できる。夏風邪の中に参蘇飲を応用できる場合もある。

・感冒で頭痛発熱、咳痰、声重く、胃部が痞え張り、あるいは嘔吐するもの。

・胃腸の弱い人の感冒、気鬱、つわり

・肌熱性の感冒、体が熱くてムシムシという感冒

※注意点
・桔梗を胃腸虚弱な者に用いると、胃腸障害を起こす事がある。

・人参は、元気が衰えた者に適応であるが、実証に大量に用いると、のぼせ、鼻出血、血圧上昇が起こる事がある。

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(シンピトウ)


神秘湯
①咳、②呼吸困難、③胸脇苦満
小児の風邪で喘鳴を伴うもの、喘息性気管支炎、気管支喘息に用いる。

※組成
麻黄(まおう):マオウ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
杏仁(きょうにん):バラ科、止咳平喘薬/温
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平
〜以上、「麻黄湯」—「桂枝」〜
厚朴(こうぼく):モクレン科、化湿薬/温
陳皮(ちんぴ):ミカン科、理気薬/温
柴胡(さいこ):セリ科、解表薬 — 発散風熱薬/微寒
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温

※生薬の解説
・麻黄には気管支筋の痙攣を緩める作用(エフェドリン類似作用)がある。このため、コンコン咳き込む痙攣性の咳やヒューヒューという気管支喘息の発作に用いて、呼吸困難や喘鳴を治す。甘草はこの作用を助ける。
・麻黄と杏仁には、利尿作用があり、滲出性の炎症に用いられる。
・厚朴には食道、腸管、気管支の痙攣を止める作用がある。厚朴はクレーラ様作用があり、食道、噴門の痙攣を緩める。腸の痙攣による腹痛、腹満、しぶり腹(残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおすもの)にも効果がある。
・蘇葉は、気分を晴れやかにして、半夏や厚朴の制吐作用、鎮咳作用を助ける。
・陳皮は湿を取り、痰を化して、胃を温めて腹満を除く。
・柴胡は、イライラ、緊張、不安、憂鬱などの精神的ストレスを解消する。「疎肝解鬱」の作用があり、ストレスに伴う自律神経支配領域の運動機能異常や、背部、胸脇部の筋緊張による膨満感、違和感、凝りなどを治す。また、女性の精神的ストレスによる月経痛、乳房腫瘍にも有効である。
・甘草は胃の調子を整える。また諸薬を調和する。

※使用目標例
・広範囲の喘息に応用される。ただし、水剤が少ないので喀痰の多いタイプには不向きであると言われている。必要に応じて、先回りして桔梗3g、貝母3gを加味し、甘草を増量する。また肺気腫にも使用される。

※注意点
・蘇葉は煎じる前に手でもむと成分が容出しやすくなる。また可能であれば、蘇葉を別包とし、煎じ上がる前に別包を入れる。

・麻黄には、エフェドリンが含まれており、交感神経刺激作用がある。狭心症などの虚血性心疾患の憎悪や血圧の上昇、頻脈、動悸、不眠、排尿困難などの副作用があるため、狭心症や心筋梗塞の患者には使用しない。高血圧や老人には慎重に用いる。

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(ジンレイビャクジッサン)


参苓白朮散
①胃腸虚弱、②食欲不振、③下痢
乳幼児の原因不明の長期間下痢に著効する。

※組成
人参(にんじん):ウコギ科、補虚薬 — 補気薬/微温
白朮(びゃくじゅつ):キク科、補虚薬 — 補気薬/温
茯苓(ぶくりょう):サルノコシカケ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/平
蓮肉(れんにく)= 蓮子:スイレン科、収渋薬 — 固精縮尿止帯薬/平
山薬(さんやく):キク科、補虚薬 — 補気薬/平
薏苡仁(よくいにん):イネ科、利水滲湿薬 — 利水消腫薬/寒
扁豆(へんず):マメ科、補虚薬 — 補気薬/微温
蘇葉(そよう)= 紫蘇葉(しそよう):シソ科、解表薬 — 発散風寒薬/温
桔梗(ききょう):キキョウ科、化痰薬/平
芍薬(しゃくやく):ボタン科、補虚薬 — 補血薬/微寒
甘草(かんぞう):マメ科、補虚薬 — 補気薬/平

※生薬の解説
・人参と白朮には胃腸機能を改善し、元気をつけて補う作用がある。白朮には胃内の停水を除き、人参と組んで弛緩した胃腸を引き締める作用がある。
・人参には、造血作用と胃酸を増加させる作用がある。
・白朮、茯苓ともに消化管の水や、関節内の水、筋肉内の浮腫、組織間の水など、過剰な水分を血中に吸収して利尿する。
・蓮肉、山薬は滋養強壮剤で、山薬は疲労回復の効果がある
・薏苡仁は消炎利尿、鎮痛、排膿などの作用があり、末梢血管拡張作用、抗ウイルス作用も報告されている。
・扁豆は胃腸機能を高め、消化を促進し、湿を除き、腹部膨満感およびしぶり腹(残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおすもの)を治す。
・蘇葉には解表作用、解熱鎮痛作用がある。
・桔梗には、去痰排膿作用がある(ビソルボン類似作用=「痰をうすめて粘りをとり、吐き出しやすくする。また、気道粘膜の線毛運動をよくして、痰の排出を助ける。」)。
・芍薬は筋肉の緊張を緩め、桔梗とともに膨満感を治す。
・甘草は内部を温める温裏作用を持つ。さらに諸薬を調和する。

※使用目標例
・胃腸が虚弱で、別に発熱悪寒の様子も無く、ただ体がかるく食欲がない人。

・大病後、胃腸を元気にする時や胃腸が弱っていて常に下痢をする時。

・離乳期の乳児が原因のはっきりしない下痢を長く続ける時。小児の消化不良性下痢。

・慢性腸炎、腸結核(結核菌が腸に感染して起こる病気。回腸の末端部と盲腸上行結腸に発生することが多く、潰瘍が多発して穿孔を起こすこともある。腸結核の症状は、下痢、腹痛、発熱、だるいなど。)、病後の胃腸強壮

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