へバーデン結節には漢方薬が効く?桂枝加朮附湯がおすすめ?
年齢を重ねると体じゅうの関節に痛みを感じるようになり、やがて変形や腫れを引き起こすこともあります。
このような症状が現れる疾患はさまざまなものがありますが、「ヘバーデン結節」もそのひとつです。
症状が深刻化すると辛い痛みを感じ、指を曲げたり手を握ったりすることが辛くなるヘバーデン結節ですが、治療の選択肢として漢方薬があります。
本記事では、ヘバーデン結節の基礎知識と治療に有効な漢方薬、考えられる副作用なども詳しく解説します。
目次
へバーデン結節とは
へバーデン結節とは、手の指の第1関節※が不自然に変形し曲がったり、関節部分に小さな腫れやコブのようなものが現れたりする病気のことです。
※DIP関節(指先に一番近い関節)
19世紀にイギリスのウィリアム・ヘバーデンという医師が発見した病気であることから、その名がつけられました。
ヘバーデン結節は特に中年以上の女性に多く発症する傾向があり、加齢とともに進行することが多いです。
ただし、変形や曲がり、腫れの程度も人によって異なり、必ずしもすべての患者が重症化するとは限りません。
へバーデン結節の症状
ヘバーデン結節を発症した場合に見られる症状はさまざまで、個人の体質や環境などによっても程度が異なります。
具体的にどのような症状が見られるのか、3つのパターン別に解説しましょう。
指の関節の変形・腫れ
代表的な症状は、上記でも解説した通り指の第一関節に変形や曲がり、腫れやコブなどが現れることです。
主に人差し指から小指までの4本に症状が現れることが多いですが、稀に親指にも症状が見られるケースもあります。
指の痛み
関節の変形や腫れによって指先が思うように動かなくなったり、手を握ることが困難になることも少なくありません。
症状の程度によっては痛みが生じ、手を強く握ることが難しくなるケースもあります。
水ぶくれ
第一関節の付近にミューカスシストとよばれる水ぶくれが現れることもあります。
関節の変形や腫れに比べるとあまり目立たず、気づかないうちに発症していることも多いです。
また、小さな水ぶくれが現れただけではそれほど気に留めることもなく、普段通りの日常生活を送ることで重症化してしまうケースもあります。
へバーデン結節の原因
ヘバーデン結節が発症する詳しい原因は分かっていません。
しかし、主に40代以上の中年女性や肥満傾向にある人、仕事で指先を酷使することが多い人に発症しやすい傾向があります。
そのため、食生活や生活習慣、加齢などが関係していると考えられています。
へバーデン結節には漢方薬が効く?
ヘバーデン結節を発症した場合、サポーターやテーピングによって患部を固定し安静にするのが基本ですが、薬物療法や手術などの治療法も選択肢となります。
特に初期のヘバーデン結節ではサポーターやテーピングによって様子を見ながら、急性期にはステロイド注射を行います。
それでも痛みがとれなかったり、腫れが悪化するなど重症化していく場合には、手術によってコブの切除や関節の固定が行われます。
薬物療法の場合、比較的即効性のある西洋薬が用いられることが多いですが、それ以外にも漢方薬が処方されることもあります。
具体的には「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」および「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が有効とされています。
冷えを伴う慢性的な関節の痛み | 桂枝加朮附湯 |
関節にむくみやこわばりが見られる場合 | 桂枝茯苓丸 |
症状によって処方される漢方薬は異なりますが、場合によっては上記の2剤が同時に処方されるケースも少なくありません。
桂枝加朮附湯・桂枝茯苓丸に副作用はある?
漢方薬は自然由来の生薬が原料になっていることから、西洋薬に比べると副作用が少なく比較的安全な薬として知られています。
しかし、まったく副作用がないということではなく、服用の仕方やその人の体質によっては何らかの反応が出てくることもあります。
桂枝加朮附湯および桂枝茯苓丸の場合、どういった副作用のリスクがあるのでしょうか。
桂枝加朮附湯の副作用
桂枝加朮附湯では、主に以下の副作用が現れることがあります。
- 発疹、赤み、痒み、動悸、のぼせ、舌のしびれ、悪心
上記は比較的軽度な副作用ですが、以下に該当する重度の副作用が現れた場合はただちに医師の診察を受けてください。
- 尿量の減少、手足・顔のむくみ、手のこわばり、倦怠感、手足のしびれ・ひきつり感
桂枝茯苓丸の副作用
桂枝茯苓丸では、主に以下の副作用が現れることがあります。
- 発疹、赤み、痒み、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢
また、以下に該当する重度の副作用が現れた場合は、ただちに医師の診察を受けてください。
- 倦怠感、皮膚・白目に現れる黄色い変色
へバーデン結節でやってはいけないことは?
普段の何気ない行動がヘバーデン結節を悪化させることもあります。
ヘバーデン結節が疑われる症状が見られる場合に、やってはいけないNG行動にはどのようなものがあるのでしょうか。
指を酷使すること
ヘバーデン結節の治療は、患部を固定し安静にすることが基本となります。
そのため、指を酷使する行動は避けましょう。
具体的にはカバンなど重い荷物を持つ行為、PCやスマホの操作、編み物などが代表的です。
また、手や指を使うスポーツ(バスケットボール、バレーボール、ハンドボールなど)も避けたほうが良いでしょう。
患部を温めること
ヘバーデン結節の症状が見られた場合、患部を固定するだけでなく炎症を抑えるためにアイシング(冷やす)することも重要です。
患部を温めると患部の血行がさらに促進され、腫れが重症化することがあります。
また、腫れや痛みを感じると手で揉んでしまいがちですが、これも結果として患部を温めることにつながるためNGです。
運龍堂は症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提供
桂枝加朮附湯・桂枝茯苓丸に限らず、市販薬として販売されている漢方薬を探しているのになかなか見つからないケースも少なくありません。
もっとも確実な方法は医療機関を受診し処方してもらうことですが、仕事が忙しく時間が確保できないということも多いでしょう。
そのような場合には、漢方薬専門の薬局に相談してみることがおすすめです。
たとえば、宮城県仙台市にある運龍堂では、お客様一人ひとりの体調や悩みを丁寧にヒアリングし、それに合った生薬を組み合わせて漢方薬として販売しています。
遠方で来店が難しい場合には、LINEやZoomでの問診にも対応しており、オンラインで専門の薬剤師とコミュニケーションがとれます。
もちろん、相談後はそのまま漢方薬をオーダーし、宅配便で送ってもらうこともできます。
まとめ
ヘバーデン結節を発症すると、手の指の第一関節部分に腫れや変形、痛みなどが現れ、場合によっては指先が動かせないほど重症化することもあります。
ヘバーデン結節は明確な原因が分かっておらず、有効な治療法としては保存療法を基本に投薬治療や手術療法などが選択肢として考えられます。
症状が軽度で、冷えやむくみ、こわばりなども同時に見られる場合には、桂枝加朮附湯および桂枝茯苓丸といった漢方薬が処方されることもあります。
一方、指の酷使や患部を温める行為はヘバーデン結節を悪化させる原因になります。
ヘバーデン結節が疑われる場合には、普段の何気ない行動にも注意しましょう。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任