新型コロナウイルスや感染症に効果はある?おすすめの漢方薬など
今、日本だけでなく世界中で猛威を奮っているのが新型コロナウイルスです。
世界的にもさまざまなイベントが続々と中止になり、新型コロナウイルスが流行る前と今とでは大きく生活の様相は変化しました。
感染の拡大に関しても未だ収まる気配がありません。
そんな新型コロナウイルスやその他の感染症に漢方は効果があるのでしょうか?
感染症に漢方のイメージはあまりないかもしれませんが、効果があるのならぜひ利用したいところですよね。
そこで本記事では、「新型コロナウイルスや感染症に漢方は効果があるのか」ということについて紹介していきます。
そのほか、感染症にかかった際に服用したいおすすめの漢方薬なども併せて紹介していきますので、ぜひ一度目を通して参考にしていただければと思います。
目次
新型コロナウイルスについて
今現在も大規模な感染が続いており、終息の目処が立たない新型コロナウイルスですが、日頃から消毒など感染予防を徹底しているという人も多いことでしょう。
新型コロナウイルスに感染すると約半数の人が発熱し、呼吸器症状や倦怠感、味覚の異常といった症状が見られます。
特に基礎疾患のある方や、65歳以上の高齢者の方が重症化しやすいと言われており、感染後死に至るケースも珍しくありません。
新型コロナウイルスは、咳やくしゃみ、会話によって感染する飛沫感染や感染者に直接接触したり、汚染された机やドアノブから感染したりする接触感染によって引き起こされるとされ、発症までの潜伏期間は1~14日程度といわれています。
感染していなくても感染者との濃厚接触者に判定されると数日間の自宅待機を余儀なくされるなど、日常生活にも影響がでてきます。
感染時の症状は軽度な場合が多く、他にも疾病がない場合には自宅で療養を行う必要があることも特徴の一つです。
新型コロナウイルスに感染しないためにも日頃から感染予防は徹底して行う必要があることが分かります。
感染症について
感染症とは病原体が体内に侵入し増殖することによって引き起こされる病気です。
進入経路は傷口、口や鼻などさまざまです。
感染症は、インフルエンザや風邪のように人から人へと移るものや傷口や、動物から移るものなど複数の種類があります。
人や動物の健康状態によっても感染症にかかるリスクは異なってきます。
人から感染する場合は「飛沫感染」、「接触感染」、「空気感染」といった感染経路があり、感染しないためにはそれぞれの対策を行わなければなりません。
その対策は手洗いうがい、換気、マスクの着用、消毒などが代表的です。
対策をしていれば必ず防げるというわけではありませんが、感染リスクが下がることは実証されています。
このような感染症は、感染したからといって必ず症状が出るわけでもないというのも特徴ですが、発病したら死に至るケースもあるので決して侮ることはできません。
それほど感染症というのは怖い病気だということを常に意識しておく必要があるでしょう。
漢方薬は新型コロナウイルスや感染症に効果はある?
東洋医学の理念に基づき、生薬を組み合わされて作られた薬として漢方があります。
そんな漢方薬は新型コロナウイルスや感染症に対して効果があるのでしょうか?
もちろん、漢方薬を服用したからといって新型コロナウイルスのような感染症が治るわけではありませんが、免疫を高めて自然治癒力を高めることは可能です。
実際、<span=”keikou-a”>新型コロナウイルスを患った人の実に8割が1週間以内に自然経過によって回復しています。
そのため、この1週間が病態を悪化させないために大切な期間であることがわかるかと思います。
患った初期の段階から漢方を服用することによって、ウイルスを悪化させない、症状を軽くするといった効果が期待できるでしょう。
漢方薬で新型コロナウイルスや感染症は予防できる?
新型コロナウイルスや感染症にかからないためには、しっかりとした予防が必要です。
ウイルスが体内に入ってきたときの防御反応として起こるのが体温の上昇です。
一般的にウイルスは熱に弱いと言われており、体温が37度を超えると不活化します。
そのため、体温を上げること、そして免疫を高めることが新型コロナウイルスの予防になると言われています。
そのような理由からも体温を上げるとされる「麻黄」を含む漢方などが新型コロナウイルスに効果的です。
このように漢方薬を服用することでさまざまな感染症に対して予防効果を期待することができます。
なお、回復させるために免疫細胞が集まって炎症が起きているのに、ステロイド剤を使用して熱を抑えすぎることで、かえって炎症部位が広がることがあるので、解熱剤は自己判断は禁物です。
おすすめの漢方薬
続いては新型コロナウイルスや感染症の際に利用したいおすすめの漢方薬について紹介していきます。
新型コロナウイルスやそのほかの感染症を患った際は自宅療養となる場合が多いですが、そのときに服用できる漢方をまとめてみました。
漢方を使用することで症状を和らげるだけでなく、免疫力の向上や予防にも効果を発揮してくれます。
しかし、体に合わない漢方薬や長期服用は副作用の原因となりますので、自分の健康状態と相談しながら服用する必要があるでしょう。
そのため、漢方を使用したことによってなんらかの異常が出たのであればすぐに医師に相談するようにしましょう。
葛根湯(かっこんとう)
葛根湯は葛根や麻黄などを原料とすることがその名の由来です。
そんな葛根湯は、風邪のひきはじめの初期段階で服用すると効果が高いと知られています。
漢方薬の中でもテレビのCMなどの影響から比較的知名度の高い漢方ですね。
葛根湯の特徴の一つに体温を上げてくれるという効果があります。
ウイルスは温度が高いと弱まるという特性がありました。
そのため、風邪などでウイルスが入ってきた初期段階で服用することによって、ウイルスが体内で増殖する前に撃退してくれるのです。
しかし、症状が進んで初期状態でなくなってしまうとその効果は低下してしまうので、そのような理由からも葛根湯は風邪のひきはじめに服用するのが一番良いといわれています。
ちなみに、風邪のひきはじめとは症状が出てから2日以内で鼻や喉に違和感がで始めたぐらいとされています。
なので、そのぐらいの症状のときに葛根湯を飲むようにすると良いでしょう。
麻黄湯(まおうとう)
麻黄湯は配合される主な生薬である麻黄に由来しています。
葛根湯と同じく風邪のひきはじめによく効くとされているのが麻黄湯です。
麻黄湯には体温を上昇させ、発汗させる効果があります。
そのため、体が冷えて寒気がするという際に服用するととても効果的だといえます。
葛根湯よりも体温を上げる効果が強いので、葛根湯よりも症状が大きい場合にはこちらの麻黄湯を使用するのが良いでしょう。
体温を上げる効果があるので、服用時は冷たい水ではなくお湯で飲む方が更に効果は期待できます。
やはり風邪の初期症状に効果が高いといわれているだけに、咳などの症状が悪化した際には効果が薄くなってしまいます。
麻黄等は風邪が悪化しないための予防として使用するのが良いでしょう。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
小青竜湯という名前は中国の四神である青龍に由来しています。
風邪やアレルギー性鼻炎、気管支炎などによく用いられるのが小青竜湯で、水っぽい鼻水が出るという方や喉のいがいがに悩まされているという人に効果的です。
小青竜湯は体内の水気を巡らすことで体温をあげ、咳やくしゃみなどの改善に努めてくれます。
発汗作用によって水を発散させ、鼻づまりや鼻水といった症状を改善する働きもあり、風邪だけでなく花粉症にも効果的です。
花粉症の予防を込めて花粉が飛び始めるシーズン前から服用している方もいます。
発疹や発赤、嘔吐や腹痛などといった副作用も稀に起こるとされていますが、このように小青竜湯はさまざまな症状に効く万能な漢方薬といえるでしょう。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
麦門冬湯は喉を潤すことによって咳を鎮める効果を持つ漢方薬で、痰が少ない乾いた咳の症状がある際に効果的です。
その名前の由来は主薬がジャノヒゲの根である麦門冬だということから麦門冬湯と名付けられました。
麦門冬以外にも咳や吐き気を鎮める半夏(はんげ)や炎症を冷ます作用のある粳米(こうべい)、さまざまな症状を緩和する作用のある甘草(かんぞう)なんかも生薬として含まれています。
気管支炎や気管支喘息にも効果があり、咳が慢性化している方におすすめです。
細胞などから炎症の際に滲出(しんしゅつ)する液である漿液(しょうえき)などの分泌を促すことで、水分だけでは潤しにくいとされる気管支まで潤すことが可能です。
乾燥した喉を潤すことで症状の悪化を防いでくれます。
麦門冬湯の主な副作用は発疹、蕁麻疹のほか偽アルドステロン症やミオパチー、間質性肺炎などが挙げられます。
このような症状が出るのは稀ですが、万が一発症した際には医師や薬剤師に早めの相談をするようにしましょう。
麝香(じゃこう)製剤
麝香とは雄のジャコウジカ、もしくはジャコウネコから取る香料です。
別名をムスクともいい、香水や化粧品にもよく利用されているので、漢方のイメージがないという方もいるでしょう。
麝香製剤は意識をはっきりさせるために用いる開竅(かいきょう)作用などが含まれています。
麝香はストレスによる症状に対して即効性を持って改善させることができるという特徴を持っており、強心作用や興奮作用といった薬理作用を持つとされています。
そのほかにも、体の「気」を整えストレスの緩和や睡眠の質向上など内面的な不調を整えてくれるという特徴もあり、日頃からストレスによる不調を訴えている方におすすめの漢方となっています。
後遺症対策の漢方薬
インフルエンザとコロナウイルスの違いの一つとしては、コロナウイルスの方が後遺症が出やすいという点があります。
これは、コロナウイルスが抗ウイルスサイトカイン(INF)の分泌を抑制するためです。
一方、インフルンエンザではあまり抑制しないです。そのため、コロナの方が増殖しやすく、後遺症が出やすくなります。
参考)INFの働き
1周囲の細胞にウイルスの侵入を減らす
2ウイルスの遺伝子 DNAやRNAを分解
3細胞の分裂を抑制
4アポトーシスの誘導
5キラーT細胞への感染を知らせる
コロナ後遺症として出やすい症状は、数ヶ月続く、息切れ、疲労感、認知神経
思考力低下、頭痛、体の痛み、動悸、咳、脱毛、味覚障害、臭覚障害などと様々です。
また注意すべ検査項目としては、以下のものがあげられます。
※抗核抗体、(ネクローシスで核が放出)
※自己抗体(多数の感染細胞死・自己反応性Bのみで)
※甲状腺機能
※腎機能・糸球体腎炎(免疫複合体)
※脂質上昇(慢性炎症からステロイド→肝臓でコレステロール合成)
※血糖値(ステロイド→肝臓で糖新生)
※高血圧(ステロイド→腎臓でナトリウムの再吸収)
※アミラーゼ・リパーゼ
※Fe/フェリチン/ペプシジン
コロナ後遺症や上記の検査項目で以上が出た場合も様々な漢方薬が有効ですので、お近くの漢方薬局に相談するのがおすすめです。
なお汎用するものとして、スクアレン(生薬名:鮫玉)を紹介します。
スクアレンは血中の酸素濃度をあげることで肺の呼吸機能を助けるほか、免疫改善でも有効です。
実際、自然免疫力を上げる効果があるため、ワクチンのアジュバントとしても使用されています。
まとめ
今回は新型コロナウイルスや感染症に対して漢方がどのような効果を発揮するのかとおすすめの漢方についてご紹介してきました。
新型コロナウイルスや感染症を漢方だけで治すということは難しいですが、初期の段階で症状を和らげたり予防したりすることは十分可能です。
しかし、症状が悪化した状態での服用となるとその効果はなかなか期待できないので注意が必要です。
漢方薬は西洋薬と比べて副作用が出にくいという特徴もあるので、その点に関しては安心ですね。
しかし、独断で漢方を使用するとなると体に不都合が起こる場合も少なくないので漢方を利用する際はなるべく医師に相談するようにしましょう。
病院で治療や診療が難しくても漢方薬局で診断してもらい自分の免疫力など上げるのを心がけましょう。
その他の記事では、ペットにおすすめの漢方薬や副作用に関してなど様々な記事を掲載しています。
漢方のことで不安やお悩みがある方はお気軽に運龍堂までご相談下さい。
この記事の監修薬剤師
運龍堂 佐藤貴繁
略歴
1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任