投稿日:2022.08.26/更新日:2023.02.15

漢方薬の長期服用をしすぎると副作用に?原因や注意すべき点もご紹介!

東洋医学の医薬品である漢方薬。

 

生薬と呼ばれる自然界に存在する薬効を2種類以上組み合わせて作られる漢方には、化学的に合成された西洋薬と比べて副作用が少ないというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

そのような「漢方は安全だ」というイメージから漢方薬を長期服用している人もいることでしょう。

 

しかし、副作用が全くないという薬は存在せず、漢方薬も例外ではありません。

 

最初に、漢方薬の分類について、少し触れたいと思います。漢方薬は、上薬、中薬、下薬に分かれます。

まず上薬は、命を養うことをつかさどり、毒はないものです。多く服用しても、長い期間服用しても人を傷めることはないものです。身体を軽くし、気を益し、不老延年を望む者はこれを用いるとされています。

 

次に中薬は、精を養うこと(現代風に言えば、ホルモンバランスを整える)をつかさどり、無毒と有毒のものとがあるので、考え合わせて適当に用いるものです。特に体力アップなどに使用します。

 

最後の下薬は、病を治すことをつかさどり、毒が多いから長い間服用してはならないものです。

本来、漢方は病気にさせないことを重要視しているため、上薬、中薬を中心に使用します。

 

西洋薬は漢方で言えば、下薬に相当し、症状がある時だけに使用します。

従って、使い方には注意が必要です。

 

本記事では、漢方薬の副作用が起こる原因と主な症状について解説していきます。

知識を事前に入れておくことで、万が一が起こった際に焦らず行動することができます。

漢方薬を利用される方はぜひ知識として頭に入れておくようにしましょう。

 

漢方薬に副作用はある?

 

漢方薬に副作用はあるのかという話ですが、薬である以上漢方薬にも副作用は存在します。

 

しかし、基本的に漢方薬は飲むことで劇的な体の変化が起こるような薬ではないので、西洋薬のような重大な副作用が起こるということは稀だといえます。

ただ、飲む人の体調や薬の種類によっては、副作用が起きる確率や重さの程度は大きく異なってきます。

 

さらには漢方薬を長期服用している場合にも副作用は起こりやすくなるでしょう。

作用の強い生薬を服用することによって引き起こされることもあります。

 

漢方を飲んで、少しでも体に異変を感じたり、症状が悪化したりするようなことがあれば、早めの段階で医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

漢方薬の副作用が起こる原因

 

続いては漢方薬の副作用が起こる原因について見ていきたいと思います。

 

漢方薬で副作用が現れる主な原因は以下の5つです。

・指定された量よりも多く飲んでしまう

・生薬の重複

・生薬を含んだ市販薬の併用

・病態に合わない漢方の服用

・漢方薬の長期服用

 

漢方薬は、効果が緩やかなことから指定量を超えた摂取をしてしまう場合や、生薬を含んだ市販薬と併用してしまうことで副作用が起こる場合があります。

 

食品や嗜好品の中に入っている生薬もあるので、用法容量を守っていたとしても、知らずのうちに過剰接種になってしまっている可能性も考えられます。

 

漢方薬の長期服用に関しても、少なからず副作用のリスクはあるでしょう。

特に誤治(ごち)と呼ばれる、病態やその人の体質に合わない漢方を服用することで、症状がさらに悪化してしまうケースがあります。

 

副作用は漢方薬の摂取をやめることで、治る場合が多いため、症状が出た際には直ちに服用を控えるなど焦らずに行動することが大切なのと、自身の病態や体質も考えて処方することも副作用を起こさないためには重要です。

 

医師と相談しながら、自分の体にあった漢方を処方してもらうようにしましょう。

 

漢方薬の副作用

 

では、具体的に漢方薬の副作用はどのような症状が出るのでしょうか。

漢方薬と副作用の症状をまとめた表は以下の通りです。

 

漢方薬 副作用の主な症状
麻黄 ・動悸

・不眠

・多汗

・高血圧など

地黄 ・胃もたれ

・下痢

・嘔吐

・食欲不振など

甘草 ・手足の痺れ

・血圧の上昇

・むくみ

・頭痛など

 

たかが副作用といっても、どれも苦しい症状であることには変わりありません。

続いては、それぞれの症状について詳しく見ていくので、どのような症状があるのか確認していきましょう。

 

麻黄:動悸、不眠、多汗など

 

麻黄(まおう)はマオウ科に属する植物で、喘息や気管支炎などの症状を和らげる漢方として利用されています。

麻黄は主成分であるエフェドリンが副作用を引き起こす原因となっており、動悸や不眠、多汗などの症状を引き起こします。

これはエフェドリンが交感神経を刺激することで心臓へ大きな負担をかけてしまうことから起こります。

 

動悸程度だとしても、人によってはパニックを起こすなど侮れない症状です。

特に高齢者の方で、高血圧や甲状腺機能に異常がある方、狭心症、心筋梗塞などの疾患がある場合は、麻黄の摂りすぎなどに細心の注意を払う必要があるでしょう。

 

地黄:胃もたれ、下痢など

 

地黄(じおう)とは中国語原産のアカヤジオウの根っこの部分を乾燥させたものです。

強壮、解熱、増血などの効能があり、ホルモン分泌障害や血行障害に効果を発揮してくれます。

貧血や虚弱体質の改善に利用されることが多く、そのほか幅広い病気に対しても使われる万能な漢方薬となっています。

 

そんな地黄は胃の動きが悪くなってしまう特徴があるため、副作用は胃もたれや下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振などです。

胃腸が弱い方などは、副作用を引き起こしやすいので、注意して服用する必要があるでしょう。

 

甘草:手足の痺れ、血圧の上昇

甘草(かんぞう)とはマメ科のウラルカンゾウなどの根を乾燥したものです。

甘草は漢方薬の約70%に含まれる生薬で、市販の風邪薬や胃腸薬にも利用されています。

主成分となるグリチルリチンは抗炎症、抗アレルギー作用、鎮痛、鎮咳などの効果を含んでいます。

 

そんな甘草の副作用は、手足の痺れや血圧の上昇、むくみや頭痛などです。

これは甘草摂りすぎることによって引き起こされる偽アルドステロン症というもので、漢方薬で起こる副作用で一番起こり得るものだと言えます。

というのも、甘草は漢方だけでなく嗜好品や食品にも含まれているため、知らず知らずのうちに多く摂取してしまう可能性があるためです。

 

この症状は、服用がすぐにあらわれる場合もあれば、時間をかけて発症する場合もあるので、定期的に検査を行って経過を観察しなければなりません。

偽アルドステロン症は甘草の1日の摂取量が2.5gを超えると発症しやすくなるといわれているので、他のグリチルリチンを多く含む市販薬の併用や、漢方薬の長期服用には気をつける必要があるでしょう。

 

漢方薬で注意すべき副作用

 

漢方薬の処方により様々な副作用があることが分かりました。

その中でも特に気をつけるべき副作用によって引き起こされる病気は以下の3つです。

・皮疹

・肝機能障害

・間質性肺炎

これらの病気は、かかると完治が難しいものもあり、人体にとって厄介な症状を引き起こします。

続いての項目で詳しく見ていきましょう。

 

皮疹 

 

皮疹(ひしん)とは、皮膚に現れる様々な症状をまとめた言葉で、発疹(ほっしん)とも呼ばれます。

皮膚を掻くことによる刺激や、ストレス、薬の副作用なんかによって発症するケースが多いでしょう。

皮疹は体のどの部分であっても、発症する可能性がありますが、日光が当たりにくく刺激が頻繁に受けやすい場所に出やすいといった特徴があります。

 

そのため、膝や肘といった関節部分や頭皮のような刺激を受けやすい箇所が初期発症部位として多くなっています。

漢方の副作用としては、人参(にんじん)と黄耆(おうぎ)を両方含む参耆剤(じんぎざい)などの解表作用のある生薬によって皮疹は引き起こされる危険性があります。

 

これらを処方する際は症状が出ていないかしっかりと注意する必要があるでしょう。

 

肝機能障害

 

低頻度ではありますが、服用2週間以内に肝機能障害の症状を引き起こす可能性があります。

肝機能障害とは肝臓になんらかの影響を受けて、炎症を起こしている状態のことを指します。

 

一般的に肝炎と呼ばれることが多く、治療せずに放置しておくと、肝臓がんや肝硬変に発展する危険性を秘めた怖い病気です。

 

症状としては、全身の倦怠感、食欲の低下、嘔気などがあげられ、明らかな症状がある場合はかなり進行している危険性があります。

 

そんな肝機能障害は、黄ゴン(オウゴン)や柴胡(さいこ)が含まれる漢方処方による副作用が確認されています。

肝機能障害は薬の副作用だけでなく、アルコールの長期接種や自己免疫の異常など、様々な原因が考えられます。

 

間質性肺炎

 

間質性肺炎とは、肺の中にある肺胞の壁に炎症が起きることで壁が厚くなり、体内に酸素を取り込みにくくなる病気です。

この間質性肺炎は肝機能障害と同じ、黄ゴンや柴胡が含まれる漢方処方による副作用が確認されています。

 

間質性肺炎の初期症状は咳と息切れです。

最初のうちは坂道や階段で息切れがしやすくなる程度ですが、進行してくると平坦なところでも息切れが起こるようになります。

 

そして咳の症状は、痰が絡んだような一般的な肺炎の咳ではなく、乾いたような咳が出るのが特徴です。

 

そのほかにも、喫煙をする高齢者に多いという特徴もあります。

間質性肺炎は完治が難しい病気になるので、タバコを多く吸う方などは、かからないように特に注意が必要です。

 

副作用が発生しやすい人の特徴

 

漢方薬は副作用が出にくいといわれていますが、人によって副作用の発生のしやすさは異なります。

その特徴は年齢や体質、持病を持っているかなど様々です。

 

自分が副作用の出やすい体なのか、そうでないのかを知ることで異変に少しでも早く気づきやすくなるでしょう。

 

漢方薬によって、副作用が出やすい人の特徴を以下にまとめてみたので、一度確認してみましょう。

・複数(3種類以上)の漢方薬を服用している

・服用を始めて3ヶ月に満たない人

・女性

・50〜80歳の中高年

・低身長、低体重の人

・糖尿病のため、インスリン治療を行なっている

・肝臓疾患で治療中

・健康診断と採血診断を一年以上受診していない

・胃腸が弱い人

・長期服用をしている人

これらの特徴に当てはまる人は特に注意が必要です。

 

副作用が出やすい人には様々な特徴がありますが、体調に異変を感じたらすぐに服用をやめ、医師に相談する必要があります。

定期的な健康診断や採血診断も大切です。

 

ほとんどの場合は、服用を控えることで状態は改善へと向かいますが、自分では気づきにくい症状もあるので、漢方の過剰接種や長期服用をしている方は特に気をつけて使用するようにしましょう。

 

漢方の長期服用|まとめ

 

このように比較的安全というイメージのある漢方薬にも副作用は存在します。

 

特に漢方薬を長期服用している方などは、定期的に健康診断を受けるなどして、自身の体に注意を払うことが大切です。

 

漢方薬は有用な薬でありますが、服用によって体に異変を感じた場合はすぐにかかりつけ医に相談をするようにしてくださいね。

 

 

その他の記事では、漢方がコロナウイルス、感染症に効くのかや漢方の味についてなど様々な記事を掲載しています。

漢方のことでお悩みや不安は、運龍堂にご相談下さい。

 

 

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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2022/08/26

漢方薬の長期服用をしすぎると副作用に?原因や注意すべき点もご紹介!

東洋医学の医薬品である漢方薬。

 

生薬と呼ばれる自然界に存在する薬効を2種類以上組み合わせて作られる漢方には、化学的に合成された西洋薬と比べて副作用が少ないというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

そのような「漢方は安全だ」というイメージから漢方薬を長期服用している人もいることでしょう。

 

しかし、副作用が全くないという薬は存在せず、漢方薬も例外ではありません。

 

最初に、漢方薬の分類について、少し触れたいと思います。漢方薬は、上薬、中薬、下薬に分かれます。

まず上薬は、命を養うことをつかさどり、毒はないものです。多く服用しても、長い期間服用しても人を傷めることはないものです。身体を軽くし、気を益し、不老延年を望む者はこれを用いるとされています。

 

次に中薬は、精を養うこと(現代風に言えば、ホルモンバランスを整える)をつかさどり、無毒と有毒のものとがあるので、考え合わせて適当に用いるものです。特に体力アップなどに使用します。

 

最後の下薬は、病を治すことをつかさどり、毒が多いから長い間服用してはならないものです。

本来、漢方は病気にさせないことを重要視しているため、上薬、中薬を中心に使用します。

 

西洋薬は漢方で言えば、下薬に相当し、症状がある時だけに使用します。

従って、使い方には注意が必要です。

 

本記事では、漢方薬の副作用が起こる原因と主な症状について解説していきます。

知識を事前に入れておくことで、万が一が起こった際に焦らず行動することができます。

漢方薬を利用される方はぜひ知識として頭に入れておくようにしましょう。

 

漢方薬に副作用はある?

 

漢方薬に副作用はあるのかという話ですが、薬である以上漢方薬にも副作用は存在します。

 

しかし、基本的に漢方薬は飲むことで劇的な体の変化が起こるような薬ではないので、西洋薬のような重大な副作用が起こるということは稀だといえます。

ただ、飲む人の体調や薬の種類によっては、副作用が起きる確率や重さの程度は大きく異なってきます。

 

さらには漢方薬を長期服用している場合にも副作用は起こりやすくなるでしょう。

作用の強い生薬を服用することによって引き起こされることもあります。

 

漢方を飲んで、少しでも体に異変を感じたり、症状が悪化したりするようなことがあれば、早めの段階で医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

漢方薬の副作用が起こる原因

 

続いては漢方薬の副作用が起こる原因について見ていきたいと思います。

 

漢方薬で副作用が現れる主な原因は以下の5つです。

・指定された量よりも多く飲んでしまう

・生薬の重複

・生薬を含んだ市販薬の併用

・病態に合わない漢方の服用

・漢方薬の長期服用

 

漢方薬は、効果が緩やかなことから指定量を超えた摂取をしてしまう場合や、生薬を含んだ市販薬と併用してしまうことで副作用が起こる場合があります。

 

食品や嗜好品の中に入っている生薬もあるので、用法容量を守っていたとしても、知らずのうちに過剰接種になってしまっている可能性も考えられます。

 

漢方薬の長期服用に関しても、少なからず副作用のリスクはあるでしょう。

特に誤治(ごち)と呼ばれる、病態やその人の体質に合わない漢方を服用することで、症状がさらに悪化してしまうケースがあります。

 

副作用は漢方薬の摂取をやめることで、治る場合が多いため、症状が出た際には直ちに服用を控えるなど焦らずに行動することが大切なのと、自身の病態や体質も考えて処方することも副作用を起こさないためには重要です。

 

医師と相談しながら、自分の体にあった漢方を処方してもらうようにしましょう。

 

漢方薬の副作用

 

では、具体的に漢方薬の副作用はどのような症状が出るのでしょうか。

漢方薬と副作用の症状をまとめた表は以下の通りです。

 

漢方薬 副作用の主な症状
麻黄 ・動悸

・不眠

・多汗

・高血圧など

地黄 ・胃もたれ

・下痢

・嘔吐

・食欲不振など

甘草 ・手足の痺れ

・血圧の上昇

・むくみ

・頭痛など

 

たかが副作用といっても、どれも苦しい症状であることには変わりありません。

続いては、それぞれの症状について詳しく見ていくので、どのような症状があるのか確認していきましょう。

 

麻黄:動悸、不眠、多汗など

 

麻黄(まおう)はマオウ科に属する植物で、喘息や気管支炎などの症状を和らげる漢方として利用されています。

麻黄は主成分であるエフェドリンが副作用を引き起こす原因となっており、動悸や不眠、多汗などの症状を引き起こします。

これはエフェドリンが交感神経を刺激することで心臓へ大きな負担をかけてしまうことから起こります。

 

動悸程度だとしても、人によってはパニックを起こすなど侮れない症状です。

特に高齢者の方で、高血圧や甲状腺機能に異常がある方、狭心症、心筋梗塞などの疾患がある場合は、麻黄の摂りすぎなどに細心の注意を払う必要があるでしょう。

 

地黄:胃もたれ、下痢など

 

地黄(じおう)とは中国語原産のアカヤジオウの根っこの部分を乾燥させたものです。

強壮、解熱、増血などの効能があり、ホルモン分泌障害や血行障害に効果を発揮してくれます。

貧血や虚弱体質の改善に利用されることが多く、そのほか幅広い病気に対しても使われる万能な漢方薬となっています。

 

そんな地黄は胃の動きが悪くなってしまう特徴があるため、副作用は胃もたれや下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振などです。

胃腸が弱い方などは、副作用を引き起こしやすいので、注意して服用する必要があるでしょう。

 

甘草:手足の痺れ、血圧の上昇

甘草(かんぞう)とはマメ科のウラルカンゾウなどの根を乾燥したものです。

甘草は漢方薬の約70%に含まれる生薬で、市販の風邪薬や胃腸薬にも利用されています。

主成分となるグリチルリチンは抗炎症、抗アレルギー作用、鎮痛、鎮咳などの効果を含んでいます。

 

そんな甘草の副作用は、手足の痺れや血圧の上昇、むくみや頭痛などです。

これは甘草摂りすぎることによって引き起こされる偽アルドステロン症というもので、漢方薬で起こる副作用で一番起こり得るものだと言えます。

というのも、甘草は漢方だけでなく嗜好品や食品にも含まれているため、知らず知らずのうちに多く摂取してしまう可能性があるためです。

 

この症状は、服用がすぐにあらわれる場合もあれば、時間をかけて発症する場合もあるので、定期的に検査を行って経過を観察しなければなりません。

偽アルドステロン症は甘草の1日の摂取量が2.5gを超えると発症しやすくなるといわれているので、他のグリチルリチンを多く含む市販薬の併用や、漢方薬の長期服用には気をつける必要があるでしょう。

 

漢方薬で注意すべき副作用

 

漢方薬の処方により様々な副作用があることが分かりました。

その中でも特に気をつけるべき副作用によって引き起こされる病気は以下の3つです。

・皮疹

・肝機能障害

・間質性肺炎

これらの病気は、かかると完治が難しいものもあり、人体にとって厄介な症状を引き起こします。

続いての項目で詳しく見ていきましょう。

 

皮疹 

 

皮疹(ひしん)とは、皮膚に現れる様々な症状をまとめた言葉で、発疹(ほっしん)とも呼ばれます。

皮膚を掻くことによる刺激や、ストレス、薬の副作用なんかによって発症するケースが多いでしょう。

皮疹は体のどの部分であっても、発症する可能性がありますが、日光が当たりにくく刺激が頻繁に受けやすい場所に出やすいといった特徴があります。

 

そのため、膝や肘といった関節部分や頭皮のような刺激を受けやすい箇所が初期発症部位として多くなっています。

漢方の副作用としては、人参(にんじん)と黄耆(おうぎ)を両方含む参耆剤(じんぎざい)などの解表作用のある生薬によって皮疹は引き起こされる危険性があります。

 

これらを処方する際は症状が出ていないかしっかりと注意する必要があるでしょう。

 

肝機能障害

 

低頻度ではありますが、服用2週間以内に肝機能障害の症状を引き起こす可能性があります。

肝機能障害とは肝臓になんらかの影響を受けて、炎症を起こしている状態のことを指します。

 

一般的に肝炎と呼ばれることが多く、治療せずに放置しておくと、肝臓がんや肝硬変に発展する危険性を秘めた怖い病気です。

 

症状としては、全身の倦怠感、食欲の低下、嘔気などがあげられ、明らかな症状がある場合はかなり進行している危険性があります。

 

そんな肝機能障害は、黄ゴン(オウゴン)や柴胡(さいこ)が含まれる漢方処方による副作用が確認されています。

肝機能障害は薬の副作用だけでなく、アルコールの長期接種や自己免疫の異常など、様々な原因が考えられます。

 

間質性肺炎

 

間質性肺炎とは、肺の中にある肺胞の壁に炎症が起きることで壁が厚くなり、体内に酸素を取り込みにくくなる病気です。

この間質性肺炎は肝機能障害と同じ、黄ゴンや柴胡が含まれる漢方処方による副作用が確認されています。

 

間質性肺炎の初期症状は咳と息切れです。

最初のうちは坂道や階段で息切れがしやすくなる程度ですが、進行してくると平坦なところでも息切れが起こるようになります。

 

そして咳の症状は、痰が絡んだような一般的な肺炎の咳ではなく、乾いたような咳が出るのが特徴です。

 

そのほかにも、喫煙をする高齢者に多いという特徴もあります。

間質性肺炎は完治が難しい病気になるので、タバコを多く吸う方などは、かからないように特に注意が必要です。

 

副作用が発生しやすい人の特徴

 

漢方薬は副作用が出にくいといわれていますが、人によって副作用の発生のしやすさは異なります。

その特徴は年齢や体質、持病を持っているかなど様々です。

 

自分が副作用の出やすい体なのか、そうでないのかを知ることで異変に少しでも早く気づきやすくなるでしょう。

 

漢方薬によって、副作用が出やすい人の特徴を以下にまとめてみたので、一度確認してみましょう。

・複数(3種類以上)の漢方薬を服用している

・服用を始めて3ヶ月に満たない人

・女性

・50〜80歳の中高年

・低身長、低体重の人

・糖尿病のため、インスリン治療を行なっている

・肝臓疾患で治療中

・健康診断と採血診断を一年以上受診していない

・胃腸が弱い人

・長期服用をしている人

これらの特徴に当てはまる人は特に注意が必要です。

 

副作用が出やすい人には様々な特徴がありますが、体調に異変を感じたらすぐに服用をやめ、医師に相談する必要があります。

定期的な健康診断や採血診断も大切です。

 

ほとんどの場合は、服用を控えることで状態は改善へと向かいますが、自分では気づきにくい症状もあるので、漢方の過剰接種や長期服用をしている方は特に気をつけて使用するようにしましょう。

 

漢方の長期服用|まとめ

 

このように比較的安全というイメージのある漢方薬にも副作用は存在します。

 

特に漢方薬を長期服用している方などは、定期的に健康診断を受けるなどして、自身の体に注意を払うことが大切です。

 

漢方薬は有用な薬でありますが、服用によって体に異変を感じた場合はすぐにかかりつけ医に相談をするようにしてくださいね。

 

 

その他の記事では、漢方がコロナウイルス、感染症に効くのかや漢方の味についてなど様々な記事を掲載しています。

漢方のことでお悩みや不安は、運龍堂にご相談下さい。

 

 

この記事の監修薬剤師

運龍堂 佐藤貴繁

略歴

1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
     北海道大学薬学部を卒業
2003年 薬剤師免許を取得
2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
     専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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