投稿日:2019.04.13/更新日:2020.03.06

みかんの香りでリラックス

<みかんの香りでリラックス>
みかんの皮と言えば爽やかな良い香りが特徴です。香りの元はリモネンやテルピネンなどを主成分とする精油であり、リラックス効果が期待できます。みかんの皮の使い方としては、普段からお飲みの紅茶などに少量加えていただくだけで香り豊かな薬膳茶になります。ほかにはスープを始め、様々なお料理に加えていただくことで一味違う薬膳料理に早変わりします。漢方では理気薬に分類され、ストレスなどで巡りが悪くなり滞った気を再び巡らせる働きとして使用されます。

みかんの皮の販売ページはこちら

<漢方におけるみかんの働き>
リラックス効果だけではなく、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンも含まれており、毛細血管を丈夫にして血流を促す作用も持ち合わせています。普段使いとしては健胃・整腸効果や風邪予防などの効果も期待されています。漢方では古くから陳皮という生薬名で用いられています。

<性味(せいみ)について>
みかんの性味は味は「辛」と「苦」に分類され、身体を温めてくれる「温」の性質があります。漢方では「働きによる味の分類」がされており、実際の味覚で感じる味とは必ずしも一致しない場合があります。「辛」は発散させる働きなので、発汗作用や気を巡らせて身体の中に溜まった寒さや熱、湿気を体外に出すことで体調を整えてくれる働きをもつ味です。「苦」は排泄、解毒の味であり、便秘やむくみを解消するほか、咳や喘息などの呼吸器関係のトラブルを改善する働きをもつ味です。

<みかんと五臓の関係>
五臓の脾(消化吸収機能)と肺(呼吸機能)を養うとされており、食欲不振や咳、痰があるときにも症状の緩和に用いられます。日本薬局方の定義では「ウンシュウミカン又はマンダリンオレンジの成熟した果皮」が陳皮という生薬です。なぜ陳皮という名前かというと「古くなったもの、陳旧なもの」が品質として良いためです。身近な使われ方としては国民的スパイスの七味唐辛子の中にもみかんの皮、陳皮が含まれています。元旦に服用する延命長寿の漢方薬、屠蘇散(とそさん)にも陳皮が使われています。

みかんの皮の販売ページはこちら

<みかんの研究報告>
・みかんの皮には生活習慣病の原因となる中性脂肪の抑制や肝機能保護などの働きがあることも知られています。さらに、みかんの皮に含まれるβ-クリプトキサンチンという成分は加齢に伴う様々な悩みにも役立つと考えられています。これは骨芽細胞(骨を新しく作る細胞)の働きを高め、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きを抑えることにより骨を丈夫にします。女性の悩みで多い骨粗しょう症予防効果に役立つと考えられています(*1)。

・マウスの実験においてβ-クリプトキサンチンの摂取により、大脳皮質のDNA の酸化傷害は軽減し、摂取濃度の増加に伴い濃度の増加に伴い学習能の改善がみられたという報告もあります。ヒトにおいては加齢とともに前頭皮質のカロテノイド類が減ってしまうことも報告されているため、高齢社会の認知機能の悩みにはみかんの皮の効果が期待できると考えられます(*2)。

・2018年に発表された最新の論文によるとみかんの皮の水溶性抽出物がMDA-MB-231細胞(ヒト乳腺癌細胞)の増殖を抑制するという報告があります。抑制の機序は活性酸素腫(ROS)に依存した外因性、内因性のアポトーシス経路の活性化によるものです(*3)。

・高脂肪食摂取ラットに陳皮の有効成分ヘスペリジンとナリンギニンを0.5% 含む餌を42日間摂取させたところ、高脂肪食摂取による肝臓中のコレステロールやトリグリセリドの増加が抑制されるという報告があります。コレステロール合成酵素HMG-CoA ならびにACAT のはたらきが抑制され、糞便中へのコレステロール排出も低下していたことから、陳皮は肝臓合成コレステロールの阻害作用により、高コレステロール血症予防効果と脂肪肝予防効果を有することが示唆されました(*4)。現在、血中コレステロールの値よりも血中の中性脂肪(トリグリセリド)の値と生活習慣病との関連が指摘されています。陳皮のトリグリセリドの増加抑制のデータに関しては健康上有益であると考えられます。

*1:Yamaguchi M, Role of carotenoid β-cryptoxanthin in bone homeostasis. J Biomed Sci. 2012 Apr 2;19:36.

*2:Unno K, Prevention of senescence and stress by food composition. Yakugaku Zasshi. 2015;135(1):41-6

*3:Kim MY, Reactive oxygen species-dependent apoptosis induction by water extract of Citrus unshiu peel in MDA-MB-231 human breast carcinoma cells.
Nutr Res Pract. 2018 Apr;12(2):129-134.

*4:Bok SH, Plasma and hepatic cholesterol and hepatic activities of 3-hydroxy-3-methyl-glutaryl-CoA reductase and acyl CoA: cholesterol transferase are lower in rats fed citrus peel extract or a mixture of citrus bioflavonoids.
J Nutr. 1999 Jun;129(6):1182-5.

    この記事の監修薬剤師

    運龍堂 佐藤貴繁

    略歴

    1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
         北海道大学薬学部を卒業
    2003年 薬剤師免許を取得
    2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
         専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
    2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
    2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
    2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
    2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

    電話相談

    メール相談

    LINE相談

    2019/04/13

    みかんの香りでリラックス

    <みかんの香りでリラックス>
    みかんの皮と言えば爽やかな良い香りが特徴です。香りの元はリモネンやテルピネンなどを主成分とする精油であり、リラックス効果が期待できます。みかんの皮の使い方としては、普段からお飲みの紅茶などに少量加えていただくだけで香り豊かな薬膳茶になります。ほかにはスープを始め、様々なお料理に加えていただくことで一味違う薬膳料理に早変わりします。漢方では理気薬に分類され、ストレスなどで巡りが悪くなり滞った気を再び巡らせる働きとして使用されます。

    みかんの皮の販売ページはこちら

    <漢方におけるみかんの働き>
    リラックス効果だけではなく、ポリフェノールの一種であるヘスペリジンも含まれており、毛細血管を丈夫にして血流を促す作用も持ち合わせています。普段使いとしては健胃・整腸効果や風邪予防などの効果も期待されています。漢方では古くから陳皮という生薬名で用いられています。

    <性味(せいみ)について>
    みかんの性味は味は「辛」と「苦」に分類され、身体を温めてくれる「温」の性質があります。漢方では「働きによる味の分類」がされており、実際の味覚で感じる味とは必ずしも一致しない場合があります。「辛」は発散させる働きなので、発汗作用や気を巡らせて身体の中に溜まった寒さや熱、湿気を体外に出すことで体調を整えてくれる働きをもつ味です。「苦」は排泄、解毒の味であり、便秘やむくみを解消するほか、咳や喘息などの呼吸器関係のトラブルを改善する働きをもつ味です。

    <みかんと五臓の関係>
    五臓の脾(消化吸収機能)と肺(呼吸機能)を養うとされており、食欲不振や咳、痰があるときにも症状の緩和に用いられます。日本薬局方の定義では「ウンシュウミカン又はマンダリンオレンジの成熟した果皮」が陳皮という生薬です。なぜ陳皮という名前かというと「古くなったもの、陳旧なもの」が品質として良いためです。身近な使われ方としては国民的スパイスの七味唐辛子の中にもみかんの皮、陳皮が含まれています。元旦に服用する延命長寿の漢方薬、屠蘇散(とそさん)にも陳皮が使われています。

    みかんの皮の販売ページはこちら

    <みかんの研究報告>
    ・みかんの皮には生活習慣病の原因となる中性脂肪の抑制や肝機能保護などの働きがあることも知られています。さらに、みかんの皮に含まれるβ-クリプトキサンチンという成分は加齢に伴う様々な悩みにも役立つと考えられています。これは骨芽細胞(骨を新しく作る細胞)の働きを高め、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きを抑えることにより骨を丈夫にします。女性の悩みで多い骨粗しょう症予防効果に役立つと考えられています(*1)。

    ・マウスの実験においてβ-クリプトキサンチンの摂取により、大脳皮質のDNA の酸化傷害は軽減し、摂取濃度の増加に伴い濃度の増加に伴い学習能の改善がみられたという報告もあります。ヒトにおいては加齢とともに前頭皮質のカロテノイド類が減ってしまうことも報告されているため、高齢社会の認知機能の悩みにはみかんの皮の効果が期待できると考えられます(*2)。

    ・2018年に発表された最新の論文によるとみかんの皮の水溶性抽出物がMDA-MB-231細胞(ヒト乳腺癌細胞)の増殖を抑制するという報告があります。抑制の機序は活性酸素腫(ROS)に依存した外因性、内因性のアポトーシス経路の活性化によるものです(*3)。

    ・高脂肪食摂取ラットに陳皮の有効成分ヘスペリジンとナリンギニンを0.5% 含む餌を42日間摂取させたところ、高脂肪食摂取による肝臓中のコレステロールやトリグリセリドの増加が抑制されるという報告があります。コレステロール合成酵素HMG-CoA ならびにACAT のはたらきが抑制され、糞便中へのコレステロール排出も低下していたことから、陳皮は肝臓合成コレステロールの阻害作用により、高コレステロール血症予防効果と脂肪肝予防効果を有することが示唆されました(*4)。現在、血中コレステロールの値よりも血中の中性脂肪(トリグリセリド)の値と生活習慣病との関連が指摘されています。陳皮のトリグリセリドの増加抑制のデータに関しては健康上有益であると考えられます。

    *1:Yamaguchi M, Role of carotenoid β-cryptoxanthin in bone homeostasis. J Biomed Sci. 2012 Apr 2;19:36.

    *2:Unno K, Prevention of senescence and stress by food composition. Yakugaku Zasshi. 2015;135(1):41-6

    *3:Kim MY, Reactive oxygen species-dependent apoptosis induction by water extract of Citrus unshiu peel in MDA-MB-231 human breast carcinoma cells.
    Nutr Res Pract. 2018 Apr;12(2):129-134.

    *4:Bok SH, Plasma and hepatic cholesterol and hepatic activities of 3-hydroxy-3-methyl-glutaryl-CoA reductase and acyl CoA: cholesterol transferase are lower in rats fed citrus peel extract or a mixture of citrus bioflavonoids.
    J Nutr. 1999 Jun;129(6):1182-5.

      この記事の監修薬剤師

      運龍堂 佐藤貴繁

      略歴

      1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
           北海道大学薬学部を卒業
      2003年 薬剤師免許を取得
      2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
           専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
      2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
      2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
      2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
      2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

      電話相談

      メール相談

      LINE相談