冷え性
冷え性とは
冷えは、むくみ、頭痛、めまい等の様々な症状に関与します。
また冷えには、段階があり、徐々に内部に進行します。大切なのは、冷えの進行を出来るだけ早期に解消することです。
西洋薬では、冷え性というものが存在していないため、冷え性も漢方治療が得意とする分野です。
冷え性の症状の種類
冷えは進行するものです。
第1段階では、「では、「手足が冷たい」と感じます。体の末端が敏感なため、変化にすぐ気がつきます。10代後半から20代後半は、この冷えが多いです。
第2段階は、「足だけ冷えて、手だけが温かい」状態です。上半身よりもおへその下が冷たければ、下半身の冷えが進行していることになります。30代から多い冷えです。
第3段階は、「足の裏や手のひらがほてる」状態です。手足が温かいため、冷えが治ったと勘違いしやすいのですが、冷えが徐々に内部に進行するため、相対的に表面がほてるように感じます。40代から始まる冷えで、更年期の方にも見受けられます。
第4段階は、「足の裏や手のひらがほてる」状態に加えて、「顔や頭、上半身がほてる」状態になります。これは、若い頃からの冷えの蓄積でホルモンバランスが崩れる事が原因です。
最終的には、体内のより深い部分にある「腎」などの内臓に現れ、膀胱炎、頻尿、関節痛などを引き起こします。
冷え性になる原因
原因は様々です。
冷たいものの取りすぎや、運動不足による筋力の低下、自律神経のバランスが崩れて、体温コントロールが乱れることです。
また漢方の考え方による冷えの原因は、エネルギー不足(陽虚)、血流の滞り(淤血)、血液不足(血虚)、水分の過剰や滞り(水毒)などがあり、それぞれ治療方針も異ります。
冷え性の改善方法
冷えの改善は、まずは食事と運動です。
また、冷え性の改善は体温を上げやすい、夏に行うのがお勧めです。夏に冷え性を改善して、秋以降は体温を下げないようするのが良いです。
なお夏に冷たい飲み物を取りすぎると、胃腸を壊し、また体に余計な水が残ってしまうと、気温が下がってくる秋に体調を崩してしまいます。
冷え性に効く漢方薬
冷えの治療で使用する漢方は様々で、例えば、
「手足の先端が特に冷える」場合には、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、「下半身の冷えが強い」場合には、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)、胃腸が冷えて、おなかに水がたまる場合は、人参湯(にんじんとう)等を使用します。
また、補陽薬(ほようやく)と呼ばれる鹿の角である鹿茸(ろくじょう)製剤もお勧めです。
鹿茸は筋肉を強化し、自分の体で熱を作れるようにしていくので、季節に関係なく、体質改善として使えます。もともとアンチエイジングの生薬なので、一石二鳥で使えます。
汎用する処方としては、
・鹿茸製剤:体力低下、加齢に伴う諸症状がある。腎機能の低下
・八味地黄丸:高齢者で特に下半身が冷える
・桂枝加朮附湯、防已黄耆湯:関節痛、むくみ等を伴う
・苓姜朮甘湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯:腰以下の冷えが強い。尿量が多い
・当帰芍薬散:貧血、顔色不良、疲労感、下腹部痛