湿(しつ)
「湿(しつ)」は、漢方において気候や環境と関連して体内に蓄積する不要な湿気を指します。
湿は六気の一つであり、過度の湿は湿邪(しつじゃ)となり、体内にとどまって健康へ悪影響を及ぼすことがあります。
湿の特徴としては、以下のようなものが挙げられます:
1. 濡れた感じやベタつき:体や皮膚が湿った感じやベタつきを伴うことがあります。
2. 重たさやむくみ:体が重たく感じられ、むくみや浮腫(ふしゅ)が現れることがあります。
3. 不快な臭いや異臭:体や排泄物から不快な臭いや異臭が発生することがあります。
4. 身体の冷え:湿気が体内にこもると体温が下がり、冷え性の症状が現れることがあります。
過度の湿気は健康に悪影響を及ぼすことがあり、関節痛、筋肉の張りや痛み、消化不良、食欲不振、疲労感、脾虚(ひきょ)などの症状を引き起こすことがあります。
湿邪を改善するためには、湿気を除去し、体内の水分バランスを整えることが重要です。
漢方薬では、湿邪の排出や湿気の蒸発を促す生薬や処方が使用されることがあります。
具体的な処方は症状や個人の体質によって異なりますが、代表的なものとしては「五苓散(ごれいさん)」、蟾酥(せんそ)製剤や「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」などがあります。なお、胃腸への影響が大きく、食欲不振となった場合は、六君子湯(りっくんしとう)が汎用されます。