心陽（しんよう）

「心陽（しんよう）」は、漢方において心臓の機能や心のエネルギーを表す概念です。

心陽は、心臓のポンプ作用や大脳の活動など、身体のエネルギーの中心である心の陽の働きを指します。

心陽の不足による状態では、身体が十分な温煦作用（温める作用）を受けられず、体が冷えたり、心臓の機能が低下した心不全状態になったり、血行障害が起こります。

また、心陽の不足は心神のエネルギーも減退させるため、精神・意識・思考活動の低下や抑制状態が現れることがあります。

心陽の不足による症状としては、精神疲労、精神不振、反応低下、健忘、計算力の低下、傾眠（ひしむ）などが現れることがあります。

一方、心陽の亢進（こうしん）は、心火の亢進と関連し、心臓の興奮状態や興奮過剰を引き起こすことがあります。

この状態では、動悸、不眠、多夢などの興奮状態や、肝気の異常な亢進による肝火上炎（かんかじょうえん）などの症状が現れることがあります。

心陽のバランスを調整するためには、心臓の機能やエネルギーを活性化させる漢方薬が使用されることがあります。

具体的な処方は症状や個人の体質によって異なりますが、心陽の不足には温補や補陽作用のある生薬や処方が選ばれます。