肝(かん)
「肝」(かん)は、漢方における用語の一つで、肝臓と肝臓に関係する機能を指します。
肝臓は人体の重要な臓器の一つであり、多くの生理的機能を担っています。
漢方医学では、肝は五臓(五臓六腑の一つ)のひとつとされ、以下のような特徴や機能を持つと考えられています:
肝は陰性の臓器であり、陰陽のバランスにおいて陰に位置づけられます。 肝は血液の生成や貯蔵、血液の循環、筋肉や組織への血液供給を担当します。
肝は情緒やストレスの調節、感情の安定、気の流れの調整など、心の健康と関連しています。
肝は胆のうとも密接な関係があり、胆汁の分泌や排泄も調節します。
肝は体内の毒素や有害物質の解毒機能も持ち、体内環境の浄化を助けます。
肝の状態が健康でバランスが取れているときは、血液や気の流れがスムーズで、心身の調子が良い状態とされています。
しかし、ストレスや感情の乱れ、不規則な生活、過度な飲酒などによって肝の機能が乱れると、さまざまな症状や体調不良が現れる可能性があります。
肝の乱れによる症状としては、以下のようなものがありますが、個人によって異なる場合があります:
※情緒の不安定やイライラ感
※疲労感や体力の低下
※頭痛やめまい、目のかすみなどの眼症状
※不眠や睡眠の浅さ、夢遊などの睡眠障害
※消化不良や食欲不振、胃腸の不快感
※生理不順や月経痛、乳房の不快感などの婦人科症状 肝の乱れを改善するために、以下のような漢方薬やアプローチが用いられます:
肝養薬(かんようやく):肝の機能を調整し、肝の健康をサポートするための漢方薬です。
具体的な薬剤としては、活命参(かつめいさん)、柴胡湯(さいことう)や加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。
血行促進薬(けっこうそくしんやく):血液の循環を促進し、肝臓への血液供給を改善する漢方薬です。
血行促進効果のある薬剤としては、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や和漢薬(わかんやく)などがあります。
鎮静剤(ちんせいざい):肝のストレスや情緒の不安定を和らげるための漢方薬です。
肝の鎮静作用や心の安定効果のある薬剤としては、香蘇散(こうそさん)や能活精(のうかっせい)などが使用されます。
生活習慣の改善:肝の乱れを改善するためには、健康な生活習慣を整えることも重要です。
ストレスの管理や適度な運動、規則正しい睡眠、バランスの取れた食事などが肝の健康に寄与します。
また、肝の乱れには食事や食材の選択も重要です。肝臓をサポートするためには、ビタミンB群やビタミンE、亜鉛などを含む食材を摂取することが推奨されます。
代表的な食材としては、レバー、緑黄色野菜、ナッツ類、豆類、海藻などが挙げられます。