陰経（いんけい）

漢方用語の「陰経」（いんけい）は、東洋医学における経絡（けいらく）の分類の一つで、体内のエネルギー（気）が流れる経路のうち、陰の性質を持つものを指します。経絡は、全身を巡るエネルギーの流れを調整し、器官や組織の機能を維持する重要な役割を果たしています。

経絡は、全体で12本の主要な経路から成り立っており、このうち半分は陰経、もう半分は陽経となっています。陰経は以下の6つに分類されます。

肺経（はいけい）: 肺と関連する経絡で、手の親指から腕を通り、肺を経由し、鼻の周辺に至ります。
脾経（ひけい）: 脾臓と関連する経絡で、足の親指から足首、ふくらはぎ、太ももを通り、脾臓を経由し、胸部に至ります。
心経（しんけい）: 心臓と関連する経絡で、手の小指から腕を通り、心臓を経由し、胸部に至ります。
腎経（じんけい）: 腎臓と関連する経絡で、足の小指から足首、ふくらはぎ、太ももを通り、腎臓を経由し、胸部に至ります。
心包経（しんぽうけい）: 心包と関連する経絡で、手の中指から腕を通り、心包を経由し、胸部に至ります。
肝経（かんけい）: 肝臓と関連する経絡で、足の親指から足首、ふくらはぎ、太ももを通り、肝臓を経由し、胸部に至ります。

陰経は、体の陰の部分に位置し、体の機能やエネルギーの流れを調整する役割を果たしています。陰経と陽経のバランスが崩れると、病気や不調が引き起こされると考えられています。漢方薬や鍼灸などの東洋医学は、陰経と陽経のバランスを整えることで、健康を回復・維持しために働くとされています。

陰経と陽経のバランスは、生活習慣やストレス、環境などに影響を受けることがあります。東洋医学では、患者の体調や症状を観察し、陰陽のバランスが崩れた原因を特定し、適切な治療法を選択することが重要とされています。

例えば、漢方薬は、陰陽のバランスを整える効果が期待される成分が含まれており、病気や不調の改善に役立つと考えられています。また、鍼灸や指圧は、経絡に沿って施術を行うことで、気の流れを促進し、陰陽のバランスを回復する効果が期待されています。

陰陽の考え方は、体の機能や病気の発症に関して包括的な理解を可能にし、東洋医学の基礎となっています。陰経と陽経のバランスを整えることで、健康な体を維持し、病気や不調を予防・改善することができるとされています。