痺（ひ）

「痺（ひ）」は漢方において、身体の痛みやしびれを総称して表現する言葉です。

痺証（ひしょう）とも呼ばれます。

痺は、「つまって通じない」という意味があります。

漢方では、気（き）や血（けつ）の流れが滞ることで痺の症状が現れると考えられています。

気は生命活動を支えるエネルギーであり、血は栄養物質を運ぶ重要な役割を果たしています。

気と血の流れが円滑に行われないと、組織や神経に必要な栄養や酸素が不足し、痺の症状が現れることがあります。

痺の症状は様々であり、以下のようなものが挙げられます：

1. 痛みやしびれ：特定の部位や範囲での痛みやしびれが感じられます。

2. 麻痺：部分的な麻痺や筋力の低下が生じます。

3. 感覚異常：触覚や温度感覚、振動感覚などの異常が生じます。

4. 運動障害：動作や筋肉の制御が困難になります。

漢方では、痺の原因や症状に基づいて適切な漢方薬の使用が検討されます。

具体的な処方は個人の状態によって異なりますが、痺証に対する一般的な漢方薬の使用例としては、牛黄（ごおう）製剤、「当帰芍薬散」（とうきしゃくやくさん）や「桂枝茯苓丸」（けいしぶくりょうがん）などがあります。これらの処方には、気や血の循環を促進し、痺の症状を緩和する効果が期待されています。